なべて世はこともなし
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2002年09月06日(金) ひでかす洪水のチェコを逝く(その4)

だらだらと続いておりますひでかす旅行記ももはやその4です。...この先どうなりますやら。

ひできすがゆく--プラハ途中まで一人旅(4)--



――プラハ、ここから二人旅。――


 キスシーンを期待していた方、紙面字数制限の関係上、残念ながらカットしました(Snigel謹告:うちはゲテモノ小説の発表の場ではありませんので当然です。)。再開した僕らは、Sが駅の売店で買ってきたというシャンペンで、夜のスッポットライトで美しく映し出されたプラハ城をバック橋の上でに乾杯をした。その時僕らの後方5mくらいの所から僕らは、いきなりライトで照らし出されて、目が慣れてくるとそれがテレビの中継だということが分かった。


15秒くらいの出来事にあっけに取られていると、ライトは消され、テレビ関係者達は一言も言わずに去っていった。ちなみにひできすはマスコミが嫌いです。街中でいきなりテレビに出てくれなんて言われた日には、思いっきり断ります。以前コメントを求められて数分間出演した時、テレビ関係者達は態度横柄、「映してやっているんだ」という態度で、終わるとテレホンカード一枚僕に渡し、「どうだ嬉しいか」という感じ。今回も、カメラに猛然と向かっていって、「やい、誰が映していいと言った?」と怒って然るべきところ。


しかし今回は雰囲気に酔いしれていたのと、中継が洪水関係と分かっていたので、悪質なものではない確信があったから放っておいた。きっと、“避難勧告が出されているプラハのカレル橋でシャンペンを飲む阿呆な観光客”とでも言われているのだろう。しかし一言もなしとは無礼な。ぶつぶつ…。この後はさっさと地下鉄に乗ってホテルに戻りました。


――二日目――


朝ニュースをつけると、プラハはまだ水位が上昇するという。ドイツではドレスデンなどがやばいらしい。ホテルは二泊とったし、1泊でこの美しいプラハを去るのはもったいない。とりあえず出かけようか。


Sが歩いて行ってみたいというので、地下鉄の駅とは逆方向に歩き出した。徒歩10分でもう昨日橋から見ていたプラハ城の反対側の入口に着いてしまった。公園を一回りして城壁の入口をくぐると、城の中庭へ。建物の内部の調度品等には興味が無かったので素通り。先へ進むと教会があり、Sが入りたそうだったけど、今日はDublinで同居人のPに会う予定なのでこれも通りすぎ、一気に反対側の出口へ向かう。


城を出るとそこはがけの上。プラハが一望できる。遠くに見える高層ビルを無視すれば、城下町はまさに中世の世界。しばらくこの美しい景色を堪能した後、坂を下って市街地へ入ってPに電話する。


「いやー、ひできす、久しぶりだねえ。いや実はね、プラハに行く列車が洪水で止まってしまって、会いに行けないんだよ。残念だねえ。」
そりゃ残念だ。ものすごく残念だぞ。Sも残念そうにしながら
「ところで私達は帰れるのかしら…」。
サーッと血の気が引いた。


 「ときにS,君はここに何泊したいんだい?」と聞いてみた。今回僕ら、本当に何も決めてこなかった。1泊って事は無いだろうから、とりあえず2泊ホテルをとっただけ。それも僕が勝手にとった。ただSはこの後ドイツで誕生日パーティーが控えている。20人ほど招待しているので、ばっくれるわけには行かない。


「明日帰るか?」
「そうね、それがいいわね。」
たった今、帰りの日取りが決まりました。


 街は昨日とはうってかわって人通りが少ない。カフェもレストランもほとんど閉まっていて、ボランティアの人達がせっせと土嚢を積み上げて洪水に備えている。「本当にこんなところまで水が来るんだろうか?」と思いながら見物する。腹が減ったので昨日目をつけておいた繁華街のMustekに向かう。ここはデパートなどが並び、地形も少し高めなのか洪水対策も必要無いらしい。店もほとんどが営業している。パスタを昼食にとった後、


「あの橋へ戻って反対側の街を見に行こう」
と言って、昨日の橋の入口へ向かう。


(ガーン)…通行止め。


あれ、Sはいずこに?ああ、いたいた。人垣にまみれて、川の様子をうかがっている。昨日は暗くてよく見えなかったが、対岸の大きなカジノの建物が2階まで埋もれていて(写真)、川の濁流には上流から流れてきたいろんな物が浮き沈みしている。対岸のカジノがかわいそうなくらいに浸水している(写真)。


 川沿いに駅に向かって歩くけど、Sは10歩歩いては立ち止まり濁流を眺める。ひできすにとって実は洪水というのはそんなに珍しいものではない。ひできすは高知県の生まれ。“土佐の高知のはりまや橋で―”のあの高知です。高知は台風銀座と呼ばれており、毎年のように近所の比島川があふれる。その為、うちの周りは道路の側溝が深い。洪水はしかし床下で終わる事が多く、台風が過ぎると少年だった僕はプールのようになった家の前の道の側溝に入って遊んでいたものだ(ばっちいなあ)。


 ともあれ、猫も飛ばされる台風銀座で生まれた僕には10歩進んで立ち止まるSの気が知れない。一度ホテルに戻り夜になったらのみに行こうということになった。ホテル着。二人ともニュースが見たい。CNN“本日の平均株価は…”「ふん、興味無いね」。ZDB(ドイツのNHK)ああやってる、やってる。…と、この時僕らの目には、とんでもない映像が飛び込んできたのだああ。

作者に起こった大事件、明日こそ書きます。気力がある限り。ははは。




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