| 2004年09月17日(金) |
Were you there? |
* この日の日記を書くのは、本当に体力のいる作業だった。辛い。けれど忘れたくない。
20時半にTACさんと待合せ。の、筈が。
到着したのは21時半。今日は遅刻とわかっていながら久々にメイクした。精神的に武装したかったのか、単に綺麗になりたかったのか。
今日、あれから初めて新宿に来たのだ。
イタリアン・レストランで夕食。赤ワイン、サーモン、ピザ、パスタ。かなりの量を食べる。
この後、BLACK AND BLUEの前まで行こうと思っていたら。TACさんに連絡が入った。何と、今からBLACK AND BLUEの店内に入れると言う。
レストランはBLACK AND BLUEの目の前だったので、すぐに行く。店の外におっちゃんがいた。
店内へ。マスターの大学時代のご友人の方々が沢山いた。MATTさんと別府さん(お目にかかるのは初めて)に声をかけていただいた。
TACさんに呼ばれてカウンターの中に入る。もちろん初めてのこと。
CDの棚も初めて見る。すぐにローラ・ニーロの 「Eli And The Thirteenth Confession」を探し始めるが、見つからない。私が初来店の時、マスターが1枚まるまるかけてくれた、私のベスト5に入るアルバム。マスターが「棺桶に入れたい1枚」と言っていた。それがどこにも見当たらない。常連さんたちが泣いたり怒ったりしているのをよそに、サーチライト片手に探す探す探す。「イーライがない」とぶつぶつ呟きながら。
見つけた。ひっつかんで呆然と見る。探せなかったわけだ。これ CD-ROM だ。見れば他のも殆どがそう。焼いては売ってしまっていたらしい。
マスターが自分で作ったラベル。ローラ・ニーロの名前のスペルが間違ってる。棚に戻す気になれなくて握りしめていたら、常連さんが 「持って帰りなよ」 と言う。別の常連さんはBLACK AND BLUEのメニューを1枚もらっていくよう言ってくれた。
常連さん7、8人で、追悼の飲み会が始まった。私はカウンター内に入り、皆にお酒を出す係をする。照明も同じように暗くして、CDもかける。
音楽を担当していたTACさんが、突然私を呼んでCDを差し出す。タイトルが、「For BUNNY Disc 1&2」
2枚組、44曲入り。ビートルズから始まり、ポルナレフ、クライマックス、ヤング・ラスカルズと続く。10cc、B.C.R.、トラフィック、アニマルズ、ボウイ、ニール・ヤング、ツェッペリン、レオン・ラッセル、デラニー&ボニー、キンクス、S&G、ティラノザウルス・レックス・・・
私の大好きな曲ばかり。しょっちゅうBLACK AND BLUEでかけてもらっていた曲の数々。
他の人のぶんはない、とTACさんが言う。実際には他の人用のもあったのだが、ラべルまで作ってあったのは私のだけだったんだそうだ。
そのCDをTACさんがかける。
―――― Stage Fright ――――ザ・バンド。
歌っているリック・ダンコが死んでることだけで充分だ。なのにこの曲にもうひとつの死が加わってしまった。
一番最後の歌詞はこうだ。
Let him start all over again. (彼に、はじめからやり直させよう)
ジャックのロックを飲んでも飲んでも酔わない。
カウンター上のあちこちにある丸いブルーのライト。BLACK AND BLUEの内装の象徴。このライトがつかない。飲み始めた23時頃から何度も皆でスイッチを探すのだが、見つからない。悔しいな。つけたい。
午前5時ちょうど。ストーンズの武道館ライヴの Jumpin' Jack Flash がかかった。常連さんたちが湧いた。その瞬間に。
ブルーのライトがついた。
私はカウンターの中にいた。皆の動きは見えている。誰も何も触ってない。
それまでもずっと泣いていたが。
とうとうたまらなくなって、表に出る。階段を下り、明るい路上に座り込んでわんわん泣いた。
男の子が声をかける。何で泣いてるの? ここのマスターが死んじゃったのよ!と投げつけるように言う。ああそうか、俺も今日大切な仲間と別れて辛くて。 ――― くどくどと何か話しているが頭に入らない。
MATTさんが隣に来て座る。この人はマスターと25年来の友人なのだ。さぞかし辛いだろう。その彼が私に「ごめんな.。俺の力が及ばなくて」 と謝る。――マスター、どうしてこの人にこんなことをさせるの? どうしてこんな思いをさせるの?
7時まで飲んだ。家に帰ってみたら、泣いても落ちないはずのマスカラが見事に落ちていた。物事には限度があるらしいw
持ち帰った3つの品を目の前に置く。ローラ・ニーロのCD、BLACK AND BLUEのメニュー、「For BUNNY」のCD。
昼まで眠れず、3時間だけ寝て仕事に行く。
| 2004年09月16日(木) |
just keep going |
月曜の夜、というか火曜の早朝に感じた、あの 「死ぬもんか」 という思い。
あれがすでに揺らぐのを感じる。
あることがあって、またもいつもの 「死んじゃいたい」 気分が甦ってきた。
ただ決定的に違うのは、私の中に 「死んではいけない」 という基本が出来たことだ。だからこの気分は、飽くまで気分にとどめる。
ようやく。日曜以来のやりきれない思いを麻痺させることが出来るようになってきた。
考えまい。考えまい。仕事して、食べて、寝て、それだけで時間をやり過ごそう。
今日はちょっと変わった経験をした。
ある男性(会うのは今日で3回目)が、どうしても私の部屋でコーヒー1杯飲んで一時間一緒に過ごしたいと言うのだ。何度も断ったがかなりしつこい。
彼はもちろん私にたいして下心があるわけで、それは隠していない。だけど、今夜はコーヒーを飲ませてもらえれば満足して帰るというのだ。
しまいにはお金を払うと言い出した。断ったがきかない。「いくらならいい?」 と言うので、私のかつての月給を言ってみた。「30万円」
――――払った。驚いた。そもそも財布にその金額が入っていることが驚き。どうやら40〜50万は入ってたようだ。
本当にマンデリンを1杯、いや2杯飲んで一時間で帰った。「高いコーヒーだったなあ」 と嬉しそうに笑っていた。
彼が帰ってから、何だか笑ってしまった。・・・私って、金になる女だったんだなあw
これって売春なのか? 売春を別の言い方で売笑と言うが、確かに笑顔は売ったよね。
・・・お金か。嫌になるな。私、この先大丈夫か?
| 2004年09月14日(火) |
Rocking, drinking...so I'm still Screaming Bunny. |
日曜の夜は朝まで電話、月曜の夜は朝まで飲み。なのであまり寝ていない。疲れた。
3時間だけ寝て、仕事へ。今日は起きた時からぼうっとしている。もうあまり何も考えたくない。
今日は店にAS(g)夫妻が来訪。久美子さんが「元気出して」とお花とお菓子を差し入れてくれた。二人を相手に普通にお喋りする。
カウンターの中にいると、やはり仕事の意識があるせいか自制がきく。バイトを始めていて良かった。しかも夜の仕事で良かった。毎晩自由な時間がたっぷりあったらと思うとぞっとする。
何と、bbs会員のTTが来てくれた。彼とは去年新宿ロックバーCで一度会っただけ。なのに、サイトを見て、店を探し当てて来てくれたのだ。感激。
TTはどうやらASを気に入ったらしく、「今度二人で札幌ビール工場に行きませんか?」 と口説いていた。・・・すてき・・・・・。
ところでこの仕事、もう3週目になるが。
どうやら向いているらしい。来てくれた友だちも皆、立派にこなしていると言ってくれるし、何より自分が楽しい。
ここはロックバーではないものの、ロックやジャズをかけるショットバーで、私がカウンターの中に立って一人でやっている。こういう仕事は初めてだが、結局これをやろうと思ったのは、BLACK AND BLUEのマスターの影響がかなり大きい。
そしてこの仕事は当然の帰結でもあった。私は、社会復帰したらもうScreaming Bunnyではいられない筈だった。サイトも閉じるかもしれなかった。ところがこのやり方なら、働きつつScreaming Bunnyをキープしていける。
| 2004年09月13日(月) |
Let's hope that we continue to live. |
携帯メールの着信音で目が覚めた。何件か来ているメールの殆どがBLACK AND BLUEのマスターのこと。
・・・ああ。夕べの記憶が甦るよりも早く、この件を突きつけられるのか。
いきなりこの件で一日を始めるのか。
きついなあw
のろのろとシャワーを浴びて着替える。服もバッグも靴も全て黒にする。こんなのは自己満足よと思いながら、アクセサリーまで黒を選ぶ。
香水も今日は変えた。ぼうっとしていたのでアンティークの香水壜を取り落とし、ニナ・リッチをひと壜床にぶちまける。
出勤。少し遅刻。
常連さんから携帯にメール。これからBLACK AND BLUEの前まで行くんだと言う。
どうやら今夜は、それぞれ店の前まで行った常連さんたちが、近くの居酒屋に集まって飲んだようだ。ロック・バーに行く気分にはなれなかったんだろう。
私も行きたかったなと思うが、すぐに、いや行かなくてよかったと考える。常連さんたちとどっぷり思い出に浸るなんてとても耐えられない。
23時半近くなってTACさんが店に来た。0時過ぎには猫ちゃんも来た。
猫ちゃんがいつになく饒舌で、何だか気が紛れた。二人が好きそうな曲を色々かけた。
レッチリの Dosed もかける。私なりの追悼。
All I ever wanted was your life.
(生きていてくれさえすればよかったのに)
2時に、「ラスト・ソングです」 とS&GのScarborough Fair 。
猫ちゃんは隠れ家へと去り、私とTACさんは近所の居酒屋へ飲みに行く。さっきまでは一応仕事中だったのでこらえられたが、またも泣いてしまう。
二人とも、ただ悲しいというよりも、納得できないという思いが強い。マスターに文句を言いたい。でもそれすら出来ない。泣きたくなんかないんだよ、畜生!と思う。
ふと、「BLACK AND BLUEを返してよ」 という言葉が出た。あの店は私の人生の一部でもあったのに。ああいう場所を、居心地の良い場所をつくっておいて、どっぷり気持良く浸らせておいて、いきなり取り上げるなんて。ひど過ぎる。
私はあの空間を、行くたびに100%享受していた。そして結局それはマスターがつくった空間で、彼の人柄の反映だった。素っ気なく冷たいはずの黒と蒼の色彩が、やわらかく優しくぼやけていた。
6時半にTACさんと別れて帰宅途中、歩道橋を渡った。途端にいつもの不安感が襲って来る。
私には、不安神経症のひとつなんだろうが、少し変わった高所恐怖がある。飛び降りたくなるのだ。特に歩道橋はそれが強く、たまに中央付近で立ち止まり下を見てしまったりすると、車の流れに吸い込まれそうになる。
その衝動をぐっと抑えつける。
私は死なない。
今が一番、先の見えない時だけど。
誰か、助けて。私は生きていくから。
Let's hope that we continue to live. (生き続けられることを願おう) *ポール・サイモンがライヴ中に客に「何か言ってくれ!」と言われた時の言葉。
| 2004年09月12日(日) |
can't catch |
水谷くん(g)が起きたので朝食を作る。と言っても冷蔵庫がカラなので、コーヒー、温めたロールパン、クランベリージャムとマーマレード、ハムステーキのみ。
デラニー&ボニーと、水谷くんが今はまっているというレイナード・スキナードのビデオを見せてあげる。・・・全く夕べから二人とも飽きないこと。
水谷くんは12時に帰る。
午後にBLACK AND BLUEの常連さんからメール。まだマスターと連絡がつかないと言う。
夜になってもお店が閉まっているらしい。とうとう常連さん達が警察に行ったという連絡が入った。
どうも落ち着かない。動きがあればすぐに連絡が来ることになっていたが、待っておれず、こちらからメールで訊ねた。3分後の23時に 「まだわからない」という返信が来た。
ところが。そのたった3分後に、今メールをくれた人物から電話。
ぞくっとしながら電話に出る。
訃報。
最悪の。
いくら何でもこんなことは想像していなかった。
気づいたら、「いやだ、いやだ、いやだ」 と繰り返していた。
何それ。意味がわからないんだけど。
どうして。なんでそんな。どういうこと。
意味がわからないんだけど。
常連さん達から電話が入る。こちらも数名に連絡する。
夜中じゅう、常連さんの一人と電話で話した。怒って、泣いている。こっちも泣いてる。頭が痛い。眠れない。朝10時まで起きていて、それから気絶するように眠った。
| 2004年09月11日(土) |
talk about rock |
22時半に水谷くん(g)と会う。お酒や食べ物を買って我家へ。
ハノイ、ガンズ、ブラック・クロウズ、ホールのビデオなど見る。
ロックは美学がなきゃ駄目よ!という話をする。「というか、それ以外何があるんだ!」 と水谷くん。だよねー。
二人、飽きもせずえんえんとロック話。
5時頃、水谷くんが眠くなってソファベッドで寝る。私はしばらくPCしていたが、爆睡する水谷くんを見ていたら妙に眠くなったので少し横になる。
この夜、BLACK AND BLUEの常連さん二人から電話があった。店が金曜から閉まっているらしい。(確かに私が3時に行った時も閉まっていた)
マスターは自宅の電話にも出ないし、携帯は電源を切っているという。見れば、毎日必ず更新するbbsも止まっている。
臨時休業なら必ず店のbbsに書く人だ。確かにちょっと異常事態ではある。何事もなければよいが。
前の日記へ |次の日記へ