ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2024年01月27日(土) お茶碗記念日

寒気が緩みずいぶんと暖かな一日だった。

燦々と降り注ぐ陽射しはまるで後光のようである。

観音様だろうか。とても尊い光に思えた。


観音様と云えば我が夫である。額の中央に大きな黒子があるのだ。

若い頃にはあまり目立たなかったが歳を重ねるごとに大きくなった。

孫達が幼い頃には「おじいちゃんのスイッチ」と言って

面白半分に黒子を押していたことがあり愉快な思い出である。


私は手を合わせたくなる。私にとって夫は観音様のような人だ。

俺よりも先に逝くなよといつも言っているが

もし夫に先立たれたらと思うと悲しみに圧し潰されそうになる。

同じ歩幅で歩いて行きたい。出来ることならば一緒に逝きたい。





今朝は開店時間にサニーマートへ行く。

真っ先に鮮魚売り場へ向かった。鰤のアラが欲しかったのだ。

お刺身や切り身はいつもあるけれどアラは滅多に手に入らない。

朝一番だったらきっとあるに違いないと思った通りだった。

頂き物の大根がしばらく冷蔵庫で眠っており

今日こそは「鰤大根」を食べられるので嬉しくてならない。


大根を下茹でしアラは湯引きをした。お酒と生姜は欠かせない。

大きめの鍋でぐつぐつと煮込む。全体が飴色になったら出来上がりだ。


孫達には揚げるだけの「チキンスティック」を買っていた。

これはサニーマート特製で下味の付いた鶏肉の細切りフライである。

あやちゃんの好物でいつもオーロラソースを付けて食べている。

もう一品はこれも頂き物のピーマンでベーコン炒めをすることにした。


買い物から帰るなりもうカーブスの時間である。

娘が仕事だったのでめいちゃんも一緒に行くことになった。

カーブスは市内の「アピアさつき」と云うショッピングセンター内にある。

娘の勤めているセリアも同じ店内にあるのだった。


首からお財布とスマホをぶら下げためいちゃんはまっしぐらにセリアへ。

百均にすっかりハマっていて買い物が楽しくてならないようだ。

娘には許しを得ていたので私は安心して筋トレに励んだ。

寒い朝だったのに汗が噴き出るように流れなんとも心地よかった。

けれども相変わらず脂肪は燃えている気配はない。

来週は計測日だがお腹周りが気になってしょうがなかった。


カーブスを終えてセリアに行ったらまだ買い物中のめいちゃん。

手に持てなかったのかカゴを提げてあれこれ迷っている。

私もお茶碗を買った。自分のとあやちゃんのと可愛らしいのがあった。

私はずっと長いことご飯を断っていたので専用のお茶碗が無かった。

あやちゃんのお茶碗は数日前から欠けていてそのままだったから。

灯台下暗しではないが娘はいつまで経っても買って来ないのだ。


昼食はお好み焼きを作った。あやちゃんは好まないので3人分である。

めいちゃんは小さいのにしてと言っていたが焼けたらけっこう大きい。

残してもえいけんねと言っておいたが全部食べてくれていた。


ずっと昼夜逆転のあやちゃんはいつもお昼まで寝ている。

シーチキン巻のお寿司を買って来ていたが気に入らなかったようだ。

2時頃部屋をノックして訊いたらカップうどんを食べたのだそうだ。

そんな時は何も言ってはならない。あくまでも自主性に任せる。

自分でカップうどんにお湯を注げるようになったのも成長だと思う。


夕方にはめいちゃんがリュックを背負って出掛けて行った。

まあちゃんの家でお泊りをするのだそうだ。

娘が駄目だと叱っていたが泣いてでも勝つめいちゃんであった。


ハイテンションのめいちゃんがいない夜は静かでしんみりとしている。

あやちゃんは機嫌よく夕食を食べてくれていた。

「そのお茶碗気にいったかね」声を掛けたら「うん」と一言。

だから今日はお茶碗記念日だ。俵万智先生すみませんね。





2024年01月26日(金) こころまでしゃぶしゃぶ

雲ひとつない晴天。やわらかな陽射しが燦々と降り注ぐ。

日陰に残っていた雪もすっかり融けたようだ。

立春まであと10日足らず。このまま春にならないものだろうか。


水仙、梅の花、菜の花と真冬から早春へと季節を繋げるように咲く花。

ひともきっと冬のままではいられない。

こころをあたためながら向かう春があるのだ。



いつものように夜明け前に詩を。帰宅してから短歌を詠んだ。

なんとなくだけれど手応えがある。以前とは違うように感じるのだ。

だからと云って世間に認められているわけではない。

自己満足だと分かっているが満足せずにはいられないのである。

とにかく残された時間がない。ある意味切羽詰まっている。

追い詰められているからこそ書けるものがあるように思う。


怖いのはある日突然書けなくなること。それは死にも等しい。




今日は義父が珍しく「もう帰っていいぞ」と言ってくれた。

仕事も一段落していたのでお言葉に甘えさせてもらう。

でも時計を見たらいつも通りの3時だったので可笑しかった。

今週も我ながらよく頑張ったと思う。心地よい達成感がある。

来週はもう月末になってしまうのでいっそう頑張らなくてはいけない。



3時半にはサニーマートへ着いていた。

今夜は「しゃぶしゃぶ」にしようと決めていたので気楽である。

娘達も食べたがっていたのできっと喜ぶことだろう。


豚肉はしゃぶしゃぶ用のロースを。野菜はレタスとエノキ茸。

お豆腐もしゃぶしゃぶするのが我が家流である。

タレは自家製のポン酢醤油と娘婿は市販の胡麻ダレが好みだった。

私は「しゃぶしゃぶ」をあまり好まずいつもお豆腐だけ食べる。

後はご飯にわさびふりかけを掛け沢庵をかじった。


夫と娘婿は食べないが娘がクリームシチューを作ってくれた。

これは久しぶりだったので満足この上ない美味しさである。

若い頃にはご飯にシチューを掛けて食べたこともあった。


お刺身はグレのお造りとイカのお造りを奮発して買って来ていた。

先日のサーモンのお詫びである。高かったが節約どころではない。

夫も娘婿も喜んでくれたのでよしとしよう。


あやちゃんも機嫌よく食べてくれていたので嬉しかった。

シチューを口に運ぶ時に熱かったのかふうふうしている姿が可愛い。

おとなぶっていてもまだ子供なのだなと思った。


今日は落ち込むことも一切なくなんと幸せだったことか。

どんな日もあるものなのだ。明日はあしたの風が吹くだろう。





2024年01月25日(木) 毎日が終活

昨日の雪が融けずに残っておりしんしんと冷え込んだ朝。

夜明け前の空を仰ぐと満月間近の綺麗な月が見えていた。


日中はまだ風が冷たかったが晴天となり陽射しが降り注ぐ。

紅梅の花が微笑んでいるように見えて心が和んだ。


毎日が終活。今日はふとそんなことを思う。

詩や短歌やこの日記もそうなのだろう。

あれやこれやと欲張っているが断捨離をするつもりはない。

これは与えられた人生を埋め尽くすための作業ではないだろうか。

思い残すことがあってはいけないのだ。悔いのない人生でありたい。

書けるだけ書いて死のう。最後の日まで書けたら本望である。





毎週木曜日はリハビリに行く日。今日は4時半の予約だった。

いつもは3時だが患者さんが多かったのだろう。

終るのが遅くなりそうなので診察を免除してもらったら

医師とテレビ電話で面談をしなければいけないそうで

療法士さんがスマホを用意していて顔を見ながら話すことが出来た。

なんと便利な世の中になったことだろうとおどろく。

スマホには私の不細工な顔も映っていて白髪を染めていて良かったと思う。

医師に痛みが和らいでいることを話すとピースサインをしていた。

その笑顔が胸に焼きつく。なんだか惚れてしまいそうである。


療法士さんは先週と同じく若い男性であった。

口数は少ないが愛想が悪いのではない。優しい好青年に思える。

痛みを確認しながら無理のないように筋肉をほぐしてくれるのだ。

これは癖になる。出来ることなら毎日でも通いたくなる。



5時過ぎに病院を出てそのまま「ほっほか亭」へ走った。

今日は娘と相談して別々の夕食にすることに決めていたのだ。

献立を考えなくて良いのでなんとも気楽である。

お弁当ではなく単品でステーキとチキン南蛮、焼そばを買って帰る。


帰宅したら娘もステーキを焼いていた。

「あらまあ」と思わず笑ってしまわずにいられない。

あやちゃんも二階から下りて来て焼けるのを待っているようだった。

「ステーキ嬉しいね」と声を掛けたら「うん!」と笑顔で応えてくれる。

私が考える献立にはもううんざりしていたのかもしれない。

たまにはこうして娘に任せてみるのも良いかもしれないと思った。


誰が何と云おうと母親が一番なのだ。

子供達の期待外れにならないように思い遣ることが出来る。

私は少し反省しながらすくっと前を向いているようだ。

家族みんなの美味しい顔が見られるようにまた明日から頑張りたい。


「おばあちゃんのご飯美味しかったね」と懐かしんでもらえるように。



2024年01月24日(水) 窓の外を見てね

早朝から雪が降り始め瞬く間にあたり一面が銀世界となる。

大雪と云ってしまえば雪国の人達に笑われてしまうが

南国高知である。少し積もっただけでも大騒ぎになるのだった。

山間部では記録的な大雪。四万十市もかなり積もり夕方まで降り続いていた。

同じ県西部でも職場のある三原村では僅かの積雪で

午前中に雪が止み日中は陽射しが降り注いでいた。

夫に電話したら「大雪だぞ、帰って来れなくなるぞ」と言う。

早退させてもらおうと義父に相談したら「そんなはずはない」と言う。

山里があまりに良い天気だったので信じられなかったのだろう。


SNSで市内の雪の様子を動画で発信してくれている人がいて助かる。

義父に見せたらやっと信じてくれて少し早めに帰ることが出来た。

自動車専用道路は時速制限が出ていたが順調な車の流れ。

市内が近づくと辺りはすっかり雪景色だったが道路に雪は無かった。

雪も次第に小降りになっており無事にサニーマートへ着く。

店頭には凍結に注意の立札が数ヵ所にあり酷い雪だったことが窺える。



さて夕飯はどうしよう。今夜も温かいものが食べたくてならない。

しばらく迷ったが「ちゃんぽん」にすることにした。

キャベツ等の野菜はあるので豚バラ肉とむき海老を買う。

麺はスープ付きを売っており6人分買った。

鮮魚売り場でお刺身用のサーモンが半額。これは買わずにいられない。

あまりの嬉しさに2パック買う。脂がのってとても美味しそうだ。


しかし帰宅してからがっくり。娘婿はサーモンの刺身を好まないそうだ。

娘が「そんなにいっぱい買って来てどうするがよ」と言う。

よくよく訊けばお刺身好きのめいちゃんも食べないとのこと。

私はお刺身ならなんでも喜んでくれると思っていた。

もう10年も一緒に暮らしているのになんて迂闊だったのだろう。


おまけにあやちゃんは「ちゃんぽんは嫌だ」と娘に伝えたらしい。

直接私に言わないところがあやちゃんらしいが私はショックである。

娘が大急ぎで「キーマカレー」を作っていた。

それならあやちゃんも食べてくれるのだそうだ。


サーモンのお刺身は私と夫、娘も手伝ってくれて無駄にせずに済む。

娘婿には悪かったが好き嫌いがあるほうがよっぽど悪いと思う。

これでも毎日気を遣っているのだ。それだけは分かって欲しい。


あやちゃんはキーマカレーが嬉しかったのか今夜は笑顔を見せてくれた。

今朝は娘が置手紙をしており「窓の外を見てね」と書いてあった。

雪を見せてやりたかったのだろう。母親なんだなと感動したことだった。


「窓の外見てみなさいと置手紙少女の母は雪を見せたい」

これは今日の短歌である。


あやちゃんはきっと雪を見たのに違いない。










2024年01月23日(火) あったかい豚汁

氷点下ではなかったが冷たい風の吹く朝。

山里ではずっと小雪が舞っていた。

陽射しはあるのだ。だから雪がきらきらと光って見える。


紅梅は5分咲くらいだろうか。雪にもめげずなんと健気なことか。

もしかしたら母が近くに居るのかもしれないと思った。


人は死んでしまったら何も出来なくなるのだろうか。

そうではないと私は思う。魂は永遠に不滅だと信じてやまない。




仕事が忙しく今日も残業となる。

サニーマートへ着いた頃には4時半になっていた。

思った通り半額品は殆ど見当たらない。

おそらく第一弾が3時。第二弾は閉店間際の7時頃だと思われる。

今日はあまりに寒いので「豚汁」にしようと決めていた。

大根や人参など野菜は家にあったのでお豆腐、糸コンなどを買う。

お味噌は伊予味噌を使うがそれも買い置きがあった。

店内の時計を見ながら大急ぎでセルフレジに向かったが

肝心の豚肉を買い忘れていた。足の痛みがあり売り場に戻るのが辛い。

カセットコンロ用のボンベも買っていたので荷物の重いこと。


帰宅したら台所に電気が点いていてほっとする。

娘が温風ヒーターで温めてくれていた。

洗濯物も畳んでくれていてこの上ないほどの幸せである。


豚汁は大きな土鍋で作る。材料に火が通ったところでお味噌を入れるが

買い置きの伊予味噌が変色していて風味が落ちているようだった。

仕方なく使ったがなんだか赤味噌のような味がしてイマイチである。

一番に気になっのはあやちゃんである。今夜も食べてくれないかも。

昨夜もカップ麺だったのだ。さすがに二夜連続は不憫であった。


二階から下りて来たあやちゃんは父親としきりにゲームの話をしていた。

機嫌は良いようである。どうかこのままと祈るような気持だった。


運動不足もあるのだろうすっかり小食になっておりお椀一杯の豚汁。

ご飯も少しだけ食べてくれたようでほっと胸を撫で下ろす。

食べ終わるとすぐに二階に上がってしまうのだ。

ゆっくりと顔を見ることも出来ず私との会話は一切なかった。


どうやら家族で私だけ避けられているような気がしてならない。

いったい原因はなんだろう。私のどこがいけないのだろう。


もう何処を探しても幼い頃のあやちゃんは居なかった。

それはとても寂しいことだがそうして成長していくのだと思う。



2024年01月22日(月) 今日よりも明日に咲く

日中は陽射しに恵まれ暖かだったが夕方から冷たい北風が吹き始めた。

寒気が南下し明日は一気に真冬の寒さとなりそうだ。

先日から天気予報に雪マークが出ていたが今日は消えていてほっとする。

しかし油断は禁物だろう。心構えだけはしておかなければいけない。


今朝は毎朝の眠気が嘘のようになかった。

もしかしたらずっと長いこと暗示に掛かっていたのかもしれない。

自分で自分に催眠術を掛けるようなものだ。

たまたま今日だけのことかもしれないが克服出来たような気がした。

暗示に掛かりやすい性格である。それを良い方に利用すればいい。


清々しい気持ちで職場に着けば紅梅の花が迎えてくれた。

週末の暖かさに誘われ一気に咲いたのだろう。

母に知らせなければと思う。母は何処にいるのだろうと。





仕事はぼちぼちの忙しさ。話好きの来客もありおしゃべりもする。

お弁当を買いに行ったらいつものお弁当屋さんがお休みとのこと。

インフルエンザに罹ったらしい。明日もどうやら無理のようだ。

仕方なくパンとお惣菜のポテサラを買い昼食を済ませる。


その後少しだけお昼休みを取れたので同人誌に短歌を送信した。

いつもメールでのやり取りなので簡単なのだけれど

選んだ16首は如何なものだろう。今まで感想などは一切ない。


それから今朝書いたばかりの詩をワードの原稿用紙に移し

高新文芸の「詩壇」に送った。これは郵便でなければいけない。

自分ではとても好きな詩だがおそらくまた落選だろう。

認められなければもうこそ最後にしようと決める。

私の詩はきっと選者に憎まれているのに違いない。

憎まれ者世に憚るである。長生きをしてとことん書き続けようと思う。





またまたサニーマート。このところずっと買物日記ばかりである。

今日は3時過ぎに着いたので半額の牡蠣を仕留めることが出来た。

フライにするか天婦羅にするか娘に任せることにしてとにかく買う。

後は蛸が半額だったが先日食べたばかりなのでブーイングが怖い。


ブラジル鶏はいつでも安い。玉葱とガーリック炒めにすることに。

それから特売のお豆腐を2丁買い湯豆腐にすることにした。

あやちゃんには焼くだけの餃子。好きだけど食べてくれるだろうか。

帰宅したらお向かいの奥さんがカリフラワーを沢山持って来てくれた。

我が家には珍しいがブロッコリーよりも美味しいのだそうだ。

お向かいの奥さんは凄いなあといつも感心する。

畑仕事が大好きで色んな野菜を沢山作っているのだ。


牡蠣は天婦羅に。湯豆腐も餃子もカリフラワーも自家製の柚子ぽんで。

直七と柚子とお醤油、味の素を少し入れて作るのだが

市販の物よりずっと美味しいと家族には大好評であった。


あやちゃんが二階から下りてきたがなんだか元気がない。

食卓を見るなりまた二階に上がろうとしたのを娘が抱き寄せていた。

私が馬鹿の一つ覚えみたいに餃子ばかり買って来るからかもしれない。

嫌なら嫌と言って欲しいし食べたい物をちゃんと伝えて欲しい。

今のあやちゃんにとってそれは酷なことだろうか。

家族みんなが心配で仕方ないけれどそれを口に出さずにいる。

あやちゃんは「腫れ物」だろうか。そうではないと私は思いたい。


今日も一言さえ会話はなく笑顔も見せてはくれなかったが

どれほど愛しいことだろう。どれほど大切な存在だろうか。



2024年01月21日(日) 気分一新

今朝は外気温が15℃もあり気味の悪いような暖かさとなる。

何か異変が起こるのではないかと頭を過るのはやはり大地震だった。

明日は我が身だとずっと思って来たのだからその不安は一層大きい。

幸い今日は平穏無事に過ごせたが今夜かもしれないと思っている。

「天災は忘れた頃にやって来る」と言ったのは寺田寅彦だったか。

だから常に忘れてはならない。身構えるように過ごして行かなければ。



数日前から今日こそはと決めていた美容院へ。

サニーマート内にある美容院で手軽に行けるのが魅力だった。

行く度に美容師さんが入れ替わっていて今日は若い男性である。

独身かなと思ったら左手の薬指に指輪を嵌めていた。

初めてだったので少し緊張したがカットの上手なこと。

白髪を染めたかったので色はお任せすることにした。


昨年は椎名誠のエッセイばかり読んでいて

「年寄りは髪を染めない方が良い」と書いてあるのを何度か目にした。

顔は皺くちゃなのに茶髪なんかにしたらみっともないのだそうだ。

私はすっかり洗脳されて「そうだ、その通りだ」とずっと思っていた。

だからもう絶対に染めないと決めていたのだけれど

最近になりなんとなくそんな自分に違和感を感じるようになった。

鏡を見る度にぞっとする。ぼさぼさの白髪頭はまるで化け物である。

その上に皺くちゃの顔だから化け物は2乗され妖怪のようだった。

おまけに足が悪く杖を付いているものだから余計に老けて見えるのだ。


夫に相談したら「在りのままでええことないか」と言ってくれたが

自分がどんどんみすぼらしくなり醜くなるのに耐えられなくなった。


美容師さんが選んでくれた髪色は黒でもなく茶でもない。

それは栗色でとても上品で優しい色であった。

もう婆さんではないと思う。ちょっとしたマダムの気持ちである。

それからサニーマートで買物をしたが周りの人達の視線を感じた。

実際は誰も見てなどいないのだがよほど見て欲しかったのだろう。


気分一新である。自分から変わろうとしない限りひとは変われないと思う。





夕飯は我が家の定番「天下茶屋」にした。

冷蔵庫にニラがまだ残っておりキャベツもあった。

もやしと牛肉だけ買えばよくこの上ない節約となる。

しかし娘からブーイングの嵐。「この前食べたばかりじゃんか」と。

娘は「しゃぶしゃぶ」が良かったのだそうだ。

それならそうとどうして早めに言ってくれなかったのだろう。

夫は何ひとつ文句を言わない。だから愛さずにはいられないのだ。


例の如く夫と二人で先に食べる。牛肉はなるべく残して置かなければ。

ホットプレートの電源を保温にしていたのだけれど

娘達は一向に食べようとしないので電源を切ってしまった。

やはり「しゃぶしゃぶ」が良かったのかと少し落ち込んでしまった。


入浴後、食卓の上を見たら牛肉が沢山残っていた。

遠慮して食べたのになと思ったがもう後のまつりである。


あやちゃんのお茶椀が空っぽになっていた。

いつの間にか食べ終わっていたようだ。

そのお茶碗を見ただけで私はほっとするのだった。


今日も一言の会話もない。顔さえも見ないまま夜が更けていく。


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