ひとりごと
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失敗ケーキ 2003年11月24日(月)

友だちがお出かけ前にうちに寄ってくれると言うので、
はりきって早起きしてケーキを作った。
バターや粉は、昨夜寝る前にきちんと量ってあった。
ドライプルーンといちじくも洋種入りの紅茶に漬け込んであった。
バターと卵たっぷり、香りのいいドライフルーツがたっぷりの
おいしいケーキができるはずだった。

…何を間違えたのだろう。
余熱をしたオーブンに入れて、何分たってもケーキは膨らまなかった。
焦げないようにアルミホイルを乗せて、さらに10分焼いても変わらなかった。
竹串を刺してみると、中まで火は通っているようだ。
本に書いてあった時間より、20分長く焼いて取り出した。
粗熱をとって型からはずすと、ふくらまなかったので高さはないものの
型のままの薔薇の形のケーキが出てきた。
これはおいしそうかも!
と、ナイフを入れて一切れお味見。

…やっぱりダメだった。
ずっしり重くて甘くてしつこい。
それはそうだろう。
あれだけの量のバターとお砂糖と卵と粉とフルーツが
これだけの体積の中に詰め込まれているのだから。
日持ちさえしたら、カロリーと栄養たっぷりの非常食になりそうなほどだ。
がっかり。
これは友だちにはあげられない。

11時半、友だちの車は時間通りに来てくれた。
借りていたものをお返しし、花の苗をひとつ渡した。
これからご主人さまとお出かけなので、引き止めることはできない。
それでもケーキがちゃんとできていたらお土産に渡せたのになぁ。
せめてものお礼にしたかったのになぁ。
本当に残念だった。
わざわざ寄ってくださったのに、なにもできなくて申し訳なかった。

去年手に入れた薔薇の形のケーキ型はお気に入りだ。
でも、これでケーキを作ると、ずっしりと重くなるようだ。
最初の何回かはオリジナルレシピで作っていたので、配合のミスかと思っていたけれど
今回は、ちゃんと本の通りに作って、それでも膨らまなく重くなってしまった。
型が分厚い分、オーブンの温度をもっと上げなくてはいけないのかもしれない。
特に余熱の温度はもっと高くしたほうがよさそうだ。
実験、実験。
同じレシピで、今度は温度を変えてやってみよう。
成功したら、おいしくできたら、今度こそ友だちに食べてもらおう。

その前に、この失敗ケーキを何とかしなくては。
夫も食べてくれなかった。
小鳥たちは食べてくれるだろうか。
砕いてパンプディングにでもしようかな。
それともやっぱり非常食かしら?


ボジョレーヌーボーとチーズフォンデュ 2003年11月23日(日)

出張に行っていた夫が帰ってきて、
やっとボジョレーヌーボーで乾杯できた。
注文していたル・クルーゼのフォンデュ鍋も、
タイミングよく届いた。
せめてもの手作り、
チーズフォンデュに使うバゲットは私が作った。
あとは野菜を下茹でしたり、
海老やウィンナーの下ごしらえをするだけだ。
簡単休日ディナー。

初めて焼いたバゲットはあまり上手にはできなかったけれど
とろりとチーズをからめるととてもおいしかった。
ただの野菜も海老もおいしかった。
そして評判どおり、ボジョレーヌーボーが本当においしかった。

たっぷりチーズに溶かしこんだ白ワインと
ボジョレーヌーボー1本で、すっかり酔ってしまった。
いいわ。
明日も休日だもの。

今日は勤労感謝の日。
働いている人(夫)も、あまり働いていない人も(私)、
それぞれの勤労に感謝して、
ワインをおいしくしてくれた天の恵みに感謝して、
おいしいチーズや野菜や海の幸を与えてくれた自然に感謝して、
ワインやお鍋を作ってくれた人に感謝して、
おいしく楽しく過ごしましょう。


リースの季節 2003年11月19日(水)

ぼんやり窓の外を眺めていたら
シジュウカラの夫婦がやってきて
からっぽのままのピーナッツリースを覗きこんでいた。

そうだ、昨日ピーナッツを買ってきたのだっけ!
シジュウカラたちが諦めて来なくなる前に新しいリースを作ろう。

パソコンも開いたままで、広告を広げてピーナッツを出した。
目打ちでピーナッツのくびれた部分に穴をあけ、両端を切り落とす。
そしてワイヤーに通してくるりと輪にする。
簡単。
もう手馴れたものだ。
スーパーの入り口に積まれていた1袋98円のピーナッツは
あっという間に3つのかわいいリースになった。

前と同じように、2つはリビングの前のぶどうの蔓に、
もう1つはエゴノキの枝に引っ掛けた。
新しいピーナッツリースは白く乾いて清潔できれいに見えた。
この席からレースのカーテン越しに
シジュウカラたちの訪れを眺める季節がまた始まった。
この冬は何回リースを作り直すだろう?
うちを気に入って、今度こそ巣箱に入ってくれたらいいな。
…スズメバチたちのお引越しはもうすんだかしら。
巣箱の中を点検しなくては。

去年の今日もリース作りをしていた。
それはピーナッツリースではなくて、
ローズマリーやラベンダーやローズヒップのリースだったけれど。
そう、またそんな季節もやって来ているのだ。
今年も香りのいいあのリースを、暖かい部屋でいくつも作ろう。
白い壁とドアに飾ろう。
赤い実のリースは庭にも飾ろう。
小鳥たちがついばんでくれるだろう。


ピーちゃん 2003年11月18日(火)

先週やって来た迷いインコのピーちゃん(仮称)は今日も元気だ。
はしごくぐりや天井逆さま走りなどをして無邪気に遊ぶので
ブランコを入れてやったら、喜んでくれた。
子どもインコの遊ぶ姿は久しぶりで、とてもかわいくて嬉しい。
高く響く幼い声もほほえましい。
飼い主さんのもとへ返すのが一番幸せ、とわかっていても
今このときが楽しくて、このままうちの子になってもいいのに、
…などと思ってしまうことがあるのだ。
いえいえ、いけない。
ちゃんと飼い主さんを探さなくては。

ピーちゃんがやって来た翌日、友だちが情報をくれた。
タウン誌に、ピーちゃんと似たインコを探している記事が載っていたと言う。
少し離れた街ではあるし、3週間以上がたっているので
可能性は低いかもしれないけれど、もしかしたら、と言うこともある。
何より飼い主さんは、心配して一生懸命探していることだろう。
早く確かめなくてはいけない。
週末から出かけることが多くて、今日やっとこの家に連絡することができた。

電話をすると、私より少し年配くらいの女性の声が出た。
私は名乗り、電話した経緯を告げた。
「もしかしたら、こちらのインコちゃんではないかと思いまして。」
すると「あぁ、うちのインコ、見つかったんです!」と明るい声が返ってきた。
「そうなんですか!おめでとうございます。よかったですね。」
私はいろいろな意味でほっとして言った。

そのインコちゃんは、逃げてから2週間もたって、
家から2km以上離れた場所で保護されたのだそうだ。
「もう、奇跡のようです。寒くなりましたし、2週間もたっていたので諦めていたのです。
連絡をいただいて見に行ったらうちの子でした。夢のようでした。」
とても丁寧にそのときのことを話してくださった。
「疲れたのか緊張していたのか、おしゃべりもしなくなっていたんですよ。
それが迎えに行って帰り道、タクシーの中で『オカアサン』としゃべり出しましてね。」
嬉しそうに静かにおっしゃった。
「本当によかったですね。安心したのでしょうね。おうちに帰りたかったのでしょうね。」
と、私も言いながら、感動してしまった。

そう、インコちゃんはおうちに帰りたかったはずなのだ。
2週間も冒険して、やっと懐かしい顔に会えて嬉しかったのだ。
「はい、そうなのでしょうね。本当によかったです。」
と、その方は笑い、そして続けられた。
「今、インコちゃんを保護していらっしゃるのですよね。
保護したインコを大事にしてくださっているかと思うととても嬉しいです。
ありがとうございます。私からもお礼を言わせてくださいね。」
私はあわててしまった。
「いえ、とんでもない。うちにもインコがいますので、お気持ちはわかりますから。」
と答え、そして恥ずかしくなった。
大事にかわいがっているのは確かだけれど、手放すのもさびしくなってきていたのだから。

「そちらのインコちゃんも早く飼い主さんが見つかりますように、お祈りしています。
ご連絡、どうもありがとうございました。ごめんくださいませ。」
と、明るい声でしめくくり、感じよく電話は切れた。
私も静かに受話器を置いて、ため息をついた。
電話してよかった。
その方のインコが見つかっていたことが嬉しかった。
そして心から反省した。

もっと真剣にピーちゃんの飼い主さんを探さなくてはならない。
飼い主さんは、こんなにも心配して、こんなにも喜ぶのだ。
もし自分だったら、と考えたらよくわかる。
いなくなったら、どんなに悲しくてつらいだろう。
無事に見つかったら、本当に夢のように嬉しいに違いない。
インコも優しい家族のいる住み慣れた家に帰るのが一番幸せに違いないのだ。

パソコンを開き、あらためて「迷子の鳥探しています」掲示板を丁寧にチェックした。
いくつかの掲示板を過去へとさかのぼっていくと、これは、と思われるものがひとつあった。
逃げたのは、もう1ヶ月前になるけれど、住所が近い。
他県だけれど、うちから見たら隣町なのだ。
オスで、「生後4ヶ月」と言う年頃もぴったりだ。
それに何より、体の色や特徴がとても似ている。
黄色い顔にライムグリーンの体のオパーリン、右の喉もとにひとつだけ黒い斑点。
もしかしたら、ピーちゃんは、ラムちゃんかもしれない。

保護した場所と日時と状況、インコの様子を書き、
目印になる喉もとの斑点と、顔がはっきり写っている写真を添付してメールを出した。
飼い主なら、自分の鳥は写真を見たらわかるはずだ。

まだ返事は来ない。
ドキドキしながら返事を待っている。
ピーちゃんがラムちゃんであることを祈っている。
飼い主さんと対面して、嬉しそうなピーちゃんの姿を見たい。

こちらを見つめているピーちゃんに、かご越しに話しかけた。
「ラムちゃん?あなたはラムちゃんなの?」
ピーちゃんは何も言わずに首をかしげているだけだった。


Roman Holiday 2003年11月16日(日)

ずいぶん前から、行こう、と夫と話していた。
「ローマの休日」をやっと見に行けた。

売店で、美しい本のようなプログラムと、
かわいい瓶に惹かれて透明なレモネードを買った。
勾配が急な客席に座ると、どの席でもスクリーンが真正面に見える。
デパートの中にあるきれいなこの映画館は私たちのお気に入りだ。
お客はみんな落ち着いた雰囲気で静かに暗くなるのを待っていた。
テレビやビデオで何回も見た映画なのに
私もドキドキしてスクリーンを見つめて待った。

あぁ。
あぁ…!
ため息ばかり。
スクリーンで見ただけでこんなに違うものかしら。
今まで見ていたのはダイジェスト版だったのかしら?
こんなに細やかで美しくて切ない映画だったのね。

きれいな贈り物を胸にもらったようだ。
それがこぼれないように、ふたりとも顔を見合わせないで黙って歩いた。
すぐ隣の展望室のようなガラス張りの広場に出た。
おしゃべりする人に混じって、映画のパンフレットを持った人も何人かいて
おだやかに御苑の森やビル街を見渡していた。
小春日和のぬくもりにかすんだ空の下、ビルも紅葉もきれいに見えた。
暖かで静かないい休日だった。


お祝いのお茶事 2003年11月15日(土)

敬愛するお茶の先生が、今年お元気に卆寿を迎えられた。
今日はそのお祝いのお茶事だった。
お祝いされるべき先生自らが、いつものお稽古場であるご自宅で
すべてを考え、しつらえて開いてくださったのだ。

すみずみまで心の行き届いた瑞々しい庭の空気を
薄い曇りが柔らかい光で満たしている。
つくばいに舞い落ちた楓の葉の色がしっとりと鮮やかだ。
水の中の空に鳥の影がすばやく映った。
梅の枝で高らかに啼いた。
白い侘助が濃い緑の中で清楚にうつむいていた。
苔むした丸い飛び石のひとつひとつに、
つややかな葉の1枚1枚に先生の優しいまなざしを感じた。
すべてのものが静かに喜んでいた。

おめでとうございます。
そしてありがとうございます。
これからもお元気で。
いつまでも憧れます。


迷いインコ預かっています 2003年11月14日(金)

突然、舞いこんで来ました。
美しい草色の、まだ若い男の子です。
顔つきも体つきも仕草も、子どもっぽいのです。
逃がしてしまった方はどんなに心配しているでしょう。
一生懸命、飼い主さんを探します。
それまでべべやジュジュと同じ、うちの家族です。


とってもおなかがすいていたみたいだった。
30分も餌入れから出てこなかった。
寒そうにふくらんでいたのでペットヒーターを入れたら
だんだん少年っぽい体つきが現れてきた。

べべやジュジュは興味津々。
遊びたくて仕方ない様子。
この子が落ち着かないので、
餌を食べ終わったあとかごに布をかけた。

おとなしく、落ち着いたみたいだったのに
夫がジャズのCDをかけると、ジュジュと一緒になって歌いだした。
かわいい幼い声だった。
小鳥はとっても歌が好き。
慣れない場所にいても、音楽の誘惑には勝てないのね。
かわいいね。

布の隙間からそっとのぞいたら
首をかしげて丸い目で、じっと私を見つめていた。


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