今年はまだ大好きな二十世紀梨が 店頭に姿を見せません。過去の日報 を紐解くとだいたい5日から10日の間 にはこの梨のことが書いてあります。 良く見ると毎年同じように梨は二十世 紀に限ると書いています。芸の無い ことでお恥ずかしい限りですが、それくらい二十世紀梨が 好きです。五味のバランスと瑞々しさは他の甘いばかりの 梨を一蹴し、王者の風格といって良いと思います。 (画像は、これはこれで美味しい豊水梨)
ああ早く出てこないかな青い梨
暦の上では 『白露』 となり、明後日は 『重陽』 だと いうのに、ここにさんちの横浜は暑い夏日が続いています。 妙な夏のネバリに辟易しながらも、夕暮れ時の虫の声に 心がふとさみしくなり、ラジオでちょっと良いお話などが 流れたりすると、じんと鼻の奥が熱くなったりして、秋は どうも心が定まらない季節です。
生来体が丈夫で、腰痛などといった 些細な不具合を抱え乍ら概ね頑健で あることに感謝しつつも、中枢である 脳の虚弱には参ります。体が痛んでい ると周りの人はとても親切に無理をし なさいますなと気遣って下さいますが、 脳の場合は気味悪がられ、理解を得にくいのは困ります。 精神が折れると、どうにも理性的に動く気持ちにはなれず、 何もせずにぼうーっとしていたくなります。これは多分 骨折した人が安静にするのと同じなのだと思うのですが、 脳の打撲は人には見えず、また『逃げ』ともとられて逆に 叱咤されることも度々です。よく、五月病などと言われ、 木の芽時に不調を訴える方がいますが私は秋にそのよう になることが多く、この時季は仕事を詰め込まないように 気をつけています。
せめて自分の脳がどれ程痛み果てているかを言葉で訴え、 家族にだけは理解を得ようと語彙を尽くしています。さて 実際どれほど伝わっているのか疑問ではありますが、風邪 のように熱も出ず、外傷のように血も出ず、捻挫のように 腫れもしないのですから始末に終えません。いっそ頭の蓋 をパカリと開けて、脳を見せてやりましょうか、きっと 疲れ果てた私の脳は紫色に腫れ、血を滲ませ、火のような 熱を出して喘いでいるはずです。
体の使い方同様に、オーバーワークとならぬよう中枢の 働かせ方も上手にならなければと思います。
この夏、勝手口の軒下にアシナガバチが巣をかけました。 高い所で小さな巣だったので気に留めつつも特に積極的に 駆除せず、放っていました。ひと夏過ぎて幼虫もほとんど 成虫に育ち、そろそろどこかへ消えて欲しいと思っていま した。ある日巣から姿を消し、やれやれ居なくなったわい と喜んで勝手口を入ると何と、中の照明器具のところに びっしりとかたまっておりました。
ウチの勝手口は洗濯場を兼ねていて、 洗濯場と室内の間の建具には網戸が ありますが、外部と接する勝手口には 網戸がありません。きっと空けている うちに入ったのでしょう。飛び回るで もなく大人しくかたまっているだけな ので暫く静観していましたが、どうにか追い出すべぇと思い さりとて、食べもしないものを無碍に殺すのも殺生ですから 燻り出すことにしました。日が暮れてから外灯を点けて外を 明るくし、下から七輪と生の草でモクモク燻しました。この 作戦は正鵠を射てハチはすっかり外へ出ました。軒下の巣も 撤去しましたので、ハチ達は外壁の一角に集まってじっとし ていました。さあこれでひと安心だわいと勝手口は開け放た ぬようにして昨日は1日外の教室で家を空けました。夕刻に 帰宅すると外壁にもハチは見当たりません。よしよしどこか へ消えたかと勝手口を入ると何と!仲良く照明具にたかって います。げげえっと叫んでちびりそうになるところを土俵際 でよく耐えながら女房の顔を見ると口をへの字にして、済ま なそうに 『掃除に来るっていってた、きっと開けてたのよ』 と、実家の両親の来訪を告げました。
暑い日でしたから無理もありません。ハチのことを知らせて おかなかったのは我々の落ち度です。さても恨めしきは涼し い顔で留まっているキアシナガバチですが当のハチにしてみ ればよくよく居心地のよい場所なのでしょう・・・??? さてさて、どうしたものでしょうか。やはり勝手口に網戸を つけてもう一度燻し出しますか、それとも共存の道を模索し ますか、なんとも頭の痒いことであります。
サーバー移転の関係で画像が表示 されなかった過去ログの2007年5月分 まで復旧しました。どなたがどれほど 過去のものを見てくださっているのか 皆目わかりませんが、自分でもちょく ちょく紐解くことですし、やはりきっちり と画像が表示されないのは業腹です。
それ以後の過去分はこれから暇を見てコツコツ復旧します。
百日紅の木の赤い花がもりもりと咲いているのを見る と、決まって杉浦日向子さんのことが思い浮かびます。 初めて買った日向子さんの漫画が 『百日紅』 だった からですが、故人となられてこの夏で4年が過ぎました。
百日紅は葛飾北斎とその娘お栄を活写 した江戸漫画です。絵師北斎の素顔に 迫り、弟子であり娘のお栄を江戸堅気 の女性としてとても魅力的に描いてい ます。時代考証家としての豊富な知識 を礎石に、登場人物への思慕を織込み ながら絵師一家と弟子達が溌剌として 江戸の町を生きる姿は、モリモリと咲い ては散り散っては咲く百日紅の花の生命力を彷彿します。
作者は奇しくも百日紅の花が開花する7月の末に他界され ました。2006年に追悼の気持ちを込めて本を紹介するサイト を作って公開しましたが、かまなりやサイトには入り口は 作ってありません。今年中にこのサイトに漫画の本も加え ようと思っています。杉浦日向子さん、本名鈴木順子さん 享年46歳、今、私はちょうど同じ46歳です。同じ歳になっ て思うことは、杉浦さんのように頑張らずしかし前向きに 格好良く生きるにはどうしたら良いのかなあとそればかり です。粋にやろうなどとは毛ほども思いません。野暮天は 野暮なりにちっとは乙な生き方ができやしないかと北斎や お栄の意気地を見習うばかりです。そんな生き様参考書を 沢山残してくださった杉浦さんを偲んで、今日もイカでも 齧りながらチビチビ晩酌させていただきましょう。
咲き通すその生きざまや百日紅
http://www.kamanariya.com/ltd/kura/hina-book/index.htm
山本兼一さんの小説 『火天の城』 が映画化され、今月 12日から全国公開されます。小説は平成16年に上梓された 書下ろしで、山本兼一さんの作品では初めて買った本です。 とてもスリリングで面白い時代小説で、もう二度ほど読んで います。どのように映画化したのか楽しみです。
安土城址には平成18年秋に滋賀を旅し た際に赴きました。それこそ小山を一つ 城にしてしまったというような作りの山城 は、今でこそ遺構しか残っていませんが、 安土山頂上の本丸跡に立って、この場所 に天を突く朱と金の城があったかと思うと その感慨もひとしおでした。小説では築城 を任された番匠頭、岡部又右衛門親子を 軸に展開しますが、大工の知識の無い人に は現場の様を思い描くのが難しい専門用語が多々出てきます。 幸い俄か仕込みながら大工の経験があり、柱梁を思い描きな がら読むことができましたが、これが映像になるかと思うと ぞくぞくします。クレーンもトラックも増してや電動工具も 無い時代のそれも城造り、現場は命がけの戦場でしょう。 小説もそのあたりを細やかな筆致で描写しています。
映画の公式サイトを見ると、岡部又右衛門を西田俊行さん、 織田信長を椎名桔平さん、中々に骨太な役者さんが配役され ています。原作では又右衛門の息子がキーパーソンになって いますが映画では娘さんが出てきます。そのあたりも気にな るところ、焼き物屋としては安土城の瓦を焼いたといわれる 一官(いっかん)のエピソードが見たいですが配役を見る限 り出ていないので、割愛されてしまったかとも思われます。
久しぶりに映画館に見に行ってみようかと思う作品です。
選挙から一夜明けて、政界に大嵐が吹いて、衆議院の 勢力が一変してしまったようです。やはり、阿倍さんから こっちの政権運営への批判がそっくり票に出たようです。 横浜でも新市長が決まり、これからどういった市制が布か れるものか気になるところです。
台風の影響で政界のみならず外も 嵐になりました。画像は無精をして 居間から工房を撮ったもの、ずいぶん 雨が激しく降っているのですが、この 画像サイズではじぇんじぇんわかり ませんねえ。
8月も終わります。今日の横浜は驚くほど肌寒く、何だか 晩秋の趣です。夏の疲れを残しての寒暖差は体に堪えます。
流行り風邪など引き込まれませんよう、何卒ご自愛下さい。
|