| 2019年07月22日(月) |
生きているから辛いんです |
夕方になり空がずいぶんと明るくなった。
西の空がほんのりと茜色に染まっており
明日は青空に会えるかもしれない。
梅雨明けも近いことだろう。
朝のうちに山里の職場へ。
二時間ほどだったけれど急ぎの仕事だけは済ませる。
義父や同僚に迷惑をかけるけれど
「早く病院へ行ってやれや」と言ってくれてとても助かる。
大急ぎで病院へ行ったら昼食に間に合った。
じいちゃんちょっとご機嫌ななめ。
昨日は楽だったのに今日はまた痛みが辛いようだった。
一喜一憂しながらの3歩進んで2歩さがる感じ。
どんな日もあるよねとただただ宥めるばかり。
昼食はまたお素麺の神様に助けてもらう。
もう一口で完食だったけれどリタイア。
でも昨日よりは食べられたので良かった。
あれこれと話しかけられるのも辛そうで
し〜んと静かな病室。ああ重いなとふと思った。
こんな時はそっとしてあげるのが一番なのだろう。
3時前には帰ることに。「朝の電話はやめてくれ」と言う。
スマホも要らないから持って帰ってくれと言う。
でも持って帰らない。お守りみたいにそっと置いて帰る。
明日はあしたの風が吹きますよ。
どんな風なのかわからないけれど明日はきっと来ます。
生きているから痛いんです。
生きているから辛いんです。
曇り日。時折ぽつぽつと雨が落ちる。
高知県内では豪雨になった場所もあるようで心配なこと。
午前7時には投票所が開いたので投票を済ませ病院へ。
あまりに早く着いたのでじいちゃんがびっくりしていた。
その顔を見てほっと安堵の笑みがこぼれる。
昨日までの顔の腫れがずいぶんと治まっていた。
まるで奇跡のよう。良かったねえと微笑み合う。
朝食が運ばれて来てお粥さんだったけれど
海苔の佃煮が付いていた。「四万十川の青さ海苔」と
私がおどけて言うと「そうだな」とうなずくじいちゃん。
一口どころかお茶碗の半分ほどをぺろりと平らげる。
術後にこんなに食べられたのは初めてでとても嬉しかった。
様子を見に来てくれた看護師さんも拍手をするほど。
「久しぶりにうんちが出るかも」みんなで笑い合った。
その後の回診でおしっこの管を外してみることに。
寝たきり状態だったけれど今日からトイレへ行く練習だ。
個室なのでトイレが近い。大丈夫、きっと行ける。
昼食はリクエスト通りのお素麺だった。
おかずには一切手を付けないけれどお素麺は食べる。
完食ではなかったけれど半分以上を食べられた。
「やったね。もううんち間違いなしやね」
その前におしっこになった。ナースコールをするように言われていたので
「恥ずかしいけど呼ぶか」と。看護師さんがすぐに来てくれる。
おそるおそるベットから下りた。一歩一歩ゆっくりと歩く。
でも立ったままのおしっこはまだ無理で便座に座って用を足す。
ちょろちょろとおしっこの音。その後大きなおならの音。
出ました。なんと5日ぶりのうんちが出ました。
看護師さんと顔を見合わせて大喜びした午後のこと。
誰よりも喜んだのはもちろんじいちゃんだった。
たかがうんちと思うでしょうが運がついて来たのです。
それが快復の一歩に思えて目の前がとても明るくなった。
まだまだ先は見えないけれど見ようとすることは出来る。
思い悩むよりも希望を持たなければいけない。
今日はうんちの神様に会えたのだもの。
相変わらずの梅雨空。だいじょうぶよ雨が降れば
傘をさせば良いのですもの。長靴を履けば良いのですもの。
朝のうち一時間ほど山里の職場へ。
急ぎの仕事だけ済ませて病院へ向かう。
職場から15分程、近いのでとても助かっている。
じいちゃんまだ痛みが酷く鎮痛剤の時間待ちだった。
まだ3時間もあると嘆いていたけれど仕方ないこと。
「痛い痛い」と訴える相手がいるだけで気が紛れるのかもしれない。
我慢しなくていい。私はいくらでも耳を貸そうと思う。
顔面の腫れは昨日よりも酷くなっており右側にも広がっていた。
まぶたも腫れているため目も開けられなくて可哀想。
ちょうど回診に来てくれた看護師さんに聞いてみたら
頭の手術をした人はみんな顔が腫れるのだそうだ。
だから心配ないと言ってくれて少しほっとする。
「せっかくの男前が台無しねえ」と笑わせてくれた。
「今日はお髭も剃ろうかね」とも言ってくれる。
みんなみんな優しい看護師さんばかりでほんとうに助かっている。
昼食はまったく食べられず、もしかしたら大好物のお素麺ならと
院内のローソンで買って来たら食べる気になってくれた。
つるつるっと三口食べてくれた。良かった少しでも食べられて。
看護師さんが様子を見に来てくれて夕食から素麺に出来るとの事。
是非にとお願いする。大好きなお素麺だものきっと食べられる。
昨日はヤクルトの神様。今日はお素麺の神様だ。
「明日は朝早くから来てくれよ」と泣きそうな声のじいちゃん。
辛くて心細いのが痛いように伝わって来る。
私は決して能天気でも楽天家でもなかった。
そんな私をいつも励ましてくれたのは他の誰でもない彼だった。
私がくよくよしている時にはいつも「なんとかなるけんな」と。
だからこそ今、私が彼を支えてあげなければいけない。
なんとかなるよ。なるようになるよ。だいじょうぶいぶい。
よっし、明日も笑顔で会いに行くけんね。
朝から雨が降ったりやんだり。
幸い昨日ような大雨にはならず助かる。
朝のうちに山里の職場へ。
急ぎの仕事がたくさんあった。
自分に与えられている事と受け止めて
ひとつひとつやっつけていく。
娘が病院へ行ってくれるけれど遅くなるとのこと。
やはりお昼には行ってあげたくて落ち着かなかった。
12時前に職場を出たけれど病院の昼食に間に合わず。
じいちゃんやはり今日も食べられなかったとのこと。
でも朝にはお味噌汁を少しとヤクルトが飲めたそうだ。
それを聞いて少しほっとする。ヤクルトが神様に思えた。
昨日から風邪気味で熱っぽかった私を気遣ってくれて
「早めに帰って休めや」と言ってくれたじいちゃん。
自分も痛みに耐えているというのに涙が出そうだった。
痛みだけではない。今日は顔の左半分が腫れていて痛々しい。
医師は心配ないと言ったそうだけれどほんとうにそうなのか。
術後の副作用なのだろうかとても気になってしょうがない。
後ろ髪を引かれるように帰宅すると
娘が孫たちを迎えに行って一緒に病院へ行ってくれると。
孫たちの顔を見るとじいちゃんも笑顔になってくれる気がした。
夕食の支度が終わった頃に娘たちが帰ってくる。
めいちゃんが「おじいちゃんいたいよ」と心配そうな顔。
幼心にも痛々しいのが伝わったのだろうと心が痛む。
あやちゃんはケロっとしていてそれが救いにもなった。
娘と話しながら悲観ばかりしていてはいけないと。
とにかく希望を持って前向きに歩んでいかなければならない。
やまない雨はない。梅雨ももう少しで明けるのだ。
お昼までじいちゃんに付き添う。
鎮痛剤が効いているのか少しだけ話も出来る。
孫たちの動画を見せたら嬉しそうに目を細めていた。
朝食も昼食もほとんど食べられず
お粥さんをひと口だけがやっとだった。
せめて食欲があればと思うのだけれど
まだまだ先のことになりそうだった。
そんなじいちゃんに「頑張れ」とは言えない。
今はただ受け止めて耐える事しか出来ないだろう。
午後から急ぎの仕事がありどうしても職場に行かねばならなかった。
それがとても重荷になる。会社が無くなれば良いのにとさえ思う。
自分の代わりがいないという現実から逃げたくてたまらない。
激しい雷雨の中を車を走らせようとしていたら
母から電話があった。大雨警報が出ているので早く家に帰るようにと。
「仕事どころではないでしょ」ととても心配している様子。
そんな母の電話に救われるように家路を急いでいた。
今の現状をまったく知らない母からの思いがけない助け舟だった。
明日は仕事を優先しなければいけないだろう。
もういっぱいいっぱいの気持ちになっていたら
娘が病院へ行ってくれるとのこと。
「一日くらい行かない日があってもいいよ」と言ってくれた。
みんながそうして助け舟を出してくれる。
私は精一杯に自分に出来る事を頑張っているのだと思えた。
| 2019年07月17日(水) |
空がだんだん青くなる |
梅雨雲をかきわけるようにしながら青空が見えている。
朝陽がきらきらとあたり一面を包み込んでいる。
そんな朝の光景がまるで贈り物のように届く朝のこと。
昨日退院の許可が下りたじいちゃんを迎えに行くはずの朝だった。
けれども昨夜容態が急変してしまって緊急手術となる。
すっかり元気になって完治したものと思っていただけに
それはまるで寝耳に水のような出来事だった。
幸い手術は成功し命は取り留めたものの
まだ油断のできない状態であることを告げられる。
気をしっかりと持たなければと言い聞かせているけれど
なんだか真っ暗な落とし穴の中にいるような気分である。
きっと大丈夫だと信じることは容易いことかもしれないけれど
この心細さはどうしようもなく重くのしかかってくる。
書くことで救われるかもしれないとこれを記し始めた。
少しずつだけれどとにかく希望をと思えるようになる。
空がだんだん青くなる。そんな空を受け止めてあげなくてどうする。
追記:夕暮れ時に
今朝よりも少し落ち着いてきた。
孫たちの声を聴いているとふっと笑みがこぼれる。
じいちゃんにも聴かせてあげられたらどんなに良いだろうか。
昼間、ICUから一般病室に移った。
もう危険な状態を脱したのだろうと安堵するも
術後の傷跡が痛んでおり鎮痛剤の投与があった。
顔を歪めて辛そうなじいちゃんを見ていると私も辛い。
せめて今夜一晩でも付き添ってあげれば良かったけれど
昨夜一睡もしておらずこれでは自分の身体が持たないと判断する。
どうしようもなく完全看護の病院に甘えさせてもらった。
「帰るよ」とじいちゃんに声をかけたら
薄っすらと目を開けて頷いてくれたのが救いだった。
とにかく今夜は眠ろうと思う。
そうしてあした笑顔で会いに行ける自分になりたい。
| 2019年07月15日(月) |
笑顔がこころに沁みる |
青空が嬉しくって鼻歌をうたいながら洗濯物を干す朝。
けれどもやはり梅雨時のこと、またすぐに雨になってしまった。
空をうらんだりはしない。ありのままの空が好きだもの。
「海の日」ひと昔前の私なら海に会いに行っていたことだろう。
裸足になって波打ち際を歩いた。それも私だったのだろうか。
どんなに老いてもそんな若き日があったことを忘れたりはしない。
コインランドリーと買物に行く前に母を訪ねる。
バナナを届けたらまた子供のように大喜びしてくれた。
母の笑顔のためだったらなんだって出来るような気がする。
心から母に会いたいと思えるようになった自分が嬉しい。
じいちゃんが入院していることはあえて話さなかった。
「みんな元気だよ」って言うと「それは良かった」と微笑む母。
母の為だったら嘘だってつこう。施設に入居していることさえ知らない。
そんな嘘がどうして罪になるだろうと自分に言い聞かす。
ふっかふかに乾いた洗濯物。買物を済ませてから帰宅して
今度はじいちゃんの病院へ向かう。
もしかしたら明日退院になるかもしれないので
お気に入りのズボンとポロシャツを持って行く。
病院内のローソンに行ったらじいちゃんの大好きなカツ丼があった。
食べさせてあげたくてたまらなくなってついつい買ってしまう。
カツ丼はさすがに駄目だと言われた。
病院の昼食を食べないのはこの上なく無礼な事だと言う。
ほんにその通り。じいちゃんの優しさを垣間見たような出来事。
明日のCT検査は午後になるかもしれないとのこと。
そうなれば退院は明後日になるかもしれない。
どうかどうか順調に完治していますように。
「また明日ね」と帰る。「おう、また明日な」笑顔が心に沁みる。
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