なべて世はこともなし
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2005年02月12日(土) 週末スペシャル:また出入り禁止場所が増えた...Sony Plaza

今週更新を怠ったお詫びに日ごろの3倍の分量の日記(いつもなら3回連載にするものを一気に連載)します。お茶でも片手にのんびりおつきあいくださいませ。






会社から、ほんのささやかなボーナスが出ました。


Liffey Valleyショッピングセンターの商品券300ユーロ(4万円)。


日本の「ボーナス」からは考えられないせこさですが、ま、ないよりマシです。で、使い道を考えた挙げ句に…


そうだ、ステレオを買おう。


MP3だか、iPodだか知りませんが、そんなもんが大流行している世の中にステレオっちゅうのもアホですが、でもいいのです。私は自分の部屋でくらいいい音で音楽を楽しみたい…そう思い、300ユーロの商品券を握りしめ、Liffey Valleyショッピングセンターの電気屋Dixonsへ行きました。


Liffey Valleyショッピングセンター内にあるDixons、売場面積が狭いこともあり、ステレオのコーナーは貧弱。しかも、どちらかと言うと(死語ですが)ラジカセといったほうがいいような安っぽいものしかない。私は純粋にいい音が聞きたいのに、これじゃあ何にもならない。しかも、なんでいまどきどの機種にも必ずダブルカセットがついてるのよ?


そーんなこんなで、「だめだこりゃ!」と帰ろうとすると、別の店が目についた。それは、Sony Plaza。その名の通り、Sonyばかりを扱っている直販店。値段はあまり安くないが、少なくともサービスはいい…らしい。そこに行くと、ふと目についたものがある。






これ。CDとラジオしかついていない単純な作り(テープがついていない珍しい機種だった気がした)。試聴したところ音もいい。値段が379ユーロ(51000円)と予定の範囲内。まあ、ちょいと店員に聞いてみるかと、値段が同じくらいで、5連奏CDプレーヤーがついて、カセットもついて、ちょっとごちゃごちゃしたものを指さし聞いてみた。


私:「これとこれ、どっちを勧める?」
店員: 「こっちのほうが、スピーカーが大きいね」



…出た。何も知らない店員。聞いた私がチンパンジーでした。私が聞きたかったのは、「こっちのほうにはXXという新しい機能を使っていて音がいい」とかそういうことなのよ。スピーカーの容量など値札の脇に書いてあるから言われんでも分かるわい!まあ、諦めず…


私:「他には?」
店員: 「うーん、こっちのほうが、デザインがすっきりしてるね」



…見れば分かります。確かに前面はこの上ないすっきりしたデザインで高級感がある。ともあれ、この程度の知識でいいなら、私も明日からここで仕事ができるな。これ以上の会話は無駄と思い…


私:「じゃ、これにするわ」


…と、このシンプルで音のいいステレオを買うことに。昔はアキバを一日足を棒にして歩いていいものを探したりとかしてたのに、今じゃ、こんな感じで比較も何もせずに衝動買いをしてしまいます。自分でも変わったなあと思います。


で、店員は倉庫から在庫を持ってきて、


店員:「毎度ー」


日本だったら箱に紐をかけたりして持ちやすくしてくれたりしますが、アイルランドではそういうことを期待しちゃいけない。閉店10分前で人気のなくなったショッピングセンターの中を箱を抱えて帰りました。






30分後。自宅。


箱をわくわくしながら開ける。簡単なセッティングでスピーカーなどを接続して、CDを入れる。


再生できないよ。あれ?


いろいろ試したが、ダメ。どうやら、自慢の前面のパネルはどうやら、初期不良で作動しないようです。


翌土曜日の朝、片道30分の道のりを厭わず箱を抱えて店に戻る。店員は、箱を抱えた渡しを見つけて露骨に嫌な顔をするが、駄目だよ。逃げられないよ。…と店員をひとり捕まえる。一通りの点検の後…


店員:「こりゃ初期不良だね。(他の店員に向かい)在庫があるから持ってきて」


と、新しい商品と交換。私は、まあ何も言わずに交換してくれたんだし、いいやと思って自宅へ戻る。…甘かった。5年もアイルランドに住んでいながらこの詰めの甘さ。


話は数日後に飛びます。数日後にお気に入りのLeonard CohenのThe Futureというアルバムを本体に入れた時に事件は発生。まず、本体にCDを入れたとたんに、異音が発生。さらにはミョーな電子音が聞こえてきます。そしてディスクを読みはじめるまでに通常の数倍の時間がかかり、1曲目の演奏が、あたかも傷だらけのディスクを入れたかのように飛ぶ飛ぶ飛ぶ。


ありゃ、ディスクに傷を入れたっけか…。


と、別のディスクを入れてみると正常に再生される。ふん、どうやらディスクの異常らしい…とその場は理解。


ところが翌日、別のディスクを入れたところやっぱり1曲目が音飛びする。


…また不良品か?


よくよくディスクを確認してみると、確かに全くキズがないとは言わないけど、再生に問題があるような傷とは到底思えない。実際に別のプレイヤーにいれてみるとちゃんと再生できる。


というわけで、翌日の木曜日、私は再びSony Plazaへ。


で、Sony Plazaい着いても私の存在は無視。他にだーれもお客がいないのに、私が箱をかかえて店に入ってきても無視。どうやら私は神経質なヘビークレーマーな客…という扱いになっているような気がする。…俺が何をしたというねん。こっちは全然悪くないのに。


で、店長とおぼしき人間を捕まえて状況を説明。Leonard CohenのThe Futureというアルバムも持参。で、実験開始。


ディスクを入れても異音はしない。CDもフツーに再生される。ただひたすらに、大音量で流されるLeonard CohenのThe Futureという暗い曲(ちなみに、個人的にはこの曲大好き)。その後、30分にわたりいろいろ試すが本体は全く正常なり。そう、症状が「たまに起こる」という最悪のパターン。私もだったら設置場所が悪いのか…などと考えはじめる。コンピューターの隣りだし、もしかしたら設置場所がわずかに傾いているのかもしれない。もしかすると、電源の供給に問題があるのかもしれない。そーんなことを思いながら、すごすごとその場は引き下がる。






自宅に戻ると


やっぱりおかしいじゃん。


私:「おーい、ひでかすー、お前のデジカメ音声付の画像が撮れたよな。ちょっと貸してくれ」


と、ひでかすのデジカメを使い一部始終を撮影し、それをCDに焼いて証拠物件として持参することにする。


本体を3たび箱に詰めて日曜日にSony Plazaへ。何でもいいけど、ここに来るための往復1時間の運転という労働と、ガソリン代はいったいどうなるんだ?セコい発想といわれればそれまでだけど、ことこういう自体になるとそういうせこい発想が頭をよぎる。


で、4度目になるSony Plaza。もう完全に店では有名人扱い…のような気がした。被害妄想だろうけど、私が店に入った瞬間に店の空気が変わった気すらした。で、そんなことを気にしても仕方ないので一番気の弱そうな店員を捕まえる。


店員: 「2度目の返品?」
私:「私のせいじゃない!で、前回ここで症状が出なかったから、CDに焼いてきたよ」



…店員がそのディスクを入れたのはポータブルDVDプレイヤー。…んなもんじゃ、再生できないでしょ。あんたんとこは、VAIOというコンピュータを作ってるでしょうが。…案の定


店員:「再生できない」
私:「だから、Mpegファイルだと言ってるでしょうが!」
店員:「んじゃ、信用するから。でも、2度目ということだし、一度、サービスに送ります。で、明日か明後日必ず連絡します」



…ってじゃあ、信用してないんじゃん。というツッコミは置いておいて、まあ、これは私にとっては妥当な決断だと思った。悲しいかなもと某大手家電量販店で数年バイトをしていた私。「返品詐欺」なんかの実例を見てるから、まあ、2度目の不良品ともなると、確かにメーカー送りにするという判断は妥当な気がする。というわけで、月曜日か火曜日に必ず連絡をするという確約を得てその日は引き下がる。


この話を自宅でひでかすにすると、


ひでかす:「お前バカじゃないの。そんなの店の都合じゃん。さっさと返品なり交換してもらえよ」


と怒られた。…言われてみりゃその通りだ。自分で言うのもなんだけど、ことこの件に関しては私は完全にお人好しだったな。






で、皆様ご賢察の通り火曜日までに連絡はありませんでした…アイルランドの常識に照らして考えれば当然ですね。でも、私はこれでキレた。商品はダメ、接客もダメダメならもう救いようがないじゃないか。というわけで、木曜日の昼休みに店に行って(5回目)前回私の接客をした店員のところに直行。ちなみに、他の店員はほとんど客もいないのに私が店に入るなり急に忙しくなった


私:「いったいどーなってんの?」
店員:「え、どーなってんのって、ちょっと待って、調べるから…ええと、ええと、えへっ、まだ、サービスから連絡がないね」



私は大声を出したりしても仕方ないので抑え目に、でも怒りを込めて


私:「あんた、遅くとも火曜日までに絶対に連絡するって約束したじゃん」
店員:「サービスだって忙しいんです。そこを理解してもらえないと困ります



逆ギレですか。


私:「サービスが忙しいのは分かった。でも、それは問題じゃあないんだよ。あんたが火曜日までに絶対連絡するって言ったんでしょうが」
店員:「だから、サービスが忙しく」
私:「あのね、そこを問題にしてるんじゃないって今問題にしてるのは、あんたが約束を守らなかったこと。商品は欠陥、店員は約束を守らないんじゃあ、いったいどこに救いがあるわけ?」
店員:「分かりました。今夜6時までに必ず連絡します」
私:「どうやって信用しろと言うわけ?」
店員: 「私を信用してもらうしかありません。私の名前において責任を持って連絡します」



…妥協して引き下がることにした。


で、午後6時まで待ちましたよ。連絡はありませんでしたが。こりゃ、次回はカウンターを叩いてケンカしなきゃ駄目かな…なんて思いつつも、もう待てないから退社。クルマののドアを開けようとした瞬間、ケータイが鳴る。時刻は午後6時10分。


店員:「連絡が遅くなってすいません」
私:「…今から行くから」



15分後。6回目の訪問となるSony Plaza。いい加減、書くのも疲れてきたな。


店員:「初期不良であることが判明しました」
私:「どこがどうおかしかったの」
店員:「ええと、あのー、そのー、詳しい情報はまだ入ってきてませんが」



お前、実はサービスから連絡がないけど、見切り発車で初期不良扱いで片づけようとしてるだろ。


店員:「つきましては、交換…ああ、でも2度目ですから、別の商品に交換しても…」
私:「ここ、Sony Plazaだよね」
店員:「そうですが…」
私:「もう、Sonyは買わないから…悪いけど返金して」
店員:「……………わかりました」



そりゃよほどの運が悪かっただけとは思いますが、でももうSonyは買わないことにします。店員の対応も結局合格点をつけられるような代物じゃあなかったし。


で、返金は、どうやら、ショッピングセンターの商品券を発行するのが面倒らしく、商品券分300ユーロも含めて全額、クレジットカードに返金してくれました。つまり、言い方を変えれば、商品券を満額まんまと現金化に成功したわけ。別に狙ってそうしたわけじゃなくて、結果そうなっただけですが。で、気がついたんですよ。この商品をネットで検索して。


この商品、イギリスでは200ポンド(36000円)で売っている。アイルランドの379ユーロ(51000円)よりはるかに安い。


まんまとお金の入ったクレジットカードを握って、今度の休み当たりに北アイルランドに行こうと画策してます。…でも北アイルランドくんだりで商品を買って不良品だったらどうする気なんだろうね…一体。



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