ひとりごと
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やっとの思いで年賀状を書き終えたのは午前4時だった。 すぐにでも投函に行きたかったけれど、 まだ真っ暗な道を歩くのは危ないので我慢した。 近くのポストの朝一番の集荷は午前7時30分。 目覚まし時計を7時にセットして、短い睡眠を取った。
3時間後、きっちりと目が覚めた。 服に着替え、帽子をかぶって、葉書の束を持って家を出た。 活動する前の街の広い道を自転車でびゅーんと走った。 冷たい風が気持ちいい。 ポストに年賀状を入れて一安心。 年内に投函できるなんて、私にしては快挙なのだ!
家に帰ってゆっくりと朝刊を読んだ。 忙しい年末の1日の始まりの、静かな落ち着いた時間を楽しんだ。 このまま起きていたらよかったのに、 私はこのあとまた布団にもぐりこんでしまった。 そしてまだ自分の温もりの残る布団の中ですぐに眠り込んだ。
次に目覚めたとき、もう太陽は高くなっていた。 なんと11時過ぎ! 「もう、なんで起こしてくれなかったのよ。この忙しいときに〜。」 と、起こしに来た夫に文句を言ってしまった。 「だってあんまりよく寝ているから。自分で起きろよな〜。」 と、夫はいつもののんびり顔で答えた。 たしかに私がいけないのだけれど。 でも昼近くまで眠っている妻をほうっておくのもどうかと思うなぁ。 今日は大掃除をしようと話していたのに。
私は遅いブランチを、一緒に夫は昼食をとった。 大掃除、どこから手をつけようかとあれこれ思い浮かべた。 ガラス磨きはクリスマスの来客の前にやっておいてよかった。 部屋の中もそんなに汚れていない。 絶対にきれいにしたいのは、キッチンの換気扇やそれに続く壁、 流しの前の出窓など。 それに玄関と、外階段、それに当然トイレとお風呂場だ。
お天気もよく、せっかく始めた大掃除なのだけれどなかなか進まない。 すぐにどちらともなく「休憩にする?」と言い出す。 休憩のあと、そのまま本を読んだりパソコンを開いたり。 どうも年末の緊迫感に欠ける私たち。
結局夜までにできたのは、私が担当したキッチンと 夫がやってくれた玄関から外回りと2階の窓ガラスだけだった。 「あとは明日でいいか。」 大晦日に持ち越すことになった。 でも明日一日で片付くかどうかもあやしいものだ。
もう掃除をやる気もないまま、夕食後はテレビの「ザ・ベストテン」を見て楽しんだ。 懐かしい歌を口ずさみ、そのころのことを思い出した。 体型が変わらない同年代の歌手を見て、すっかりゆるんだ自分を反省した。 「あのころ、男の子はみんな聖子ちゃんが好きだったよね。」 と言うと、夫は嬉しそうに「うん!」とうなずいた。 私は妹たちと競ってピンクレディーの振りを覚えたっけ。 ふたりで思い出話を披露しあった。 いつもより、のんびりしているくらいの夜だった。
「明日は掃除がんばろうね。」と私は一応言ってみた。 すると夫は 「知ってる?結婚相手を選ぶ基準。 前に何かで読んだんやけれど、だらしなさが同じくらいの人がいいって。」 と、おかしそうに言うのだった。 爆笑!たしかにそうだ。 私たちは、そんな基準が同じなのかもしれない。 子どもがいたら、示しがつかないところだった。 でもせめて「だらしなさ」ではなく「几帳面さ」に言い換えてほしかったわ。
「昼間、節約奥様とか、きっちりやっているしっかり奥様をテレビで見たけれど うちの奥さんがあんなやったら、僕もやっていけへんもんなぁ。」 と、夫が言った。 ちょっとつっこみを入れたいところだったけれど、 (私だって少しは節約しているし、少しはしっかりもしているつもり…) 当たっていないこともないのでぐっとこらえた。
ようし! 明日はのんびり奥様は返上。 早起きして、夫が恐がるようなしっかり奥様になって、テキパキと家をきれいにしよう。 おせち作りもがんばるんだ。 2003年もあと1日。
| アカヒレちゃんと水草 |
2003年12月29日(月) |
午後の柔らかい光がリビングの真ん中まで射しこんできた。 顔を上げると部屋がまぶしかった。 年賀状を書く手を休めてお茶を入れた。 日向ぼっこ休憩をした。
人間の家より、インコたちのかごより早く、 大掃除がすんだアカヒレちゃんの水槽にも、 暖かそうな日が当たっていた。 覗き込むと、透明な水の中で揺らめく水草から泡がぷくぷくぷく。 小さい銀色の粒になって、一列になって昇ってくる。
わぁ。 水草が光合成をしているんだ。 今、酸素を出しているんだ。 アカヒレちゃんはそれで息をしているんだ。
きれいで、不思議で、かわいくて見とれてしまった。 アカヒレちゃんは、気持ちよさそうに赤い尾っぽをなびかせて 泡の列をふわりと乱した。
長野の友だちにいただいた水草は 小さい水槽の中にちょうどいい大きさの森を作った。 アカヒレちゃんはそこで休み、酸素をもらい、二酸化炭素と栄養を与えている。 アカヒレちゃんと水草は、ぴったりのバランスらしく 水もほとんど汚れない。 アカヒレちゃんも水草もとてもきれいで元気だ。
私がいつも見ていなくても、小さな水槽の中で生態系ができている。 のんびり幸せに暮らしているアカヒレちゃんと水草を見て 私の気持ちものんびりほっこり幸せになった。 そのあと年賀状を書きながらも、 なんだか嬉しいことがあったな、と思うと、 アカヒレちゃんのことだったりした。
明け方、東京では初雪が降ったらしい。 実家の庭には白くうっすらと積もったと言っていたけれど うちの庭はしっとりと濡れているだけだった。 そう言えば、夜更かしして眠る前にさらさらと言う音を聞いたのが あれが雪だったのだと思う。
そして朝から清々しく晴れていた。 強い風が空を青く磨いていた。 風はとっても冷たいのに、輝く陽射しのせいなのか なぜか優しく感じて、なにかを話しかけてくるようで 干しかけの洗濯物を足元に置いたまま 風に向けて何回もシャッターを切った。
あれは、失ってしまった誰かだったのかもしれない。 土の中に眠っているのではなく、 千の風になって大空を吹き渡っている誰かだったのだ。 日の光になって、優しい雨になって、 きっと初雪にも姿を変えて、誰かは訪れてきてくれている。 そばにいてくれる。
takasiさんが美しいページを作ってくださった。 粉雪が舞う中の暖かい窓辺に心が安らぐ。 優しい詩を読んで、悲しみが和らいでいく。
千の風になって
元の英語詩は作者不詳らしい。 いつどこで生まれたのかわからない。 takasiさんがお嬢さんに読んでさしあげたと言う本、 新井満さんの「千の風になって」を私も探して読んでみようと思う。
クリスマスから一夜明け、急に街は年末のあわただしさ。 人々は忙しそうに早足で歩いている。 あと数日で終わる今年のうちに、 片づけなければいけないことがいっぱいあるんだ。 大変、大変。
私の歯の治療は、年越しすることが決定した。 虫歯は意外と重症だった。 あんなに痛かった腰は、だんだんと気にならなくなってきた。 今のところ、風邪もひかずなんとか元気にお正月を迎えられそうだ。
歯医者さんのあと、銀行の用とスーパーでの買い物を済ませ家に帰った。 今日は庭仕事と、部屋の片付けをする予定。 年賀状も早く作り始めなくては。 忙しい、忙しい。
鍵を取り出しながら歩く、アプローチの横で この冬初めての水仙がかわいい花を咲かせているのを見つけた。 しばらく見とれてしまった。 静かな佇まいに気持ちが落ち着いた。 なんとなく賑やかな気配がして振り向くと、 真っ白なふわふわの玉がいくつも踊っていた。 花殻を切らなかった秋明菊の実がはじけたのだった。 そっと触れてみると、柔らかくて暖かい。 心がゆるやかにとけていく。
そうだった。 あわてない、あわてない。 ひとやすみ、ひとやすみ…。
どんなときにも花たちは優しい。 ありのままで静かにそこにいてくれる。
お隣さんの家に行くと、パーティー会場のリビングのピアノに 今日のクリスマスパーティーのプログラムが貼ってあった。
プログラム 1、始めのことば 2、おしょくじ 3、ゲーム(クラッカー) 4、ゲーム(トランプ、ウノどっちか) 5、プレゼントこうかん 6、終わりのことば 7、イルミネーション見学(行きたい人)
プログラムどおりに行かないのがホームパーティー。 「1、始めのことば」は省略された。 子どもたちはシャンメリー、大人たちはワインで乾杯。 そして「2、おしょくじ」は、各家庭で持ち寄った バラエティーに富んだお料理をおいしくいただいた。 私はパエリアを作っていった。
「3、ゲーム(クラッカー)」?と思ったら、 まるでロシアンルーレットのようなクラッカーがあるのだった。 6本の紐のうち、パン!と紙ふぶきが飛び出すのは1つだけ。 みんな耳を押さえながらドキドキとひっぱった。 「4、ゲーム」は「トランプ、ウノどっちか」のはずだったのが 私が持っていったツイスターで盛り上がった。 大人たちは懐かしく、子どもたちには新鮮なこのゲームは やっている人はもちろん、見ている方まで楽しめる。 こんなに喜んでもらえるなんて、持って行ってよかったと嬉しく思う。 子どもたちは、来年サンタさんに頼むそうだ。
そしてメインイベント、「5、プレゼントこうかん」。 大人で参加するのは私だけだった。 8人の子どもたちと一緒に輪になって座って 「赤鼻のトナカイ」の歌に合わせてプレゼントを回していった。 最後に私の手に残ったのは、一番小さな紙袋。 5年生のヒライくんからのかわいいウサギのキイホルダーだった。 早速デジカメにつけると、ヒライくんは嬉しそうにおそろいだと話してくれた。 私が持っていった犬の形のブックエンドは3年生のユリちゃんの元へ行った。 犬好きのユリちゃんは喜んでくれた。 みんなでもらったばかりのプレゼントを見せ合いっこをした。
「6、終わりのことば」も省略され、子どもたちは外に飛び出した。 大人たちは静かになった部屋で、コーヒーとお菓子をゆっくりと味わい、 写真を見ながら猫の恵ちゃんの話をしたりした。 気がついたら外は暗くなっていた。 「洗濯物を入れなくちゃ!」と誰かが言い、一旦おひらきにすることにした。 そして20分後に家の前で待ち合わせをして、 今日のプログラムの最後、「7、イルミネーション見学」に出発する。
クリスマスイルミネーションは、この住宅街の名物だ。 ご近所さんたちも、庭木やフェンスに豆電球の灯りをちりばめたり 光る大きな人形を玄関前に置いたりしている。 それぞれの家で工夫がしてあって、見て歩くのは楽しい。 一人で歩くと寒い道も、みんなで散歩すると暖かいし恐くない。 たぶん今夜までのきらめく光を、ゆっくりと静かに見て歩いた。 歩きながら、灯りの話、庭の花の話、来年のハロウィンやクリスマスの話をした。 そして、いつか子どもたちが一緒に歩かなくなる何年後かの話をした。 1時間半をかけて光る街を歩き回り、家の前でお別れして会は終わった。
縁あってご近所に住むようになり、仲よくなった数件の家族たち。 本当にいい隣人たちに恵まれた。 これから先、何年も何十年もよろしく。 子どもたちが大きくなって巣立って行っても仲よくしよう。 こんな夜があったことをきっと懐かしく思い出すのだろう。
| 小さなクリスマスパーティー |
2003年12月23日(火) |
今日はうちでクリスマスパーティー。 妹たちと一緒に小さな甥や姪たちが来るのだ。
まだ4歳、3歳、2歳。 幼い子たちは何を喜ぶのだろう? あれこれ考えてこまごまと買ってきたお菓子やハンカチや 小さなおもちゃを、かわいい巾着袋に詰めこんだ。 それをツリーの足元に並べて、チビたちの到着を待った。
賑やかに一団がやって来た! ちょっと前まであんなに人見知りしていた上の4歳の女の子は もうすっかりおしゃまになって一人前に挨拶をしてくれた。 いつも陽気な3歳の男の子は相変わらずのハイテンション。 下の2歳の女の子は、なぜか家に入る前から号泣している。 「恥ずかしい〜!」って泣いているのだそうだ。 子どもっておもしろい。
プレゼントは素直に喜んでくれた。 嬉しそうに中身を引っ張り出す顔を見ていると私も嬉しくなった。 用意しておいたおもちゃでもよく遊んでくれた。
キッチンで料理の支度をしている私の後ろを 「きゃー!きゃー」とはしゃぎながら子どもたちが走り回る。 あっちのドアもこっちのドアも開いて、ぐるぐると駆け巡っている。 そう、こんなことがなぜかやたらと楽しいんだ。 機嫌がいい大人たちに見守られて、無邪気に遊ぶ子どもたちに 何十年も前の自分の姿が重なった。
ワインのおつまみにと思った煮込み料理は意外と子どもたちにも好評だった。 みんな何でも食べるようになってきていた。 気の置けないメンバーなので、クリスマスにはこだわらず、 タコヤキも作って盛り上がった。 サラダもピザもすぐになくなり、ワインもビールも何本もあいた。 他愛もないおしゃべりが楽しい。 子どもたちがかわいい。 インコたちも音楽に合わせて高らかに歌う。
ケーキと紅茶を用意したころ、甥が遊び疲れて眠ってしまった。 姪たちも「眠い〜」「おうちに帰ろう〜」とぐずり始めた。 時計を見ると8時。 そうね。子どもは眠る時間ね。 寂しいけれど、さようならね。
お茶を飲んで、妹たちは立ち上がった。 眠り込みぐったりとした甥を義弟がかついだ。 下の姪も抱っこをせがんでいた。 お姉ちゃんは、自分で靴をはき、ちゃんとバイバイしてくれた。 チビちゃんも眠そうに手を振ってくれた。 来たときと同じように賑やかにみんなは帰っていった。
ひとりになった部屋に戻った。 インコたちももう眠るところだ。 急に部屋が寒く感じてストーブをつけた。 あの子たちがいるときには、 ストーブがいらないくらい暖かかったのだと気がついた。
また遊びに来てね。 このツリーを毎年見に来てね。 春になったら一緒に散歩しようね。
年末、やっぱり忙しい。 毎日どこかへ行くか、誰かが来るかしている。
今日はパン教室のあと、そのまま新宿まで買い物に行った。 甥や姪へのクリスマスプレゼントやカード、 その他、都会でしか買えないものいろいろ。 あわただしくっても、疲れていても、 華やかな街できれいなものを見るのは楽しい。 夕方には、両手から4つもの大きな荷物をぶらさげていた。
帰りの下り電車は始発の新宿駅で2台見送り、15分並んで急行電車の座席を確保した。 これで30分は眠れる。 大きな荷物を抱えてよろよろと立っているのはかえって迷惑にもなるものね。 席に座ると、日ごろの寝不足と買い物の疲れのせいか、 発車する前からうとうととし始めてしまった。 そして心地よい揺れに体を任せて熟睡…。 でも耳は起きているのか、不思議なことに降りる駅では目が覚めるのだ。 いつもの各駅停車に乗り換える駅ではちゃんと目覚めて降りることができた。
本当なら、向かい側に止まっている各停にすぐに乗り込むのだけれど 今日はこの駅で下車。 大事な用がある。 1ヶ月前に注文してあった、バッグができあがったとお店から電話があったのだ。 早くそれを取りに行かなくちゃ!
「かわいいお子さまやペットの写真を転写プリントにしてバッグに仕立てます」 と言うバッグ屋さんの親バカ企画を見つけたので、 恵ちゃんの写真でバッグを作ってもらったのだ。 何百枚、何千枚もある中から選んだこの1枚。 恵ちゃんのやんちゃさと、赤ちゃんらしさが出ていてお気に入りだ。 10種類ほどあるバッグの型の中から好きなものを選び、色も決めた。 さて、どんなふうにできあがったかな?
バッグ屋さんのカウンターで控えの伝票を渡した。 裏の倉庫からすぐにビニールに包まれたバッグが持ってこられた。 店員さんはビニールをほどき、にこにこしながら「これですね」と見せてくれた。 恵ちゃん! 小さいときの恵ちゃんが、懐かしいポーズでバッグになっていた。 横長のバッグの形と皮のこげ茶色も似合っている。
「うふふ、かわいい!嬉しい!」と、笑ってしまった。 「写真に動きもあるし、かわいいってお店でも一番の評判だったんですよ。」 と、店員さんが言ってくれた。 お店の人、みんなで見てくれたんだ。 お世辞かもしれないけれど、嬉しい。 少なくとも私は大満足だから、それでいいんだ〜♪ 紙袋に入れて渡された恵ちゃんバッグを、帰り道で何度も覗いてしまった。 荷物はまた増えたけれど、心はウキウキ。 これは私へのクリスマスプレゼントだ。
家に帰ってゆっくりと眺めた。 恵ちゃん、小さかったな。 写真と同じ、恵ちゃんが寝転がっていたソファの上にバッグを置いてみた。 バッグのプリントはちょうど実物大だった。 恵ちゃんは、この大きさだったんだ。 バッグにすっぽり入るくらい本当に小さかったんだ。
こげ茶色の皮とツイードでできたバッグはこの冬、大活躍しそうだ。 これからお出かけは恵ちゃんと一緒。 今度、本当の恵ちゃんに会いに行くときにも持っていこう。 自分だってわかるかな?
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