ひとりごと
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去年のこの日、べべは入院していた。 お見舞いに行ったときに 獣医さんの玄関に落ちていた豆のことを覚えている。 あれから1年。 こんなに元気になって また一緒に節分を迎えることができてよかった。
心をこめて豆をまく。 福は内。 鬼は外。 明日は立春。 明るい季節がやってくる。
やっと降った雨が嬉しい。 地面がごくごくと飲んでいる。 若い葉っぱがしっとりと光る。
鳥たちは気にせずやってくる。 リースのふやけたピーナッツや 水浸しのりんごやヒマワリの種を いつもと同じように賑やかにつついた。
鳥たちはお隣の梅の木に止まって ゆっくりとヒマワリの種をむいて食べている。 あの木の下は殻でいっぱいだろう。 鳥たちの足元でピンクのつぼみがふくらんできた。
| ピーナッツリース職人 |
2004年01月30日(金) |
ピーナッツリースにお客が増えた。 シジュウカラがいっぱい。 食欲旺盛なヤマガラもいっぱい。 ピンクのつぼみがふくらみ始めたお隣の梅の木で 小鳥たちが順番を待っている。 私がせっせと作っているピーナッツリースは大人気だ。
夕方、小鳥たちがねぐらに帰ったあとでリースに触れてみた。 からからと軽かった。 3つのリースはみんな空っぽだ。 1粒のピーナッツも残っていなかった。
さてさて。 お客ががっかりしないように新しいリースを作らなくちゃ。 広げた新聞の上に、殻つきピーナッツをざらざらと出した。 くびれたところに穴を開けて、両端を切り落とした。 そこに通す針金は、毎回使いまわし。 空っぽリースの針金をペンチで伸ばして、また使う。 もう慣れたものだ。
せっせ、せっせ。 作業は続く。 小鳥のレストランのオーナーはピーナッツリース職人でもある。 春が来て、もっとおいしいご馳走を野山に見つけて、お客が来なくなる日まで 私は職人に徹しよう。
明日の朝、一番のお客に間に合うように 暗くなった庭に、3つのリースをぶら下げた。
| クリスマスプレゼント |
2004年01月29日(木) |
お天気がよくて、庭仕事をして、 ほどよく疲れて、陽射しの傾いた部屋でちょっと眠って。 幸せな夢を見て目覚めたら、夜になりかけていた。
ぼんやり夢心地のまま、夕刊を取りに出たら、 ポストに大きな包みが入っていた。 友だちからの、1ヶ月遅れの、 いえ、11ヶ月早いクリスマスプレゼントだった。
手作りのマットとコースター。 それからいい香りの小物たち。 会ったことがない友のぬくもりと心が伝わってきた。
どうもありがとう。 いい1日だった♪
1月28日、初不動の日は恒例だるま市。 今年もご近所さんと誘い合わせて出かけた。
だるま市は晴れの日が多い。 青い空の下、冷たい空気の中で 真っ赤な丸いだるまがつやつや光る。 まずは去年のだるまさんを感謝を込めて奉納し、本堂にお参りをした。 そして今年のだるまを買った。 私たち家族を守ってもらうように、 なるべくいかつい顔のだるまを選んだ。 それから今年はもうひとつ、 大事な若い友だちのために、起き上がる小さなだるまを買った。
大丈夫。 ここのだるまさんは霊験あらたかなのよ。 守ってくれるよ。 願いが届くよ。 ほら、去年は闘病中だったべべもこんなに元気になったんだ。 だからね。 思いをこめて、片目を入れてね。 もうひとつの目を入れられる、嬉しい春はもうすぐそこよ。
鈴の音
しゃららん、しゃらん。 と、かすかに鈴の音が聞こえた。 べべのかごの中からかな。 動きを止めて、耳を澄ました。
しゃらん、しゃらん。 軽やかでかわいい鈴の音は窓の外から聞こえるのだった。 そぉっとカーテンを開けて、庭を眺めると 1匹の子猫が、ピーナッツリースに訪れた小鳥をねらっていた。
子猫の鈴? 黒と茶色が混ざったオコゲちゃんは恵ちゃんの従姉だ。 誰かのうちの子になったのね。 よかったね。 私はカーテンの隙間からカメラを出して、子猫の姿を撮った。
あれ? 真正面を向いた子猫の首には鈴などついていない。 もちろん足にもしっぽにも。 どう言うこと?
しゃらん、しゃらしゃらしゃら。 また鈴が鳴った。 ガラスの向こうの子猫も鈴の鳴るほうを見つめていた。 そこにいたのは、ヤマガラたちだった。 鈴の音かと思ったのは、ガラス越しに聞こえた小鳥の声だった。 かわいい小鳥の澄んだ声は、小さな銀の鈴をいくつも鳴らしたようだ。
子猫がジャンプした。 しゃらしゃらん、ちりちりり! 小鳥たちは飛び立った。 誰もいなくなった庭で、決まり悪そうにしていたオコゲちゃんも たったった…と、音のない足音をたてて走って行ってしまった。
冬の始まりから刺していた刺繍がやっと完成した。 クリスマスには間に合わなかったけれど 雪の季節のうちにはできあがった。 幼い兄妹が暖かい家の中から降り始めた雪を眺めている。 飽きることなくいつまでも見つめている。 東京ではまだこんなに雪が降る夜はないのだけれど こんな夜を夢見て、私はこの子どもたちを見つめている。
そして同じこの日、「雪の夜」の図案を作られたあやこさんから ふくらんだ封筒がポストに届いた。 カウンタープレゼントがあたったのだ。 素敵な「白鳥」の図案のピンクッションのキット。 封筒を開けると、渋い色の麻の布と、つややかな刺繍糸の束が出てきた。 シックな色合いの糸を見て、胸が弾んだ。 丁寧に心を込めて、この小さな白鳥を布に描いていこう。 すぐに刺し始めた。
「雪の夜」ができあがって、バトンタッチするようにやって来た花の中の「白鳥」。 ひと足早く、春が訪れたようだ。 北の国に飛び立つ季節が来る前に、白鳥はできあがるかな。
↓美しい作品やチャートがいっぱいの、あやこさんのサイトはこちらです。 Windy Willows
| 国際キルトフェスティバル |
2004年01月26日(月) |
東京ドームで開催されている国際キルトフェスティバルに行った。 去年は、入院しているべべのお見舞いに行ったあとに ここに来たのだった。 べべに心を残しながら、それでも見ているうちに 色とりどりのキルトの世界に入り込んでしまったのだっけ。 今年は元気になったべべとジュジュに留守番を頼み 心置きなくキルトを楽しめた。
たくさんの人も圧倒されるほどの数のキルトも覚悟していた。 やっぱりエネルギーははちきれそうだった。 何千もの夢、努力、感動、生活、時の流れ。 どのひとつをとっても、細やかな思いが縫いこまれている。 おととし、初めてここに来たときには 1枚1枚を真剣に見つめ、エネルギーと思いを受け止めすぎて 熱が出てしまったのだった。 あまりにも強すぎた。 だから今年は、どのひとつも大切なのだけれど さらりと歩きながら眺め、これは、と思ったものだけを丁寧に見ることにした。 それでも3時間、私はキルトの中にいた。 会ったことのない、キルトの向こうの人の心や生活を垣間見た。
ひとつとても心に残るキルトがあった。 優しい色の薄い絹が丹念に縫いあわされていた。 見ていると心が静かになり、なぜか懐かしい思いもするようだった。 「おばあちゃんへ」と、名前のついたその作品は 韓国から留学してきている若い女性が、祖母を思って作ったものだと言う。 ポシャギと言う、韓国のパッチワークも初めて見た。 むずかしい技法は使っているわけではないけれど 丁寧で、シンプルで、清楚で、愛らしかった。 熱気いっぱいのドームの中で、そこには涼しい風が吹いているようだった。
誰かを思って作るキルト。 生活の中のキルト。 美しいと思ったものを伝えるためのキルト。 私もまた作ってみたい。 完成したときのあの清々しさと誇らしさを感じたい。
キルトを作る時間はずいぶん減ってしまったけれど こんな思いをまた持つために、私は毎年このドームに行くのだと思う。
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