ひとりごと
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ようやく風邪が治った気がした。 体が動くようになって、ふと気がつくと、体重は過去最高を記録していた。 クリスマス前からの風邪とお正月の食事で、この1ヶ月で4kg増…。 きゃ〜〜。 なんだか最近、体が重いと思っていたのよね。
体重が増えただけではない。 なんとかしなくてはいけないのは、次から次へと風邪をひくこの抵抗力のない体。 体力も筋力もない体。 本格的に運動を再開して、体を鍛えよう。 とりあえず、もうこの冬はこれ以上風邪をひかないように。
夫が出勤してしまった日曜、久しぶりにスポーツクラブに行ってみた。 膝を痛めてからプールに入るだけになっていたのだけれど、それさえ1ヶ月も行っていない。 ましてやスタジオやマシンジムのほうは、どれだけサボっていたことか。 ロッカー室で、Tシャツとハーフパンツに着替え運動靴を履いて、 明るい照明の活気あるジムに久々に足を踏み入れた。
まず、何からしたらいいのだっけ。 そうだ、自分の個人ファイルを見ながら、プログラムに沿ってマシンをやるんだっけ。 あ、その前にストレッチだったかな。 ウォーミングアップだったかな。
とりあえず、私の名前のファイルを探し出した。 記録を見てみると、前回のトレーニングは7月31日。 半年ぶりなのだった。 きびきびと体を動かす人の間で、不安そうにうろうろしている私を見つけて 若い男性のインストラクターが声をかけてくれた。 「初めてですか?」 「あ…いえ、とても久しぶりなのです。」
初めて顔を見るそのインストラクターの先生に、去年の夏に半月板を痛めたこと、 リハビリに通っていること、それからは水中で運動していたこと、 少しずつ地上での運動に復帰して鍛えたいことなどを話した。 先生は私の足を曲げ伸ばしさせ、痛みや動く具合を確かめた。 まずは軽い負荷のエアロバイクで7分間ウォーミングアップをするように言われ、 その間に先生はファイルを見直し、プログラムを組み直してくださった。 膝に負担をかけるマシンははずされ、 その代わり腿の筋肉を鍛えるマシントレーニングが付け加えられた。 それぞれのマシンの負荷も、前のときよりかなり軽く設定された。 やってみると、それさえ今の私にはきついのだった。 そしてすぐに息が上がってしまう。 なんという筋力の低下、体力の低下! 「1セット12回と思っていたのですが、8回にしましょうか。」と先生がおっしゃった。 はい、それでせいいっぱいです。。
「しばらくはこれで様子を見ましょう。急にハードにするとまた痛めますからね。 あせらず、ゆっくりとやっていってください。がんばりましょう!」 と、爽やかに頼もしく笑ってくださった。 そしてその先生の勧めで、メディカルルームでのフィットネスチェックを受けることにした。 これで、どれくらい筋肉がついているか(落ちているか)、内臓の働きはどうか、 柔軟性はどうなのか、左右のバランス、各部位の力の加わり具合がわかる。 予約はあさって、11日の夕方。 だいぶ体重が増えているのでちょっと恥ずかしいけれど、きちんと調べよう。 それで今年こそ、トレーニングに励んで体を鍛え、抵抗力をつけて、 もう風邪も寄り付かないような強靭な体を手に入れよう。
それにしても、久々のトレーニングで体が…だるい。 明日は筋肉痛かな。
年賀状をポストに入れたあと、その先にあるスーパーまで足を伸ばした。 パンやコーヒーがなくなっていた。
自動ドアが開いて店内に入り、すぐ左手の明るい色彩に目をやると、 無造作に花束たちが積み上げられていた。 手に取ってみると、なんと洋蘭が一束80円! お正月用に大量に入荷されて売れ残ったのだろう。 それにしても80円は安い。 見たところ、特に傷んでもいない。 セロハンにくるまれた3束をかごの中に入れた。
家に帰って、早速花瓶に生けた。 一束に、つぼみがいっぱいのデンファレが5本と立派な葉っぱが3枚入っていた。 3束で15本のデンファレと9枚の葉っぱ! そのままざっくりと生けても、なかなか豪華に堂々と見える。 寒い玄関が明るく暖かくなったようで嬉しくなった。 これで240円なのだものね〜。 ほくほく。。
花たちを包んでいたセロハンを捨てようとして、貼られていた札が目に入った。 「タイ直輸入」と書いてあった。 育てられて、摘み取られ、わざわざ海の向こうから運ばれてきて、このお値段。 もちろんお店での定価はもっと高かったにしろ、現地では一体いくらだったのか。 申し訳なくなってしまう。 ましてやタイと言うと、スマトラ沖地震で、大きな被害を受けた国だ。 私が少しだけ花を買ったところで、大して役に立たないのだろうけれど、 少しでもお国に還元されたらいい。 そしてまた、美しい国で花々が育てられ、この国に運ばれてきますように。
がたがたと部屋のドアが揺れる音と、窓の外の風の音で目が覚めた。 暗い空に強い風、駆ける雲。 玄関のドアを開けると、冷たい風にバタン!と奪われた。 中学の音楽の時間に聴いた、シューベルトの「魔王」を思い出して ダダダダダ…と始まるピアノの連打を口ずさんでいた。
なんて寒い日。 今日は小寒。 寒の入り。
やがて黒い雲は去り、陽射しが庭にも射しこんだ。 ぽっかり開きかけたペネロープの丸いつぼみがほんのり暖かい。 手をかざしみたくなる。
もらって嬉しい あげて楽しいお年玉。
中身は二の次。 ただ、かわいい袋が嬉しくて にこにこしているのね。 よかったね。
「ママが預かっておくからね」の言葉、 伯母ちゃまがちゃんと聞いておいたから大丈夫よ!
| やっぱりお正月の匂い |
2005年01月01日(土) |
「朝だよー」と夫が声をかけてカーテンをぱぁっとひいた。 まぶしい! 昨日の雪が反射して、窓からいっぱいの白い光がきらきらきらきら。 一度で目が覚めた。 お正月の朝だ。
大晦日まで風邪が治らなくて何もできなくてぐずぐずしていたのに、 母の言うとおり、本当にちゃんとお正月はやってきた。 昨日の続きの居間も、新しいお正月の匂いがした。 それはいつもより分厚い新聞のインクの匂い。 おせちの匂い。 水仙の匂い。 雪に洗われた新しい光の匂い。
いつもより簡単にちょっとだけ作ったおせち料理は、ひとり分ずつお重箱に詰めた。 お雑煮はいつものおすまし仕立て。 中の具は夫の実家でしているように、大根もにんじんも椎茸も里芋もみんな丸く切る。 関西風の丸いお餅はこちらではあまり手に入らないので、四角い切り餅。 それに小松菜とくるりと結んだ三つ葉を添えた。 とっておきの懐石グラスにお屠蘇代わりのお酒を注いで「おめでとうございます」。 お代わりのお餅を時々焼きながら、ゆっくりと最初の食事をいただいた。
ポストのふたがパタンと閉まる音がした。 年賀状が届いた! すぐに飛び出すのは子どもみたいで恥ずかしいので、窓から郵便屋さんを見送ってから外に出た。 年賀状の束を手にする嬉しさは、子どものころと変わらない。 1枚1枚ゆっくりと見ながら、夫の分、私の分、親戚からの分、と分けていく。 懐かしい文字や、近況に、ひとりごとのように返事をしてしまう。 酉年なので、私の好きな鳥のイラストや写真が多くてにこにこしてしまう。 自分から出すのは大変なのに、いただくのはやっぱり嬉しいものだ。 まだ半分近くも残っている年賀状を、そのあと一気に書き上げた。
暖かく陽射しも気持ちいいので、歩いてポストまで出かけた。 昨日の雪が、まだ道のあちこちに残っていた。 滑らないように気をつけながら、ざくざくと踏みながら静かな道を歩いた。 ぽたぽたと枝からとけた雪が滴る音がする。 雪だるまたちもだいぶやせてきた。 鳥たちの声が響いた。 暖かくて明るいいいお正月だ。
街の中もやっぱりお正月の匂いがする。 甘いお屠蘇の匂い。 清々しい門松の匂い。 子どもの新しい服の匂い。 おだやかな人々の顔からあふれる幸せの匂い。 小さいころほどではないけれど、今年もお正月の匂いを感じられたことが嬉しかった。 まだ何も起こっていない、まっさらな年が始まった。
振り返ったとき、優しい思い出に微笑むことができるような、おだやかないい年になりますように。
こんなに何もしていない大晦日は初めてだった。 大掃除も年賀状も、おせちの買い物さえしていない。 ずっと風邪をひいていたのだから仕方ないのだけれど、あせってしまう。 でも、昨日から休みに入った夫は、ちっともあせっていないようだった。 いつもと同じようにのんびりと本を読んだり、音楽を聴いたりしている。 ばたばたと気持ちだけ忙しがっている自分がバカらしく思えてきた。 「何もしなくてもお正月はちゃんと来るわよ」と、 半分自分に言い聞かせるように言っていた、母の言葉を思い出した。 そうだ。 あわてなくても、きっとお正月はやってくる。
雪の中、なんとかとりあえずの買い物にだけは出かけられた。 食料品と、プリンタのインクと、風邪薬を買った。 買い物と雪かきで疲れたにもかかわらず、気持ちは元気になっていたので その調子でおせちを作ることもできた。 今年は出来合いを買わなくてはいけないかな、と思っていたので 簡単なものだけでも作れたことが嬉しかった。
ひと仕事を終え、お風呂に入って、ゆっくりと年越しそばをいただいた。 紅白歌合戦も始まって、いつもの年末らしくなってきた。 陽気な歌にあわせて、ジュジュもさえずった。 そのジュジュを見ながら、夫となんとなく今年を振り返った。 「まさかインコが1羽だけになるなんてねぇ。」 「べべちゃんが死んじゃうなんて思わなかった!」 「それから魚も。」 「うん、アカヒレちゃんは、ずっといてくれるかと思っていた。」 「ジュジュちゃんにはずっとそばにいてほしいよね。」 「ほんとにね。」 「毎年思いもしないことが起こるよね。」 「来年も同じように思うのかしら。」 「いい年になるといいね。」
本当に。 もうそこまで来ている新しい年は、平和でおだやかないい年になりますように。 大きな災害が起こりませんように。 いろいろあったこの年ももうすぐ終わる。 最後に雪が清めてくれた。 外に出て空を見上げるときらめく星たち。 つややかな月の光が雪を照らして、あたりはほんわりと明るかった。 もうすぐ新しい年が始まる。 元気に楽しくやっていこう!
| さようなら私のピアノ |
2004年12月29日(水) |
小さな姪がピアノを習い始めると聞いて、 私の電子ピアノをあげることにした。 この頃あまり弾かなくて、すっかり飾り棚と化していたのだもの。 それを姪が喜んで弾いてくれるのなら、私だって嬉しい。 迷いはなかった。 ちょっと寂しいけれど、惜しいという気持ちはなかった。 おずおずと相談すると、夫も快諾してくれた。 そして今日、初雪が降ったこの日、私はピアノとさよならをした。
義弟が甥をお供に連れて、父の大きな車で取りに来ることになっていた。 「そろそろ家を出る」の電話を聞いてから、私はそわそわと落ち着かなくなった。 ピアノをきれいに拭いた。 久しぶりに楽譜を出して、ヘッドフォンなしで弾いてみた。 お隣の小学生のお嬢さんの方がずっと上手なのが恥ずかしくて いつもヘッドフォンをつけてこっそり弾いていたのだ。 窓の外はしんしんと降る雪の静かな青い景色。 たどたどしい旋律が、明かりをつけたリビングに響いた。 聴いているのはインコが1羽。 ページをめくって、懐かしい曲を弾き続けた。 あぁ、もう少しでこれも弾けるのに。 もっと練習したらよかったな。
雪が降っているのに、思ったよりも義弟の到着は早かった。 まだ一番好きな曲を弾いていなかった。 でももうおしまい。 電源を切って、パタンとふたを閉じた。 義弟はお茶も飲まずに、すぐにてきぱきとピアノを分解し始めた。 部品になって行くピアノを、私はひとつずつもう1度拭いては床に広げた絨毯に並べた。 小さな甥も、珍しそうにさわっていた。 ペダルの裏から、ほこりと一緒に懐かしいトトの青い羽が出てきて胸がつまった。 最後のねじが抜かれ、ピアノはすっかりばらばらになった。 6年ぶりの床が出てきて、そこに丁寧に掃除機をかけた。
玄関に並べた部品を、義弟とふたりで車へ運んだ。 うっすらと雪が積もり始めたレンガ敷きのアプローチや階段はすべりやすい。 慎重にゆっくりと、そろそろと歩いた。 どんどん降ってくる雪がピアノの上で雫になる。 私のピアノがぬれてしまう。 気になるけれど、急いで転んで壊したら大変。 ハッチから車に収めて、梱包用のタオルケットでそっと拭いた。 ありがとう、さようなら、と心の中で言った。
少し広くなったリビングで、義弟と甥に簡単な昼食を出した。 ふたりはぺろりとピザを平らげるとすぐに立ち上がった。 「もう帰る?」 「雪で道が混むといけないから」 「そうね、向こうでも楽しみに待っているものね」 滞在1時間ほどで、義弟と甥は、ピアノを連れて帰ってしまった。 あっと言う間のことだった。 広くなったリビングで、ちょっと踊ってみたりした。 インコが見ていた。
私の電子ピアノは、15年前にうちに来た。 新婚早々、長い海外出張に出ることになった夫が、私が寂しがらないように、と 思い切って買ってくれたのだ。 狭いマンションにも、若い私たちにも分不相応な、贅沢な買い物だった。 それだけに宝物だった。 畳敷きの小さな部屋で、私はピアノを弾いていた。 しばらくは教室にも通っていたのに、なんでやめてしまったのだろう。 思えば、あまりちゃんとした曲を奏でることもなかったこのピアノはかわいそうだったかもしれない。 もっと練習して楽しんで、もっともっと歌わせてあげられたらよかった。
夕方、妹からお礼の電話がかかってきた。 うしろでは、はしゃいでいる姪たちの声がする。 嬉しくてたまらないらしい。 本当によかった。 これからは、姪が毎日弾いてくれるだろう。 どんどん上達していくのだろう。 きっと大事にしてくれるだろう。 いつか素敵な曲を聴かせてもらおう。 私も時々は弾かせてもらおう。 私のピアノは、きっと幸せになる。
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