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2008年07月08日(火)
秋葉原の通り魔事件の影響を受けて、ネット上で 犯行予告を掲載する輩が相次ぎ、ネットでの犯行予告は300件を越えたという。 警視庁はプロバイダーの協力を得て、犯行予告を掲載した者の氏名を特定し 次々と威力業務妨害罪等の容疑で逮捕しているのだが、 その数は一向に減らない。 そんな中、なんと小学校4年生の9才女児までもが自宅のパソコンから 「明日、下校中の4年生を殺す」と書き込み、 警察に警戒態勢を取らせて業務を妨害した。 9才までもが…本当に世も末だな( ̄◇ ̄;) いくらネット上でも犯行予告はイタズラでは済まない。 当然の話だが、そんな犯行予告をネット上で掲載しても 誰1人として喜ぶ者はいないし、結局はそのツケを自分が払う羽目になる。 こんなことも分からないで犯行予告を掲載するバカが多い世の中って…(-o-;)
今はネット社会になったためだろうか、秋葉原のような大事件が発生すると 必ずと言っていいほど「模倣犯的記載」が出てくる。 しかも、昔に比べ数が増えているような気がする。 ネットが発達していなかった10年位前までは、 せいぜい手紙で送るという程度のため、模倣犯の数は少なかったが、 やはり匿名性の強いネットの弊害と言わざるを得ない。 もっというと模倣犯ではなく「新手の犯罪」と言っても過言ではないだろう。 一方で当の本人は「おもしろ半分でやった」という場合が多く、 前述した9才女児も「いたずらで書き込んだ」と話している。 「ネットに掲載すると、どういう影響があるのか」と言うことはもちろん、 そもそも、これが犯罪になって自分が逮捕されるという認識が全くないのだろう。
しかし、これは立派な犯罪行為である。 警視庁は、とりあえず立件が容易な「威力業務妨害罪」として逮捕している。 この罪は簡単に言えば、犯罪予告をしたことで、警察がそれに対応して 警備をすることになったため、無駄な警備をさせただけではなく、 本来行うべき警察業務にも影響を与えたということで、 この罪に該当するとしている。 しかし、予告の記載内容如何では、それだけではなく「名誉毀損罪」や 「脅迫罪」「強要罪」なども成立しうるし、 もし本気で犯行を行おうとしていたのであれば 「殺人予備罪」などの成立もあり得る。 つまり「単純なイタズラ書き」のつもりでやったとしても、 ネット上での犯罪予告は犯罪として成立するのだ。
これに対して「何もそこまで厳しくしなくてもよいのではないか」とか 「ネット上で書く人は、ここまで社会が混乱するとは思っていないから 犯罪成立の故意がないのではないか」とか、さらには 「ネット上の表現を規制するのは表現の自由に対する侵害だ」などとして、 警察の取締り強化に異論を唱える頭の悪い奴らも存在する。 だが、まず「厳しすぎる」という反論に対しては 「じゃあ、犯罪予告がどんなにネット上に書かれても、 一切触らずに放置するのか。その結果、本当に犯罪が発生した場合、 どうするのか」と言いたいね。 日本では子供の万引きが容認されやすいように、 とかく「小さな犯罪には目をつぶる」というおかしな風潮が昔からあったが、 治安が悪化しつつある現在では、むしろニューヨーク元市長の ジュリアーニ氏が唱えた「ブロークン・ウィンドウ理論」により、 早めに犯罪の芽は摘むべきなのだ。 犯罪なのだから厳しく対処しても構わない。
次に「故意がない」だが、ネット上に掲載する行為それ自体には 「誰かが読むであろう」という認識はあり、 さらに「それを読んだ人がビックリして警察や関係者に連絡して 社会的に大騒ぎになるだろう」というところまでは認識できて書いているはず。 ならば「警察か警備会社か、その組織の人かはともかく、 誰かしらが犯罪予告に対して何らかの対応をするだろう。それが面白い」 という意識はあるわけなのだから、業務を妨害するという 「概括的故意」が認められるはず。 その他の罪の成立についても同様なことが言えるだろう。
さらに「表現の自由の侵害」だが、確かに表現の自由は最大限尊重されるべきもの。 しかし、ここで処罰しているのは 「ネット上にそういうことを書いたこと」という「表現方法」についてであり 「書いた内容がけしからん」ということだけではない。 もう少し簡単に言うと、犯罪予告を「自分のノート」や 「自分の家のホワイトボード」などに書いた場合、 すなわち「不特定多数の者が見ないであろう場所に書いた」場合は 上記犯罪は成立しない。 つまりは犯罪予告という表現内容それ自体だけでは処罰対象にはならないのだ。 あくまでも「みんなが見る場所」に 「みんながビックリすることを書いてしまった」という表現方法が問題なのだ。 もっと言うと、みんなが見る場所に犯罪予告をしたとしても、 その内容が例えば「そのうち誰か殺したい」などと抽象的な内容であれば、 これだけでは今回の犯罪は成立しないのだろう。 決して「表現内容だけ」で取締りをしているわけではないのだ。
今回、プロバイダー業者の協力が得られにくく、特定に時間がかかるという点で 問題があるらしいが、このような場合は最後は令状とって、 プロバイダー業者から情報を強制的に取るので、 最終的に書いた人物の追跡は可能だ。 いずれにせよ、犯罪予告をネット上に書くなんてことはバカなこと。 「お前を殺す」と逆に犯罪予告をされたらどう思うのか? 考えてみればすぐに分かることなのに…。
ニュースが伝わると、すぐに真似するバカが出てくる。 考えの浅すぎる輩が増えているのが嘆かわしい限りだ。 そういえば昔、学校の先生に 映画館の中で火事でもないのに「火事だ」と叫ぶ「自由」は無い。 と教わったことがある。 厳密には「映画館で叫ぶ自由があるが、 映画館では客に迷惑をかけない義務もあるため、 結果的に、この自由は権利ではない」ということだろう。 ネットで犯罪予告を書き込むのも、これと同様ではないのかな。
まぁ、映画館で叫んだら即刻つまみ出されるだろうけどね(^^;)
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