なべて世はこともなし
日記アーカイブ(インデックス)へ前日の日記はこちら翌日の日記はこちらアイルランド真実紀行へ


2006年12月08日(金) 急がばまわれ…師走にコケたバカな男の話

12月に入り、例年のことですが、毎日忙しいです。で、ただでさえ忙しいところに実家のホームページの開設という訳のわからん追加の仕事まで入り、忙しさに拍車をかけてます。


かくして、会社内でもかなり忙しい私。自分はまだ若いんだということを確認するためたいがい会社内の階段は2段飛ばしで駆け上がってます。今日もそうでした。忙しい中コピーをとらなきゃいけない書類があり、運悪く(というかしょっちゅうなんだけど)私の階のコピーは故障中。かくして、小走りで玄関ホールにある階段めがけて向かう。


よくあるように、うちの会社の床は二重床。つまり、コンクリートの打ちっぱなしの床上20-30センチのところにパネルを置いて、その隙間にコンピュータや電源のケーブルを走らせている。で、そのパネルの上には30センチ四方くらいの安っぽいカーペットが敷いてある。


で、玄関ホールはというと、こちらは人工大理石。よー滑るんだわ。こりが。特にその大理石を水ぶきされた日には。大体数日前にもコケこそしなかったけど滑ったばっかだし。元来トリ頭で、そこに忙しいときた私はそんな危険な大理石の床のことなどすっかり忘れて階段を2段飛ばしで駆け上がろうとした瞬間…もうお分かりですね。


思いっきりこけました。


幸い頭からではなく、腕から落ちたので打ったのは左腕のみ。ただし、階段の一段目にしたたか打ちつけました。いてー、と思いつつも忙しいのでその場にうずくまっているわけにもいかず、そのまま階段を上り、コピー機の前に立つ。


コピーをセットして腕を見ると…あら、怪我してるよ。


肘よりやや下の部分から血がたれて、肘から手の甲まで打ちつけた部分が真っ赤になってる。たれてる血の量は大したことないけど、このままだとちょっとまずいなあ。


かくして受付嬢(おばちゃん)のところに行く。


私:「どっかに救急箱ある?」


受付嬢、私の腕を見て驚いた様子で


受付嬢:「どうしたの?それ?」
私:「いや、玄関ホールの大理石が水ぶきされててもんどりうってこけた」
受付嬢:「ちょっと待ってて」



数分後に救急箱を持って現れたのは私の同僚。そういえば、彼女、ダブリンの野戦病院とも言われる(って今私が勝手に命名したんだけど)St James病院で看護婦さんをやってた人だったな。何でそんな経歴の人が会社にいるかはよくわからんが、目下の事態では優秀な助っ人であることは間違いない。


で、彼女が救急箱を開けて一言。


同僚:「何にも入ってないじゃない!」


…いや、私が見る限り、緑色の救急箱には包帯だのが詰まってる。だけど、元プロの彼女いわく、ステロイドなどの必要なものが全く入ってない。消炎剤もない。果てにはハサミまで入ってないじゃあないか!と怒り出す。受付嬢があわてて持ってきた別の救急箱には、中サイズまでの絆創膏が入っているだけ。


彼女は私の腕を水平にさせたままで救急箱をひっくり返す所要数分。ようやく見つけた手袋をつけて(この辺がプロなのかも)私が肘を曲げられるか、指を動かせるかを確認。ちゃんと動く。だけど、肘があまり曲がらない(今はちゃんと曲がります。骨折などはしてません)。


彼女:「腕はどんな感じ?」
私:「ずっと上げてたからしびれた…」



そこに偶然通りかかったのが副社長。


副社長:「おいおい、Snigel君、どうしたんだ?」
私:「滑ってこけました」
副社長:「そうか。ところで例の東京のクライアントなんだが…」



…少しは腕の心配してくれよ。まったく。


私が知りたくもない東京の話を副社長に聞かされているころ、反対側にいた同僚のもと看護婦は救急箱の中から「これしかないわ」と言いながら、包帯を取り出す。これがまた難儀な包帯でして、ガーゼがついていてとてつもなく巨大なのだ。めったに副社長と話をする機会などないヒラ奴隷の私は、副社長のお話を全身全霊を持って拝聴しなければいけなくなり、腕のことは気になりつつも副社長の話を聞く。


で、副社長の演説が終わった頃に腕を見て唖然。包帯でぐるぐる巻きにされて、見た感じ大怪我をしたとしか思えない。元看護婦の同僚は


同僚:「これ、私が今までやった包帯の中で一番ひどい出来だわ。ほら、包帯はこんな大きいのしかないし、包帯止めもないから絆創膏で止めといたわ」


…たしかに絆創膏で止めてある。すぐ取れそうな気配。


ここで終わりと思いきや、さらに騒動は続く。左腕を包帯でぐるぐる巻きにした私が戻ると、同僚が矢継ぎ早に質問。で、同僚がわさわさと私の机の周りにやってくる。


「あ、私もこけた。あれ、相当危ないわよ」
「私もトイレから出ていたときに滑ったわ」
「あれ、ほとんどアイススケート場と変わらないわよね」
「あ、アイススケートといえば、最近Liffey Vallyにできたらしい」
「え?私行きたーい」
「え?じゃあ来週あたり行くべか」



お前ら、人の周りでうるさい!散れ!散れ!


問題なのは、どうやらこけたのは私一人じゃないということ。かくして、管理会社を通じて「昼間の玄関ホールの水ぶきは禁止」というお達しが下されそうな気配です。


ちなみに、包帯は案の定夕方になって取れてしまいまして、見てみると…


確かに全面あざになって一部すりむいてるけど大したことないじゃん。


下手に救急箱を借りに行ったことを後悔しました。ま、私がこけたおかげで水ぶきがなくなって、誰かが頭をしたたか打たずに済んだというのならそれはそれでよかったの…かな。


ちなみに、こんなくだらない騒動のおかげで仕事は結局終わらず、まさに「急がばまわれ」を身をもって体験しました。皆様、暮れで忙しいと思いますが、どうぞ慌てず焦らず無事故でお願いします(と、いい子ぶった発言で締めてみる)。




Snigel |MAILアイルランド真実紀行へ掲示板へ