ひとりごと
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3年ぶりの横浜でした。
運河のほとりで若者たちがそれぞれのアートを展示販売していました。 若者に混じって友達もガラスの作品を並べていました。 ブラジル屋台で甘くないアンコのようなものがかかったご飯と ソーセージの盛り合わせを買ってビールと一緒にいただきました。 風が冷たかったけど気持ちよかったです。
元町ではおしゃれなお店を覗きながら歩きました。 夫はブリティッシュトラッドのジャケットを買ってご満悦。 私は紅茶とチョコレートを買いました。
山下公園では何かにぎやかにお祭りをやっていました。 屋台で売っていた各国の食べ物のおいしそうな香りに誘われたけどちょっと我慢。 色とりどりの風船が人々の声に揺らされてふわふわと踊っているようでした。
マリンタワーではバードピアに行きました。 鳥をさわったり、えさをやったりできるのです。 フラミンゴやエミュー、クジャクバトにホロホロチョウ。 そして相思相愛、いつも仲のいいソウシチョウ(相思鳥)。 小さい鳥が勇気を出して近寄ってくれたのには感激でした。
中華街は今日もにぎやかでした。 ほの明るさがまだ残る夕暮れ時にお食事をしました。 屋台を横目で見て我慢した甲斐があってとてもおいしいお料理を楽しめました。 そのあと大きな月餅と金木犀のお茶と菊のお茶を買いました。 夜になって街はいっそう鮮やかに元気に見えました。
そして今、おいしい中国茶で温まりお菓子を少し切り分けていただきながら 鳥の写真や海の写真を眺めています。 今夜はカラフルでにぎやかな夢を見そうです。
おせんべいを焼いた。 上新粉でお月見団子を作った残りを伸ばして 缶のふたやクッキー型で抜いたのを干していたのだ。 幸い今週ずっといいお天気が続き きれいに真っ白に乾いてからからと音がするほど。
○魚焼き網にのせ、弱火で1枚ずつ焼きます。
1枚ずつ? いいやー。まとめて焼いちゃえ!
○焼くときは手まめにひっくり返すことが大切なポイントです。
はいはい。手まめにね。 ここだけは本に忠実に、1枚ずつていねいにひっくり返しましょう。
「お・せ・ん・べ・や・け・た・か・な」
無意識に口ずさんでいた。 一瞬何のことだか自分でわからなかった。 そうだ。そんな遊びがあったのだっけ。
子供たちは手のひらを下にして両手を出す。 オニが「お・せ・ん・べ・や・け・た・か・な」と言いながら 手の甲をひとつずつ軽くたたいて回る。 最後の「な」に当たった手は裏返しにされる。 そしてその続きからまた「お・せ・ん・べ・や・け・た・か・な」。 こうしてどんどんひっくり返され、 表・裏・表・裏とひっくり返された手は、はい焼き上がり! 引っ込める。 そうして最後まで残った手(おせんべい)の持ち主が次のオニになる…。
と、そんなのどかな遊びだったと思う。 よく妹たちとお風呂の中で遊んだな。 わざとお湯をたたいて跳ね飛ばしたり。 オニが続くとお湯からあがれなくてのぼせたり。
単調な仕事は物思いにふけるのにぴったり。 まるで糸がほどけるようにスルスルと幼い日のころが思い出される。
立ちっぱなしの足が疲れるころ、やっと最後の1枚が焼きあがった。 刷毛でお醤油をスルスルと塗る。 お醤油とお米の焦げる素朴な香りがキッチンに立ち込めて あの古い家の台所と重なって見えた。
時計を見るとちょうど3時。 さぁ!おいしいお茶を淹れましょうか。
この季節になると読み返す本がある。
その日は金曜日だった 街中の金木犀が散りはじめた日 そして あたしが彼に会った日 ・・・・ 彼と会った日に彼は死んだ あたしを助けて
「その日は金曜日」赤石路代・作
こんなモノローグで始まるこの作品は少女マンガ。 年の離れた妹がいて(もしかしたらいなくても) 結婚するまで少女マンガをとっていた。 これはたしか「別冊少女コミック」に載っていたんだっけ。
私の好きなタイムトラベラーもの。 でも、少女向けのこれはSFという感じではなく せつないラブストーリーだった。 科学的な説明とか理屈は抜き。 「こーゆー人間もたまにいるらしい」で納得する。
春や夏、冬の場面もあるのに 全体を覆っているのは金木犀の香り。 金木犀の季節に彼の死で始まったストーリーは 12年後、未来の金木犀の季節まで続く…。
あー! 読み返したらやっぱりまたせつなくなってしまった。 涙、涙…。 おやすみなさい。 そろそろ終わりの金色の香りに包まれて。
惜しげもなく散らされる パステルカラーのふわふわ。 いつかこれで羽まくらを作りたくて こっそり集めているの。 気が長いって笑ってね。
今日もお昼からご近所さんでビーズの先生。 ビーズの材料、手作りデザート、そして いつものように家の電話の子機を持って行く。
庭が接したご近所さん。 家にかかってきた電話が子機で取れるほど近いのよ。 おすそ分けのお菓子や野菜やお花の苗も 庭でフェンス越しにやりとりしたり そのままおしゃべりしたりの仲よしさん。
講習会の前にまずは腹ごしらえね。 メニューはツナとバジルのトマトソースパスタと大根サラダ。 それに私がが作った杏仁豆腐の金木犀ソースがけ。 レシピの話に花が咲いて、ついつい長引くランチタイム。
今日はあのバッグを仕上げなくてはね。 外は暑いくらいね。いいお天気。 お洗濯物がよく乾きそう! 秋植えの球根、もう買っちゃった?
主婦らしい他愛ない平和な会話が続く。 そうしているうちにできていく小さな作品。
最後の仕上げがポイントなのよ。 ちょっと見せてね。 ・・・・ できた! うふふ。かわいいね。
顔を上げると時計は4時をさしていた。 陽射しは淡い夕方の色。
それではまたね。また教えてね。 あ、そうそう!ちょっと待ってて。
庭に出た彼女が持ってきたのはたくさんの水仙の球根。 もうかわいい緑の芽がのぞいている。
実家でね。いっぱい増えたんですって。 とてもいい香りなのよ。どこかに植えてね。
嬉しいな。 暗くなる前にもう一仕事。 かわいい球根たちをアプローチ脇に大切に植えた。 春の楽しみがまた増えた。
泥を落として立ち上がると小さな人影。 あれ?ミィちゃん?
忘れ物よ。
ご近所さんのかわいいお嬢ちゃんが差し出したもの。 それはうちの電話の子機だった。 あはは!
今日、金木犀のジャムを作った。 50gっていったいどれくらいの量なんだろう? 金木犀の木が寂しくならないように、 目立たないところから花を摘んでいく。 房になってしっかりと柄についた小さな花を摘むのは ちょっと乱暴なほど力が要る。 かすかに胸が痛む、手に伝わる初めての感触。
あ。 15年前、夜の街を花を求めて歩いたときには こんなふうには花を取らなかった。 安心した…。 咲いている花をむしったのではなかった。 そう、たしか今よりもう少し盛りを過ぎた時期の花、 散った花を葉っぱからふるい落としたのだった。 妹がそれをつば広の帽子で受けたのだ。
「なぜか素敵なことをしているような気持ち」なんて言って 公園やよそのお花をむしっていたのでは小学生の妹にもしめしがつかないもの。 15年前の私にもそれくらいの道徳心はあったのね。 あぁ、それでもふるい落とすのもやっぱり罪だったかな?
あの時とは違う午前の日が射す明るい庭で 青空の下、花を摘みながらそんなことを考えていた。 今日の花は九分咲き。 まだ散りたくなさそうな花をぷつぷつと摘んでいく。 ざるの中がしっとりと重くなっていく。 香りが体にまとわりつく。
やがて花はお砂糖で煮られて瓶の中へ。 たゆたゆと揺れるシロップの中で 4枚の花びらをきちんと開いた花が私を見つめていた。
金木犀の季節、昔々に作った金木犀酒を出してみた。 15年前の日付は10月12日。 今年より金木犀の花は遅かったのね。
金木犀の香りが好きで、どうにかしたくて それでやっと思いついたのが、お酒に漬けることだった。 花を集めるのがそれはそれは大変だったっけ。 家の金木犀の木は大きくて花をたくさんつけていたけど、それでも足りなくて、 夜の住宅街を小さな妹を連れて金木犀の花を求めて歩いた。 なぜか素敵なことをしているような、うきうきした気持ちを覚えている。
そんな大変な(楽しい)思いをして作ったほんの少しのお酒は 花の色を映してオレンジ色に芳しくできた。 大事に少しずつ特別なときだけに飲んでいたのに 中国のお酒で同じようなものが安く売られているのを見つけたときには ずいぶんがっかりしたんだった。
でもね。瓶のふたをパッチンと開けると浮かび上がる。 白い街灯で照らされた幼い妹の楽しそうな横顔や 街中を包んでいた夜の空気の香りが思い出されるの。
金木犀のお酒と一緒に出てきたたくさんの瓶。 りんご酒、キウイ酒、梅酒、苺酒、薔薇酒。 それぞれに閉じ込められていた時間。 あぁ。みんな覚えているよ。 そのときの風景、空気の香りを。
何年か経ってからのこんな思いをしたくて 私はお酒を作るのかもしれないな。 今年? 薔薇の実を漬けるよ。 氷砂糖と一緒に大きな瓶に入れて透明なお酒をそそいで。 冬が来るころにはきっと夕焼けみたいな茜色ね。 この秋の思い出いっぱいのお酒になっているはずよ。 友たち、一緒に飲みましょう!
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