ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2022年05月17日(火) 我慢と辛抱

午後から薄っすらと陽射しがありやっと暖かくなる。

今朝は5月とは思えない肌寒さで少し戸惑っていた。



息子が夜勤の為下校時からけい君を預かっている。

二階の娘達の部屋には絶対に入ってはいけないと

けい君が納得するように言って聞かせたのだけれど

思うようには行かずはらはらとするばかり。

まだ8歳のけい君に「プライバシー」などと言っても通じる訳がない。

それでも必死の思いでいれば血圧が異常に高くなってしまった。



まるで戦時中の学童疎開のようなものである。

親戚の家ならまだしも他人の家に預けられた子供は

どんなにか肩身が狭かったことだろう。

歯を食いしばりながら耐えるしかない。甘える両親もいない。

泣きながら眠った夜も数え切れないのではないだろうか。


そんな思いをけい君にさせるわけにはいかなかった。

私達祖父母がいる限りなんとしても守ってあげなくてはならない。

けれどもまるく納めようとすればするほど空回りしてしまう。

これでもかというほど気を遣っているのだけれど

当のけい君はあっけらかんとしていて自由気ままに行動をするのだった。


今日は娘がそんな私達の苦悩を察してくれたのか

晩ご飯までは二階で遊んでもいいよと言ってくれて随分と助かった。

けれどもこれ以上は甘える訳にはいかないと思っている。

「まあいいか」と思ったら最後、きっと波風が立つ日がやって来る。


息子には口が裂けても言えない。どんなにか頼りに思っていることだろう。

疎開でも何でもない。息子にとっては私達が家族に他ならないのだ。


けい君は母親の退院を知っていて実家に居ることも息子が告げたそうだ。

それでもけい君は「おかあさんにあいたい」と未だ一言も口にしない。

なんと健気なことだろう。けい君の我慢と辛抱に頭が下がる思いである。


今けい君は茶の間で宿題をしている。

少しでも側にいてあげようと思う。急ぎ足でこの日記を記した。









2022年05月16日(月) きっとだいじょうぶ

曇り日。初夏らしさは何処へやら少し肌寒さを感じた。

最高気温が札幌と同じだったのにはさすがに驚く。

梅雨入りも間近に思われるけれど明日は陽射しがありそう。

また雨が続き始めたら今度こそ待ったなしとなることだろう。



職場は予定通りに臨時休業。お休みは有り難いけれど

日給月給の身にはいささか厳しく感じる複雑さであった。

日銭を絶たれることはけっこうなストレスとなる。

やはり貧乏暇なしがいちばんに思えてならない。



朝のうちに母の入居料を支払いに病院へ行く。

お世話になっているケアマネさんがすぐに駆け寄って来てくれて

タブレットを片手にちょうど私のSNSを閲覧していたのだそうだ。

花の写真をしきりに褒めてくれて母にも見せてくれると言う。

それは願ってもないことでとても嬉しくてならなかった。

ささやかではあるけれどこれからも母と繋がっていられるだろう。


次に向かったのは私の掛かりつけの病院であった。

医師との面談だけですぐに処方箋を貰えたけれど

薬局で一時間近く待たされ堪忍袋の緒が切れそうになる。

自分でも不思議なくらい苛々していて薬剤師さんを睨み付けていた。

私はそれほどに短気だったのだろうか。自分ではよく分からない。

どうやら残薬を持って行ったせいで手間をかけてしまったらしい。

少しでも薬代が安くなればと思っただけの浅はかな考えであった。



午後は図書館へ。けい君は読み終えていたけれどめいちゃんは未読。

今朝登校前に訊いたら「もう読まない」とそっけなく言う。

仕方なく返すことにしたけれどその絵本がやたらと気になった。

駐車場の車の中でその絵本を読んでみたらなんとも心が和む。

「しんぱいせんせい」という本で「だいじょうぶかな?」が口癖。

絵本に出て来る男の子はその言葉が大嫌いなのだそうだ。

自信はないけれど心配されたら子供はよけいに不安になるのだろう。

「きっとだいじょうぶ」男の子はずっとその言葉を待っていた。


めいちゃんだけではなくけい君にも読ませてあげたかった本であった。


人一倍心配性の私にもふさわしい一冊だったのではないだろうか。



2022年05月15日(日) 名無し草

曇り日。午後少しだけぽつぽつとにわか雨が降る。

陽射しがあるものと信じて大量の洗濯物を干していたのを

お隣の奥さんが声をかけてくれて大急ぎで取り入れたりした。

生乾きの洗濯物を乾燥機に入れると「お任せくださいね」と

幹太君のなんと頼りがいのあること。彼はとても逞しい助っ人だった。



息子が休みだったのでけい君の心配もなくのんびりと過ごす。

心の片隅でほっとしている自分がいて少し罪悪感を感じた。

先週の日曜日の一件がまだ尾を引いているらしい。

娘夫婦への気兼ねはまだまだこれからも続くことだろう。

波風を立てぬようになんとしてもまるく納めていかなければいけない。



お大師堂が気になりながらも今日も疎かにしてしまった。

信仰心も希薄になりそのうち見放されるかもしれない。

後ろめたい気持ちが募るばかりで行動が伴わないのだった。

ささやかな任務も放棄したに等しい。情けないことだと思うばかり。

かと言って不幸のどん底に突き落とされはしないのだろうか。

何事も心の持ちようなのだろう。信じるのは神でも仏でもない。



昨日買い求めた岡本真帆さんの歌集「水上バス浅草行き」を読んだけれど

心に響く短歌は一句も見つからなかった。

ポップ調でまるで言葉遊びをしているかのように感じられる。

どうやら若い世代向きで昭和世代には相応しくないようだった。

世の中の人が求めているものが何なのかよく分からない。

脚光を浴びた彼女は今後堂々と「歌人」を名乗ることだろう。


詩人でも歌人でもない私は所詮「名無し草」

けれどもそんな生き方もあってよしと思えるようになった。


やがては私も枯れ果てるだろう。

その時地に残った逞しい根を見つけてほしい。



2022年05月14日(土) 雑草に咲く花

昨夜は幸い大雨にはならず静かな朝を迎えた。

やがて雲ひとつない青空が広がりなんと爽やかなこと。

少し湿っぽくなっていた気分もずいぶんと明るくなった。

特に落ち込んではいないのだけれどなんとなく気分が塞ぐ時がある。



同僚が通院日の為、職場は臨時休業となった。

月曜日も高知市内の眼科に検査に行くとのことで休業を決めている。

来月早々に白内障の手術をするのだそうだ。

同僚の腕ひとつをどれ程頼りにしているか改めて思い知らされる。

60歳が近くなった彼の躰も日毎に不調が多くなって来ている。

職場は誰一人欠けることは出来ない。もちろん私も同等であった。



朝のうちに買物と久しぶりに本屋さんへ行く。

高知新聞に四万十市出身の岡本真帆さんの歌集が話題になっていて

驚いたのはずっとSNSで短歌を発信続けていたのだそうだ。

その短歌が出版社の目に留り歌集の発刊まで漕ぎつけたということ。

それは決して運に恵まれたのではなく才能あってのことだろう。

それだけ多くの人の心を惹きつけたのだろうと思う。


同じようにSNSで発信を続けている私にはまるで夢物語であった。

老いぼれの命にしがみつくような短歌に共感は無きに等しい。

自分がとても惨めに思えてならないけれど投げ出すことは出来ない。

最後の最期まで発信し続けようと自分の意志を貫きたいと思う。


名のある花の美しさより道端の雑草に咲く花が好きだ。

こんなところに咲いていたのかと立ち止まってくれる人もいるだろう。


けれども私は手折られることはない。

それは自分にいちばんふさわしい場所をすでに知っているからだ。



2022年05月13日(金) 義理と人情

絶え間なく降り続く雨。予報では警戒級の大雨とされていたけれど

どうやら今夜から明日の未明にかけてのことらしい。

どれほどの大雨なのかそれは降ってみなければ分からない。


職場に棲みついている野良猫の「みーこ」が一日中工場に居た。

雨で散歩も出来ないのと人恋しさもあったのだろう。

名を呼べば近づいて来てごろりと仰向けになりお腹を見せる。

同僚がお腹を擦ってあげたらうっとりと気持ち良さそうにしていた。

もうすっかり看板猫になっておりお客さんにも可愛がってもらっている。

先日は三日ほど行方不明になっており皆で心配したことだった。




昨日の投身自殺をした人が母の友人の妹さんであることが分かった。

母に知らせたらどんなにかショックを受けることだろうと

知らせることはせずにいる。きっと知らないほうが良いのだろう。

私もたまに会うことがあったけれどいつも母のことを気遣ってくれていた。

明るく朗らかな人で心の悩みを抱えているようには見えなかった。

何か深い事情があったのだろうけれど知る由もない。

とにかくもう手遅れなのだ。私にはどうすることも出来なかった。

自死は大罪であるなどとどうして今更言えるだろうか。



じいちゃんと二人きりの夕食。自然とけい君の話になった。

甘やかすばかりではいけないと。厳しさも必要なのだと言う。

我が家に来ている時には娘達の部屋に入りびたりだったけれど

やはり「けじめ」をしっかりと教えなければいけない。

同じ家に暮らしていても娘達は独立した家族に他ならなかった。

けい君がむやみに踏み込む領域がないことを教えなければいけない。

どんなにか寂しいだろうけれどそれがけい君の試練になるのだと思う。

我慢を強いることはとても酷だけれどそうするしか道は無い。

私達は一軒の家に住む別々の家族なのではないだろうか。


娘にとっては血の繋がった甥っ子であったとしても

娘むこにとっては赤の他人の子なのだろうと思う。

義理と人情では済まされない複雑な現実がそこには確かにある。


私達に出来ることはとにかくけい君を守ってあげること。

けい君は涙ひとつ見せずに日々逞しく成長し続けている。



2022年05月12日(木) 希望の雨

早朝には小雨だったけれど日中は本降りとなる。

幸い風が無かったので大荒れにはならずに済んだ。

お遍路さんを数人見かけたけれど雨合羽は上着のみで

足元のズボンや靴はずぶ濡れになったことだろう。

傘を差して歩くお遍路さんは一人も見かけなかった。

声も掛けられず横顔にただ会釈を繰り返すばかり。

一方通行ではあるけれど何かが伝わるのではないかといつも思う。



仕事でパソコンのトラブルがあり四苦八苦してしまった。

私のせいではないのに義父に責められ少し落ち込む。

「出来ないのか!」と怒鳴るのは勘弁して欲しいものだ。

いつもは優しい義父がまるで鬼のように思えてしまう。


一時間程残業になり帰路に就いたけれど帰り道のダム湖に掛かる橋に

運転席に誰も乗っていない軽トラックが駐車してあった。

どうしてこんな所に停めてあるのだろうと思いつつ通り過ぎたけれど

帰宅するなり義父から電話あり投身自殺があったらしい。

時間的に私が通り過ぎる直前の事のようだった。

もう10分早く退社していたら間に合ったかもしれない。

不審な行動をしていたならきっと声をかけていただろう。

もしかしたら思い留まらせることも出来たのかもしれない。

無力な私でも話を聞いてあげることは出来たのだと思う。

とても残念でならないけれど起きてしまった事はもう取り返しがつかない。



芸能界でも自死が相次いでおり心の悩みを抱えている人が多い。

ふと息子のお嫁さんの事が頭を過らずにいられなかった。

我が子にも会えずどんなにか前途を悲観していることだろう。

息子には時々電話があるらしいけれど決して明るくはないと言う。

「帰りたい」とも言わないそうですでに諦めている様子が窺える。

気長に養生すればなどと言えばそれは気休めにも等しい。

どんなにか辛い日々を送っていることだろうか心配でならなかった。

かと言って私から電話するのも躊躇われ何もしてあげられないのだった。



今夜は息子が深夜勤でそろそろけい君を連れて来る頃。

明るく笑顔で出迎えてあげるのが私の務めだと思っている。


命あってこその未来。命あってこその希望ではないだろうか。



2022年05月11日(水) 吉野家の牛丼

小雨が降ったりやんだりで気温もさほど上がらず。

週末までぐずついた天気が続くらしい。

明日は大雨の予報が出ていてついつい身構えてしまう。

今年の梅雨入りは例年より早いのかもしれない。


田んぼの畦道や道路沿いにコスモスに似た黄色い花を見かけるようになった。

外来種で「オオキンケイギク」という名の花らしい。

漢字だとどう書くのか調べてみたけれど分からなかった。

繁殖力がとても強く駆除対象の花になっているのだそうだ。

花には罪はないけれど咲く土地を間違えてしまったのだろう。

見つけたらすぐに根こそぎ引き抜くようにとネットには書いてある。

憐れな花なのだなと思う。ただ遠い国から旅をして来ただけなのに。





息子の早出が続いており今朝も6時にはけい君が来ていた。

息子も気を遣っているのだろう。朝食は済まして来たとのこと。

茶の間にはまだ炬燵を置いて在り潜り込んだけい君はとても眠そう。

あやちゃんやめいちゃんと遊ぶ余裕もない慌ただしい朝のことで

7時過ぎにはそれぞれが重いランドセルを背負い登校して行く。


息子のお嫁さんは身の回りの物を取りに一度帰宅していたらしいけれど

けい君は学校へ行っており顔を合わすこともなかったそうだ。

もうあの日からひと月が過ぎた。母と子の複雑な気持ちを察するけれど

けい君は一言も母親のことを口にせずひたすら我慢をしている様子。

お嫁さんの実家からもあれ以来何も言っては来ないのだった。


前途は決して明るくはないけれど少しでも希望をと願わずにいられない。

何事にも限界はあるけれどその先にはきっと未来があるのだと信じたい。


夕方、仕事を終えた息子が迎えに来た時けい君は炬燵で寝ていた。

まるで炬燵布団が母親であるかのようにすっぽりと潜り込んで。


「おい、起きろ、牛丼買いに行くぞ」と息子が起こす。

今夜の夕食は吉野家の牛丼らしい。








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