ひとりごと
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| 白菜のナンプラー蒸し煮 |
2005年01月26日(水) |

見つけた。
陽だまりで 明るい空を見上げる 青い瞳。
風はやわらか。
父と母が、四十何年目かの結婚記念日のお祝いに ハワイに行くことになった。 ふたりで旅行に行くのは珍しい。 とても嬉しそうで、楽しみにしていてほほえましかった。 私たち姉妹も喜んだ。 そして母は、携帯電話を新しく買い換えた。 ハワイから写真を送ってくれるつもりらしい。
新しもの好きの父と母は私よりもずっと早く、 もう6、7年ほど前から携帯電話を持っていた。 だけどメールは使っていなかった。 「覚えるのが面倒」だったらしい。 その母が、とうとうメールを使うことを決心した!
旅行の前夜、妹に特訓されたらしい。 まだゆっくりと、ぽちぽちとしか文を作れないけれど、メールを送れるようになったと言う。 旅立ちに間に合ってよかった。
夕方、ふたりが空港に着くころを見計らって「いってらっしゃい」のメールを送った。 母にメールを打つのは初めてで、つい堅苦しい敬語を使ってしまった。 さぁ、返事は来るだろうか? 5分…10分…。
夕食の支度を始め、忘れかけていた20分後、携帯電話ではなく家の電話が鳴った。 空港の父からだった。 「メール届いた?」と嬉しそうに言う。 急いで携帯電話を見たけれど、残念ながら新しい受信メールはなかった。 伝えると、「そうか。」と寂しそうに言って、すぐに切ってしまった。
そしてまた忘れかけていたころ、今度は紛れもなく携帯電話から着信の音楽が流れた。 「メールを受信しました」そして母の名前。 やった! 初メール成功〜。
「苦労してメールを書いたのに届かなくて残念です。 もしこれが届いたらメールを下さい。○○、×子」
文面と、父母の連名に笑ってしまった。 小さい携帯電話を覗き込みながら、ふたりで文を考えて一生懸命打ってくれたのだろうな。 すぐに返信をした。
「届きました!初メール、嬉しいです。 またハワイでの楽しいレポートを待っています。」
このメールへの返事は返ってこなかった。 打っているうちに、搭乗時間になってしまったらしい。
今度メールが来るときには、ハワイから、きっと写真つきで。 どんな言葉が聞けるのか、どんな風景を見せてもらえるのか、楽しみに待っている。
お里帰りは雪の日。
ねむねむなのね。 元ママの腕の中で、また眠ってくれるのね。 元パパの手、どきどきしていたね。
大きくなって、でもかわいくて、 大切にされていて、幸せそうで嬉しかったよ。
桜並木の川のほとりを歩いた。
昼過ぎに家を出て、駅前で母の車に拾ってもらい、 妹や姪たちと一緒に祖母の家に向かった。 3年前に新しくなった母の実家のドアを開けると賑やかなざわめき。 もう叔母たちも集まってきているのだった。 95歳になる祖母はピンクのセーターを着ておだやかな笑顔で座っていた。 今日は、祖父の命日。 もう23年になる。
私は庭から摘んできた水仙の花束を仏壇に供え、手を合わせた。 小さな姪たちが、続いて手を合わせた。 「この写真の人は、ママのママのパパよ。」と教えた。 彼女たちは不思議そうに、会ったことのない曽祖父の写真を見つめた。 あらためて見ると、祖父はまだ若々しかった。 亡くなったときには、すっかりおじいさんだと思っていたのに、 今の私の父と、そう変わらない年齢だったのだ。 厳しい恐い祖父だったけれど、写真の中ではほがらかに笑っていた。 優しく私たちを見てくれていた。
やがて4番目と5番目の叔母も到着して、みんなそろった。 荷物を置いて、みんなで歩いて近くのお寺にあるお墓に向かった。 「まるで春みたいねぇ。」 「ほんと、暖かくて気持ちがいいわね。」 祖母を囲んで、母たち5人姉妹ははしゃぎながら歩いた。 お墓に供える花を持ち、手をつないだり、肩をくんだりしながら、 少女のように賑やかに笑いながら歩いていた。 先を歩く私と妹は、時々祖母と叔母たちを振り向いて見た。 「仲がいいね。」 「楽しそうよね。」 私たち姉妹も嬉しくなった。
お寺は静かで明るく静かだった。 紅梅がよく香っていた。 お墓を掃除して、持ってきた新しいお花を供えた。 たっぷりの水で清められて、お墓は気持ちよく光った。 暖かい陽射しを背中に感じながら、順々におまいりをした。 みんなそれぞれゆっくりと、祖父と話をした。
立ち上がって空を見上げると、今までまぶしいほどだった太陽が 薄い雲の向こうに隠れ、雲は虹のような色に染まっていた。 雲の隙間から、日の光の筋がまっすぐに降りてきていた。 「天使のはしご。」と私が言った。 「なに?」と、ひとりの叔母がたずねた。 「あの光、天使のはしごって言うのよ。」 「本当、天使のはしごね…。」 不思議と厳かな気持ちで、みんなで空の光を見上げた。
お寺からの帰り道も、また腕を組み、笑いながら賑やかに。 行くときとはまた違った清々しさがあった。 姪の小さい手を握りながら祖母や叔母たちを見て、 私たち4人姉妹と母の未来を見たような気がした。 あんなふうに、元気で仲よく、支えあいながら年を重ねていけたらいい。 いつかこの姪にも、憧れてもらえるような。
祖母の家で、叔母が作ってくれたお料理やケーキをいただいたあと、写真を撮った。 祖父の写真を抱いた祖母を中心に、母たち5人の姉妹が華やかな笑顔を並べた。 みんなとてもきれい。 とてもいい家族だったのだと思う。 写真の祖父も嬉しそうに笑っている。 私は丁寧にシャッターを押した。
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