なべて世はこともなし
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2002年03月07日(木) 敬謙なカソリックの国の喧喧な妊娠中絶事情

実に面倒くさいのですが書いておかねばならないネタがあります。はっきり言ってつまらないネタなのでお忙しい方は読み飛ばしてくださいませ。


実は昨日、3/6に国民投票が行われました。お題は「妊娠中絶」これがまた、涙が出るくらいややこしい話でして。一応知ってる限りで書きますが、間違っていたら掲示板かメールで優しく指摘してくださいませ。


まず、現在のところ、表向き「敬謙なカトリックの国」アイルランドでは、妊娠の中絶は御法度。どうしてもしたい人はイギリスへどうぞということなのだが、ここでややこしいことに、X-caseという例外があったりするのだ。


その例外とは1992年に最高裁が、「強姦をされ妊娠をした14歳の少女が中絶が認められないと聞き自殺をほのめかしたので、中絶を認めた」というもの。


で、いつも地元のパブで飲んでいるアハーン首相は何を血迷ったか(というか彼の政治スタンスに沿っただけなんだけど)このX-caseのような自体でも妊娠の中絶を違法とし、ついでに、妊娠中絶した女性や医師に厳罰を処そうという法案を提出。国民投票に。


で、3週間くらい前から、町じゅうに賛成派反対派それぞれのプラカードが立ち並び(日本と同じ)


Baby will die.
Protect woman and baby



なんてことを訴えていた。


で、マスコミは「可決されるか否決されるかわからない」という論評だったが、いざ蓋を開けてみると、賛成49.6%反対50.4%というまさに僅差で否決。ちなみに票数差は約1万票。世論が完全に割れていたことがはっきり分かった。


で、県別の賛成・反対の結果を新聞で見たのだが、ダブリンやコーク・リムリック・ウォーターフォードといった(比較的)都市部では反対が優勢、それ以外の否かでは完全に賛成が優勢でして。つまり、日本でよく「自民党はイナカの政党だ」なんて言われますが、その構図がアイルランドでもはっきりと見て取れたわけです。


私の個人的意見を一言だけ書かせてもらうと、妊娠中絶、いいことだとは決して思わないけど、やはりX-caseのように必要な場合もあると思うんだよね。こういうやり方は中絶を闇で行うように推奨しているだけのような気がする。とりあえず、否決されてよかったのでは、と思っております。


それからもう一つ、この国民投票の投票率はおよそ50%、つまり半分の有権者は投票を拒否してます。私が軽くリサーチした限りでは、私の周りの若いアイルランド人はおおむね投票に行ってません。「地方から来ているのでそっちで投票しなければならない。投票のためにわざわざイナカには帰れない」とかいう理由が多かった。私の推察ですが、投票に行かなかった「無関心派」まで考えると、多分この法案には反対する人の方が多いのではないかと思います。

参考資料(日本語のニュース)
毎日新聞
朝日新聞





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