陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2008年09月12日(金)      挑戦状

先月の芋乃市場にガラス作家のイイノナホさんが三人の
お嬢さんと連れ立って遊びに来てくれました。ご縁があって、
古くからの知り合いですが、久しぶりにお会いしたイイノさん
はすっかりいいおっ母さまになっていらっしゃいました。

 またこのお嬢さんたちが何ともかしましく、
 低学年で年が近いこともあって元気いっ
 ぱいです。しかし、仲良し三姉妹の元気に
 負けてはいられんぞ!と、三人の得意な息
 を吸って鼻をくっつける技で競いましたが、
 あっさりと敗北しました。負けっぱなしで
 は武士の一分が立たないので、山に籠り、
 瀧に打たれキビシイ修行をして再度戦いを
挑む事を心に誓い、その旨をしたためた挑戦状を書きました。
今頃は勝って油断している彼女たちにこの檄文を送りつけて
度肝を抜いてやろうと思います。思うに敗因は鼻毛ではなか
ろうかと思います。私がやると何だかしゅーっと息が吸えてし
まいます。お子達の鼻はピシーっと吸い付いてそらぁ見事な
ものでした。まずは鼻毛をきれいに抜いて、更に鼻梁を柔ら
かく良く揉んでビッと吸いつけてやりましょう。その上で
ひょっとこ踊りでもひとさし舞えば、いかなかしまし娘達も
「ぎゃふん」 と言わずにはいられますまい。

いいオヤジが何を大人気ないと思われるかもしれませんが、
ああいった敗北は全人格を否定されたも同じこと、このまま
引き下がれば、やれあいつは子らに侮られた奴よと笑われる
は必定、家名をかけて果たしあわねば義が立ちますまい。

どんな手を使っても勝ってみせますぞー。
首を洗って待っていたまえお三方、ふふふふふふふ。





2008年09月11日(木)      にじっせいき

 近所のスーパーでも二十世紀梨が出始
 めました。嬉しいことです。昨今、果物は
 甘い物ばかりがもてはやされ、生産者も
 消費者に阿って糖度ばかりを云々しがち
 です。しかし果実は甘酸のバランスがと
 れていてこそ美味。その上で果物特有の
香りを楽しむことができれば本望です。幸水、豊水も美味い梨
だとは思いますが、やはり梨は 『二十世紀』 が司と心得ます。

重陽も過ぎ、季節はぐいぐいと秋めいてきますねぇ。気になる
のは台風ですが、今年も大きな被害がない事を祈るばかりです。





2008年09月10日(水)      かたいいれもの

やっぱり、買っちまいました。ギターのハードケース。
お正月に知人からアコースティックギターを頂いて8ヶ月、
下手糞ながら楽しく弾いています。すぐに飽きるか、嫌に
なってほっぽり出すのが関の山ぐらいに思っていましたが、
これが案外に面白く、そうなるとやはり箱がなくては納ま
りが悪くていけません。
 とは言え中古品のそれもオークション
 ですから、そこはそれなりの品物で、
 やれ、マーティンの純正だぁギブソン
 のプレミアだってなぁわけには参り
 ません。新星堂オリジナルのブランド
 ROCKINNだかいう汎用品で、落札
価格も1890円というお手軽価格。然し乍ら、届いた物は
多少の修理痕などあるもののしっかりした物で、身の丈に
合う、手持ちのギターとつりあいの取れたケースだなあと
満足しています。

さあ、このケースにイカすステッカーを矢鱈とベタベタ貼り
つけて、ぼさぼさの髪に裾っぴろがりのジーパンを掃いて、
本場アメーリカヘ武者修行に出かけましょう!イェーイ。
まってろよー、クラプトン。

カンツリーロー♪ テークミーホー♪ っときたもんだ。





2008年09月09日(火)      勇気凛凛

7月、浅田次郎の 『プリズンホテル全4巻』 を一気に読み、
8月は柳田国男の 『遠野物語』 と井上ひさしの 『新釈
遠野物語』 を重ね読みし、さあ次は時代小説にいこうかと
思っていた矢先、弾みで浅田次郎のエッセイに手を出してし
まいました。流暢な文体と、豊富で抱腹なエピソードに掴ま
れてすっかりのめっています。

 タイトルの 『勇気凛凛ルリの色』 は
 団塊の世代の人なら誰もが口ずさめる
 少年探偵団のテーマソングの一節です。
 昭和中盤以降の生まれの私でもこの歌
 の節はわかります。でも、最早これを
 知らない世代のほうが多いでしょう。
 内容は、エッセイだけに浅田氏の経験談
 なのですが、直木賞をとる前の本だけに、
作家として有名になる前の豊富な人生経験が赤裸々に語られ、
時に露悪的に時に真摯な私見を整然と書くその文章は、後の
直木賞作家だけに語彙が多く構文は巧みです。

何といっても自衛隊時代の話は傑作が多く、隊内で洋式便所を
使う話や、『員数(いんずう)』 という自衛隊特有の物品管理の
方法を紹介したエピソードは笑わずには読めません。あとがき
にはこんなご本人の説が披露されています。 「人生笑って暮ら
せれば言うことはないが、そうもいかない。でも笑ってなけりゃぁ
泣けてくるので、笑うのだと思う。」 曰く、ごもっともです。

泣きながら生まれてしまい、死ぬために生きねばならない一生
ですから、笑って暮らしたいもんですよねえ、この本を読むと
そんな生き方ができそうな勇気が湧いてくるのです。
が・・・かなりゲビた話題(クソ・ゲロはあたりまえです)も
ありますので、お読みになる方は、重々ご注意願います。





2008年09月08日(月)      CRIU

益子の古川潤さんご夫妻から東京代官山での作品展のご案内
をいただき、女房が行ってきました。木と布を主にした生活用具
はきどらない無垢な造りのものが多いですが、要所要所は省か
ないきちんとした仕事ぶりで、幅広い品揃えです。

 今回はギャラリー開設の旗揚げ興行的な
 位置づけのようで、益子のアトリエの名を
 冠したブランドを前面に押し出していらっ
 しゃいます。その名は 『CRIU‐クリウ』
 何か造語のようにお見受けしますが、
 なじみやすいネーミングだと思います。
私たちが茨城に住んでいたころ美大の学生だった古川さんは
よく岩間に来て石や木の勉強をしていらっしゃいました。
私たちの結婚式の時には酒樽神輿の制作を引き受けてくださり、
当日は褌一丁で神輿組の皆々様と奮闘してくださいました。

いつか芋乃市場でも展示をお願いしたいと思っております。

まずは、代官山での展示のご成功をお祈り申し上げます。

アトリエ CRIU http://criu.seesaa.net/category/5511182-1.html





2008年09月07日(日)      はたけ

 畑のゴーヤーが鈴生りになりました。
 やはり9月になてしまいましたが、ぶら
 ぶらと実が生っているさまは、作り手の
 労苦を何よりねぎらいます。いっぺんに
 は食べきらないので酢漬けにして保存し
 ていますが、これがとても好評です。

 一方7月10日に播いた津久井大豆は、
 花が終わりサヤがつきました。まだ
 ペタンコの豆ですがだんだんにこの
 サヤが膨らんで豆を実らせるでしょう。
 うまくすれば来月の初旬には枝豆で
 食べられるでしょう。塩で茹でて、
ビールのお供に食べたらさぞ美味いでしょう。

素人の手作り野菜は形も悪く、出来も不揃いですが採りたて
の美味しさは味わえます。夏が終わったら、今年は一丁冬越し
野菜にも挑戦してみようかと思っています。下手の横好きも
長く続けばそれなりに収量もあがるでしょう。

何より、季節に敏感になることは何よりの薬です。





2008年09月05日(金)      荻 窪

昨日は杉並区に一泊してきました。荻窪に1軒だけあるビジネス
ホテルに部屋を借り、わざわざ泊まったのは夜ゆっくりとお酒が
呑みたかったからです。目当ては天沼のお鮨屋さん 『鮨なんば』
本格江戸前寿司をきちんと出すと評判のお店です。飛び込みでは
気が引けるので予約をし、6時からかれこれ3時間、堪能しました。
寄寓にも大将は小学校の後輩で、私が通っていた頃の町の話など
をしながら美味い酒を呑み、美味い魚をいただきました。初回にも
かかわらずお好みでお願いしてしまいましたが嫌な顔ひとつせず
握って下さった大将はまだ随分お若いようにお見受けしました。

 昼のそば屋酒、銭湯、江戸前カウンター
 お好み鮨一泊旅行という、この世の贅を
 尽くした休暇は少々散財となりましたが、
 一夜明けた今日は憑き物が落ちたように
 すがすがしい気分でした。そしてさらに
 せっかく荻窪へ来たのだから、昼は荻窪
ラーメンを食うべえと帰る前に駅へ出ました。春木屋は好きでは
ないので素通りし、すっかり変わってしまった駅前を抜け、目当
の店は白山神社門前の 『らーめん菊池』 まずはガキの時分よく
遊んだ神社(ここだけは変わらないですなあ、さんざ賽銭をかっぱ
らった前科があるのでふんだんに小銭を投込み手を合わせました。)
にお参りをして、お店に赴き、らーめん『黒』 をいただきました。
少々味が濃いものの脂っこくないスープで美味かったです。

私は親の仕事の都合で迂闊にも東京で生まれてしまいました。畢竟、
生地が荻窪ということになってしまったのですが、この世に湧いて
たったの12年かそこいら居ただけですので荻窪を故郷と言うには
なんとなく憚る気持ちがあります。ただ、鳥の雛が初めて見たもの
を親と思い込むように、荻窪は私にとって何ともいえない縁のある
土地なのです。故郷は?と聞かれたら迷わず 「よこはま」 と答え
ると思いますが、お国はどちら?ときかれたら相模と答えずに武蔵
とこたえたくなるのもそういったことがあるからでしょう。

昼を食べ終えてさあ帰ろうとハンドルを握ったとき、
ああ早く横浜に帰りたいと、しみ〜じみ思いました。

鮨 なんば
http://gourmet.yahoo.co.jp/0007237083/U0003018231/


荻窪らーめん 菊池
http://www.walkerplus.com/tokyo/gourmet/DETAIL/V-TOKYO-2RTAT720/





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