| 2004年11月09日(火) |
「キャンディ」 太田裕美 1999.11.3 |
タイトル曲「キャンディ」は原田真二さんの大ヒット曲のカバーです。 原田さんが歌っているときも甘かったけど、 裕美さんが歌うとまた違う甘さで、 ひんやりと甘いって感じがします。 松本隆さんがぜひとも「キャンディ」を歌ってと裕美さんにリクエストしたということらしいですが、 松本さんの意図や気持がわかるような気がします。 裕美さんの声と雰囲気で歌ってほしかったんでしょうね。
「風をあつめて」は、あのはっぴいえんどの曲ですが、 この歌は私はよく知らなかったんですが、 なんて簡素で難解なことでしょう。
”とても素敵な 味爽どきを 通り抜けてたら 伽藍とした 防波堤越しに 緋色の帆を掲げた都市が 破泊しているのが 見えたんです それで ぼくも 風をあつめて 風をあつめて 蒼空を翔けたいんです 蒼空を
詩人の詩が音楽になっているなあと思いました。 風をあつめるというひびき自体が、ここでないどこかに連れて行ってくれるようなひびき。 どこか遠くへ行けそうな気がしてきます。
「かくれんぼ」も遠い遠い懐かしさを感じます。 ”もう何も喋らないで そう黙っててくれればいいんだ 君の言葉が聞こえないから 雪景色は外なのです なかでふたりは 隠れん坊 絵に描いたような 顔が笑う 私は熱いお茶を飲んでいる
吐息のような嘘が一枚 本当のような嘘を誰もがついているけど、吐息のように嘘をつくというのは それほどの嘘は自分でも気づかないんでしょう。
「ブランコ」「瞳のウフフ」はとっても裕美さんらしい ふわふわと空中に浮かんでしまうような曲で これから冬になっていくのに、 「春がこないかなあ」と思わず思ってしまうんです。
”瞳のウフフ 私の他にはそんな風に見つめないで 目隠ししてあげるねぇ
星が突然落ちても 太陽が溶けて消えても 氷だけの世界になっても 私だけを見て
春がきそうな気配です。
このアルバムはしばらく聴いてなくって、久々に思い出しました。 思い出させてくれたBさん、どうもありがとうございました。
やっぱり、素敵です。
| 2004年11月08日(月) |
「Blooming Ivory」 今井美樹 2000.4.14 |
今井美樹さんの声にある何かは私の中にある何かと、波長があってしまうのかもしれない。 同じ失敗を繰り返したり、知らず知らずのうちに疲れていたときにはいつも聴いている。
このアルバムはいい曲ばかりだけど、曲順もなかなかいいと思う。 1曲目が「瞳がほほえむから」。 タイトルからしてあったかくて、いつ聴いても本当にいい曲だと思う。
「空に近い週末」では
”さえぎるものの ない風景が 胸にまた生まれそう 見上げた 空が近い 不思議ね 空が近い
この「さえぎるもののない風景」という言葉がすごく好き。 あと「さえぎるもののない青空」という言葉も出てくるけど、 さえぎるもののない風景、時々見ているような気がする。 きっと見ているんだと思う。
「Miss You」は今井さんの声の幅にぴったりで、とても気持ちよく歌っているのがよくわかる。 聴いている自分も本当に心地よい。
「Bluebird」は軽やかに「青い鳥はきっとそばにいる」と歌う。
”歩きだそう そして夢見よう いつの日にも明日は来るから 青い鳥はきっとそばにいる
この「Bluebird」と「幸せになりたい」はノリがよくて前向きであったかくて いつも励まされている。
「春の日」「かげろう」は春と秋の静かな別れの歌で、 「胸は傷むけどこの切なさはここへ置いてゆく」ときっぱりと置いていくと言う。
今井さんの歌はとてもおだやかで透明感があって、安らぎを感じる歌ばかりだけど、意外にどんな歌もきっぱりとしている。
「愛しつづける勇気を私はそれでも捨てない」 「もう何が起きようとも会えない」 「青い鳥はきっとそばにいる」 「せつなさをここへ置いてゆく」
と自分自身できっぱりと決めるところに私は共感してしまうんだろうか。
| 2004年11月07日(日) |
「DEEP RIVER」 宇多田ヒカル 2002.6.19 |
このアルバムはとても内容が濃くて、ヒッキーのアルバムでは一番好き。 ベストアルバムかと思うほどいい曲ばかり。 「travelling」「嘘みたいなI Love You」「光」「FINAL DISTANCE」と心にしみる曲ばかり。
特に「Letters」。 これは今時、置手紙の曲。 「置手紙」。久々に聞く言葉。 自分はいつしただろうか?覚えてない。 今はメールと携帯の時代だから、置手紙はしない。 それを現在の歌姫宇多田ヒカルが歌うのだから、驚いた。 この歌の二人は彼の方が言葉でのコミュニケーションが下手で、 置手紙を置いていなくなる。 そして彼女の方は置手紙なんかよりも、 声が聞きたい、シャツの上からでも触れたいんだと叫んでいる。 彼の方は気まぐれなのか、何かを探しつづけているのか、ふといなくなるが、また戻ってくる。 置手紙には「必ず帰るよ」と一言。 彼女の方はいつも「おかえり」の一言が言いたい。
そして、言葉を交わすのが苦手なら、置手紙はもういらない。 次にいなくなるときはもう何もいらない、と終る。
何か深い感じがする。この後、二人はどうなるのか。 この状態がずっと続くような気もする。いろんな余韻が残る曲。
そして何よりすごい歌唱力。うまいなあ。技術的にもすごいなあ。 憧れてしまうなあ。
海外デビューアルバムも職人芸を発揮して、すごかったけど、 国内新譜、もう待ちきれない。
| 2004年11月06日(土) |
「遠乗りの果て」 佐藤公彦 |
春や秋のやわらかい季節になるとケメの歌が聴きたくなる。
昔好きだった人に合うような気持ち。 ケメは私の記憶のある限り、私の最初の王子様だった。 アーティストだけど、なぜかもっと近いところにいる人みたいに錯覚していて、近くにいるお兄ちゃんみたいな気がしてアルバムを聴いていた。
ケメの歌は同録している曲が多いのか、すごく身近に聞こえる。 ライブかと思うものも多く、いっせえので録っているなあと楽しい気持ちになる。
このアルバムもとてもかろやかに気分よく歌っているケメと なめらかで絶好調なピアノの音がよく聴こえて、ベースも自然にはねていて、 ギターもやかましくなくて、最大限にケメのあのボーカルが一番先頭にいる。 ああ、弱そうだけどがんばれって気分になってくる。
このアルバムでは「学生通り」が一番思い出深い曲。 ”学生通りを歩いてゆく 持ち歩くメモ帳に詩がひとつふたつ ぼくに届かぬ 君の気持が 捨てられていく詩がひとつふたつ
お茶の水から竹橋へ 辞書をひきながら君を待ったあの頃 早く来すぎたぼくを目かくし うれしそうに君はそのまま目かくし
わかってくれるだろ そう信じたいから この学生通り捨ててゆく
この歌のまねをして、あの頃は小さいノートを持ち歩いて、 詩をたっくさん書き散らしていたんだった。 寺山修司監修の本に詩を送ったりして。。。遠い日
| 2004年11月05日(金) |
「ジャニスへの手紙」 南沙織 1976 |
このアルバムが今頃になって聴けるとは思ってもいなかった。 ずっと、ず〜っと聴きたかった。 ソニーさん、再発ありがとう。うれしいうれしいです。
「ジャニスへの手紙」というタイトルの通り半分がジャニス・イアンの曲です。 ジャニスの曲、なんてシンシアにぴったりなんでしょう。 シンシアの声は女らしくて爽やかなのに、決して細い声ではないところが大好きです。 声質としては太いともいえるような気もします。 しっかりした声で それでもものすごく女性らしい、永遠の憧れです。
1曲目はあの大ヒット曲「哀しい妖精」のイングリッシュバージョン。 英語詩で歌うとより一層女らしいです。 メロディフェイクがとても自然で、自由自在なネイティブイングリッシュを感じます。 シンシアの歌はだれが歌っても真似はできません。 シンシアのように歌える人はいないと思います。 その声と歌い方の魅力を最大限に生かしたアルバムです。 英語の歌は本当にここちよく響きます。 意味がわからないのに、ひきこまれます。
ジャニスのあたたかいメロディーもいいけど、後半の「ロック天国」「SWALLOW SONG」 そしてラストのディランのあの曲「風に吹かれて」は圧巻です。
私はこんなにそよ風を感じる「風に吹かれて」を聴いたのは初めてです。
このアルバムを聴く事ができて本当に良かった!
| 2004年11月04日(木) |
「Lluvia」 今井美樹 1991.9.7 |
「Lluvia」は乾いた土に降る雨という意味らしい。
「雨」。 心がからからになってしまうと、このアルバムをよく聴いている。 作家陣が強力で布袋作品を歌う前の傑作アルバムだと思う。 タイトル曲の「Lluvia」が最高。 詩、曲、アレンジ、声どれも輝いていると思う。 この曲は作詞を今井さんご自身で書かれているが、今井さんという人はつくづく自然体で無理せずに書ける人だなと思う。 歌にしても無理はしない。とても正直でありのままだと思う。 最後の上田知華作詞作曲「DISTANCE」はクリスマスの恋人達の長距離電話の歌。 ”窓の下を急ぐ チェーンの音に今 あなたの声が途切れる ”こんなに離れても 愛しているけれど もうきっと君を守れない”
涙拭うことも ひとりきり眠ることも 苦しくはなかった 好きなように生きてきたつもり 今 今夜こそ この距離を越えたい 降りしきる世界に 何もかも消えてく Why don't we love Why don't we love
この二人はこの後どうなったんだろうか。距離を越えることができたのだろうか。
| 2004年11月02日(火) |
「retour」 今井美樹 1990.10.31 |
哀しい時や失ってしまったなあと落ち込む時は、いつも今井さんの歌にお世話になってます。 特にこの「retour」。フランス語で蘇生という意味。 人間が生きていく上で起こる色んな悩みや悲しみから解放されたいという意味らしい。
どの歌も言葉もよ〜くわかる。 人は哀しいときは泣いてもいいし、後悔してもいいんだよと教えてくれるような歌たち。 1曲目の「retour」では、新しい私に蘇生する、蘇るんだと歌っている。 ”体中 全てが 目覚めていく 変わるのよ 今すぐ 明日は違う私になる この街の 光も この街の 色彩も 気づいたの 自由は 私の腕の中にある
2曲目の「Sol y Sombra〜ソル イ ソンブラ」ではスペインを優雅に歌う。 それからしばらく日常的な喜び不安、悲しみなどを歌う。 「幸せになりたい」この曲は離婚した友達を優しく迎える友情の歌。 この歌にはわけもなく励まされた。
”冴えない夏の空 少しだけ蒼い海 灰色の高層マンション ダメになるヤツもいる だけど友達が待っている ここにおいで
渋滞は毎日 鳴らし合うクラクション 行く人はみんな急いでる 幸せになりたい ひとりきりだった悲しみと 昨日を 忘れて ここにおいで
「去年は、8月だった」ではたった1年で移り変わっていく気持ちを自分で怖れている。 ”たった1年が だけど1年が流れ いつしか 嘘がわかるほど 疑い深くなったわ
「泣きたかった」では知らず知らずのうちにためこんでしまった何かや ずっと前に封印していた哀しい想い出を突然思い出してしまって、 あの時は気づかないふりをして泣かなかったんだと突然今になって泣いてしまう。 この歌を聴いて泣いてしまった女性はどれくらいいるんだろうか。
「半袖」は辛いことでも、それは自分で選んだことだからと凛とした強さを感じる歌。
「冬のマーケット」「輝く星になって」も前向きに振り返る歌。
ラストは「新しい街で」
”空は 雲を抱き 樹々は 葉を歌う 雨は 虹を掛け 光は 地を包む
時が動きだす 私はここにいる
私の感傷的な気分だけでなく、音楽的にもよいものがたくさん詰っている。 岩里佑穂さんの詞がとてもありのままの人を書いていて清々しい。 上田知華さんやKANさん、柿原朱美さん、山口美央子さんらが今井さんにぴったりの色んなタイプの曲を作っていて、音楽的にも素晴らしい。
明日からもう一度がんばろうと思わせてくれる。
| 2004年10月31日(日) |
「TRUE」 中島美嘉 2002.8.28 |
「AMAZING GRACE」で始まる、最強、捨て曲一切なしのファーストアルバム。 デビューアルバムでここまでやれるアーティストがいるんだと愕然とした。 全曲、素晴らしい。楽曲、歌唱力、ともに全部すごい。 このアルバムは本当に聴き倒したので全曲歌えるようになった。 でも、のどが弱くて曲が難しくて歌えないんですけどね。
詞、曲、歌とすべてにおいて完璧に近いものを感じるけど、秋元康さんの詞がなんてすてきなんでしょう。
「WILL」
”「あの頃」って 僕たちは 夜の空を信じてた 同じ向きの 望遠鏡で小さな星探した いつもそばに 誰かいて 孤独の影 紛らせた 停電した夏の終わりに 手さぐりして キスをしたね
あれから僕はいくつの 夢を見て来たのだろう 瞳を閉じて見る夢よりも 瞳を開きながら あれから僕はいくつの 自由を生きてきただろう 運命の支配じゃなくて 決めてたのは 僕の「WILL」
過ぎてく過去は すべて 自分の通り道 この夜の空に 変わらない永遠が 見守っている
「STARS」
”あんなに離れてる 小さなあの星が 輝いているのは 想いを信じているからでしょう
手に触れられないと 存在しないような あきらめ方をしてしまうけど 遠い光 消えやしない
中島美嘉さんに一番あっている曲は「CRESCENT MOON」かな。 これは彼女の魅力を最大限に生かした1曲だと思った。 本当に何度聴いても飽きないアルバム。
| 2004年10月30日(土) |
「君と歩いた青春」 太田裕美 1981 |
このアルバムには伊勢正三さん作詞、作曲のあの名曲「君と歩いた青春」が収録されている。 この曲以外の曲は全部裕美さん作曲。詞はいろんな人が書いている。 これまで裕美さんが特に歌が上手いと思ったことはなかったけれど、 このアルバムを聴いてすごく上手いなあと初めて感じた。
最初の「セカンド・ランー二番館興行ー」はフォークソング調で始まるが、 サビからオーケストラもかぶさり、大きく盛り上がる。
「雪・一信」はちあき哲也さんの詞で、つぶやくように歌う歌で、 雪がしんしんと積もる音が聴こえそうな曲。
”好きになればなるほど あんな日々がもどかしくて 女だもの ただ、たしかめあえた胸の何かより いつもそばに ああ いられるようになりたかった So you miss me… I miss you
5曲目、LP時代のA面最後の曲は作詞も裕美さんで思いがこもっている。
”一度きりの青春 悔いはない あなたがいて 歌があれば 他に 何も いらない
「あなたのそばに…」
「くちぐせ」「Smile」「恋はミステリー」は裕美さんらしいポップでカラフルな曲。
ラストの「サヨナラの岸辺」が私は一番好き。 これは松本隆さんの作詞で松本さんの本音かなあと当時思いながら聴いていた。
”別れを口にしないのは たぶんまた逢える気がするからね この店を出て潮風にあたれば そこはサヨナラの岸辺
好きになるのがこわかった これだけは正直な気持ちなの あなたの腕をすり抜けて逃げれば そこはサヨナラの岸辺
このアルバムには私の大好きなアレンジャー大村さんと大好きな作詞家のKUROさんが参加されている。 お二人とも早くに亡くなられてしまった。 このアルバムのクレジットを見ると万感の思いがこみあげてしまう。
| 2004年10月28日(木) |
「こころの扉」 高木麻早 1975.7 |
中学生の頃に気に入っていて、針飛びだらけの盤になるほど聴いたアルバム。 高木麻早さんの声はふっくらとしていて、それでいて音域が広いようで、 低い声はしっかりとしていて、高い声も消え入りそうな声でなく、 自然にのびていく声。
このアルバムは全曲麻早さんの作曲で詞は色んな方達にお願いしたようだ。 麻早さんの音楽はフォークというよりちょっとカントリーっぽいと思う。 悲しい歌や静かなバラードでさえもリズミカルに弾んでいる。
シングルヒットした「すりガラス」。 この歌は麻早さんが歌っていくうえで、思い悩んでいる時期に作られた曲ということらしい。 窓の外がみえそうで見えないすりガラスに ご自身の気持ちを照らし合わせてみごとに気持ちのもやもやを表している。 しかしこういう歌でさえ、重たくならないところが麻早さんらしい。
「旅じたく」はウィッシュの伊豆丸礼子さん作詞で失恋の歌。 ”あなたがいなくても さびしくはないのよ という歌なのだけど、弾んで弾んでいかにも楽しそう。 高音もきれいで、ピアノも弾んでいる。
唯一「さようならの詩」は静かな愛の歌。 この曲だけが静かに語っていてアルバムにメリハリを与えている。
「不思議な気分」 この曲は別れた人を思い出して、もう一度やりなおせるかしら…という とても不確かなどういう状況なのかよくわからない歌だけれど、 これを聴いているとなぜか安らかな癒されるような気がする。 まさに「不思議な気分」になっていく自分を感じてしまう。 このアルバムはどの曲も不思議な安らぎを与えてくれる私にとって異色のアルバム。
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