今年の8月15日も暑い1日になりました。 北京では国別対抗競技が平和の名のもと に繰り広げられ、図らずも人間が好戦的 な生き物であることを露呈しています。 戦争はいけないと言いながら自分の家族 に危害が及びそうになれば、人はきっと 愛すべき家族を守るために戦うことを正当化するのではない でしょうか?生き物の世界でも生きるために食べる殺戮は正の 行いです。戦後63年、まだまだ大戦の記憶は風化せず不戦の 礎になっていると思います。しかし、戊辰戦争のことを生で語る 人がいなくなったように、いずれ世界大戦の記憶も薄まってい くのは必定でしょう。
それでも平和を希求する気持ちは不滅と信じ、国家同士が殺し あって戦う大義が正当化されないような世の中を造るにはどう すればいいのか、知恵を絞って考えなければいけないでしょう。 人の蓄えた 『叡智』 はそのためにあるのだと信じます。
FM横浜の北村浩子アナウンサーが激奨していた本なので読ん でみました。小川洋子さんの 『博士の愛した数式』 いやあ、 いい本でした。流石に活字の虫北村さん推薦のことだけはあり ます。整った文体、知性にあふれた内容、そして飽きの来ない ものがたり。久しぶりに時代小説以外のものを堪能しました。
映画にもなったのでタイトルをご存知の方も 多いことと思います。実は私も映画を既に 見ていました。主人公の数学博士を寺尾聡 さん、小説では語部となる家政婦役を深津 絵里さん、二人が実に渋い演技をし、とても 静謐な良い映画でした。が・・・小説はさらに さらに良かったです。物語は、交通事故で 記憶に障害をもった初老の博士と、そこに 雇われた家政婦と、その息子「ルート」のおりなす日常劇です が、博士の潔癖なまでの数への愛情と家政婦親子の博士への 思慕の情が巧みに行間に織り込まれて、活字を追うのがとても 楽しい本でした。数学音痴の私がこれほど楽しめたのは難しい 公式や、素数の話などを作者がとてもきちんと解釈し、博士の 言葉を借りて愛情をこめて美しい文章に綴ったからでしょう。 友愛数、完全数、双子素数などなど、理屈はわからなくても その単語の響きだけでなにやら魅力的です。本の中で博士は 言います。 「物質にも自然現象にも感情にも左右されない、 永遠の真実は、目には見えないのだ。数学はその姿を解明し、 表現することができる。」 物造りにとっても新たな形を創造 することは、数学の証明に似た作業でもあります。方法は違え、 求め方は似ているようで、この言葉には無限の力を感じます。
良い本は読後感がことのほか快いものです。この本もラスト には少し悲しい場面がありますが、だからこそとてもきれいに 完結しています。じんわりとした温かいものが心に残りました。
FMヨコハマ 北村浩子の Books A to Z http://www.fmyokohama.co.jp/onair/program/steps/books/2003.html
表へ出ればやかましいほどに蝉の 声が降ってきます。これは蝉時雨なんて 生やさしいものではなく、蝉どしゃぶり と言って差し支えないでしょう。新井町 でもついにクマゼミまでが参戦し、残暑 に拍車をかける様相です。
北京の競技もアツくなってきたようです。がんばれ!ニッポン。
10日にご紹介ページをアップして2日、早くも数名のお客様から 『ポルトガル料理』 にご予約頂戴いたしました。さすがに通の方は 早い!丹田さんのお話では、レストランボアボッカの首都圏出店は 横浜が初めてであるとか、京都、神戸に遠距離恋愛をしていらした 東のポルトガルファンには、けだし朗報なのですねぇ。
当日、メインディッシュの一皿は豆と 肉の煮込み料理 『Feijoada』 になり そうです。うずら豆や腸詰肉をオリーブ オイルと塩とにんにくで調味し、じっくり 煮込んだスローフードです。 と、いか にも知り尽くしたように書いていますが 私はまだ、実際にお料理をいただいたことがありません。10日の 記事にもあれだけ流暢なことを書いておきながら、全て丹田さんの 著書 『家庭で作るポルトガル料理』 の受け売りでございます。 実は私ども夫婦が当日のことを一番楽しみにしている次第です。
芋乃市場の芋乃は、「いいもの」 の語呂合わせです。 僕らの目指す 「いいもの」 は 「使う方が健康になるもの」 です。 体に優しいポルトガル料理を、かまなりやの器に盛って、たくさんの 方が美味しく楽しく豊かな時間が過ごせるように当日はサービスに 心を砕こうと思います。そしてお客様が笑顔でお帰りになられたら ゆっくりと我々もお料理を楽しませていただこうと思います。
ご予約、お待ち申し上げております。
家庭で作るポルトガル料理 河出書房新社 http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309281261
9月に実施予定のお食事会 『ポルトガル料理を楽しむ』 の ページを作りました。トップから入れるようになっています。
画像は 『アサリのカタプラーナ』 です。 平たく言えば、あさりのワイン蒸しですが、 ポルトガル風はベーコンが入ってオリーブ オイルとにんにくで調味しますのでとても テイスティーな感じがします。調理には 蓋のぴったり閉まる専用の鍋を使いますが この鍋が 『Cataplana』 と言い、お料理 の名前はポルトガル語で、Cataplana de 〜 となります。アサリなら de Ameijoas(デ・アメイジョアス) 魚介なら de Mariscos(デ・マリスコス)といった按配です。
詳細ページにはお料理の写真が数枚アップしてあります。 まだ料理の名前しかついていませんが、暇をみてもう少し解説を 付け足そうと思っています。9月当日のお料理は旬の食材と照らし て献立しますので、どういうメニューになるかは分かりませんが ポルトガル料理はオリーブオイルをたくさん使った自然志向の お料理で、日本人にもなじみやすい料理だと思います。 更に詳しくお知りになりたい方は、丹田いづみさんの著書 『家庭で作るポルトガル料理』 をご覧下さい。ページには 丹田さんのご紹介と一緒に本の紹介もアップしてあります。
『ポルトガル料理を楽しむ』詳細ページ
映画 『それでもボクはやってない』 を観ました。 とても疲れました。なんだか運転免許試験場の講習ビデオ をたっぷり2時間見せられたような疲れです。
テーマは 『冤罪』。痴漢と間違われた 青年があれよあれよとしょっ引かれ、 警察署に拘留され、否認をくりかえす うちに起訴となり、裁判にもつれ込む という筋書き。非常に現実的で重要な 社会的テーマに周防正行監督が真っ向 挑んだ意欲作とお見受けしました。 出演している俳優人も熱演しており、 司法の諸問題点が浮き彫りにさえている快作だと思います。 いかんせん長いので、いささかもたれますが、当事者となって 公判に立つ人にはいかさま長い戦いであるかということが良く 分かりました。結句、被告人となってしまった青年は実刑判決 を受け、『控訴します!』 という毅然とした台詞で幕になるの ですが、今後最高裁まで争っても無罪になることはなかろうと におわせて、あと味苦くやるせなーく終わります。
冤罪・・・難しいテーマです。この映画を観てまず思ったこと は 『李下に冠を正さず』 という、紛らわしいことはするでないと いう諺です。来年5月からは裁判員制度も始まります。裁判所で 裁かれるのも裁く側に立つのもできれば御免蒙りたいものです。
暦は 『立秋』 となりましたが、今日のこの抜けるような 夏空はどうでしょう。スコーンと音の聞こえそうな快晴でした。
いよいよ明日から北京五輪が始まりますが、 テレビの視聴をやめた我が家はニュース で結果を知ることしかできません。もとより 開催国への不信感から、積極的に観る気 もないので、ラジオやネットでの情報くらい でちょうどいい按配でしょう。平和の祭典と は言え、裏には色々なもくろみや思惑が渦巻く世界ですから 斜に構えて見聞きするのも一興ですし、自国贔屓のお国柄で 尚且つ自国開催とくれば審判でもめそうな予感もします。
そんな悪条件でも競わねばならないのは競技者の宿命です から日本の選手団にはぜひとも頑張ってほしいと思います。 遠巻きながら、精一杯応援させていただきます。
|