舌の色はピンク
DiaryINDEX|past|will
しばらく前に風邪はもうひかないと決めた。
決めたので、もうひくことはない。風邪は。二度と。 なぜなら決めてしまったことなので。 引きたくても引けないなぜならすでに決まったことだから。
そうして先週は喉が痛かった。 喉の痛みが去った昨日は頭痛がひどかった。 頭痛の治った今日は鼻水すすってる。
こうなると明日は発熱だけするのだろう。 僕がもう風邪を引かないものだから、 それらしい諸症状を小分けに発症させてきてるわけだ。 浅知恵も甚だしい。魂胆見え見え。 悪寒、嘔吐感、くしゃみ、咳、関節痛、 揃いも揃って行列なしてるんだろ。 僕の体調という狭き門に立ち並んで、各々プラカード持って。 列の最後尾が死亡なんだろ。見えてる見えてる。 やれやれなので今夜限りで閉門しておく。 これで安心。 図らずも今日限りで死亡しないことまでが決まってしまった。
/
寒い。寒いです。 11月の寒さじゃない。 月の寒さ。 天体的極寒。息の仕方もわからない。
| 2014年11月15日(土) |
どくぼうがお好きでしょ |
うべなるかな、男子なれば誰しも一度は独房生活を夢見よう。 あるいは女子とても一致の憧れやもしれぬ。しかして当方たるは人間の端くれ、両の性は経ておらぬ。壮語戒め畢竟男子の夢について語るものである。
ところでこの時代この国家においては社会構造の基盤これすなわち資本主義である。乱暴にいって、需要と供給の仕組みを歯車に機能する運転装置である。 あるところに需要のやつが立っている。するとやにわに四方八方から供給どもが電光石火、大挙押し寄せ組んず解れつ揉みくちゃにする。息も絶えだえ瀕するまでは掴んで離さぬ有様である。これぞ諸君ら多勢が愛してやまぬ厚顔ふてぶてしき了解にして、かつは少数の諸君が覆すに能わず定着しきりせしめた不文律である。普く諸活動の前提である。条件である。全人圧倒の摂理である。 さればだ諸君! 独房生活への希求についてはすでに述べた。未だめくらまされるはその応答である。 あぁ、応答せよ! 楽器楽譜楽人が揃っていてだ。ただそれだけで兆されてあろう、奏でられるが定めとは。その音楽は呼吸に等しく無為自然の現象と呼ぶに当方いささかの躊躇いももたぬ。応答せよ! りんごは地に落ちて己が規範を世に示すのだ。
……独房生活への希求、否、訴求をだ……この社会は回収せねばならぬ…… 無論個人が軽率には実現しうる。例のいたる所業から縒って手繰って、然るべき裁きを拝受して。しかして体制に背を向けては夢見が悪い。夢見心地がための夢である。履き違えては男子の名折れ、見るも見下げためしいとなりし哀れさよ。 どうやらようやく霞が晴れてきた。暗雲退け希望の月明かりに照らされて、今ここに威風堂々供給の影がたちあがってくる。
すなわちビジネスモデルを組む。いわば経営型独房宿泊施設を構えてもらう。相思相愛、求める立場に答える力場。いわんや逢瀬場、穏便で円満で、念願成就の落としどころに相応しい。ほっ、とする。「きみは去れ。ぼくは住む」どこやらか号令が聞こえてきやしないか。
/
独房ホテルがあったらいいと思うんです。 1泊や2泊なら泊まってみたいという人たくさんいる気がする。 受付でチェックシート渡されて、 看守の厳しさとか食事をこれだけ質素にとか、 ベッドのかたさだとか選べる仕様。 ただし初回はぬるい環境しか選べない。 通いつめてポイント貯めてゴールド会員にもなれば 本物さながらのサービス(厳しさ)を堪能できるという。
あまりに辛くなったら「リタイアでーす!」と叫べばいい。 すぐさま手厚く介抱され、懐抱され、解放してくれる。 ただし周りの宿泊客は陰険な笑い声あげるだろうし、 しゃれにならないほど舐められて、 もう次回の来店が見込めないほど傷つけられるリスクもある。
適性さえあれば1ヵ月コースをふんぱつしてもいいだろう。 模範囚と認められたら5000円のキャッシュバックもつく。 これを達成できるか否か、プラチナ会員への分かれ道だ。 プラチナ会員ともなれば、これはもう、ヤバイ。 拘禁。 猿轡嵌められてブロンズ会員の洋式便所の下水溝に放置される。 食事は下水に浸される。 猿轡には2cmほど隙間が設けられていて、そこからすするしかない。 しかも狭い。 構内は広いけれども配管が邪魔して体を動かすだけの空間がない。 そして寒い。臭い。不衛生だ。まともな人間なら1日で廃人になる。 とはいえそこはプラチナ会員。これぐらいじゃ音は上げません。 期日迎えたら笑顔でシャバに帰り、風呂に浸かって飯食って、幸福噛み締め、 明日からまた始まるサラリーマン生活への活力とするのです。
もちろん懸念もあって、いちばん怖いのが 客もいくところまでいっちゃうと 本物の独房、刑務所暮らしへの興味が高まるだろうから、 彼らが実際の犯罪に手を染めないかということ。 それで刑務所に送られてね。 「なんだ、ぬるいもんだ! これじゃせいぜいあの店のシルバー会員コース程度じゃないか。 ふん、飯もきちんと出るし、醍醐味がなくっていけない」 っつって。 でも3日4日経った頃に思い始めるわけだ。 ……これ、ずっと、ずぅーっと続くのか…… 半狂乱になってね。 とうとう叫び始める。 「リタイアです! リタイアー! リーターイーアでーす!」 なぜだろう隣人の笑い声すら聞こえない。 耳に入るは誰かの泣き声ばかりです。
| 2014年11月13日(木) |
写真、思い出、逃避としてのそれ |
スマホで撮ったやつ。 正確にはスマホみたいなiPodで撮ったやつ。

宮島は弥山山頂にて。あとでわかったことには上にいる白人たち、向こうからの修学旅行生だった。

3点のオブジェクトが思い思いに傍若無人の佇まいで、それぞれに干渉せず、 なお一枚のフレームに収められてしまっている滑稽さ。笑っちゃう。

我が寝室のボス。口癖は「ゆるさん」。あまり彼を怒らせないほうがいい。

おとぎ話の主人公たちは役目終えたのち全員行く末同じくこの場で殺される。

クシシュトフ・キェシロフスキみたいな彩像捉えられそうだと意気込んで 何枚も撮った。撮ったがあぁはならない。こちらのせいではない。フスキがわるい。

ドパァ。上と同じ観覧車。

クリームの海。

ほとんどイラスト。

雨に濡れたコンクリート。今にもあの特有の匂いが漂ってきそうでしょう。無臭でした。

無人に見えるでしょう。すぐ背後に200か300かってぐらいの人間が所狭しひしめいてる。
/
写真整理たのしかった。 至ってしちめんどうくさく、 見向きもしないで放って置けるこのテの運動を 誰に求められたわけでもないのに今回成就できたのは ひとえにそれが逃避だから。
ひと月ほど前友達から頼まれ安請け合いした 結婚式とかいうイベントのウェルカムボードの作成なるものの 締切に背を向けて逃げたいから。 頭から追い出したいから。 何も考えたくないから。 何もないから。 何もない。 何だよ。
| 2014年11月11日(火) |
写真、思い出、画像容量制限 |
あまり写真撮るほうじゃないながら、 自分の好みといえるものだけを 何の気なしにふとまとめてみた。 1枚あたり10秒ほどかけてレタッチしてあります。

高野山のある木。今まで見た木の中でいちばん気になる木だった。 もちろん名前も知らない。

夏の終わり。

人体の重み。生きているだけなのに。

窓ガラス越しに夕空。綺麗なんじゃないでしょうか。

4人…5人? 楽しかった。

ある秘境駅付近の山道にて。いきなり現れた子供の靴。

都内夜散歩中の住宅街路地にて。いきなり現れた胸像。

電源オフの液晶テレビモニター越しに撮ったらこうなった。

アルミ缶のエロス。

好きなんすよ、夕焼け…。好きなんす。

吸殻は絵になりますね。

映画撮影中のオフショット。暇持て余した出番なしの二人を隠し撮り。

このメガネに逃げ場はない。

べたに海。和歌山は白浜、千畳敷。

名古屋市で見かけた国税庁舎。 無機質で無感情で、一切の熱を寄せ付けず、色彩の勧誘も退けて、 天も地も、花も愛も命の貴さも、すべてを無関心にただ押し黙り圧するままに、 なにより雄々しく、たいへんくすぐられる建物でありました。

さようなら。

12/26 AM01:30。

ハーレー。画像は非加工。

あったかいのっていいよね…。あったかくないのはいやだよね…。

おっとこれが何の写真かは言えねえ。

あっとこれが何の写真かはわからねえ。

民家を処刑場に採用したかのよう。

恋人。いわゆる奇跡の一枚的な良い足。

だって夕焼けとか好きだから…。葛西臨海公園。

ハートブレイク。荒川。

蟻の視点にはいつも数多の秘密がある、気がする。そそられる。

青けりゃいいの? 青けりゃいいの。

焦点となる対象が2つ3つあって、それぞれ中央からはずれてるのに、 均整釣り合って重心的にシンメトリー達成してる構図は好き。

現代の人間処理場。ディズニーシー。

あの男を追え。

観光名所! 夕焼け!

木肌。

千葉。
/
聞かれまして? エンピツってアップロード1ファイルごと350KBまでなんですって。 ジーザスですわ。 総量では100MBも200MBも許してくださってますのに、 1ファイルごとでは一律350KBなんですもの、入れ歯が吹っ飛びましたわ。 ましてや、画像ファイルに関してはアナタ、 「10KB程度に圧縮してからアップロードしてください」 の但し書きですわよ。 日本中の活火山と死火山が噴火しましたわ。
| 2014年11月03日(月) |
夜遊びの心得(きっとそうであると推察しうるもの) |
知人が初めてガールズバーに行ったらしく その報告を聞いてみたところ、
そこにいる許可を得られてないごとき居心地のなか お互い興味のない質問を代わる代わる投げかけ どうしようもなく盛り上がらない会話に辟易しつつ 一杯のドリンクを飲み干さぬようちびちび消費し なんらの未来も育まれぬその場限りの気苦労
といった惨劇に終始したという。 おおむね想像通りである意味安堵する。
しかし 「じゃあどうすればよかったのか」 にまで目を向けると、これまで食指の動かなかった僕にも 俄然興味が湧いてくる。
つまるところ、どれだけプライド捨てて 普段の自分を忘れられるか、あるいは仮初の自分に酔えるかを 楽しむ場なんだと思う。 スナックでもキャバクラでも、おそらく楽しみ方の根はそれに近いはずだ。 極端にいえば嘘をつく楽しさ、これを堪能できるかどうか。
「今日はどこかお出かけされてきたんですか?」 「今日はべつに。でもまぁ昨日はシージャックしたよ」
このぐらい言っちゃっていいのだ、きっと。
「お仕事なにされてるんですか?」 「太政大臣」
このぐらい言っちゃわないとだめなのだ、きっと。
/
ともあれ現実的に考えて、 後腐れなく好き放題に嘘つきまくれる場自体は貴重だ。 そのうち気が向いたら行くかもしれない。 お酒まるで飲めないけど。
暦の上では って言い回し、 何の意味があるんだろう。 いやあるんだけど、 暦の上では といったが最後、あとには必ず「〜ですが」と繋がれて けっきょく当て馬に過ぎないというか。 だからなんだよっていうか。
暦なんてもってこないで自分を信じろよ。 自分のなかの。季節感を。鼻先をくすぐる風を。 おまえが夏だと思ったら1月でも夏なんだよ。 権威の常識網に縛られるなよ。 五感あるだろセンサー働いてるだろ。 身一つで立ち向かえよ。 季節に支配されるな掌握してみせろよ。 たたかえよ。 幾星霜季節刻んできた歴史を相手取って 自分だけのたたかい繰り広げてみろよ。 暦の上という名の土俵でな。
……。 暦の上という名の土俵……?
電車で尾道に行きました。 行ったもののろくに歩けない。 歩けないのだから何も楽しめない。 しかし自転車買えば解決するのではと思い至り ひょこひょこ歩いて探していると 偶然にもサイクリングイベントを発見。 できすぎていることには、 このイベントが年に一度の世界的祭典であり 参加人数8000人による「しまなみ海道自転車走破」とのことで、 当日参加もできるのかスタッフに尋ねてみました。 「無理です」 「あーそうなんですか」 「みなさん何ヶ月も前からのあれなんで」 「そうですか、残念です」 「だから無理ですよ。無理でーす」
詳細省きますが このあと自分もしまなみ海道は自転車で走りました。 総じてスタッフおよびこのイベントの関係者は 誰を相手取っても僕にとって気に食わない連中で、 詳細省きますがかなり呪い殺しました。 したがって海道走破も中途で終えて、 いつか何でもない日に自由に個人で走ろうと決意しました。
それから自転車で岡山駅まで行きました。80kmくらい。 尻と腰と右足首と右膝が壊れてしまって 痛みに喘ぎながらの走行でしたが 更には暗闇と雷雨とが生命的にやっかいでした。 道も歩道は整備されてなく、かといって車道は余りに危うく(見えないから)、 また朝から何も食べておらず睡眠不足で疲労困憊であったこともてつだって、 いやほんと、よく泣かなかったよ。えらいね。頭をなでてあげる。
倉敷のあたりで山あいから雨のなか花火が打ち上げられてる光景を目にして、 あぁオレ死んだんだな。と合点したのも束の間、 非合理で不可思議の玄妙さにすっかり見とれました。 僕はあの幻めいた花火の美しさを一生忘れない。
岡山駅まで5kmのところで温泉発見して浸かった時点では 体も芯から冷えきっていて かつ下半身が使い物にならなくなってたから まさしく生き返りました。 これまでの風呂で一番気持ちよかった。絶頂。安楽と幸福と喜悦の乱交。脳味噌大爆笑。
温泉出てからは雷雨がいっそう強まってきたので ファミレスで朝までやり過ごしました。 もう十分旅の栄養価は摂取できていたので、 ふくふく満たされたままに始発の新幹線で東京に帰りました。おしまい。
前日の過度な散策がたたって 朝から右足首が痛んでいました。
痛んでなんぼ、そうこなくっちゃなという思いで 広電に乗り込み宮島へ。 観光客の多いことには気圧されるも 弥山という標高530m程度の山を麓から登り始めると 人間どもの気配が薄れていったので口元がゆるみました。 ときおり奇声をあげながら野鳥とセッションしつつ 石段を自由なペースで…階段だと足は痛まなかった…昇っていき山頂へ。 ここはなかなか居心地よく、2時間ほど読書。 持参していた大岡昇平『事件』は、 山で女の死体が見つかるところから話がはじまるので雰囲気ぴったり。
そして下山がよかった。 薄暗くなってから下りたので他の登山者は概ねロープウェーに頼ったらしく、 いってみればやりたい放題、 飛び跳ね放題の駆け回り放題で、 ほとんどずっと走って下山しました。 じつに忍者さながらの疾走。最高でした。
このあと帰り道途中下車して知らない街で迷子の風情を堪能するも 忍者ごっこがたたって右脚が動かなくなってしまいました。 ひきずりながら2時間歩いて電車に乗り直し市街地へ。 ネットカフェにて一泊。
広島に行ってきました。一人で。用事なく。
初日はただひたすら市街地を歩き回ってたんですが 気になったのは 信号の長さ、雀荘の多さ、喫煙者の少なさです。
信号についてははじめ路面電車の事情からかと思われましたが どうやら路地だろうが総じて長いみたいで 正直歩きにくさ感じることしばしば。
雀荘の多さは圧倒的でした。 広島焼きの店よりも多い。 というか他のどの専門店よりも多い。 なにかゆかりあるのかなと気になりつつスルー。
喫煙者については意外というか、 無法者の多い先入観があっただけに、 喫煙所もろくになく歩きタバコ路上喫煙している人間もまず見かけない、 クリーンなまちづくりに何ともはや成功し尽くしておりました。雀荘多いけど。
当日はまず平和記念資料館に考えなしに立ち寄って、 かなりへこみました。 へこんだまま広島城行って併設されてる神社の絵馬見たら なぜか内容の重さの水準が他神社のそれに追随許さぬ勢いで やたら「重篤の祖母」に関する記述が多くまたへこみました。 そのあと不意にハローワークに入りまたへこみました。
だいたいへこんでたけど楽しめていました。 23時過ぎまで歩いて格安ホテルに一泊。
駕籠 って狭いし揺れるし暇だし最悪だと思う。最悪だ。 なかに持ち込める物品量もたかだかしれてるし 荷物のほとんどは自分の目の届かない外で 従者だかがぶらさげてるのだろう。最悪だ。
殿様だって道中きっと交代したくなる。 「今日はお前が乗れい」 「そんな、殿、なりませぬ」 「渋るでない。秘密じゃぞ〜?」 「殿……。しかしあっしはこれが生業ですゆえ…」 「ええいくどい。言うこと聞けぬなら手討ちじゃっ(笑) 手討ちにしてくれようぞっ(笑)」 「殿(笑)。ふふ、承知しやした。秘密ですね?」 「ハッハッハ。それ、馬に劣らぬ健脚見せてくれよう」
そんで後で皆にめちゃくちゃ陰口たたかれる。 「上の人間のあぁいうのほんとこまんだよな」 「乗りたくねえっつうのな」 「手討ちじゃ(笑)じゃねえよ。笑えねえよ。何時代のセンスだよ」 「足軽からやり直してこいよ」 最悪だ。最悪。
|