歌舞伎というお芝居の語源は 『傾き』 だと言われます。 かぶくとは、常軌を逸した奇行を指す言葉でこういった 行いをする人を 『傾き者』 と言ったそうです。直江兼続 と親交の深かった前田慶次郎の逸話は有名で、少々憧れ てしまいます。
僭越ながら私は自分のことを分別の ある常識人であると自負しています が、時折無性に変わったことがしたく なります。特に疲れがたまりストレス が蓄積してくると、急に踊りだして みたり、何もかもすっぽかして走り 出したくなります。まさかに実際の行動に出ることはありま せんが、こういうことを自然にできなければ真のカブキ者 と言えないでしょう。
よく人から変わってるねえなどといわれますが、自分では まったく普通だと思っていますので心外です。然しながら ほとんどの変わり者がきっとそう思っていることでしょう。
最近こじんまりとまとまっている自分を嬉しくもあり、寂し くも感じます。そろそろ何かやらかしてみたいところですが やろうとしてできるもんでもないですよねぇ。
エアコンの届かない芋乃市場のトイレ は今年も暑い状況です。昨年は、三平 師匠のキャラクターを墨書した詫び状 を貼りました。今年は詫びだけでなく、 団扇を設置しました。ご来店の皆様に はどうぞご自由にお使い願います。
暑中お見舞い申し上げます。
本日の関東横浜は、夏らしい気持ちの良い晴天でした。 いよいよ梅干しを干そうかと勇み立ちましたが、明日の 予報が芳しくないので、ぐう〜っと堪えました。
暑い暑い日になりましたが、どう巡り 合わせたか本焼きの窯を焚いており ます。因果なものですが生業ですから、 週のはじめに痛めた腰をだましだまし きばって焚いています。今日は還元焼 成です。窯の中の炭酸ガス濃度(還元 雰囲気)を確かめるのに煙突からの煙の出具合を常に気に かけながら、燻し過ぎないように焚くのが勘所。
青い青い空に、赤トンボが沢山舞っておりました。これから 山地へ一度登り、秋にはまた更に赤くなって帰ってくるの でしょう。 『夏本番近し』 ですかな。
靴作家の曽田さんから倅がオートバイ を譲り受けました。ホンダベンリィCD50 です。質実剛健の所謂ビジネスバイクは 『渋い!』 の一語に尽きます。黒めの 車体、銀のマフラー、大きめの荷台、実に 無駄のない健康なデザインです。陶器に 例えれば益子焼の釜飯の釜のようです。今月半ばに息子と 一緒に貰い受けに伺い横浜へ運び、二・三日前にこちらで 登録を済ませました。早速倅は友人と連れ立ってあちこち 乗ってあるいています。私も若い頃は寿司屋の出前のバイト でスーパーカブを自在に駆っていましたので、どれどれと 乗ってみましたが、クラッチ操作とブレーキが思いのほか 上手く使えず苦心しました。歳ですねえ、恥ずかしながら ちょっとおっかないとすら感じてしまいました・・・
これからの季節、オートバイには心地よい季節です。 倅には初めての自分の愛車ですから、整備の基本もきちん と覚え、大事に扱ってほしいものです。オートバイの良い ところは何といっても外気を受けて走るところ、色々な風 を感じながら、世界を広げて欲しいなあと思います。
先日14日に関東地方は梅雨明けの 発表がありましたが、どうも戻ってし まったようです。気象庁は少々勇み足 を踏んだような気がします。難しい 予報ですから間違いもあるでしょうが、 ちとしくじりましたかな。
庭のキンカンの花が良く咲いて、雨に光っていました。 真冬に実の生る金柑ですが、夏には早、花を付けるのか と毎年感心します。秋咲きでもよかろうかと思いますが、 それでは冬には間に合わないのでしょう。植物の営みは ゆっくりとそして着実です。 見習わねばと思います。
生憎の曇り空で横浜新井町では日食が観察できませ んでした。でも、そんな日食の日に太陽と知恵の結晶 『くさや』 を頂戴しました。新島産アオムロアジです。
塩も水も貴重であった時代の苦肉の 策がくさや干物の嚆矢と聞きますが、 今やこの発酵食品は日本の立派な食 文化であり、西欧のチーズや北欧の シュールストレミングに負けない保存 食です。飽食の時代という言葉すら 古くなって、保存食など食べなくとも 良い時代ではありますが、食は天然 資源の無償の恩恵であることを肝に銘じ、一木一草も 無駄にせぬよういただくのが本義と心得、このアオムロ のくさやで今日はお燗でもいただきましょう。夏の 草臥れた胃腸のメンテナンスには持って来いです。
太陽を思う日にくさやの干物で晩酌。 げに 果報です。
今朝、ちょっとした拍子に腰を痛めてしまいました。 長年付き合っている持病ですから、気をつけているつもりなの ですが、疲れがたまり油断をすると痛めてしまいます。経年に よる腰椎の変形が原因で、対処の方法も充分心得ていますが、 1週間ほど痛みと、力の入らない不自由さと付き合うのが何とも 癪です。 まあ自業自得、辛抱しましょう。
沖縄の方から完熟マンゴーをいただき、 美味しく頂戴しています。同封の栞に 『食べごろは紅色がこゆくなってから ・・・』 と書いてあり、こゆいという お国言葉に南国情緒を感じました。 中学のときに沖縄出身の先生が答案の 書き方を生徒に 『エイチビーの鉛筆でこゆく書くんですよー』 と言っていたのを思い出しました。とても熱心な良い先生でしたが 時折方言が混じり、聞き取れないところがありました。眉毛が濃く 髭剃り後が青々とした小柄ながっしりとした先生でした。そんな 風貌と独特のお国言葉が相まって、多くの生徒がその先生を少々 侮っている様子でしたが、私はその先生がわりと好きでした。 きっと今はお国に帰られているのではなかろうかと思います。
沖縄のマンゴーの香りがそんなことを思い出させてくれました。
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