| 2005年10月28日(金) |
I Was There |
常連さんのお連れ様で、50代くらいの上品な紳士。私のかけたポール・マッカートニーの、2002年東京ドームライヴに激しく反応。「何ですかこれは。こんなものが存在するわけがない」
聞けばまさにその日のライヴを観ていたらしい。
そうか・・・世の中には「ブート」ってものを知らないヒトがいるんだなあw
でも自分の行ったライヴの音なり映像なりに接したら、そりゃ嬉しいよねえ。私も最近はまるちゃんのおかげで、彼と一緒に行ったザ・キルズやR.E.M.のライヴ音源を入手している。全て私の「きゃ〜〜〜〜〜っ!!!!」って絶叫入りだけどw (まるちゃんゴメンよ。いつも、録ってるなんて全く気づいてなくて)
でも一番有難いのは、2002年11月10日さいたまスーパーアリーナのレッド・ホット・チリ・ペッパーズの映像が存在すること。何回も何回も何回も見たわ。客席は暗いので見えないけど。でもあそこに、前から2番目のど真ん中フリー寄りに、私が埋まってるんだよ。
殺人的に混んで、開演前から女の子たちが次々と酸欠で運ばれる中、片足を上げたら下ろせなくなった姿勢(しかも斜めに傾いて)のまま40分も待ち、レッチリが登場して1曲目のBy The Wayを演奏しだすや周囲のあまりの盛り上がりに軽く溺れかけ、前から2列目だっていうのに視界に何も入らず埋まっていきながら、ああ私はここで死ぬんだなあ、心残りはライヴを最後まで見られなかったこと(って。まだ1曲目だってのw)と思いながら、しかし何とか立ち直って最後まで観た。上からヒトが降ってくるのに耐え、全身打ち身だらけになり、誰かの眼鏡をグチャグチャに踏みつぶし、私の耳元で大声で(しかもムチャクチャな英語で)歌いまくる男を「アンソニーの声が聞こえない!」と威嚇し、Can't Stopで号泣し。
個人録音やブートに批判的な人っているけど。でもねえ、あれが保存されているなんて本当に有難いよ。大切なのは心の中の思い出? その通りだと思うけど、でも。
いや、もう、何もかもどうでもいいや。とにかく。とにかくね。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズは、この世で一番素晴らしいバンドです。バンドという言葉はレッチリの為にある。
ライヴという言葉はレッチリの為にある。(あ、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの為にもあるかもしれないなw)
ところで50代の紳士(何とビートルズ来日公演を観たという!)は、私がたまたま持ち込みしていたAcetatesやEsher Demosといったビートルズのブートに大感激。「ビートルズは全部聴いていたつもりだったのに・・・」と言う。
・・・この世には「ブート」ってものを知らないヒトがw
紳士は連れの常連さんに、「今日ここに連れてきてくれて有難う」とおっしゃっていた。そう聞くと私も嬉しいわ。
音楽は本当に、素晴らしいですね。ね?
(11/8up)
I Was There (私がそこにいたんだ) *Green Day の曲。(1991)
店が大混み。この頃何故か日・月のほうがよく混む。逆に木・金が入りが悪い。
今日お店に来てすぐ、ナッズを聴いてみた。前からジャケで気になっていたのだ。そしたら1stの1曲目からいきなりかっこいい。数回聴いて、次に3rd(2ndは店にない)をかけた。これもいい。ポップな印象になり、Only One Winnerのイントロなんかローラ・ニーロのWedding Bell Bluesみたいだ。メンバーを見れば、何とトッド・ラングレンがいた。へー、あの人、バンドなんてやってたんだ。ワンマンな印象が強いので意外。
そこに入ってきた、初めて見るお客様。「これ、トッドのどのアルバム?」という。思わず嬉しくなって、「お客さん耳いいですねえ。これトッドじゃないんですよ。彼のいたバンドで1967年デビューで。1stのドラミングなんかフーばりで。トッドよりロックな感じでいいですよ」なんて一気に喋ってしまった。
後からこのお客が、某超有名音楽雑誌の編集長だと知る。・・・うっわー、私そんな人を相手に講釈たれちゃったよ。
しかし彼はナッズを非常に気に入ったらしく、「明日CD買おう」と言って帰っていった。お客が私がかけた曲を気に入ってくれるのが、この仕事をしていて一番嬉しい。
Crowded (大混み) *Nazz の曲。(1968)
14時から15時くらいに、三軒茶屋でカーボー(g)たちと会う予定。の、筈が。
12時にカーボーからの電話で起こされる。・・・ぎゃっ。寝る筈じゃなかったのにぃ。
・・・まあ、金曜は寝てないし。土曜は一日中外出して、帰ったらすぐ天使(b)がうちに来て。彼が帰った後、そのままベッドに戻って寝ちゃったんだ。・・・そりゃそうだよなあ。
って言ってる場合じゃ。普通に準備したら16時のところを、スペシャルな根性を入れて15時過ぎに三茶に到着。だって今日は、メチャクチャ久しぶりにNakeesの演奏が聴ける。・・・いや、もうNakeesじゃないけど。でもオサムさんとNOGGYくんがやる。
一年ぶりの「三茶de大道芸」。去年と同じ場所。同じガレージ。
どういうわけだか。この、一年前のことを思い出すと胸がつまる。前の夜は新宿でオールして、家に帰ろうと中野まで行ったが、ふと反対方向の電車に乗り換えて三軒茶屋へ行ったのだ。
自分の服装は覚えていないが、ピンヒールブーツだった。私にしては低いその靴のかかと(8cm)を浮かせめにしながら、オサムさんのまん前に立っていた自分をはっきり覚えている。その時私は哀しかった。自分の行き先を家から三茶に変更した時点で既に哀しかった。具体的な心境はもうわからないが、哀しいという感情は今も覚えている。今、一年前の今日の日記を読むと、驚いたことに泣きそうになる。もう忘れてしまっているが、私は確かに、何かをそこに書きつけたらしい。
到着したら、カーボーもまっちゃんもオサムさんたちに混じって演奏していた。久しぶりに会うNOGGYくん(b)は何だか男らしくなってた。彼と話し込んでいたら、カーボー達が'Come Together'を弾きだして私を呼ぶので、歌った。修さんもキーボードで加わり、何曲か適当にやる。
自分が引っ込んでから、Nakeesの曲も聴いた。久しぶりで嬉しいけど、特に曲を作り直したわけじゃないから、単にドラムが抜けた状態になっていて、それだとやっぱり喪失感があるのが残念。
去年の私はひたむきなほど真剣に演奏を聴いていた。それに比べ今年の私は集中力がない。けれど、今年の方が何だか気分がいい。地べたに腰を下ろして、もらったお酒を飲みながら聴く。ずーっとここにいてもいいな。
michiちゃん(vo)と話す。去年と雰囲気が変わった。フェミニンな感じから、可愛いらしくなったねと言ったら、「彼氏が出来たせいだと思います」としゃあしゃあと抜かし・・・あ、いや、おっしゃいましたw 「私もダメな人が好きだったんですけど。いつも自分が好きなタイプと違う人をいいなと思った時が、ダメじゃない人とつきあう時だと思うんです」と真剣に語ってくれた。いい子だなー。しかしね、ソレとっくによーくわかってるんだ。わかってるってところが問題なのよ。・・・ああ、この人となら幸せになれるんだろうなあ・・・と思いつつ、無言の笑顔で通り過ぎた相手がどれだけいたことか。
タクシーで下北沢に移動し、17〜19時リハ。終了後にGeoff(g)にばったり会う。よくここを使うらしい。
かつて無言の笑顔で通り過ぎた相手だったりして。今となっては手遅れだろうが。
(11/6up)
一年ののち *フランソワーズ・サガンの著書。(1957)
| 2005年10月21日(金) |
帰って 帰って 帰ってよ |
TDが、連れと二人で来店。さすがに今日は一人では来られなかったんだろうな。だって前回私は彼に、「帰ってくれる?」と言ったんだから。勿論お客にそんなことを言ったのは初めて。
彼は最近よく私に電話してくる。午前3時とか朝の6時に「用はないんだけど」とかけてくる。要するに好かれてるらしい。
だがまだ24歳の彼は人づきあいが恐ろしくヘタで、好きな相手にからんでは怒らせて嫌われる。最初のうちTDはこの店に同僚と来ていたが、全員怒らせて今では一人だ。今日の連れも、さっき電車で初めて会ったんだという。
彼は私にもよくからむ。だが私は他の人たちと違い、結構言い返して動じなかった。そのくらいの方が彼にはいい。
例えば会話はこんな風だ。まずTDがやたらと頻繁に時間を訊く。だから私が言う。
「何で時間を気にしてるの?」
「別に。え?時間訊いちゃいけないの?」
「いいけど。そこの携帯見ればいいじゃん」
「え?これは時間を見るためにあるんじゃないから」
「だったら私も、時間を訊かれるためにいるんじゃないのよ」
このくらいでちょうどなのだ。
けれど前回はそれが度を越したので、「もう二度と来ないでくれる?」と言ったら、一度はうろたえて謝ったのだが。結局は「帰って」という結果になった。
まあ要するに、酔いが度を越したってことだ。それが三日前の話。
今日TDの連れは私に、「彼はあなたを大好きらしいですよ。失礼なことを言ったので、謝りたいそうです」とさかんに言うが。他人に言わせてどうするんだよ。
対人関係において不器用な人種は嫌いじゃない。だから私はこういう人間を、つまりはトラブルを呼び寄せる。
自分をコントロール出来ない人間は好き―――でも、面倒臭いんだよね。
帰って 帰って 帰ってよ *ナンバー / 赤痢 (1985) の歌詞。
CROSS ROADから1分のAman Girlという美容室でカット。ここは、表から見た雰囲気が良さそうだったのでRonnyに薦め、仕上がりが良かったので店のお客にも薦めた。けれど自分で来るのは初めて。
飛込みで入ったら、たまたまRonnyと店の客の担当(偶然同じ美容師)があいていたので、彼女に切ってもらう。
女性の担当はものすごく久しぶり。そのせいか、いつになく喋りまくる私。いや、私はお喋りなんだけど、美容師だけは苦手なんだ。いつ寝るのかとかいつ食べるのかとか、どうでもいい質問ばかりされるのがいやだった。バンドのことを訊かれるのが一番嫌いだ。たいして興味もないくせに、「どんな音楽をやっているんですか?」とか気軽に訊かないでほしい。
だけど何故かこの子の場合は、こっちがだーっと喋ってしまった。かなり若い子で、ちょっととぼけた感じがいいのかもしれない。
けれど、もうRonnyとは別れたので、彼はここには来ないと思いますよ、と言った私に、「やっぱり別れても、お店に飲みに来てはくれます?」と訊いたのには、言葉が止まった。
いやあの。アナタもご存知の通り彼は神奈川県大和市在住なので、普段は高円寺どころか東京都にもあまり来ないんですけど。そもそも彼は店の客ではなく、基本的には私と過す為に私の出勤につきあっていたんだし。っていうか、とにかく別れたら普通来ないでしょ。いや、私は「普通」じゃないので、今となっては例え彼が毎週来ようが単にお客として歓迎出来るけど。でもあちらがね。普通はね。
・・・という説明もする気になれず、一言「・・・いえ、来ませんけど」と答えたら、「えー、来てくれないんですか? ・・・別れるって不思議ですねえ。つきあっている時はしょっちゅう会っていたのに、急に全然会わなくなるんですもんねえ」と無邪気な顔で言う。
・・・そうか。美容院でのひと時っていうのは、何の接点もない異邦人との密着した2時間を強いられることなんだ、と今更ながら気づく。あちらも大変だろうな。まあ、素直で可愛い子だし。いっか。
(11/4up)
異邦人 *アルベール・カミュの著書。(1942)
| 2005年10月19日(水) |
Black Coffee |
ゆっくりお休みで幸せ。休日は水・土だが、土曜は殆ど予定で埋まるので、水曜に家でゆっくりすることが多い。
なのに軽くキレかける。いや、もう最近では毎日だ。
けれど、少し前から私の中に変化がある。パニックを起こしながらも、前向きに色々なことに対してやる気が起きている。
ベースを取り出して、カルトのWild Flowerをコピーしてみる。恐ろしく単純なベースライン(けれどかっこいい)だから、ものの5分でコピー出来た。ガール・ブラザーズのReaching Oneもやりたいのだが、音域が5弦ベースのそれなので、弦を思いっきりゆるめないといけないのが面倒。
本も読む。またヤフオクで色々買ったし、武田くんにもらった本も沢山ある。最近はまたミステリー中心だ。ようやくフィクションを読む気力が出てきた。ノンフィクションは誰にでも読めるが、フィクションを読むのは技術と体力がいる。
DVDで「コーヒー&シガレッツ」を見る。大分前に半分見て、今日は後半を見た。11の短編から成るが、どの話も1〜2人の人間(他にはせいぜいウェイターくらい)がカフェや自宅でコーヒーを飲んで煙草を吸っているだけのワン・シチュエーション。画面はモノクロで、コーヒーの黒と煙草の白の強調だ。会話の妙味が中心と思いきや、主役ははっきりと「コーヒーと煙草」だ。
11の話に出てくるコーヒーと煙草は、全部同じトーンで統一されている。監督の好みなんだろう。コーヒーはいつも冷めている。待合せ相手のぶんも来る前に注文しておいたりするし、注ぎ足されると「ちょうどいい温度だったのに」と嫌がったりする。やたらと砂糖を入れてでかいスプーンでかき回すし、何故か人数分以上のカップがあったりして、がちゃがちゃした雰囲気が好きらしい。カップは口の広いものばかりで、その上を煙草が行き交うから今にも灰が入りそうだ。
カフェイン中毒としては、当然コーヒーを飲みつつこのDVDを見る。最近はマグカップを布コースターにおくことが多かったが、久しぶりに受皿つきの広口のカップにしてみた。がちゃがちゃ言わせながら、冷めたのを飲み干してみたりする。砂糖は絶対に入れないけど。
(11/3up)
Black Coffee *アガサ・クリスティの著書。(1930)
| 2005年10月18日(火) |
彼女の心は真つ直ぐい! |
きのぴー来店。見るたんびに印象が違う子だが、今日は何故か「おばちゃん」になってた。えらく可愛いおばちゃんだけど。
友達同士をくっつけようとしていると話すきのぴー。そんなヒマがあれば自分の彼氏を見つけろと言う私。
きのぴーはいいヤツだ。前回来店してくれた時は、帰りに家の鍵をなくしてアパートに入れず、人に頼んで梯子立てて二階の窓から入ってもらったらしい。・・・何で窓が開いてるんだよ。おまけにその経験から出た結論が、「もう鍵はかけない」って、おい!!
きのぴーはいいヤツだ。前回来店した時に、「さっき高円寺の民家の前で山羊を見たんです」と言って、常連さんに「ノイローゼですね」と言われて憤慨していた。なのに今日もまた別の常連に笑顔でその話を。・・・懲りないなあw
何か単純に会えて嬉しかったわ。またね、おばちゃんw
彼女の心は真つ直ぐい! *中原中也の詩集「山羊の歌」の一節。(1930)
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