相変わらずの梅雨空。だいじょうぶよ雨が降れば
傘をさせば良いのですもの。長靴を履けば良いのですもの。
朝のうち一時間ほど山里の職場へ。
急ぎの仕事だけ済ませて病院へ向かう。
職場から15分程、近いのでとても助かっている。
じいちゃんまだ痛みが酷く鎮痛剤の時間待ちだった。
まだ3時間もあると嘆いていたけれど仕方ないこと。
「痛い痛い」と訴える相手がいるだけで気が紛れるのかもしれない。
我慢しなくていい。私はいくらでも耳を貸そうと思う。
顔面の腫れは昨日よりも酷くなっており右側にも広がっていた。
まぶたも腫れているため目も開けられなくて可哀想。
ちょうど回診に来てくれた看護師さんに聞いてみたら
頭の手術をした人はみんな顔が腫れるのだそうだ。
だから心配ないと言ってくれて少しほっとする。
「せっかくの男前が台無しねえ」と笑わせてくれた。
「今日はお髭も剃ろうかね」とも言ってくれる。
みんなみんな優しい看護師さんばかりでほんとうに助かっている。
昼食はまったく食べられず、もしかしたら大好物のお素麺ならと
院内のローソンで買って来たら食べる気になってくれた。
つるつるっと三口食べてくれた。良かった少しでも食べられて。
看護師さんが様子を見に来てくれて夕食から素麺に出来るとの事。
是非にとお願いする。大好きなお素麺だものきっと食べられる。
昨日はヤクルトの神様。今日はお素麺の神様だ。
「明日は朝早くから来てくれよ」と泣きそうな声のじいちゃん。
辛くて心細いのが痛いように伝わって来る。
私は決して能天気でも楽天家でもなかった。
そんな私をいつも励ましてくれたのは他の誰でもない彼だった。
私がくよくよしている時にはいつも「なんとかなるけんな」と。
だからこそ今、私が彼を支えてあげなければいけない。
なんとかなるよ。なるようになるよ。だいじょうぶいぶい。
よっし、明日も笑顔で会いに行くけんね。
朝から雨が降ったりやんだり。
幸い昨日ような大雨にはならず助かる。
朝のうちに山里の職場へ。
急ぎの仕事がたくさんあった。
自分に与えられている事と受け止めて
ひとつひとつやっつけていく。
娘が病院へ行ってくれるけれど遅くなるとのこと。
やはりお昼には行ってあげたくて落ち着かなかった。
12時前に職場を出たけれど病院の昼食に間に合わず。
じいちゃんやはり今日も食べられなかったとのこと。
でも朝にはお味噌汁を少しとヤクルトが飲めたそうだ。
それを聞いて少しほっとする。ヤクルトが神様に思えた。
昨日から風邪気味で熱っぽかった私を気遣ってくれて
「早めに帰って休めや」と言ってくれたじいちゃん。
自分も痛みに耐えているというのに涙が出そうだった。
痛みだけではない。今日は顔の左半分が腫れていて痛々しい。
医師は心配ないと言ったそうだけれどほんとうにそうなのか。
術後の副作用なのだろうかとても気になってしょうがない。
後ろ髪を引かれるように帰宅すると
娘が孫たちを迎えに行って一緒に病院へ行ってくれると。
孫たちの顔を見るとじいちゃんも笑顔になってくれる気がした。
夕食の支度が終わった頃に娘たちが帰ってくる。
めいちゃんが「おじいちゃんいたいよ」と心配そうな顔。
幼心にも痛々しいのが伝わったのだろうと心が痛む。
あやちゃんはケロっとしていてそれが救いにもなった。
娘と話しながら悲観ばかりしていてはいけないと。
とにかく希望を持って前向きに歩んでいかなければならない。
やまない雨はない。梅雨ももう少しで明けるのだ。
お昼までじいちゃんに付き添う。
鎮痛剤が効いているのか少しだけ話も出来る。
孫たちの動画を見せたら嬉しそうに目を細めていた。
朝食も昼食もほとんど食べられず
お粥さんをひと口だけがやっとだった。
せめて食欲があればと思うのだけれど
まだまだ先のことになりそうだった。
そんなじいちゃんに「頑張れ」とは言えない。
今はただ受け止めて耐える事しか出来ないだろう。
午後から急ぎの仕事がありどうしても職場に行かねばならなかった。
それがとても重荷になる。会社が無くなれば良いのにとさえ思う。
自分の代わりがいないという現実から逃げたくてたまらない。
激しい雷雨の中を車を走らせようとしていたら
母から電話があった。大雨警報が出ているので早く家に帰るようにと。
「仕事どころではないでしょ」ととても心配している様子。
そんな母の電話に救われるように家路を急いでいた。
今の現状をまったく知らない母からの思いがけない助け舟だった。
明日は仕事を優先しなければいけないだろう。
もういっぱいいっぱいの気持ちになっていたら
娘が病院へ行ってくれるとのこと。
「一日くらい行かない日があってもいいよ」と言ってくれた。
みんながそうして助け舟を出してくれる。
私は精一杯に自分に出来る事を頑張っているのだと思えた。
| 2019年07月17日(水) |
空がだんだん青くなる |
梅雨雲をかきわけるようにしながら青空が見えている。
朝陽がきらきらとあたり一面を包み込んでいる。
そんな朝の光景がまるで贈り物のように届く朝のこと。
昨日退院の許可が下りたじいちゃんを迎えに行くはずの朝だった。
けれども昨夜容態が急変してしまって緊急手術となる。
すっかり元気になって完治したものと思っていただけに
それはまるで寝耳に水のような出来事だった。
幸い手術は成功し命は取り留めたものの
まだ油断のできない状態であることを告げられる。
気をしっかりと持たなければと言い聞かせているけれど
なんだか真っ暗な落とし穴の中にいるような気分である。
きっと大丈夫だと信じることは容易いことかもしれないけれど
この心細さはどうしようもなく重くのしかかってくる。
書くことで救われるかもしれないとこれを記し始めた。
少しずつだけれどとにかく希望をと思えるようになる。
空がだんだん青くなる。そんな空を受け止めてあげなくてどうする。
追記:夕暮れ時に
今朝よりも少し落ち着いてきた。
孫たちの声を聴いているとふっと笑みがこぼれる。
じいちゃんにも聴かせてあげられたらどんなに良いだろうか。
昼間、ICUから一般病室に移った。
もう危険な状態を脱したのだろうと安堵するも
術後の傷跡が痛んでおり鎮痛剤の投与があった。
顔を歪めて辛そうなじいちゃんを見ていると私も辛い。
せめて今夜一晩でも付き添ってあげれば良かったけれど
昨夜一睡もしておらずこれでは自分の身体が持たないと判断する。
どうしようもなく完全看護の病院に甘えさせてもらった。
「帰るよ」とじいちゃんに声をかけたら
薄っすらと目を開けて頷いてくれたのが救いだった。
とにかく今夜は眠ろうと思う。
そうしてあした笑顔で会いに行ける自分になりたい。
| 2019年07月15日(月) |
笑顔がこころに沁みる |
青空が嬉しくって鼻歌をうたいながら洗濯物を干す朝。
けれどもやはり梅雨時のこと、またすぐに雨になってしまった。
空をうらんだりはしない。ありのままの空が好きだもの。
「海の日」ひと昔前の私なら海に会いに行っていたことだろう。
裸足になって波打ち際を歩いた。それも私だったのだろうか。
どんなに老いてもそんな若き日があったことを忘れたりはしない。
コインランドリーと買物に行く前に母を訪ねる。
バナナを届けたらまた子供のように大喜びしてくれた。
母の笑顔のためだったらなんだって出来るような気がする。
心から母に会いたいと思えるようになった自分が嬉しい。
じいちゃんが入院していることはあえて話さなかった。
「みんな元気だよ」って言うと「それは良かった」と微笑む母。
母の為だったら嘘だってつこう。施設に入居していることさえ知らない。
そんな嘘がどうして罪になるだろうと自分に言い聞かす。
ふっかふかに乾いた洗濯物。買物を済ませてから帰宅して
今度はじいちゃんの病院へ向かう。
もしかしたら明日退院になるかもしれないので
お気に入りのズボンとポロシャツを持って行く。
病院内のローソンに行ったらじいちゃんの大好きなカツ丼があった。
食べさせてあげたくてたまらなくなってついつい買ってしまう。
カツ丼はさすがに駄目だと言われた。
病院の昼食を食べないのはこの上なく無礼な事だと言う。
ほんにその通り。じいちゃんの優しさを垣間見たような出来事。
明日のCT検査は午後になるかもしれないとのこと。
そうなれば退院は明後日になるかもしれない。
どうかどうか順調に完治していますように。
「また明日ね」と帰る。「おう、また明日な」笑顔が心に沁みる。
| 2019年07月14日(日) |
明日は青空になりそう |
雨のち曇り。午後から少し蒸し暑くなる。
梅雨明けが待ち遠しいけれど今年も猛暑になるのだろうか。
娘が仕事。娘婿も友達との付き合いがあるようだったので
「まかせなさい」と孫たちと過ごす日曜日になった。
早朝、まだ娘が居るうちにお大師堂へ。
昨夜泊まっていたお遍路さんに会うことが出来た。
滋賀県からの70代かなと思われるお遍路さんで
なんと15年ぶりのお大師堂とのこと。
その当時には地区のお年寄りたちがたくさん参拝していた。
伯母も亡くなり姑も亡くなってしまった。
歳月の流れをしみじみと感じながらしばし語り合う朝のこと。
「おかあさんいってらっしゃい」娘を見送ってから
コインランドリーと買物へ。めいちゃんがおしっこになって
あやちゃんがトイレに連れて行ってくれた。さすがにお姉ちゃん。
買物を終えてから母の施設を訪ねるつもりだったけれど
あやちゃんが行きたくないと言うので今日は諦めることに。
めったに会った事のないひいばあちゃんだもの
子供心に気が進まないのもわかる気がした。
ひ孫の顔を見せてあげたかったけれどこればかりは仕方がない。
一度帰宅してから今度はじいちゃんの病院へ。
じいちゃん大好きのふたりは喜んで一緒に行ってくれた。
サプライスだったのでじいちゃんも大喜びしてくれて良かった。
めいちゃんは抱っこしてもらいたかったみたい。
でもじいちゃんの胸に貼ってある心電図のシールを見て諦める。
「おじいちゃんいたいの?」と心配そうにたずねていた。
その心電図ももう少し。連休明けに脳のCT検査が良好ならば
退院の許可が下りそうとのこと。きっと大丈夫だと信じている。
思いがけない夕焼け空になった。明日は青空に会えそうだ。
| 2019年07月13日(土) |
雨音が歌う夜になった |
また梅雨空が戻ってきた。降ったりやんだりの雨。
すっかり色あせて化石のようになってしまった紫陽花。
目をそらしてはいけない。ちゃんと見守ってあげないと。
三連休の予定だったけれど急ぎの仕事があり山里の職場へ。
孫たちは娘婿のお母さんが見てくれることになりとても助かる。
二時間ほどで仕事を終えられて病院へ急ぐ。
今日は病院の昼食に間に合って良かった。
苦手な煮豆以外はすべて完食。美味しそうに食べていてほっとする。
昨夜で点滴が終わったそうでずいぶんと楽になったようだ。
シャワーの許可もおりて頭も洗えたと喜んでいた。
頭痛は相変わらずのようだけれどそれさえ治まれば
もしかしたら来週には退院できるかもしれないと
ふたりで勝手に決め込んで「よし、帰るぞ」と笑い合った。
目の前が一気に明るくなる。もう少しの辛抱だ。
夕方から雨が本降りになり時おり激しい雨音。
あやちゃんが学校で夏まつりがあるそうで皆が出かける。
生憎の雨だけれど体育館で「おばけやしき」があるのだそう。
「行きたくない」と泣きそうなあやちゃんを
めいちゃんが励ますようにしてやっと笑顔になった。
おばけなんかこわくないよ。楽しんで帰ってきてね。
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