舌の色はピンク
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2015年03月16日(月) ついでに縁も切ってしまえ

今日は天気予報で午後雨降ることを確認してから
傘を置き去りに家を出た。
今後も幾度となく繰り返すであろうパターン。その踏襲。
どうせ持って出たところで
どこかで失くすのだろうから
電車に忘れるのだろうから
家に置き去ってむしろ得をした。ラッキーってやつさ。

/

祝い品や送別品としてのプレゼントに
包丁を贈るというアイデアがひらめき、
これは自賛したい。
実用的かつ永く手元に置けて、
好みのデザインも選べるし、
価格帯にも幅があり、
何よりプレゼントの鬼門である
「すでに持ってる」もクリアできる。
何本持っててもいいものだから。

開けた瞬間に一瞬笑っちゃうってのもよろしい。
いずれその包丁が誰かを刺すにしても
そんな悲しい未来には知らん顔決め込んで今を笑ってみせろ。
今を生きろ。世迷言ってやつさ。


2015年03月15日(日) いまのなーし!

やり直したいことって、ある。
それがやり直せるとして。
フィクションでの時間遡行ネタで語られるところの。
あれで稀にある、
「やり直したところでどうにもしえない」
がキツすぎる。
大抵の絶望に勝る。

セーブポイントを間違えたみたいな。
将棋で待ったかけても
一手戻ったところで詰みきってる、あの絶望。
深い絶望はいつも彼岸に希望を備えてる。

/

『並木道』鑑賞。
おもろかた。
普く少年の代弁者、きれるわめくちらかしまくる。
情熱や機運や決断や成長や失意や不条理や
そんなん大人語だって。
少年は無為に動き回って散らかすだけ。
彼がその道程で何を得るかなんて大人に関係ない。関係しようがない。
ラストシーンはともすれば
「なんなのこのアホ親子」
で一笑に付せてしまえそうなのに、ちょっと泣きそうになった。
とってつけたような救済。
爾後の物語は、やはりこちらに関係がない。

でも少年とも言い切れないか。青少年…16歳とか?
主人公の呼び名がジョジョだった。


2015年03月14日(土) 人と人と人と人と

他人が抱えてる人間関係のトラブルって、いいですよね。

不和がじゃなく。
関与して解決解消、改善に向かう経過が楽しい。
ゲームってそういうもの。
何か問題ごとを与えられて、
自分の力でその組成を解体するのが目的となる。
シンプルなはなし野球を例にとればわかりやすい。
バッターに打たれたくないならピッチャーはボール持って
全速力で球場を走り去って逃亡するべきなのだ。
それをわざわざバッターに放るんだから。馬鹿か。
いや違う、ゲームってそういうものなのだ。
困難を配置して向き合い対処する。
ほどほどに厄介な困難が望ましい。
場に応じた制約…ルールをいかに出し抜くか知恵を絞る。
人間関係のトラブルにはゲームの要素がある。
だから、舞台のキャラクターでなく外側から、
プレイヤーとして参加させてもらうのが理想。
厄介事には首をつっこみたい。

これをマッチポンプだとか呼ぶのもお門違いで、
外科医が患者の腹を裂いたのち縫う一連を誰が自作自演というのか。
かといって上首尾に結末しても感謝されるいわれはない。
目的はゲームクリアーにあるだけだから人の役にたつのはついでだ。
誰もRPGでゲーム内世界の平和を目的にプレイはしない。

/

めちゃくちゃなことを言ってる気もする。
だいたいが僕にそんな厄介事は今日日なかなか持ち込まれない。
持ち込まれたところで厄介事は厄介で、
実際誠心誠意付き合ってやるほど時間が余ってるわけでもない。

4月になったら人間関係を縮小する腹積もり。
今月中に関われるだけのゲーム楽しめたらいいな。


2015年03月13日(金) 13日の金曜日ごっこ

小学校4年生のころ
イエスキリストの磔刑について知りおよび、
今となっては子供だましの俗説も仕入れ、
13日の金曜日ごっこという遊びを開発した。

任意の人間を選んで壁際に押さえつけ、
手には釘!
と叫ぶや掌を突っつき、
イバラの冠!
と叫ぶや頭髪を掻きむしり、
そして…アダダダダダダ!
と叫んで全身を殴打する、
最高に楽しい遊びだった。
被害しかないイエスキリスト役も人気だったから
だいぶ平和的だったといえる。

僕と並んでその戯れに夢中だった林くんとは
時を問わずクラスメイトに率先して励んでいたものだったけれど
実際に暦の上で13日の金曜日を迎えようならば
発狂するほど身も心も跳ね回ってた。
「これはもはやごっこじゃないよ!」
そんな文言すら飛び交っていた。

しかし僕は転校してしまう。
林くんとは「絶対次の13日の金曜日には、やろう」と熱い約束を交わした。
果たして新天地での生活は無事始まったけれど、
新しい学校新しい友達新しい恋愛に触れ合っている間も
僕はずっと林くんとの約束が心残りで、
いよいよ13日の金曜日が訪れるにいたり、
僕は電車を乗り継いで林くんの家に遊びに行った。

なにより留守が怖かった。
がインターホンには林くん自身が応じてくれたので、舞い上がり、
「や、約束果たしにきたよっ!」
と決めゼリフを吐いた。
「え、約束?」
「うん。ほら、今日……」
「今日? …うん、あぁ…。…え?」
「…………いや、ほら、今日13日で…」
「うん」
「金曜日でしょ…」
「あー。あぁ、ん? えーと……。あ、え?」

僕は逃げ出した。
到底子供に耐えられる脚本じゃなかった。
懐かしい公園も、通っていた学校も、
かつての住まいも振り切ってただ逃げた。

/

抜粋してみるとありふれた話。
よくよく思い返せば林くんとは特別仲良かったわけじゃなく
その戯れだけで結ばれていたような縁だったこともあって、
学校でのテンションを家にまで来て持ち込むなよ、
みたいな不安はもともとあった。
当のごっこ遊び自体も僕が開発したものだけに
一人で盛り上がっちゃってた痛々しさもある。
約束とやらだって、林くんと対等にじゃなく
僕が一方的に取りつけたものだったかもしれない。
なにより林くんはすでに別の、僕の知らない遊びを
日々に取り入れて楽しんでいたのだろう。
わかっていても辛かった。今も辛い。
僕にとって13日の金曜日はまぎれもなく忌み日。


2015年03月12日(木) 善のありか

同僚(男)が僕の出てくる夢を見たらしい。
夢のなかの僕は、実は女だった…という設定で、
これまで男として接してきちゃった身からすれば
複雑な思いにとらわれたらしい。
で、その僕(女)は同僚(男)に恋愛感情抱いており、
なんでも旅行先で迫られたとかで、
勢いで、至ってしまったらしい。
夢のなかの僕は相当乱れていたらしい。
和室だったらしい。


涙が出るほど笑った。
気味悪さとか妙ちくりんな邪推だとかは
笑いの前ではひとえに無力で、ただ笑った。
強いていえば話を聞く前よりも
少々目を合わせづらくなった事情は受け止める他ないが、
瑣末なことです。ひと笑いの前には。

/

『閉じられた裸体』鑑賞。
ねらって80点を取りにいったような出来で、
まさしく80点で、それすなわち満点と言えてしまう。
そつない…。ちっとも減点できない。
名作だとか心に残る一本だとかを目指す気負いが全くなくて、
かといって流動食的な摩擦不足の感もなく、
よく噛んで味わえ、きちんと余韻に浸れる。
役者の顔と音楽とてもよかった。
あとキャラクターがよかった。
クライマックスになって一ところに集結する感じ、
おフランス映画らしくないけど発熱を得た。


2015年03月11日(水) マスクを痛がるきみへ

マスクとメガネの重ねがけで耳が痛い。
耳が二つあればいいのに。
ばかね、耳は二つあるじゃない。
そうじゃない。
マスクやメガネを掛ける用の他人の耳が
自分の耳についてたらいいのにと願うのだ。

ピアスを改造した小道具で装着する寸法。
耳から耳が生えているみたいに。あたかも四つの耳。
模造品はいけない。貧乏くさい。
やはり生の耳が高級感ある。
これが世界中で大ヒット。
商品が追いつかないほど売れまくる。
当然耳なし人間も多くなる。
悲しいけどしかたない。
アスリートなんかはいいかもしれない。
空気抵抗も解消するし。

新たなおしゃれとしても大人気。
右は白人の耳、左は黒人の耳にするなどやりたい放題。
とはいえ反対派の主張も声高、
それはもはやマスクの痛みを回避する名目を失って
人間の体をもてあそんでいるだけだなどと
もっともらしいことを言う。
若者は「聞く耳持たん」というアピールの為に
馬の耳をつけたりしだす。
そこまでいったらもう下火。
街頭にはポイ捨てされた耳があふれかえり、
一過性のブームに過ぎませんでしたねと評論家が冷笑顔で締める。

/

あるいは自前の耳を蝋で固めてもいいかもしれない。
かなり無敵。痛みなんてなんのその。
入浴時にドロッドロに溶け出すけど。

/

……。

いいかげんそろそろ誤解されそうな
猟奇的観想をつつしまないと。
もういたるところで何度も言ってる、
「冤罪かなにかで過去の記述を引っ張り出されて
"あぁやっぱりこういう人は"と思われる」のが怖すぎる。
芸風としてもワンパだしなぁ脱却せんと。
すっかり慣れきってしまっていて、安易だ。


2015年03月10日(火) あらがいのすべ

駅前のラーメン屋に行きましたがねー
店主がバイトをいびってる現場だった。
孤独のグルメではゴロー立ち上がってたけど
あんなの無理だし
現実的に穏便な手口で抗議し得ないものだろうか。
店の中ではどうあってもその場しのぎの対応されて
客が去ったあとにその件口実にまたいびり倒すだろうから…
店主が店を出たあとを尾けてって…
投函…投函か…?
自宅のポストに抗議文を投函…それはいいかもしれない…
いや手紙では力に欠ける…ラーメン…ラーメンを入れてはどうか…
何を言ってるんだ…入れてはどうかじゃない…
難解さはいらない…もっと直接的に考えろ…
バイト…あのバイトがポストに入ってたら…ビックリする…
待てビックリさせるのが目的じゃない…考えろ…わかりやすくだ…
手紙…手紙か…?
まわりくどいか…待て…直接店で言ってみては…
それだ…武力…武力行使だ…力に勝る力はないのだから……

/

同僚が昨日建物の陰で大きな蛙と遭遇したらしく
横に煙草の箱置いた写真見せてもらった。
まじででかかった。
絶対近寄りたくない。箱を横にも置けない。
だけど生きてなければ大丈夫だと思った。
やっぱり生きてるものは危ないですからね。
人間誰だって、死体となら仲良くなれるものです。


2015年03月09日(月) 蓋をめぐる冒険

僕が漫画など読むためにしつらえた小部屋にはお飾りの机があって、
お飾りらしく机としては全く機能していない。
なもんだから同じく機能していない雑貨のたぐいが散らばったりしてる。

それらは僕の知覚から離れて自立している。
ふと全く覚えのないブリキ缶の蓋付き灰皿をみとめ、
手に取ってみたらやけに重い。
何かがぎっしり詰まっている…。

何かが。

あんまり考えたくない。
考えたくないが自明的に、なまものの重みを感じる。
いやそんなわきゃあない。
どうして僕が自ら、灰皿に詰めるというのだ、その、
あまり考えたくない何かを。
サイコ野郎か。
それも無意識にって。
いずれ下世話なコンビニ本の題材になったりするのか。


なけなしの勇気振り絞って開けてみると
中身は用済みの電池たちでした。
あーホッとした。
安堵のあまり泣きそうに。
電池と知った瞬間にも小さくヒッ!って言ったもんな。

/

どうあれ閉ざされた蓋が怖いのだ。
という私論があるのです。
蓋がされていればすなわち恐怖もやってくる。
実家にいたころ
ただいまと帰宅して誰も家にいなかった日には
浴槽の風呂ふた開けるたび
 アー絶対家族のバラバラ死体入ってるわ…
と震えてた。必ず。

実際の中身がなんであれ、
知覚をあしらって未知が浮上するなら、
想像力は限りなく湧きたつ。
じゃあ蓋の裏側には何がある?
恐怖の本質だと思う。


2015年03月08日(日) 脅威的教育的指導

恋人との交際記念日につき丸の内でお買い物。
寒さを見越し野球拳で15回負けても
なお裸にならずに済む装備にて右往左往した。
丸ビル新丸ビル大丸と通し歩き洗剤と台ふきんを購入。
テンション上がった。
主婦としては欠かせないよねっ!

ディナーは豪勢に、以前いちど行って大感動した荻窪のイタリアンへ。
今回もやばかった。

…ジブン、かねてより全身が敏感でして
我が身の事情は把握しているつもりでしたが、
まさか身体の内部にも性感帯があったとは
っっってくらい快感がやばかった。
メインの佐賀牛イチボ肉で達した。

/

あまりに美味しい料理を食べると
自炊の気力が失くなる
と見せかけてあまりに次元が違ったからもはや気にならない。
至上の美味は精神を駆逐して肉体だけを支配してくれる。
身一つがよすがなんだと力技で押さえつけてもくれる。
教育して導いてくれる。
あたまでっかちの無力感を煽ってくれる。
よろしい、ならばもっとあたまでっかちになって立ち向かってみせよう
と意気込むにはまだ到底至らず今はただ圧倒されきり陶酔に浸る。


2015年03月07日(土) 夢をみてもひとり

気がつくと原っぱにいました。
もうサバイバルには慣れっこだったので
初めて来た場所では役に立ちそうな道具や
道具になりそうな自然物を見つけるぞと収集に努めました。
仲間らしき数人がしきりにひとところで
やんややんや賑わってるのを尻目に
私は雑木林の奥へと広がる草原にひとり抜け出してみました。

鳩がいました。
まっとうな生き物を目にするのは珍しく、
どうにか獲れないものかと小石など投げてみるのですが、当たりません。
すると視界の端に一介の影が過ぎりました。
梟でした。
まだ幼いのか、私の手のひらに収まりそうなほどに小さく、
愛嬌たっぷりの、可愛らしいなりをしています。
私の心はすっかり射止められてしまいました。
よくみれば猛禽類の生態はさておき、草を食んでいるではありませんか。
私は足元の草をもぎり、小梟にそっと寄せてみました。
食べてくれました。

これは鳩どころではない。
獲物なんかより愛玩だ。
これだけ可愛い梟を愛育できたなら
仲間たちもずっと喜ぶぞ。
生き抜くために必要なのは食糧だけじゃないんだ。
すわ、義に則り、私は彼が好んでいるらしい草、
厚みと潤いに富んで葉脈だけが緑の上に馴染みきらない、
オオバコに女性味を足したようなその草を見つけては、
もぎり、与え、離れ、寄せて、
すこしずつ、すこしずつもと居た原っぱに彼を誘導しました。

彼の食欲はすばらしく、いくら食べても飽き足らない風情で、
餌を平らげるごとどんどん大きくなっていきます。
いつのまにか人間で言うところの4歳児ほどにまで体躯は育ち、
また人間で言うところの下半身らしきものまで備え、
心なしか顔貌までが人間に似てきた気がします。
もうちっとも可愛くありません。
私は怖くなってきました。
今にもついばまれてしまいそうな気がして、駆け出しました。

「やっぱり飼おうとなんてするんじゃなかった。
だいたいが、聞いたことあるぞ、梟はいくら餌をもらっても
飼い主なんかとは認識しなくって、絆を深めるのは至難だって。
人間……。人間の、仲間がいちばんだ。
そうだ人間だ! 人間。人間人間人間……」
ひとりごちていると、梟がおどろおどろしい声でささやきます。
「人間がそんなにいいものか。
おれだって、人間になりたくてなっているんじゃない」

振り返ってみれば視界は真っ黒い雨に塗りつぶされて、
もう何も見えません。
発声もままならず、耳に届くはべちゃべちゃいう足音だけでした。
両手で頭を覆い、二度か三度、深呼吸した覚えがあります。


れどれ |MAIL