20年も昔の話、
宮城のおじいちゃんとおばあちゃんの家には、イチゴ畑があった。 小さな畑だった。出荷はしない、みんなで食べるだけの為の畑、
冬が明けると、おじいちゃんとおばあちゃんと、いとこのみんなと、 親戚みんなで集まってイチゴ狩りをする。 子供達は、ついでに畑のまわりのヨモギを摘む、 その間に大人たちは、キネとウスで餅をつく準備をする、 親戚みんなで、草餅を作り、イチゴと一緒に食べる。
あまったイチゴで、おばあちゃんがジャムを作る、 イチゴの季節が終わるまで、大鍋で何日も何日もジャムを作る、 遊びに来ると、中門をくぐったあたりからジャムの匂いがしはじめる、 そのジャムの、イチゴの煮える匂いがすごく好きだった。 おばあちゃんの作るイチゴジャムを、 バターたっぷりのトーストに塗って食べるのが好きだった。
おばあちゃんが死んだ年、イチゴ畑は駐車場になった。 広い田んぼを管理するには人手が足りず、 イチゴ畑にまで手が回らなくなったからだ。 もう、おじいちゃんの家からは、あの匂いはしない。 ウスとキネも壊れてしまった。 餅をつくのも機械に頼るようになった。
年に一度、我が家は必ずイチゴ狩りに行く、 今年、私は行けなかったけど、母と妹が今日行って来た。 そのイチゴで今、お母さんがジャムを作っている、 おばあちゃんのジャムと同じ匂いと同じ味がする。
私もそろそろジャムの作り方を教わろうかと思う。
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