オーロラは見た
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2013年09月20日(金) 風立ちぬ

昨日観てきて、思っていたよりもかなり思うところがあったから感想としてちょっと書きます。
ここ数年のジブリ作品のぼんやりとしたシリアスな雰囲気とか、動きがファンタジーなのに(声の)演技がリアルな表現()だかなんだかでわざと巧くない人を使うちぐはぐな感じが嫌だったので、今回もそうだろうなと思っていたら、1日のうちまったく接点のない2人の知人友人にすすめられたから・・・じゃあ観るか、と思い立ってその次の日(つまり昨日)のレイトショーのチケットを突発的に買ったのだった。
うん、前置きはこのへんにして・・・



<ネタバレ>

才能と技量に満ちたクリエイターがやりたくて仕方なかったことを本気でやるとこうなる。冒頭5分か10分での白昼夢のシーンですでに「あ、これはいいな、やられました」と気持ちは決まっていた。
キーとなる台詞、人物の重要なやり取りがとても分かりやすく頭の中に入って来ていちいち感動しちゃって何度も涙ぐんだり泣いたりしました。
「夢は便利だ、なんでもできる」――見てて泣きそうになるくらい楽しそうな夢の住人と戯れたかと思ったら、すぐさま日本は貧乏で飛行機の開発がはかどらないとか、墜落して兵士が死にましたとか、空に飛び立つことを邪魔する自分ひとりではどうしようもできない現実がいっぱいのしかかってきて、それでも次郎と本城さんは夢と希望を失わず設計図を書き続ける。
夢だけを追わず、現実にもつぶされないバランスをふたりとも最初から持ち合わせていて、普通の人間が挫折するところをあふれんばかりの夢や希望と才能で真っすぐ歩み続ける。
見ていてすごくうらやましかったし勇気づけられたけど、これって"選ばれた人間達の物語"なんじゃないのかなぁ・・・と、凡人は妬まずにいられなくて、下手なファンタジーよりも幻想感あふれるものをどこか遠いところから見ている気分でした。構成もドキュメント風味というか、淡々と時間の流れを追いながらときおり白昼夢が入り混じるのがなおさら俯瞰的な見方を後押ししている気がする。
今作が"大人向け"と言われるゆえんはそのへんかもしれないですね。

あといろいろあったから時間あるときに書こう…


なつぼう