私の音楽日記

2004年10月15日(金) 「永遠の少女」  松田聖子  1999.12.15


「永遠の少女」というタイトルはミスマッチかなと思う。
たしかに1曲だけ娘さんのSAYAKAちゃんが歌ってもいいだろうなと思える歌が収録されているが、あとは一皮むけた大人の女性の気持ちを歌っている。
10曲中8曲の歌詞を松本隆氏が書いておられるが、私は松本隆さんの詞が一番聖子さんの曲にあっていると思う。
決して難しい言葉を使わず、それでいて情緒豊かで深い感情を書ける松本さんの詞は
聖子さんの素直な声質にぴったりくると思う。
「櫻の園」は3月頃にシングルにしてほしかったきれいなきれいな曲。
「哀しみのボート」がシングルカットされたけれど、
次に「櫻の園」をシングルカットしてほしかったな。
   
   雨上がりの櫻の園
   散るために咲くから綺麗なの?
   雨上がりの櫻の園
   あなたの微笑を
   失って

   Song for you 散り急いだ
   無数の花が道を覆うの
   木の下で振り向くあなたの影
   さようならって手を振っていた
   櫻は別れの花

このアルバムの曲はどれもいい曲で捨て曲なんて一曲もない。

一番好きな曲は「エメラルド海岸」。
私はこの曲を聴いてから、秋になると「エメラルド海岸」はどこにあるかなと
秋だけののエメラルド海岸を探してます。

 太陽が海に溶けてく
 一瞬の静寂が好き
 予知夢ってほんとにあるね
 夢で見た景色そのまま

 エメラルド海岸にひとり
 季節はずれの避暑地には
 エメラルド海岸にひとり
 恋のかけらも落ちてない



2004年10月14日(木) 「えんぴつで作る歌」  平川地一丁目  2004.7.28


声が曲によってあまりに違うのでびっくりしてしまった。
痛々しい。
「とうきょう」と「君のくつ」は本当に同じ人の声なんだろうかと思うくらい違う。
去年、生で歌声を聴いていただけに、1年でこの変貌には驚いた。
すごく苦しそう。
特に「風は海を渡れる」「「ただいま」の予感」は歌詞も悲しい歌詞なので、なおさら痛々しい。ノドが痛そう。

曲は全体的に悲しく繊細な曲が多いけれど、
「星から吹く風」「君のくつ」「桜の隠す別れ道」「君との約束」「夕暮れ時の帰り道」など力作ぞろいでいい曲ばかりだ。
才能豊かなソングライターだと思う。

男の子を育てた事がないので、男の子の声はこんな風に変わるんだと感慨深く思った。
遠い昔の「フィンガー5」の晃の声変わりを思い出した。

声が安定したら、また色んな曲を歌ってほしいな。



2004年10月13日(水) 「ジレンマ」  斉藤和義  1997.2.26


このアルバムには魂がこもっている。
ギターの音、詞、曲すべてに気迫がある。
1曲目から10曲目まで全く力を抜かない。
こんなアルバムもあるんだなあと思った。

「郷愁」ではハーモニカの音が心を揺さぶる。

ちょっと郷愁を感じるけれど、もう行かなくちゃと明日へと向う姿が見えてくる。
これは隠れた名曲だ。とても深い。

「すっぱいぶどう」は頑丈な歌だなあと思った。エレキの音も私の好みの音。
何かに挑戦している。
ちょっとスガシカオさんに通ずるものがあるようにも感じた。

「印象に残る季節」のギターがまたいい。
印象に残る季節は冬と、冬を歌うにふさわしいアコースティックギターの音。
声も冬の夜を思わせる声にかわっている。
ギターと声が絶妙のバランスで何度も聴き込んでしまう。

「進め なまけもの」はまるで自分のことのようで、笑ってしまった。
言い訳して、もうきょうはここまでと、自分に甘くなってしまって
ああもう最後に笑えるなら、なまけものでもいいやと思ってしまう。
ギターの音が陽気でいい。

「ドライヴ」も空へのドライヴ。これもとてつもない名曲でしょう。
ほんとうによくできています。
「進め なまけもの」「ドライヴ」も冬の歌。
斎藤さんは冬が好きなのかな。

最後の「幸福な朝食 退屈な夕食」はちょっと難解複雑でかっこいい。
いろんなインパクトのある言葉が並べられている。
ちょっと佐野元春を彷彿した。

本当にいいアルバムです。



2004年10月11日(月) 「リトル・ファンタジー」  尾崎亜美  1979.10.5

尾崎亜美さんの5枚目のアルバム。
1曲目の「FOR YOU」はオープニングそのものの曲。
最近は1曲目に、いかにもこれから始まりますという曲を置かれているアルバムが減ったと思う。
ある意味最初の1曲目が勝負ともいえるので、最初から全力投球ということなのでしょうか。

このアルバムのオープニング曲「FOR YOU」は

 ”突然ですが、大好きです
  心の鍵で開けてほしい

学生時代の淡い恋の歌だけど、とてもインパクトのある詩で印象的。

2曲目の「Little Fantasy」はアルバムタイトルの曲にもなっているが、
結構難しい歌詞に色んな機械で音が作ってあるので、
当時は新しいなあと感じた。

他の曲もこの当時はとても新しかった。
歌い方や声も色々変える事のできる人で、「ジェシー」では今までとは全く違った歌唱力を感じたし、
「心にメイクアップ」ではサウンド面と歌唱面のどちらにも新しさと力強さを感じた。

「心にメイクアップ」の

 ”心にMake up 悲しいMake up"

にはハッとした。

「香港紙人形」は悲しい歌で、たった一日で旅立ってしまう人を歌っているのだが、
そこにはなぜか夢がある。
悲しいだけではなくて、これを越えて新しい自分を育てたいという意思が強く出ている。

亜美さんの歌にはたとえ悲しい歌でも常に新しい何かに挑戦するような強さを感じてしまう。
そしてどの曲にも小さいあるいは大きな夢がある。

これはサウンド面と歌唱力の両方から感じられるものかもしれない。
音の懲り方は半端ではないし、新しいものへの挑戦とファンへのサービス精神が旺盛な方なのだろう。
それでいてサウンドに頼らずきっちりと良い歌を作る方なので本当に尊敬してしまう。



2004年10月09日(土) 「トワイライトの風」  相曽晴日  1982.11.5

相曽さんのファースト・アルバム。
これも本当によく聴いた。ジャケットも素敵で湖に妖精がただよっている絵が描かれている。
きれいな青がいっぱいに広がっている。
私はずっとLPを部屋に飾っていた。この青を見ると胸がしんとした。
なんともいえない青。水色でもなく空色でもなく輝く青。

そして中身は本当に丁寧に丁寧に1曲1曲に全力投球したことがありありとわかる内容になっている。
当時彼女は高校を卒業するかしないかの頃だったのに、これほど完成度の高い曲を次々に生み出していた。
今も変わらずあたたかい心のこもった歌を作っておられるが、
このファーストアルバムはあまりにもしっかりと地に足の着いた原点。

1曲目の「トワイライト」はポプコン本選会で賞を受賞した曲だけど、歌詞が変えてある。
この詞もいいけど、もとの詞もよかったのにな。
私は2曲目の「コーヒーハウスにて」が一番のお気に入り。出だしが、
  
 ”風に色があるとかないとか
  隣では文学少女達が
  パイをつつきながら大論争

なんてきらきらした始まりなんでしょう。
秋になるとこの歌を口ずさんでしまう自分が今もいる。

「歳末の街角」も風景が目の前にうかんでくる曲。

 ”歳末の街角に募金箱を持った君がいた
   流れゆく人混みの中にポツリと独り立っていた

  貧しい人達の為に君はますます貧しくなった
   愛するひとよ なぜそんなに瞳が輝いているの

「金糸雀色の風」(かなりやいろのかぜ)はおそらく想像力をふくらませて書いたのでしょう。
いっしょうけんめいさが伝わる作品。

これをリアルタイムで聴いていた頃は自分自身もまだ子どもみたいなものでした。
相曽さんと同じような場所で聴いていた。

でも今は違って、ちょっと離れたところからああいっしょうけんめいに作った詞とメロディーなんだと
胸があたたかくなるような気持ちで聴けるアルバム。秋になると毎年聴く大切なアルバム。




2004年10月08日(金) 「小さな願い」  ル・クプル  1998.7.1


ル・クプルの歌はどの歌も安心して聴ける。
とんでもない冒険をしたり、奇をてらったりしない。
淡々と自分達の歌を歌うだけ。

私はル・クプルの歌は全部聴いているわけではないので、このアルバムが何枚目のオリジナルアルバムなのかわからないが、
1曲目の「逢えてよかった」から最後の「Tokyo love story」まで本当に温かくゆったりと聴ける。
「ひとつ屋根の下」「妹よ」「東京ラブストーリー」という大ヒットドラマの使われた曲に詞をつけたそうだが、
ドラマと関係なく楽しめる内容。

「それを恋と呼ばないのは」はちょっとジャズ風でおしゃれな一曲。

 ”世界の果てを教えてよ
  たぶんあなた知ってるんでしょう
  昔あなたと似ている人を
  絵本で見たのよ

  約束なんて破るためにあるって思ってるんでしょう
  胸に刺さった棘はまるで 天使の羽ね

ラストの「Tokyo love story」もとってもいい曲。
この曲だけはドラマで使われていた事をはっきりと憶えてる。
たぶん、印象的なシーンで使われていたのでしょう。

 ”言葉の代わりに 海の香りだけ閉じこめた手紙を
  子どものように眠る あなたに残して旅立つわ



2004年10月07日(木) 「哀しみの孔雀」  杏里  1981.9.21

このアルバムはちょっと不思議なアルバムで、LPレコードの方にはプロデューサーやミュージシャンのクレジットがあったのに、
CDの方にはそれらのクレジットはおろか、作詞作曲者の名前さえ書いてない。
どうしてこんなことになったのか不思議。
曲名だけしか書かれていない。

私の大好きなミュージシャン、ムーンライダーズを中心に
大貫妙子さんや佐藤奈々子さんパンタさんらが参加
もしくは作詞、作曲されていて、それは個性あふれるアルバムです。
おそらく杏里の数多いアルバムの中で、一番位置付けの難しいアルバムでしょう。
ファースト、セカンドと尾崎亜美さんの曲を中心として、ポップ感抜群であり、
翳りもあるという路線で来て、
第3弾でいきなり、アンニュイな世界に入ってしまう。
どうしてこの当時このような変わったアルバムがでたのでしょうか。

でも、私は非常に好きなアルバム。
個性の強い曲を杏里なりに淡々とある時は冷たく、ある時は弾んで、ある時はひたすら悲しく歌っている。

「白いヨット」

 ”真白いヨットが 入江をすべる
  真白い三角帆を 光でふくらませて
  夏の終わりを見とどけるように
  ヨットは沖へでていく

実に大人っぽいです。当時杏里は19か20歳なのですが、
大人っぽいけれど、背伸びはしていない。

「いつの日か Happy End」は当時杏里にぴったりの曲かな。
難しい曲をあっけらかんと歌いこなし歌のうまさが際立っている。

他の曲もとにかく背伸びしていないのに、大人っぽく淡々としている。

しかし最後の曲「哀しみの孔雀」だけは杏里のバラードそのもの。

これ以降のアルバムはポップ路線をひたすら走りつづけているようですが、
あれほどの歌の上手さなので、
またこの『哀しみの孔雀』のようなひたすら上手く淡々と歌うアルバムも
聴きたいと思ってしまう今日この頃。



2004年10月06日(水) 「風の伝説」  姫神  2004.4.21


姫神さんの現時点ではラスト・オリジナル・アルバムです。
しかし、きっと他にもたくさんの音源があるでしょうから、まだまだこれからたくさん発表されるのでしょう。
このアルバムはよく聴きました。
コーラスの練習の風景も見ましたし、姫神さんの演奏も見ました。
自然と音楽が溶け合う風のような音楽でした。
このアルバムを初めて聴いた時も
1曲目の「めぐり逢う星の夜」と2曲目の「海を愛した日」では、
歌声と東北の風が溶け合うような響きを感じました。

5曲目の「砂山・十三夜」が一番好きなのですが、すばらしいメロディーと音階とボイスで
風の中に暮しているような気がしてきます。
この懐かしいやすらぎは何なんでしょうか。

6曲めの「潮騒」でが一転して、しゃきっとした新しい何かを感じる事が出来ます。

7曲目の「野辺は澄み渡り」では不思議な音階に神経が集中し、

8曲目の「大地はほの白く」では姫神さんらしい落ち着いた演奏。

9曲目の「神々の詩」は聴き慣れた曲にもかかわらず、
ブルガリアン・ヴァージョンでは、すごみさえある歌声に吸い込まれそうになり、
最後の「風の人」で風の中に戻っていきます。

姫神さん、素晴らしい音楽をありがとうございました。
全国ツアー中に具合が悪くなるなんて信じられませんでした。
これからはご子息の吉紀さんが、姫神さんの音楽をさらにグレードアップされるのでしょう。
永遠に姫神さんの音楽は生き続けます。



2004年10月05日(火) 「SUPREME」  松田聖子 1986.6.1


聖子さんの1986年、SAYAKAちゃんが生まれた次の年に発売されたアルバムです。
このアルバムの曲はどれをシングルにしてもいいと思われるほど、完成度の高い粒揃いの力作ばかりです。
聖子さんの声にも透明感があり、なおかつ声に力があります。

私は「瑠璃色の地球」と聖子さん作曲の「時間旅行」特に好きです。
「瑠璃色の地球」はあまりにも有名な歌ですが、これはメッセージ色の強い歌でありながら、それを感じさせないところが魅力かなと思います。

「時間旅行」は松本隆さんお得意の情景が目の前に浮かぶような歌詞と
SEIKOさんのシンプルできれいな曲が印象的です。

このアルバムの曲は非常にバラエティに富んでいて、まさにアイドルの王道の曲から
「瑠璃色の地球」のようなバラードまで1曲1曲がまったくタイプの違う曲でありながら、
まとまりを感じさせるアルバムです。
なぜかなと考えてみたところ、トータルで白のイメージがあると思いました。
私にとってはどの曲も色にすると白のイメージがあります。
ジャケットの聖子さんも白のブラウスに、白い花を髪につけています。
花のように美しい聖子さんです。



2004年10月04日(月) 「Kahala compilation」  華原朋美  1999.12.22


最近、朋ちゃんをテレビでよく見かける。
「I'm proud」を何度か生で聴いたが、余裕で歌っている。
大ヒットしていた当時は苦しそうだった。歌詞も時々間違えていた。
小室さんがピアノを弾いているときはうれしそうだった。

今、聴く「I'm proud」は軽々と余裕で歌っている。歌いこなしている感じである。
前は一生懸命で必死だった。ハイ・トーンもちょっと苦しそうだった。

朋ちゃんの声は大好きなので、小室さんとの最後の共演となってしまった「kahara compilation」を今も時々聴いている。
この頃の朋ちゃんの声は本当に一生懸命で、輝きとしてはMAXだと思う。
当時、安室奈美恵ちゃんもがんばっていたけど、朋ちゃんの方はある程度の余裕を持って
よい仕事をしていたと思う。
本当にきれいな声だ。
このアルバムには収録されていないが、当時小室ファミリーで歌っていた歌でも朋ちゃんが一番光っていた。

どの曲も素晴らしく小室さんの控えめながら主張する不思議なサイドボーカルもとてもいい。
「LOVE BRACE」「LOVE IS ALL MUSIC」「I BELIEVE」「I'm proud」「save your dream」は永遠の名曲。
「save your dream」は朋ちゃんにしか歌えない歌だと思う。
本当に二人の息がうらやましいくらいにあっている。
小室さんは朋ちゃんの声のよさを最大限に引き出していた。
「Just a real love night」なんか最高!また二人で歌ってほしい。

でも、小室さんは自分の気持ちを歌詞にする人だから、
「You don't give up」あたりからだんだんと気持ちが移り変わっていく事がわかる。

朋ちゃんの今の声は自信に溢れている。
プロなんだからまた、できることならもう一度二人で歌ってほしい。

このアルバムを聴いていると、素晴らしい歌唱力と同時に運命の儚さも感じる。
でも、華原朋美さんは素晴らしいアーティスト。
これからもよい歌をどんどん歌ってほしい。


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