上司に呼ばれた。
会社では話にくいことらしく 外で話をする。
くだらない事で申し訳ない、という前段を聞いたとき なんとなく 嫌な予感がしていたんだ。
そして ずっとココロのどこかで いつか言われるかもしれないと 思っていたような気もするけれど。
同僚からの通告により、 その話は発覚したそうだ。 その事のショックも大きい。
話を聞いているとき 思わず自分の脈を触ってしまう。
あまりにもドキドキして 心臓が飛び出そうな・・・という形容詞が そのまま当てはまる瞬間。
私と彼が付き合っているという うわさがあると。
事実では、もちろんない。 いままで一度だって外で会った事などないし。
望んでいた事だったけれど。
私が彼を思っていることは 誰にも言っていないのに。
うわさを言っているのは ひとりなのか、広まっているのか そこまでは分からなかった。 ただ、上司にまで届いている話なら 若い子達はみんなしっているのかもしれない。
上司に聞いた。 私はどうしたらいいのか、と。
どうもしなくていいと。 いままでどおりで、まったく構わないと。
ただ、その同僚には 気をつけろということだった。
そういう言い方しかできなかったのかもしれない。
それもそうだけれど 昼休みの休憩場所も問題であったらしい。
そこで ふたりで話をしているのを見た人が 色々言っているようだった。
詳しくは語られない、話の断片を探ると そういう事か、と。
私にそこで休憩するな、とは言わなかった。 でも、好ましくはないというようなことを言われた。
本当にくだらないと、思う。 そんな中傷に屈することはないとも思う。
人がどう思うと 私は私なのだから。
それでも、よくよく考えてみれば 今月は一度も休憩に来ていない、彼。 見てみると、特別忙しそうでもない日もある。
前のように私の席に来る事もない。
そうだったんだ。
きっと 彼はそのころ誰かに言われていたんだ、 と思った。
あくまで予想だけれど。
もう確かめることは恐らくできないと思う。
ただ、彼のことを思い 私はそこで休み時間を過ごすことは やめることに決めた。
自分だけのことではないから。
私がもう行かなければ 彼は行く事ができるようになるのかもしれない。
今日も行っていなかったようだけど。
帰りに偶然、ばったり会う。 彼と彼の後輩といた場所で。
お疲れ様です、 という私に 頭を下げて、お疲れさまですという彼をみて なんだ、気にしていないのかと ふざけれるし、とか思って そのあとちょっと話かけてしまったけれど 顔を上げた彼の表情は もう 私の知っている人ではないような そんな寂しい気持ちがした。
大好きだったのにな。 ちょっと話すことが、とても楽しかったのに。
さようなら。
もう、私も変わってしまうし 彼も変わってしまう。
だから さようならです。
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