ひとりごと
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結婚して以来十数年、一度もゆかたを着て出かけていない。 「ゆかた姿で電車に乗ったり街に出たりするものではない」 と言う祖母の言葉が頭に残っていて、 ゆかたを着る機会を減らしているのかもしれない。 結婚してから住んでいるこの街で、歩いて行けるところでのお祭りはなかった。 だからと言って、わざわざゆかた姿でバスや電車に乗って 出かけるのは気恥ずかしかった。
でもそんな考えはもう古いらしい。 今のゆかたは「浴衣」ではなくて「おしゃれ着」だ。 華やかに着こなして生き生きと歩くお嬢さんたちや、 涼しげにしゃっきりと粋に着こなす大人の女性を見ては、素敵だな、と思っていた。 夏になり、お店や街で昔とは違う色とりどりのゆかたを見ては、いいな、と思ってきていた。 今年こそ買おう、と思いつつ、着る機会のことを思い、買いそびれていた。 でも今年こそ、ゆかたを着て花火大会にでも行ってみようか?
買い物帰り、着物屋さんを覗いてみた。 今の時季、着物よりゆかたのほうがメインのようだった。 昔ながらの柄ゆきだったり、ポップな模様だったり、まるで着物のような豪華さだったり ゆかたのバリエーションは豊富だった。 ちょっといいな、と思うものの値札を見てため息。。 ひと夏に一度か二度着るかどうかわからないものに、このお値段は贅沢かもしれない。 帯や下駄まで合わせて考えると、夏中さんざん着られるワンピースが2、3枚買えそうなくらいだ。 にこにこと近づいてきたお店の人に、正直にそう言った。 「それでもちょっと合わせてみるだけでもいかがですか?」
そう言われて、お店の人が選んでくれたものと自分で気に入ったものを何枚か着てみた。 久しぶりにゆかたを羽織り、姿見で見てみると、やっぱり嬉しかった。 帯を見立ててもらい、下駄も履いてみた。 ほんとにほしくなってきた。 「お似合いですよ」とほめられたのは、昔ながらの藍色の地に、 白と薄紫のマーガレットのような菊の花が、川の流れのように散らされているものだった。 お店の人にことわって、鏡の中の自分を鏡に撮らせてもらった。 「主人と相談してまた来ます」と、ほとんど買う気満々で店を出た。
家に帰り、妹にはゆかたの様子をメールで送り、母と電話で相談した。 「そうねぇ。○子も●子も持っているし、あなたも1枚くらい…。 お誕生日のプレゼントになんて、どうかしらねぇ?」と言ってくれた。 そうしたら、母の後ろで妹の声がした。 「ゆかた、着ていないのがあるから送ろうか?」
聞くところによると、婚家でゆかたと帯と下駄、一揃いを買ってもらったらしい。 着る機会もなく、これからも着るつもりはないのだと言う。 「そんな4万も5万も出して買うことないよ。送るから着て?」と言ってくれた。 「どんな柄?」と聞くと 「たしか、鳥の模様だった。」と言う。 鳥の模様! それは嬉しい。 ご縁かもしれない。 もう夕方になっていたけれど、宅配便ですぐに送る手配をしてくれた。 わくわく♪
妹が、携帯電話で撮ったゆかたの柄をメールしてくれた。 「ユーモラスな鳥」とコメントがついていた。 う〜んと…。 たしかに思ったよりもポップな鮮やかな色合いの鳥だった。 でもゆかたにすると素敵かもしれないものね。 本物はきっときれいよね。 すぐに届けば、土曜日の花火大会に着ていけるかもしれない。 夫は花のゆかたが気に入ったようだが、でも鳥のゆかたも待ってみようか、と言っていた。
鳥のゆかたが飛んでくるのを待っている。
7月21日。 この年になっても、この日付を思うとわくわくする。 長い夏休みの始まりの日。
明るい光と暑さに目を覚まし、 あわてて飛び起きようとして、今日が7月21日の朝であることを思い出す。 そうだ。今日から夏休みなんだ! 嬉しくて、顔がくっくと笑えてしまう。 もう一度、薄い夏がけを体に巻きつけてみるけれど、胸が躍って寝てなんかいられない。 反動をつけて、起き上がった。 階段を下りると「あら、早いわね」と母の声。 妹たちはまだ寝ているらしい。 私は裏口から庭へと回った。 隣との境のブロック塀に自分の影がくっきりと落ちていた。 強い陽射しに照らされて、白く浮き上がって見える手がミルキーみたいだと思った。 この手は夏休みの間にこんがりトーストされるのだろう。 庭では朝顔の花の数と、向日葵の花の向きを確かめた。 サンダルからはみだした足の指とくるぶしが朝露にぬれた。 濃い草の香りに包まれた。 夏休み最初の朝の空気をいっぱいに吸い込むと、また顔が笑ってしまうのだった。
あれは何年生の夏休みだったのだろう? まだ塾も受験も関係のない年頃。 7月21日と言うと、あの朝を思い出す。 夏休みはたくさんの楽しみだけでできているように思っていた。 表紙が塗り絵になっている宿題帳も、色鉛筆で塗り分けた円グラフの「1日の予定」も 今が夏休みであることを実感させるガイドブックなのだった。 あぁ、よかったな。 幸せだな。 これから42日間の長い休暇が待っているんだ。
朝顔市で買ってきた朝顔の色は夏の朝の空の色。 シジュウカラが落としてくれた向日葵の花は二重丸の太陽。 今朝、まだ涼しい庭でこの花たちを見て、夏休みの子どもの気持ちに戻っていた。
専業主婦の私にとっては、毎日が休みのようで、毎日が仕事のよう。 私なりの夏休みを作ろうか。 まだ真っ白なカレンダーを色とりどりの楽しみで埋めようか。 早春に見た黄色い蝶が予言したとおりの輝かしい夏になりますように!
月曜日に「禁・米、小麦」を言い渡されてから ケーキやクッキーのお菓子類も食べずに過ごしてきた。 まだ一週間足らず、そんなに不自由はしていないのだけれど、 試しにそば粉でお菓子を作ってみようと思い立ち、インターネットで検索。 そば粉のガレット(クレープ)とパンケーキのレシピを入手した。 ガレットは生地を一晩寝かせたほうがおいしいらしいので、 とりあえず手軽にできるパンケーキを作ってみた。 そしてちょっと遅めのティータイムに、夫といただいてみた。
う〜ん、素朴。 こんなものなのかな? もう少し工夫できそう。 でも夫は「もういい」と言う。 生地はたっぷりできたので、少しゆるめて明日はガレットを焼こうと思う。
そのあと夫と一緒に雨の中、スポーツクラブに出かけた。 大きなバッグを肩に掛けて傘を差し、歩いているとふらふらする。 昼間に何週間かぶりで草むしりをしたので、足腰にきてしまったのかもしれない。 「疲れているのなら、運動は適当にしとき。」と夫が言ってくれた。 でも久しぶりだし、体はだるいけれど、やる気はいっぱい!
ジーンズと長袖シャツからハーフパンツとTシャツに着替えた。 軽くストレッチをしてから、エアロバイクでウォーミングアップ。 目に入るのは、ハンドルを握る自分の腕とペダルをこぐ腿。 …あれ?赤いぶつぶつがいっぱい〜〜〜! なんか変だと思ったら、ジンマシンが出ていた。 ジンマシンのときに運動は禁物だ。 ストレッチをしている夫に声をかけて、残念だけれどあがることにした。 スポーツクラブでお風呂に入り、隣のスーパーで買い物をして家に帰った。
ゆっくりと調べてみると腕や足、首筋とおなかにジンマシンができていた。 頭がふらふらするのも、アレルギーで血圧が下がったときのものだ。 原因は、やっぱりそば粉のパンケーキだろうか? ほかに口にしたものはないのだから、きっとそうなのだろう。
病院でのアレルギー検査は、当然のことだけれど調べたものについてしか判らない。 今回は、怪しげな「米」と「小麦」のことしか調べなかった。 きっとまだほかにもあるとは思っていた。 「ソバ」どうもダメみたい。
残念。 明日のガレット用の生地がたっぷりとあるのに。 そば粉でそばがきを作るのも楽しみにしていたのに。 十割蕎麦だってまだ食べていないのに。 また食べられる主食がひとつ減ってしまった。
夕食は、たっぷり野菜のラタトゥイユとサーモンとキノコのソテー、昨日のタイ風カレーの残り。 夫にはパスタを添えて。 大丈夫なメニューのはずだったけれど、食事の最中からめまいが始まった。 ジンマシンと呼吸困難も出てきてしまった。 今度は一体何が原因だったの? 食事のたびにこれでは、困ってしまうなぁ。
たぶん体がこの暑さに慣れて、元気になれば治ってくるのだと思う。 きっとこの梅雨時だけ(と思いたい)。 もう少しの辛抱だよね。
禁・米、小麦になっても、家での食事はまだマシだ。 自分で作るので、意識して使わないようにしたらいい。 お米や小麦に代わるものを使えばいい。
今夜のメニューは、夫も私も好きなタイ風カレーとタイ風のサラダ。 料理教室で教わったメニューなのだけれど、これが簡単なのに本格的でとてもおいしい。 食材店で売っているグリーンカレーペーストを油で炒めてココナッツミルク一缶を注ぎ、 一口大に切った具材を入れて煮込み、ナンプラーとシュリンプペースト、お砂糖で味を調える。 そして、ごはんではなく、お素麺でいただくのだ。 ヒリッとした辛さのカレーを、つるんとしたお素麺が和らげていくらでも食べられる。
普通のカレーだったら使うはずの、小麦粉を炒めて作るルーもこのカレーにはいらない。 グリーンカレーペーストの原材料を調べたけれど、小麦粉は入っていなかった。 今日の具材は、鶏肉とナス、ピーマン、パプリカ。 お素麺は残念ながら食べられないので夫の分だけゆでて、私はしらたきでいただくことにした。 どうだろう?と思ったけれど、これはなかなかいいみたい。 いつものようにおいしく食べられた。 豆苗ともやしと海老のサラダも、甘酸っぱいドレッシングでさっぱりとおいしい。
辛い辛い、暑い熱い、おいしいおいしい、と汗をかきながらの夕食。 夏はこんなエスニック料理が似合うよね。 米、小麦抜きでも、カレーが楽しめてよかった!
まさかね、と思っていたのだけれど 本当に「米」と「小麦」がアレルギー源だったらしい。 北海道旅行の最終日に始まって以来のひどいジンマシンの原因…。
ちょっと疲れて敏感になっていたらしい。 日光にあたっている手首足首、バッグを掛けている腕の内側、ジーンズの縫い目が当たった腿、 キャミソールのレース、お風呂でこすったところ、インコがとまった腕、 バスの座席で冷気に当たった首筋、スポーツクラブで汗をかいた胸元。 そんな刺激でジンマシンができた。 かゆくてたまらない。
一番つらいのは、食事の後に必ずジンマシンが出ることだった。 ひどいときには、頭がふらつき、喉がつまった。 夕食後はほとんど毎日横にならずにはいられなかった。 夫にさんざん言われて、先週やっと病院に行った。
お医者さまは、小学校のころの担任の先生を思い出させる初老の女性だった。 私の腕や首を診察し、話を聞いてうなずいて「機械性ジンマシンね。」とおっしゃった。 バッグが当たった場所や、掻いたところにできる刺激性のジンマシンをそう言うらしい。 それから、食べ物のジンマシンについて「心当たりは?」と聞いてこられた。 もともとハウスダストや動物の毛など、アレルギーはいろいろあるのだけれど 食べ物のアレルギーは生の大根と、何年か前に小麦が「擬陽性」と診断されたくらいだった。
「小麦が擬陽性だったの?怪しいわね。」と先生はメガネの向こうの目を光らせた。 「でもパンやパスタを食べていないときでもできるし。あとはごはんくらいしか…」と口ごもると、 「米、と言うこともあるわね。米と小麦で調べてみましょうか。」と先生。 血液を採りながら「米や小麦が原因じゃないといいわね。」と慰めるように優しくおっしゃった。
それから一週間、とりあえず出していただいた抗アレルギー剤のおかげで ジンマシンはだいぶ軽くなり、体も楽になっていた。 原因不明の呼吸困難やジンマシンもたまにはあったのだけれど。 このまま体力が回復したら、もう起きないかも、と思っていた。 なのに。 今日、診察室に入った私が椅子に座るとすぐに先生はおっしゃったのだ。 「米も小麦も出たわよ。アレルギー。」
ショック。 「このくらいのスコアだと、症状が出ない人もいるのですけれどねぇ。」と先生。 「少し疲れていて体力が落ちていることもあるのでしょうか?」と伺ってみると 「そう。そう言うこともあるかもしれませんね。」とおっしゃった。 そして「まぁ、しばらく断ってみましょう。」ときっぱり言われるのだった。 え?お米や小麦を断つ? そんなことを人一倍食いしん坊の私に先生はさらりとおっしゃるの? 何を食べたらいいの〜!?
「小麦…と言うと、パンとかパスタとかダメなんですよね。」と聞くと 「それからケーキ、クッキーなどのお菓子類。」と先生は続けた。 ショック、ショック! 昨夜食べたトマトのパスタはおいしかった、クッキーはまだ残っていたな…とぼんやり思い出していた。 北海道土産のラーメンもまだ2食分残っていた。 あぁ、早く食べておけばよかった。
2週間分の薬をいただき、2週間の米・小麦断ちを言い渡されて病院を出た。 おなかがすいた、と感じて時計を見ると、もう1時を過ぎているのだった。 何か食べて帰ろう、と思って、とまどった。 ハンバーガーやドーナツのお店には入れない。 私は何を食べたらいいの? 結局フライドチキンのお店でコールスローとカプチーノで簡単すぎる昼食をすませた。 隣の本屋さんで、温野菜サラダの本を買って帰った。
お米やパンやパスタが食べられないのなら、野菜やお肉やお魚を摂ろう。 朝食にはフルーツやヨーグルトを食べよう。 デザートは、プリンやアイスクリームだったら大丈夫ね。 これはちょうど、低炭水化物ダイエットになるのじゃない? そう、そう思えばヘルシーで美容にもいい、かも。 よく考えたら、主食にはお蕎麦や春雨だったら食べられる。 一度作ってみたかったソバ粉のガレットなんかも試してみよう。
夫や友だちと食事をするとき、焼きたてのパンやほかほかごはん、おいしそうなケーキを見て それはつらい思いをするのだろうな。 どうかできるだけ早くアレルギー症状が消えますように。 せめてこの夏のうちに治ってほしい。 パンやケーキや炊きたてのごはんを食べる日が夢のようだ。
| スズムシの悲劇!アリの悪夢… |
2005年06月26日(日) |
ショック! スズムシが全滅してしまった。 たった一晩で…。 アリにやられてしまったのだ。
急に暑くなった昨日、私は夏バテで食欲もなく、ごろごろと過ごしていた。 夫は元気に朝も昼もおやつももりもりと食べ、 スポーツクラブに行ってお風呂にも入り、さっぱりとして帰ってきた。 夕方になっても、しんどそうにごろごろとしている私を見て、「蛍を見に行こう。」と誘ってくれた。 「それで帰りにあの釜飯屋さんに行こうよ。」
少し涼しくなり気力も戻ってきたしそれもいいな、と私は起き上がって支度をした。 先に玄関に出て待っていた夫が「あ!アリの行列!」と大きな声を出した。 見てみると、玄関のドアから、小さな小さなアリが細い行列を作り、たたきを横切っているのだ。 目的地は靴箱の下に置いたスズムシの飼育ケースらしい。 「餌を見つけちゃったんだね。あとで分けてやらなくちゃ。」と気楽に考えて外出した。
人がいっぱいの暗い里山で、池を覗き込んで蛍を待ちながらも、アリのことは憂鬱だった。 去年も部屋に入り込んだアリの行列の撤去に、苦労したのだっけ。。 アリは本当にしぶとい。 「でも、まさかアリはスズムシを食べたりしないよね?」 「うん、生きている虫を食べたりはしないでしょう。」 なんて、私たちはのんきな会話を交わしていた。 それでも、餌を食べつくされてスズムシが飢えてしまう前にはなんとかしてやろう。
ほんの1、2匹の蛍を眺め、ちょっと涼しい気持ちになって満足して、やっとおなかがすいた。 家の近所の釜飯屋さんで食事もできて、私は元気になって帰ってきた。 そのときにすぐに見てやればよかったのに、蒸し暑さと夏バテのけだるさ、 暗い玄関でアリをより分ける作業の鬱陶しさを思って、明日にしよう、と寝てしまったのだ。
そして今朝、やっぱり蒸し暑くてだるかったけれど、なんとか朝食をとり、鳥たちの世話もした。 さぁ!スズムシちゃんたちの救出だ!と、入れ替え用の予備の飼育ケースを持って 玄関に行き、まだアリの行列が続くスズムシの飼育ケースを覗いた。
いない! スズムシが1匹もいない〜〜〜。 私の声に、夫も部屋から出てきた。 「そのナスの裏は?植木鉢の中にも?土の中にいるんじゃないの?」と声をかけてくれた。 ううん、いないの。 スズムシハウスの裏にも、中にも、土の上にも1匹もいないのよ。 小さなアリが、土の上を這い回っているだけだった。
ひげ1本、脚1本残っていない。 跡形もなく、スズムシはいなくなってしまった。 もう1cmくらいになって、もうすぐ羽も生えそう、なんて昨日の掲示板に書いたばかりだったのに。 大切に育てたスズムシたちは40匹ほども元気に育っていたのに。 涼しげな鳴き声を楽しみにしていたのに…。 小さなアリたちに略奪されてしまった。
暑さも忘れて、私は玄関を洗った。 水を流し、デッキブラシでたたきをごしごしとこすった。 もうアリはこの中に入れない。 たたきから玄関の上がりがまちをよじ登ってきている数匹のアリも、すぐにとってしまった。 虫に対しては寛容な私だけれど、大切な家族のスズムシをやられてしまっては許すことができない。 ぽたぽたと汗が滴り落ちた。
スズムシちゃん、ごめんなさい。 早く見てあげればよかった。 せっかく育っていたのに、羽を立てて鳴く日を待っていたのに、私が見殺しにしてしまった。 か弱いスズムシは助けを求めることもできずに、アリたちに襲われてしまったのだ。 たった一晩の悪夢。 悲しくて悔しくてたまらない。
| いつもの釜飯屋さんで |
2005年06月25日(土) |
蛍を見たあとに、ここでお食事をするのが 夏の初めの定番コース。
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