ひとりごと
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奥様は魔女じゃないの 2004年01月16日(金)

新しいテレビドラマが始まった。
人間の世界に憧れてやってきて
人間に恋をしたかわいい魔女が大活躍。
楽しく見ていると、夫が帰ってきた。
今までのあらすじを説明して一緒に見た。

画面では、魔女の女の子が恋人と一緒にほうきに乗って
窓から飛び出し、夜の街を爽快に飛び回っていた。
「いいなぁ〜!」と、夫と私は合唱した。
やっぱり空が飛べるって、魔法が使えるって憧れ!

うっとりと(?)見入っている夫に
「魔女っていいね。あなた、奥さんが魔女じゃなくて残念だったね〜。」
と言うと
「うん、残念や。ほんまに残念やったなぁ。」
と、まじめな顔でしみじみと言う。
「魔女と結婚したらよかった…。」
あなたには魔女の知り合いがいたの?

あまり真剣に言うので、ちょっと悔しくなって
「旦那さまが魔法使いでもいいのよ。
 あー、旦那さまが魔法使いじゃなくて残念!」
と、言い返した。
すると
「そうやなぁ。ハクション大魔王やったらよかったのに。」と夫。
ずっこけてしまった。
なぜハクション大魔王…。

ハクション大魔王でもいいけれど、
そうしたら誰かがくしゃみしたときしか出ててこられないよー。
花粉症の時期には出たり入ったり忙しいよー。
私はそれでもいいけれどね。

魔法が使えるって、小さいころからみんなの憧れ。
軽い仕草ひとつで、なんでもできちゃう。
魔女だったらよかったのになぁ、と今も変わらず、
いえ、今はますます思ってしまう。

テレビの中の魔女は「もう魔法は使いません」と宣言していたけれど、
それでは番組が続かない。
来週からも楽しいかわいい魔法を見せてもらえるのを楽しみにしよう。
私も修行をしようっと(なんの?)。


衣装 2004年01月15日(木)

明るく晴れて気持ちがいい日だ。
暖かいうちに庭仕事をしようとガラス戸を開けようとしたら
小鳥たちがあわてて飛び立ち、少し離れた木の枝に止まった。
庭のピーナッツリースやくだものに
シジュウカラやヤマガラたちがやって来ていたのだ。

せっかくのお食事の邪魔をしてはいけない。
特にヤマガラは、やっと常連になりかけたばかりなのだもの。
庭仕事はまたあとにして、
明日のお茶の初稽古に着ていく着物を用意することにした。

こんなときしか使わない2階の和室には、5年たった今もまだ新しい家の匂いがする。
そこへ樟脳の匂いのするような古い着物をいくつも引っ張り出した。
もうあまり着ないから、と、母や祖母や叔母たちが着物や帯をくれていた。

何を着ていこう。
どれと合わせよう。
悩む、悩む。
あちこちから少しずつバラバラと集まってきた着物や帯は多種多様。
好みも素材も古さも大きさもみんな違って、
それはおもしろいけれど組み合わせには悩ませられる。
セーターの上から巻きつけて、姿見を見ては、次のものと取り替える。
数ばかりはいっぱいあるくせして「これ」と言う組み合わせが見つからない。

いろとりどりに〜ぬぎちらかした〜♪と「夢一夜」なんかを口ずさんで
ガラス越しの陽射しを背に、畳の上に座り込んで散らかした絹を眺めてぼんやりした。
小鳥たちの澄んだ高い声が「チリチリ!」と聞こえた。
また食事が始まったらしい。

ひとやすみして、小鳥たちを見に降りた。
揺れるピーナッツリースにとまって、器用につつき出す小鳥たち。
どの1羽も軽やかで敏捷で、そして完璧に美しい。
着たきり雀とは言うけれど、スズメの衣装だって本当に素敵だ。
意外と複雑な茶色い模様はシックでとてもかわいいのだ。
シジュウカラは、シンプルに白と黒だけのようで、
実は背中のオリーブグリーンのグラデーションがなんとも言えず美しい。
黒い頭巾がチャーミングなヤマガラは、
鮮やかなレンガ色のおなかとグレーの羽の組み合わせがきりりと粋だ。

なんてみんなおしゃれなんだろう。
きれいなんだろう。
あんなふうに装えたなら。

何かを着なくてはいけない人間は、衣装を選べる贅沢も忘れて悩んでしまう。
最初からあんなふうに生まれたら、着たきり雀でかまわないと思ったりする。
小鳥たちの足元にも及ばない野暮ったい組み合わせだけれど
なんとか新春らしい色合いの花の模様の小紋と
草木染の糸で織った縞の帯をやっとのことで選んで落ち着いた。

小鳥たちはおなかいっぱいになって飛び立っていった。
私は軽やかでなく、もこもこと着込み、
やっと庭に出て、昨日届いたばかりのアスパラガスの大苗と
去年からポットで窮屈そうだったソラマメの苗を植えつけた。


3年目のLOVE 2004年01月14日(水)

朝の光の中で「LOVE」がぽっかりと開き始めていた。

ピンクのハートのワンポイントに一目ぼれして
このソフロカトレアを買ったのは2年前。
かわいくて、嬉しくて毎日見とれていた。
花が終わって、どうしていいのかわからなくて
いい加減な扱いをしていたのかもしれない。
去年は花を見せてくれなかった。

3年目の今年、つややかな新鮮な緑の茎をすんなり伸ばして
その先に卵のようなつぼみがふたつついた。
少しずつ大きくなっていって
今朝、鳥が羽を広げるように、ふわりと花びらを開いた。
私の家のこの出窓で咲いてくれた。
ピンクのハートもちゃんと忘れずつけていた。

愛しい「LOVE」ありがとう。


胸が痛い

動物の悲しいニュースが多すぎる。
鳥インフルエンザが広がって
何万と言うニワトリやアヒルが「処分」された。
SARSの感染源と言われて
外国ではたくさんのハクビシンたちが「処分」された。
鯉ヘルペスにかかって、鯉たちが死んでいった。
みんなわけがわからないうちに。
こんなふうに死ぬつもりではなかったのに。

胸が痛い。
悲しくて目をそむけてしまう。
でも、誰より大切に育てた方の気持ちを思うとつらい。
無造作に袋に鳥を押し込んでいる
その白衣の中では号泣しているのだ。
ついに死者まで出てしまった病気を
そのままにしておくわけにはいかないのだ。
人も、動物も、誰も悪くないのに。

私のまわりの人々と暮らす動物たちはみんな幸せだ。
人間も動物たちも幸せそうだ。
1匹でも多くの動物が、幸せで穏やかに暮らせますように…。


寝ぐせ頭で初詣 2004年01月12日(月)

昨夜は少し疲れていて、髪が乾かないうちに寝てしまった。
目覚めて鏡を見てみてびっくり!
これはメデューサ?
爆発してうねっている髪を梳かしつけ、ピンでとめた。

「おはよう」と言う夫の声に振り向いた。
そして大笑い!
夫の寝ぐせはもっとおかしかった。
頭の右半分が見事に跳ね上がっている。
「まあ、今日は誰にも会わないし、いいか。」
と、相変わらずのんきな夫はそのままにしていた。
夫は自分では見えないからいいけれど
私はその頭を見るたびに笑ってしまう。
跳ね上がった髪のまま、まじめな顔をして本を読んだり
テレビを見たりしているのだもの。

午後、近くの神社に初詣に出かけた。
明るい陽射しが白い塀に私たちの影を映した。
ぴょこぴょこと寝ぐせ頭が揺れていた。
「ウッドペッカーか、なんとか星人みたい。人間の影じゃないよ〜。」
ふたりで大笑いした。

歩いて5分足らずの道のりでは、幸い誰にも会わなかった。
でも鎮守の森の神さまはしっかりご覧になっていたでしょう。
神妙な顔で拝んでいる、ウッドペッカーとメデューサを。
ああ、こんな無精者の夫婦を今年もどうぞお守りくださいませ。


新年会 2004年01月11日(日)

90歳の先生を囲んでの新年会。
本当に新年が、おめでたい、と感じられる。
先生は、私などよりも
誰よりも、お元気で溌剌としていらした。

毎日のお抹茶がいいのかな。
甘いお菓子が効くのかな。
先生が大好きなお酒が健康の秘訣かな。

今年もますますお元気で!
私も背筋を伸ばして歩いていこう。


最終講義 2004年01月10日(土)

懐かしいキャンパスに旧友が集まった。
見慣れない新しい校舎の明るい教室は少しよそよそしかった。
その向こうの木立は昔と同じ景色を作っていて美しかった。
19年ぶりの教授の声はまろやかに耳に響いた。

四十数年、教壇に立ち、数え切れないほどの講義を持ち、
何千人の学生を育てて来られたのだろう。
今日のこれが、最後の講義。
「話したいことはいっぱいあるのです。」
もっと聞きたかった。
でもこれで最後。

配られた略歴で、私と同い年のお子さんがいることを知った。
ただただ厳しくて恐いだけの先生だったのが
急に「お父さん」のように身近に感じられた。
当たり前のことなのに、先生にも先生以外の顔があったことを初めて思った。

学生時代とは違う気持ちで、進んでいく時計の針を時々見つめた。
あと何分。
もうすぐ終わる。
終わってしまう。
「これで最後の講義を終わります。」
書類を重ねて、先生が晴れ晴れとした顔を上げられた。
音楽が流れ、花束が渡された。

どうもありがとうございました。
お疲れさまでした。
できの悪い、いたらない学生だったけれど、最後の言葉だけは忘れません。

「今日の日を楽しめ!」


7年目の快挙? 2004年01月09日(金)

ひさしぶりに美容院に行った。
友だちに教えてもらった初めてのそのお店で、シャンプーのとき
美容師さんが「きれいな髪ですね。」と言った。
聞き間違いかと思った。
がんこなくせっ毛で、多くて硬くて真っ黒な髪は
若いころほどではないにしろ、今でも私のコンプレックスだったから。
きれいだなんて、言われたことも思ったこともなかった。
柔らかくて素直なさらさらの髪にずっと憧れているのだ。

「健康でいい髪ですよ。手触りが違います。」
と、また美容師さんが言ってくれた。
健康!
それはそうかもしれない。
ただでさえ太くて丈夫なのだけれど、パーマやカラーリングもしていない、
ドライヤーもかけていない私の髪は、痛んでいないのかもしれない。
そう言えば、枝毛や切れ毛も見たことがない。

「健康」と言う言葉に嬉しくなった。
すぐに風邪をひいたり、熱を出したり、胃腸を壊したりする不健康な私に
健康なところがあっただなんて。
ふわりと心が丸くふくらんで楽しい気分になった。
私は健康なんだ(髪だけだけれど)。
カットの間もそんな言葉を頭の中で繰り返していた。

「ありがとうございました」の声に送られて(こちらこそ、だわ)
軽くなった髪で外に出た。
せっかく銀座に来たのだから、ぶらぶらすることにした。
美容院で「健康」をもらったばかりで足取りも軽かった。
デパートで春らしい雑貨を少し買い、バーゲンの服を眺めた。
「猫を中心とした動物のアンティーク展」と言うとっても興味深い展示に出会い
ゆっくりと眺め、ポストカードを何枚か買った。
地下の食料品街ではおいしそうなパンをいっぱい買った。

昼食をとっていないことを思い出して時計を見ると3時半。
ずいぶん長いこと歩いていたらしい。
疲れた感じはしなかったけれど、ベーカリーカフェで休憩することにした。
窓辺の席に座って、読みかけのミステリーと一緒にティータイムセットを楽しんだ。
本はおもしろく、パンもデザートもカフェモカもおいしく、また元気になった。
まだまだウィンドウショッピングを楽しめそうだったけれど
調子に乗らず、寒くなる前に家に帰ったほうが身のため、と駅に向かった。

「献血をお願いします!特にO型の方!O型の血液が足りません!」
街灯が灯り始めた駅前広場で、冷たい風の中、
白衣を着た男性が拡声器で呼びかけていた。
私はO型だ。
「お願いします!受付時間、あと5分です!O型の方!」
いつもだったら「私には無理だわ」と、申し訳なく思いながらも通り過ぎてしまうところだ。
でも今なら!
この体調の、元気な私なら、できるかもしれない。
深く考えることもせず、足はテントの方へと向かっていった。

若いころはよく献血をやったものだった。
私は元気で、血もありあまっていた。
17歳から始めて、20歳で10回、25歳のときには20回目の献血をしていた。
でもそのあとからは、全然できなくなった。
献血バスを見つけるたびに行ってはみるものの、血圧が低すぎたり、
血液の比重が軽すぎたり、あるいは両方だめだったり。
だんだん間遠になって、それでも3年に1回くらいはできていたのに
ついにドクターストップが出てしまった。
「お気持ちはありがたいけれど、あなたはもう献血はしない方がいいです。」
こんな私にもできるささやかな社会奉仕もできないようになったのかとがっかりした。
試しにこっそりと行ってみても、ブラックリストに載っているらしく
コンピュータの画面を見て断られたこともあった。

でも今なら。
あれから7年たっているし、リストからもはずされたかもしれない。
それになによりこんなに元気なのだもの!
ストーブが焚かれた暖かいテントの中でコートを脱ぎ荷物を預け、バスに乗った。
ドキドキしながら診察を受けた。
血圧「正常です。」
比重「じゅうぶんあります。400mlお願いしますね。」

わー、本当に献血できるなんて!
最後にできたのが、トトが病気になったときの願掛けだったから7年前。
7年ぶりの、私にとっては快挙だった。
400mlも献血するのも初めてだ。
前は200mlしか採ってもらえなかった。

久しぶりの寝台に横になって腕を出し、太い針が刺されるのを見た。
「いいですね。流れもとってもいいですよ。」
と、看護師さんが明るい声で言った。
「この調子だとすぐにたまります。」
血が出て行くのを見ても、頭がふらふらすることも気分が悪くなることもなかった。
私の血は順調にパックされていった。
本当に健康なのだ、と嬉しくなった。

腕にバンドを巻かれ、バスを降りるともうすっかり夕方だった。
私は最後の一人だった。
テントの中でストーブにあたり、ジュースとクッキーをいただいた。
そして新しい献血手帳と小冊子をいただいた。
「おひさしぶりなのですから、気をつけてくださいね。
電車も、1本見送っても座って帰ったほうがいいですよ。」と気遣われた。
でも気分はよかった。
「今日はお買い物でしたか。これでもうお帰りですか?」と聞かれたので
「はい。」と答えると、5、6本残っていたジュースやお茶を全部渡された。
「お荷物になるでしょうけれど、よかったら持って行ってください。」

いっぱいおみやげをいただいて、荷物もたくさん抱えて混み始めた電車に乗った。
ちょっとだけ気分が悪くなりそうだったので、途中で、すいている各駅停車に乗り換えた。
そして本も読まずにぐっすりと眠って帰ってきた。
気持ちよく目が覚めて、駅を降りると、昇り始めた赤い月が見えた。
丸い、とろりとした色の、なんだかおいしそうな月だった。
満月のころ、パワーもみなぎるのかな?
私は元気!と口ずさみながら、月に向かって自転車をこいでびゅんびゅんと帰ってきた。


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