Web Masterの日記



左投げ右打ち

2007年05月26日(土)

忙しくて先週に書けなかったことだが、
5月19日の対楽天戦で千葉ロッテの竹原がプロ入り初本塁打を放った。
竹原って誰?と思う人も多いだろうが、城西大から三菱自動車岡崎を経て
2005年のドラフトで4巡目に指名を受けて千葉ロッテに入団。
イースタンで2年連続本塁打王に輝いて大砲の期待を浴びていたが
一軍では全く数字が残せていない選手である。

さて、なぜそんな竹原を取り上げたのかと言うと、
現在、日本人プロ野球選手で唯一の「左投げ右打ち」の打者だからだ。
巨人のホリンズも「左投げ右打ち」なので、セパそれぞれに1人ずつ
このスタイルの打者がいるということになるのだが、
これは日本プロ野球にとって、中日の前岡勤也、阪神の滝川博己が在籍した
1964年以来、実に43年ぶりの珍事になっている。

日本人選手の「左投げ右打ち」は、阪神の滝川が1966年を最後に一軍から離れると、
次は1987年〜1997年まで近鉄と阪神に在籍した中村良二、
そして現在の竹原とたった2名しか出現していない。
戦前から見ても阪急の日高得之と山田伝の2人を加えるだけで、
長い日本プロ野球の歴史の中でも僅か6人しか一軍出場選手は存在していないのだ。
ちなみに外国人選手であれば1976年〜1978年まで阪神に在籍した
ブリーデンや1997年〜1998年までロッテにいたキャリオンなどがいるものの、
それでもホリンズを加えて歴代で5人しかいない。

利き腕と逆の打席に入るケース自体はさして珍しいものではない。
中日の福留や巨人の高橋、我がチームでも潤太や殿、長谷川など
枚挙に暇がないわけだが、当然彼らは右投げ左打ちである。
この「逆の打席で打つ」スタイルは、左右どちらであろうと
「利き腕に死球を受けやすくなる」というデメリットがあるものの、
多くの右利き選手が左打席に入るのは、右投手対左打者は後者が有利だという通説と、
やはり一塁ベースに近いという物理的メリットを採るという、
はっきりした理由が存在するからである。
また、一部で利き目が逆で左打席の方がボールを見やすいという場合もあるようだ。
だが、左投げ右打ちの場合は、左腕にボールが当たりやすいは、一塁は遠くなるは、
とデメリットの方が多いわけで、おそらくこれらの理由で
選手の少数化につながっているのだろう。
メジャーでも有名なのは今季から古巣ダイヤモンドバックをで投げている
ランディ・ジョンソンや、通算盗塁記録保持者のリッキー・ヘンダーソンくらいだ。

それほど珍しい位置に立つ竹原が放った本塁打は、
これまたシーラカンス的価値のある一発にもなっている。
なんと日本人の左投げ右打ち選手では1948年までプレイした
前出の山田が放って以来のものとなっているからだ。
しかも、このスタイルで本塁打を記録した日本人選手は山田と竹原だけしかいないの

だ。
外国人選手ではブリーデンが通算79本塁打という数字を残しているが、
千葉ロッテの竹原には、是非この記録に挑戦し、
左投げ右打ち選手の歴史を変えてもらいたいと期待してしまう。
なんせイースタンの2年連続本塁打王、その素質は十分にあるはずなのだから。
というわけで今年の千葉ロッテは、また気になる選手が出てきた。

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