*黎明ノォト*

2001年11月10日(土) おもいで。

 誰にだって、何の脈略もなくふと思い出す出来事というのがあると思うのだけれど。

 ふと今日思い出したことがある。

 どうしてだったっけ……ああ、電車の中で、誰かの読んでいるスポーツ新聞が目に入ったんだった。競馬の記事だった。

 競馬……私は、負けるのが嫌いなので、賭け事はしない。

 だから、競馬もただ人が馬に乗って馬を走らせてその早さを競っていて、それに乗じて金が動いているものだ、という認識しかなかった。

 けれど、その人は言ったのだ。
 テレビの競馬中継をぼんやり眺めながら。

「…馬って本当にきれいに走るなぁ、」

 驚いた。

 そうか、馬が走ってるんだ。

 人が馬を走らせているだけじゃなくて、馬が走ってるんだ。


 ……そう言われて見れば、確かに綺麗だった。

 言葉がしみじみと沁みて、切なかった。
 身体を病んでいる人の言葉だったからかも知れないけれど。

 そのうちそういう気持ちで競馬中継を見る時が来るのだろうか、なんてありがちなことを考えてしまう。

 そういう想い出。


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那音 [MAIL]

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