昼食に誰かを待つ日は

2019年11月07日(木)

木曜日。1日校正作業に没頭。途中で面倒くさい案件が入り、すべて他力本願の当事者に怒りが湧き、無意識に心の声が外側に漏れていた。面倒くさいひと、ああ、などとつぶやきながらメールを打つ。隣に座るMさんからすればいい迷惑だっただろう。

8月から取材を開始し、まったく形になっていなかったものが今形になってきたのでホッとしつつ、果たしてこれで良いのだろうかと校了日が近くたびに不安になる。私の今の安らぎは今回デザインを担当してくれているAさんという女性。昨日も煮詰まって電話をすると、穏やかに真っ当な意見をくれた。話をしているときに気がついたのだが、電話越しに鳥の声が聞こえる。てっきり窓の外に鳥でもいるのだろうかと思ってたずねると、「youtubeで鳥の音を流しながら作業をしているんです」ということだった。おもわず笑ってしまったが、たしかにAさんは小鳥のような女性であるのでまったく違和感はない。むしろそのままのイメージをイメージのまま生きている人だった。Aさんは雰囲気も佇まいも穏やかで品があり、けれどユーモアさも兼ね備えている。この女性のおかげでどれだけ助けられたことか。当初依頼していた男性のデザイナーにはボロクソに言われた上、もう一緒に仕事をしたくないときっぱり言い切られてしまった。あのときはどうしようかとだいぶ落ち込んだが、今思えば彼とやっていても良いものができなかっただろう。こちらからお断りである。その後何通か粘っこい文面のメールが届いたが、すべてを無視している。粘着質で執念深い人間は男女問わずさっさと縁を切るべきだ。

今日は長いこと残業かと思われたが、私は7時を過ぎると脳が働かなくなるので、とっとと家に帰った。明日にすべての赤入れを終えるための準備。だらだらと長い時間をかけて仕事をするのは向いていない。去年は二日くらいは事務所にこもり徹夜をしていたが、今思えば愚かなことをしていたなと思う。


校了前は不安しかない。これをあと何度経験するんだろうか。
先ほど洋梨を剥いて食べた。洋梨って、奇妙な食感がして面白い。何より皮をむいているときの感触がたまらなく好き。これはどの果物より特別な気持ち良さがある。


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左岸 [MAIL]