陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2011年01月17日(月)      いちがついちば

 今年最初の 『芋乃市場』 の案内状
 を本日、発送いたしました。お近くの
 方は明日にもお手元に届くでしょう。
 お正月に書初めした波に兎の福札を
 写真面に配しました。染め付け風の
 色使いが心持ち寒々しい色合いでは
 ありますがキラリと朱に光るウサギ
 の目玉がそれを補っておりましょう。

寒中のお寒い折ではありますが、部屋を暖かくして
皆様のお越しをお待ち申し上げます。

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2011年01月16日(日)      かんちゅう

 冬の土用に入りました。
 季節は 『寒中』 真っ只中、日本
 各地が冷えています。然しながら
 日暮れの足が少しずつ伸びている
 のも感じます。畳の目ひとつずつ、
 米粒一粒ずつ、春に近付きますな。

2011年1月16日16時26分の横浜新井町の西の空





2011年01月14日(金)      ろくろはじめ

宮中では歌会始の今日、磯子区の屏風ヶ浦保育園さん
に一日教室に行ってきました。もう、19年も毎年おじゃま
している園ですので先生方との連携も円滑で、お元気な
年長組の皆さんと楽しく作ってきました。

 園児さんたちには自由に作って
 もらいますが、最後にろくろでの
 成形を実演して、見てもらいます。
 毎年お湯呑みやお茶碗を作りま
 すが、みんなのリクエストにお答
 えして即興で作ることもします。
これまでに、アイスクリームやアンパンマンを作りました。
今年のお題は 『ウサギ』 難題でしたが、袋状に挽いた
胴体に耳と目鼻をくっつけてどうにか凌ぎました。でも、
じぇんじぇん可愛くありません・・・みんなの前では笑って
ごまかしましたが、削り仕上げをして焼くまでにどうにか
もう少しかわいくしようと思います。お届けは3月の卒園
式、時間に余裕はありますので、知恵を絞りましょう。

この教室は毎年伺うたびに元気が出ます。お子さん達の
元気に同調することと、作ってみせるだけで素直に喜びと
驚きを見せてくれるからです。仕舞には 『粘土作り名人』
という称号までいただき、鼻高々で帰ってきます。今年も
たいそう良い気分で 『轆轤始』 ができました。

ゆり組の皆さん、先生方、ありがとうございました。

ウサギ? を 拡大





2011年01月12日(水)      桜 花

落札した陶器製手榴弾(有田焼)が手元に届きました。
兵器としては用をなさなくなった物ですが、有田の磁肌
に薄っすら緋色が刺し、焼き物としてみると佳品です。

 外側は無釉の焼締めで、型で作られ
 たらしい丸い形が愛嬌があります。中
 を覗くと釉が施してあり、火薬が湿気
 らないようにしたものでしょうか。厚み
 があるのでしょう、ずっしりと持ち重り
 するのが武器としての必然であるの
 か少々不気味です。口辺もがちっとし
 た厚みが付けられています。そのもの
をそのまま写真に撮るのはどうかと思い、寒桜を投げ
入れてみました。一輪差しとしては中々良い感じです。

大戦末期、特攻兵器として 『桜花』 という飛行機が開発
されたことは戦後生まれの私も知っています。人間魚雷
『回天』 とともに、悲劇の兵器であったらしいですが、
手榴弾体に桜の花を活けて思わずその 『桜花』 を思い
出しました。戦争時代、人間が一番愚かしい行為の果て
にそれも陶器で作ってしまった手投げ弾の脱け殻を眺め
つつ、不戦の誓いを新たにするとともに、平和の意義と
人が生きる意味を考え続けたいと思います。

画像を拡大 大きさは野球の硬球ほど





2011年01月11日(火)      陶器製兵器

オークションで、実に興味深い資料を買いました。
『日本の陶器製兵器・陶器製手榴弾』 という本です。
こういった本があること自体驚きですし、実際手に
とってみて、かなりきちんと研究編纂されている本で
あることに唸りつつ読みました。

 陶器製の手榴弾は、戦争末期に鉄材
 の不足から発案され、各地の窯業地
 で作られていたことは知っていました。
 この本によると主だった産地は、信楽、
 伊賀、京都、美濃、瀬戸、有田、備前、
 であるようです。各地で特色があり、
 きちんとその詳細が図版入りで網羅
 されています。陶磁器蒐集家として
は、兵器であるという点を熟慮しつつも、1つ欲しいもの
だと前々から思っていました。まだ実物は入手していま
せんが、詳しい資料が手に入ったことは重畳です。物が
物だけに心境は複雑ですが、陶磁器産業の一側面とし
て捉え、各地の弾体を集めたいものです。

実は、ちょうど有田製のものが別のオークションに出て
いたので入札しました。昨日めでたく落札し、明日には
手元に届きます。いわば負の遺産である兵器の脱け殻
ではありますが、しっかりと手にとって戦争と窯業に
ついて、真摯に哲学しようと思います。

表紙画像を拡大 
因みに、左上美濃製、左下備前製、右下信楽製です。






2011年01月09日(日)      あ だ な

芋乃市場女将、家人若林りえ子は旧姓を工藤といいます。
岩手県釜石の出身で、16歳の時に神奈川に転居してきまし
た。あだ名は 『キャドウ』 釜石言葉ではドにアクセントが
ついて、キャドー↑と尻上がりになります。

 そんな家人の幼稚園からの同級生
 さん達が6人で横浜に尋ねて下さいま
 した。関東近辺に住んでいる人達だけ
 ですが、秋に大々的な同級会を釜石で
 開く予備会議という名目。何人かの方に
 は面識がありましたので同席させてい
 ただき、昼酒を酌みました。幸い釜石
 には何度もお邪魔しているので地理も
わかり、皆さん都会暮らしに慣れて御国言葉もきつくなく、
こちら側からはなんら違和感なく会話を楽しめました。家人
の例にもれず、ほぼ全員にユニークなあだ名がありました。
ユキップ、ヌマズン、ニッシン、ミー、タンナリーと、20世紀
少年に出てきそうな楽しいあだ名ばかり、そのニックネーム
で気さくに呼び合い笑いあう仲間は皆、素敵な面々でした。

家人もそんな仲間と笑い転げ実に楽しそうで、端で見ている
こちらも愉快この上ない会でした。そのせいか今朝の女将は
中度の二日酔いとなり、朝から白い顔をしていましたがこれ
ほどに痛快な宴なら宿酔いも本望というほかありますまい。
因みに彼女のあだ名キャドウは釜石アクセントだと動詞のよ
うに聞こえます。高1の時でしたか、国語の授業で習った動詞
の活用に則って五段活用され、未然形が面白かったので、
それ以来横浜では 『キャドワ』 と言われています。

未然:きゃどわ(ない) 連用:きゃどい(ます) 終止:きゃどう
連体:きゃどう(とき) 仮定:きゃどえ(ば) 命令:きゃどえ
と、こう活用します。

末席ながら、秋の同級会のご成功をお祈り申し上げます。

私の花器に、ニッシンさんが
春の花を活けて下さいました。






2011年01月07日(金)      ま し こ

益子の造形作家KINTAさんのお宅へ出張そば打ちに行って
来ました。行きます行きますと言いつつ機を逸し、かれこれ
2年越しの日延べとなってしまっていましたが、突飛な日程
での訪問を打診したところ、ちょうどキンタさんとお嬢さんの
お誕生日に重なり都合が良いということで、これ幸いと
道具一式積み込んで推参しました。

 キンタさんのお宅は益子町の中心
 から少々東へ行った田園地帯の小山
 の中腹にあります。広い敷地に自宅
 と工房が棟違いで立ち、様様な素材
 に向きあっておおらかな造形活動を
 していらしゃいます。木、鉄、陶土など
それぞれの言い分をきちんと聞き取り、自分の表現に必要な
加工を施すお手並みは見事で、どの素材も生き生きとキンタ
さんの一分身となって存在感を放つのは天賦の才でしょう。
知り合って間もない20代の頃はその姿に憧れてせっせと真似
をしてみましたが、所詮メッキはメッキで地金に実力の無い
者にできる芸当ではなく、只の模倣はやめました。今はその
生き様から学ばせてもらっています。
薪ストーブの煙が立ちのぼる玄関

 そんなキンタさんの手作り感あふれ
 るご自宅の一角で昨年は不作で手に
 入らなかった益子産 『常陸秋そば』
 を久しぶりに打ちました。2010年産は
 アーモンドのような香ばしい香りが
 立つ素晴らしい粉でした。粉の保水
率も高く、打っている手にしっとりと馴染んで、快感でありま
した。茹で上げたそばは甘みが強くて実に美味しく、粉でこれ
ほど違うものかと改めて素材の大事さを実感しました。この日
は靴作家の曽田さんご一家と、地元の養蜂家諏訪さんご夫婦
も合流、お子様たちからは 『おそば屋さん』 と呼ばれ、いよ
いよもって本業は名乗りにくくなってきてしまいました。
恥ずかし乍らそばうち作業 (キンタさん撮)

 薪のストーブにあたりながら美酒に
 酔い、最近興味を抱いている養蜂に
 ついて本職の方からお話を伺い、
 あったけぇ布団で休ませていただき、
 帰省する気分というのはこういうもの
 かと擬似 『故郷でのお正月』 を味わ
いました。6日には諏訪さんの蜂場を見学させていただき、更に
詳しく教えていただきました。画像の巣箱は相当数があるように
見えますがこれはほんの一部で、自宅他各所に述べ数百箱が
あるそうです。ひとつの箱には多い時で万を超える蜂が住む
そうですから、その数たるや大軍団です。凄い仕事があるもの
だと驚きつつ、諏訪さんは脱サラで始めて3年目と聞き、更に
ぶったまげました。いつかウチでも少数の群れでいいですから
飼ってみたいものです。
小春日和の蜂場 左から諏訪さん、市場女将、キンタさん

諏訪さんのハチミツはいずれ仕入れて芋乃市場で販売したいと
思います。(初対面で商談が憚られ、まだ希望観測ですが・・)

KINTAさんの土人形を大量入荷しました!
2月の芋乃市場で販売します。ご期待ください。

とちテレニュース 益子土祭に向け土人形の窯出し(09-08-27)




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