私の音楽日記

2004年10月03日(日) 「星になった涙」  加藤いづみ  1992.6.19

「星になった涙」  加藤いづみ  1992.6.19

もともと加藤いづみさんの声が好きだが、このアルバムはタイトルと高橋研さんの曲が多数ということで買ってみた。
高橋研さんはアルフィーや中村あゆみさんに曲をたくさん提供され、ご自身の歌もすごくスピード感があって爽快なものが多い。
そんな高橋さんの曲を加藤いづみさんがどんな風に歌うのかすごく興味津々だった。
聴いてみたらこれはうれしい裏切りだった。
高橋さんの書く曲といづみさんの声がすごく近く近く寄っている。
どちらも近づこうとしている。

2曲目の「ドライヴ」。
一体どこへドライヴに行くのだろう。まるで星へのドライヴみたいだ。

「想い出がいっぱい」「ナチュラル・ガール」「あくびの午後」はいづみさんの声にぴったりの曲だ。
「シェルブールの雨」はこれはいい曲。名曲でしょう。

 ”シェルブールの雨が この街にも
  天使の歌声のように降る
  心の地面が渇いている時
  失くしかけたものを
  想い出させてくれるよ 雨が

「髪を切ってしまおう」では

 ”髪を切ってしまおう
  あの人が一番好きだったものを
  だめにしてしまおう
  生まれかわるために

私の学生時代には失恋したら髪を切る人がいた。
今はどうなんだろう。

ラストの「太陽になれない」はアップテンポで元気で悲しい曲。

 ”歯車が狂い始めたら 直しに来てほしい
  あなたのこと好きな気持ち 変わらないけど
 
  太陽にはなれない 輝きは弱くても
  月の光のような そんな生き方が好きだから
  
  太陽にはなれない ごめんね だけど私
  夢みているよ いつか その胸の夜空に浮かんで
  あなたを照らすよ

ホント、そうやなあって思ってしまう。



2004年10月02日(土) 「風の扉」  鈴木祥子  1990.3.1

鈴木祥子さんのサード・アルバム。

曲のバラエティが非常に富んでいて、音も厚みのあるものからシンプルなものまでいろいろとつまっている。
どんなに音がぶ厚くなっても、あくまでもアコースティックを貫きとおしている。
この独特なアコースティックなアレンジは誰が手がけたのだろうと思ったら、
西平彰さん、ああ、納得。

一曲目の「風の扉」は扉がぱーっと開くような鮮やかな曲。
二曲目の「愛はいつも」もこれもとってもいい。
ちょっとハスキーだけど
あくまでも透明感のある祥子さんの声がひびきわたる。

  ”愛は いつも正しいと思う
  愛は たぶん力だと思う
  愛は いきる勇気だと思う

ギター1本で歌う「危ない橋」にはまいりました。
ギターの弦がキュッと鳴り、滑り出すような声と戻れない時。

ラストの「雪の夜に」は小泉今日子さんに書いた「優しい雨」に通じるものがある。
しんしんと静かな夜に雪がひっそりと積もっていく。

 ”はかない想い出が
  心に積もるように
  白い雪 舗道を埋めてゆく



2004年09月30日(木) 「THE LOVE MAP SHOP」 チューリップ  1981.3.5

チューリップの多数のアルバムの中でこのアルバムはとてもバランスがとれていて
充実している。何よりも音が良い。
この音の良さは音にうとい私にでもわかる。

ジャケットでは「THE LOVE MAP SHOP 24 HOURS OPEN」となっている。
まだ、24時間営業がメジャーな存在ではなかった頃のこのタイトルにはセンスを感じた。

タイトル曲の「The Love Map Shop」は

 ”ひとり歩きに 疲れたら
  ここへくれば いいさ
  Love Map Shop 迷った人はみんな
  Love Map Shop ここで買ってゆくのさ
  Love Map Shop 自分の地図を

とオープニングにふさわしく、財津さんらしい招待状のような曲で始まる。

次の「さよなら道化者」は財津さんにありがちな未練がましい歌。
私は基本的に男子が女々しいなよなよした歌を歌うのはいやなのだが、
財津さんに限ってはおおいにかまわない。
大いに泣いてほしいし、オーバーにやってほしい。
この歌は最後に馬鹿騒ぎになっていくのが面白い。なぜ、こんなことになったのだろうか。

「さよならの真ん中で」は宮城さんの作詞、作曲でとてもチューリップらしい曲。
この曲は当時よくコンサートの半ばで歌われていて、
コンサートにメリハリがついてとてもいい感じだった。

そしてこのアルバムにはラストにあの名曲「Shooting Star」が収められている。
この曲は長くチューリップのコンサートのラストナンバーになっていた。

 ”宇宙をかける 流れ星のように
  心に翼つけて いま 旅立て

本当に財津さんらしいいい曲。
このアルバムはオープニングとラストの曲があまりにもよいため、
アルバム全体を引っぱり上げているような気がする。本当に名盤。



2004年09月29日(水) 「accelerando」  石川優子  1986.5.21


アクセラランドゥとは音楽用語で「次第にテンポを速めて」という意味。
石川優子さんが次第に大人っぽくなっていった頃のアルバム。
作詞は優子さんと秋元康さんで作曲は全曲優子さん。
もともときれいな声質で歌の上手い人なので、どんな歌もそれなりに歌いこなせる。
このアルバムでは全曲優子さんが作曲されているので、当然ご本人のベストな曲作りになっている。

始まりの曲「夏のボサノバ」ですでに大人の女性へのテンポを速めている。
今までのかわいいイメージでなく、格段に大人の女性をめざしている。
声は美しいだけの声でなく、より一層、つやのある声になりメロディーにしっかりとのっかっている。

「週末のレイクサイド」はとても自然で自由。
 ”AH- わがまま聞いて 24時間
  大事な書類もばらまくように
  AH- わがまま聞いて せめて1日
  無駄な時間を 過ごしてみたい

「愛を振り向かないで」は優子さんの名曲の中の1曲。
本当にしっかりと完成されたバラード。

「消息欄」はドラマの主題歌にでもなりそうないなくなってしまった恋人を探す歌。

 ”「電話を待つ」と名前だけの短いメッセージ
  最初の言葉 ドラマの筋 思いめぐらせている

  印つけた 消息欄 小さく折りたたむ
  何度だってくり返すわ 手がかり見つけるまで

新聞の「消息欄」を気にとめたことがなかった私が、この歌でたびたび消息欄を見るようになった。
「電話を待つ」「心配している」「連絡待つ」などの短いメッセージにこめられた強い祈りを感じた。

「二ールサイモンも読みかけのままで」も素晴らしいバラード。
  ”二ールサイモンも読みかけだったのに
   私達の恋は終わり
   二ールサイモンも読みかけだったのに
   いつのまにか 閉じてたページ
   思い出さえもめくれない あの頃の恋

ラストの「セ・ラ・ヴィ(それが人生)なんて早すぎる」はこのアルバム中で一番明るくポップな曲。
優子さんお得意のポップ感。
とっても明るくて思わず口ずさみたくなるような軽やかさ。

 ”セ・ラ・ヴィ そんな言葉で片づけないで あなたらしく生きて
  セ・ラ・ヴィ 人生なんて わからないもの どんな風に変わるか

どの曲もしっとりといい曲で、最後が明るく軽やかという最高に聴き心地よいアルバム!









2004年09月28日(火) 「CIRCLE」 RAG FAIR  2004.9.8


ラグ・フェアの夏の終わりにふさわしいアルバム。
一回聴いただけで、腕をあげたなあと思った。
あくまでも基本はアカペラで、ピアノとギターのエッセンスがところどころに散りばめられている。
「Dip! Dip! Dip!」はアカペラでここまでやれるんだと感動さえおぼえた。
今回のアルバムの曲はとてもとても暖かい。
 
 ”I wish for peace
平和であるように”
   「昼寝」
 
 ”そうさ 人は
  誰かを愛すためにここに生まれた
  白い微笑みくれるツボミのように
  なにげない毎日にすべてがあるさ
  君が笑うと僕も笑えるんだ”
    「Seeds of love」

 ”柔らかな日差しの中に
  遠い日のぬくもり抱いて
  何度でも何度でも咲く あなたの側で咲く
  あたたかな花でありたい
   「HANA」

「嘘をつかないで」のアカペラ+ストリングス+ビブラフォンというのはこんなにも微妙な音がでるのかと驚いた。
まさに声の楽器と金管楽器が融合している。深い音。まさに傑作。
最後の「愛の言葉は落ちた」の「落ちた」部分では本当に音が落ちている。

「GOOD LUCK!〜旅立ちのエール〜」はお得意のポップ・ナンバー。
シングルになった「君でなければ」は財津和夫さんの曲でサビの部分がもろに財津ワールド。
コーラスもチューリップっぽい。
財津さんの歌も聴いてみたくなる。

ラストの「at the circle」もいい。元気がでる。

 ”まわりまわるよ 全てのことは
  本当に人に譲れる人は いつか譲られる日も来る
  信じ信じられて 生きること
  僕らはみんなどこかで繋がっている

前作より格段によい。
礼央さんの声もますます磨きがかかっている。
メンバーのみなさん、くれぐれも声をノドを大切にしてください。



2004年09月27日(月) 「水色の季節の風」  西島三重子  1978.6.25


西島三重子さんのアルバムの中では最も好きなアルバム。
「水色」とタイトルではうたっているけど、白のイメージが強い。
最初の曲が「白いプロローグ」だからかもしれないが。
  
 ”窓ガラスについた手のひらのむこう
  どこまでも広がる空へ飛びたい
  あなたを越えて高く
  そうよもっと高く

青空というよりも白い空へ飛んでいく紙飛行機のような気がしてしまう。

「リルケの詩集」は景色がそのままで描かれている。

 ”おぼえてますかあの頃のこと
  学生通りの小さな古本屋で
  私がいつも立ち読みをしてた
  ほこりをかぶったリルケの詩集

私はこの歌をきっかけにそれまで立ち読みして買わなかった「リルケ詩集」を買った。

ラストの「水色の季節の風」は水色だけど、限りなく白いあるいは透明な水色。

 ”ひとりで歩くことは
  とても不安だけど
  今はもう想い出の中の
  あなたに笑われないように
  さよならさよなら
  あなたは走ってゆく
  水色の季節の風が吹いて
  私の髪がゆれる

「リルケの詩集」「水色の季節の風」は門谷憲二さんの作詞。
あの頃、ケメや泉谷さん、加奈崎さんらにたくさんの名作を書いておられた。
今はどうしておられるのか。



2004年09月26日(日) 「親愛なる者へ」  中島みゆき  1979.3.21


79年のアルバム。私はこのアルバムからみゆきさんの歌をよく聴くようになった。
それまでは特に好きではなかった。
1曲目の「裸足で走れ」でこの人は詩人だと思った。私は学生運動は経験していないけど、学生運動の匂いがした。
2曲目の「タクシードライバー」はすぐに絵が浮かんだ。失恋して泣きながらタクシーに乗り込んだ女性と運転手さん。運転手さんは悪いと思って無関心を装う。
「狼になりたい」もすぐに絵が浮かぶ。狼になりたいでも決してなれない。
「断崖ー親愛なる者へー」はなんて力強い歌だろう。断崖で強い風をうけながら立ち尽くす人。

  ”風は北向き 心の中じゃ
   朝も夜中も いつだって吹雪
   だけど 死ぬまで春の服を着るよ

「泥海の中から」これも力強い。

  ”ふり返れ 歩きだせ 悔やむだけでは変らない
   ふり返れ 歩き出せ 明日は少し ましになれ

「ましになれ」というこの一言にひかれてしまう。

「片想」は歌詞を間違って歌ったものをそのまま収録している珍しい楽曲。
間違っているのにそのままにしたという事は、よほど歌入がよかったんだろうか。

このアルバムは生まれて初めて詩人の歌を聴いたなあと思ったアルバム。
印象的。



2004年09月25日(土) 「Eternal-One」  辛島美登里  2001.2.21

辛島美登里さんの初めての全曲カバーアルバムです。
デビュー12年目にして美登里さんは
「20世紀たくさんのいい音楽があったなぁ。いいものはどこにいっても輝きを失わない」
と思われてこのカバーアルバムを作ったそうです。

収録曲は

1.星影の小径
2.楓
3.あなたの心に
4.二人のDIFFERENCE
5.秋の気配
6.白いくつ下は似合わない
7.さよならを待ってる
8.最後の言い訳
9.恋するカレン
10.瑠璃色の地球

「あなたの心に」はアレンジが全然違うので、まるで違う曲のようです。

「秋の気配」もとても軽やかに変えてあります。
もっとしっとりと歌うのかと思っていましたが、
軽やかなアレンジで(ちょっとサンバ?)よい意味で原曲を壊してます。
ほほう。。。う〜んとおもわずうなずきました。

「二人のDIFFERENCE」はドリームズ・カム・トゥルーの曲ですが、
まるで美登里さんのオリジナルの用で、歌詞も美登里さんが書いたかのような気持ちにさせられます。
 
 ”私だけが忘れられない
  あなたはもう新しい毎日の中で
  少しも私を 思い出さない…

「白いくつ下は似合わない」はユーミンがアグネス・チャンのために作った歌で、
この曲はすごくいい曲なのですが、ユーミンも歌うこともなさそうだし、
埋もれていくのは悲しいなと思ってました。
美登里さんがカバーすることによって、この歌のよさがまた再確認できて良かったです。
ああ、すっごく切ない。誰でも若い頃にこういうこと、一度はあるでしょう。
 
 ”歩道橋の上でよりそって
  並木道 見下ろして
  きみとどこまでも歩きたいと
  云ったのは うそなの

  失くしたものなど何もないけど
  白いくつ下 もう似合わないでしょう

ドリ−ムズ・カム・トゥルーの曲はもう一曲あって「さよならを待ってる」。
これは美和ちゃんがすごい節回しで歌っている歌ですが、美登里さんはささやくように
素早いスピード感で歌ってます。

 ”さよならを ずっと待っている
  今 その瞬間を 待ってる
  どうかかなえて この願いを
  一言でいい 声を聞かせてよ 声を聞かせてよ

美登里さんの歌もいいんですが、美和ちゃんの歌詞がこれまたいいです。

徳永英明さんの「最後の言い訳」、大滝詠一さんの「恋するカレン」は結構オーソドックスに歌っています。お手本のような歌い方。
「恋するカレン」の方はアレンジがベンチャーズみたいで面白いです。
 
 ”いちばん近くにいても
  いちばん判り合えない
  いちばん大事なものが
  いちばん遠くヘいくよ
 
私は「楓」が一押しです。この曲はスピッツの歌で一番好きな曲です。
美登里さんの歌はオリジナルをある意味超えました。
楽曲が一人歩きし始めました。

ラストは松田聖子さんの「瑠璃色の地球」ですが、締めくくりにふさわしい曲です。
最初、アカペラで始まりくっきりと輪郭が浮かび上がります。
この曲はあまり意識したことがなかったのですが、確かに20世紀の名曲です。
美登里さん、ありがとう。



2004年09月24日(金) 「蜜」  柴咲コウ  2004.2.11

「蜜」  柴咲コウ  2004.2.11

柴咲コウさんの「月のしずく」は古典的な仮名遣いと新人離れした個性的な声が印象的でした。

 ”「恋しい…」と詠む言ノ葉は
  そっと 今、天つ彼方
  哀しみを月のしずくが 今日もまた濡らしてゆく

「サヨナラ」が印象的な「いくつかの空」も収録されています。
秋元康さんがシンプルないい詞を書いています。

 ”サヨナラ サヨナラ
  あなたと別れて
  サヨナラ サヨナラ
  一秒後でも 
  サヨナラ サヨナラ
  振り向いてしまう

曲もシンプルでとても印象に残ります。
柴咲さんの歌う曲は全体的にシンプルでわかりやすいと思います。
最近はAメロ、Bメロ サビ、だけでなくCメロ、Dメロ、
時にはEメロくらいまである曲があるので、
特に柴咲さんの曲はシンプルでわかりやすい曲に聴こえるのかも知れません。
中島みゆきさん作詞、作曲の「思い出だけではつらすぎる」は三拍子のちょっとフォーク調の曲で
歌唱力のある柴咲さんは上手く歌っていて、
難しいものにもチャレンジしていこうという意思が感じられます。

私が一番好きな曲は「惣忘草」が一番のお気に入りです。
これも語尾が変わっています。妙に丁寧語です。

・・・なくしました。  ・・・できましたやっと  ・・・忘れたりしません これからも

 ”すがりつく 過去たち 捨てることで
  あたしは今本当の解放を知る
  やがて見たあのときを抱えながら
  生まれかわります 明日の為

少し和風な言葉と新人とは思えない堂々とした歌いっぷりで、
とてもファーストアルバムとは思えないほど完成度の高いアルバムだと思います。

このアルバムには収録されていませんが、「かたちあるもの」は名曲だと思います。
詞、曲、声が見事なまでに合っています。



2004年09月23日(木) 「Best」  中森明菜  1986.4.1

「Best」  中森明菜  1986.4.1

中森明菜さんもかなり好きなシンガーの一人です。
デビュー当時から歌唱力があり、年齢の割に大人びた雰囲気でした。
私は「北ウィング」の頃からその楽曲のよさ、声のよさ、歌のテクニック、雰囲気すべてが好きになっていきました。
たしかレコード大賞を2年連続で受賞され、どんなタイプの歌も自分なりに歌いこなし、
テレビで見かけない日はないくらいで、存在感がありました。

久々に初期のベストアルバムを聴きました。
「サザン・ウィンド」の風が疾走するようなスピード感、「SAND BEIGE-砂漠へ-」の異国情緒豊かなアレンジとメロディーラインと切ない歌声、
陽水のちょっと変わった曲「飾りじゃないのよ涙は」を軽々と歌いこなし、
「SOLITUDE」「ミ・アモーレ」なども10代とは思えぬ安定した歌唱力…。

私は「十戒」「禁区」「1/2の神話」「少女A」のつっぱりといわれた一連の歌が当時大好きでした。
別に外見がつっぱっているわけでもないのに、歌いだすと迫力満点でした。
あと「SAND BEIGE」「TANGO NOIR」「ジプシー・クイーン」などの感情のこもった歌も雰囲気が出ていていいです。

歌によって次から次へと色んな女性に変身する明菜さんの新曲が待ち遠しかったです。

どの曲も今も色褪せない聴き応えのある曲ばかりです。
最近は色んなタイプのカバー曲も歌っておられる明菜さん、
これからもまた色んな歌を聴かせてください。


 < 過去  INDEX  未来 >


mitsuko [HOMEPAGE]