昼食に誰かを待つ日は

2019年06月27日(木)

部屋の電球が切れた。
電源を入れた途端に「パチッ」という音とともに小さな火花が散り、電気が全くつかなくなる。仕方がないので天井からぶら下がった正規の電気、部屋全体が明るくなるもの、をつけているが明るすぎて落ち着かない。台所の換気扇部分についた小さな電球もこの間切れてしまったのだった。しかもこの電球を取り替えるためにはまずネジを外してカバーを開かなければならず、しかしこの部屋にはドライバーがないためそもそも開くことができない。いつかは取り替えなければならないのだが、切れた電球のままやり過ごし、いずれこの部屋から去る気がする。でも台所のこの電気、一番必要なんだよな。

明るい部屋が落ち着かず、仕事が終わって部屋に帰ってからは、しばらく電気をつけなかった。外はほのかに青く、向かいの建物に設置されている電球も思いのほか明るい。だからベランダのほうに体を向けて、本当に暗くなるまでじっとしていた。

そして本当に暗くなる。

立ち上がり、明るすぎる電球のもとで明日の弁当を仕込む。買ったばかりのプチトマトを誤って全て床にこぼした。この瞬間、何かが、それこそスイッチのようなものがプツンと途切れ、全ての溢れたトマトを踏み潰したい衝動に駆られる。理性で抑え、トマトを拾い、洗って、惨めな気持ちを抱えながらそれを弁当に詰めた。

自暴自棄になろうと思えばいつでもなれる。だからそれをしないようにとりあえず動く。またコインランドリーに行った。いつもは200円の安い洗濯機を利用するところを、今日は特別に400円を投入してちょっとだけ良い洗濯機に衣服やシーツを詰め込み、ぐるぐると洗濯物が回る様子を眺めていたらだんだん気持ちが落ち着いた。自分が暴れる代わりに洗濯物をバシャバシャさせて気持ちを落ち着かせる、という一つの手段。
足元に蜘蛛がいた。洗い終わってから乾燥機に全てを入れて、再び30分待機。落ち着いてきたので本を読む。

雨が降っていたが傘がなく、濡れながら歩き帰宅。
家に帰って、過去の日記を読み返していた。読みながら、随分と激しい2018年を送っていたのだなと改めて気がついた。毎日怒り、毎日泣き、喧嘩をしている。
こんなにも落ち着いてしまって良いのだろうか。あの熱はどこに行ってしまったんだろう。
熱があってもなくても、それは不意に出てしまうもので今考えたところで仕方がないけれど。
今は比較的穏やかな波の上にいる。他人に乱されることがないから楽だ。そういう場所や人から離れたかった。

明日も雨だろうか。


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左岸 [MAIL]