*黎明ノォト*

2002年09月23日(月) 死体


 今日は死体を見つけました。

 「死体」……そう思った。
 ありきたりだけれど。

 それは、以前はきちんと明りを灯し、音を鳴らし、時刻を知らせ、言葉を送り、音を伝える為に機能していた。
 ―――そう、携帯電話だ。

 家に帰ると、昨夜からやりかけていた雑誌のスクラップや、書きかけのお話の為に開いた辞書や、今日持ち返ったいろいろなもので机の上は飽和状態でした。そこでスクラップを片付け、辞書を閉じて積み、持ち返ったもの(ポストカードや紙類)を整理して、そしてついでに机の下に入っているいくつかの道具箱を掘り返したのだ。
 道具箱、とは言っても道具が入っている訳ではなくて、扱い方が小学生の「お道具箱」に近いのでそう呼んでいるだけの、ただのダンボール箱や大きめの缶だ。かつては靴が入っていたりクッキーが入っていたりした。
 その中には、今は昔の手紙や創作ノートが入っている。

 その中に、携帯電話を購入した時の箱があった。
 何が入っているかは知っていた。以前使っていた携帯電話がひとつ。そう思って、箱を開けた。
 ……すると。
 そこには携帯電話が二つ入っていた。
 以前使っていた白いものがひとつ。これが予想していたもの。背を向けて横たわっていた。
 もうひとつは、現在使っているものと同じ機種で、紺色のもの。水に浸してしまい電源が入らなくなった為に買い換えたのでここに入れたのだった。忘れていた。

 まずは紺色のものを手に取る。当たり前だが、電源は入らない。
 そこで、白色のものを手に取って、画面を見ようとひっくり返して……驚いた。

 そこには、「死斑」があった。

 なんて書いてしまうと馬鹿馬鹿しいだけなのだけが、白い液晶画面にじわりと濃紺の染みが滲み出ていた。その所為かぎょっとしたし、これは死体なのだと思ったのだ。
 働いている携帯電話にはない軽さがあって(重いストラップがついていない所為だが)しんみりした気分になった。

 あまりに寂しかったので、すぐにゴミとして捨てようと思ったが、携帯ショップに持って行って処分してもらおうと思いなおして、置いたままにしている。


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那音 [MAIL]

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