| 2018年11月14日(水) |
ぽっかりと浮かぶ茜色の雲に |
初冬らしく冷え込みの厳しい朝。きりりっと息をする。
夜明け前、明けの明星がぽつんと輝いていた。
なんだか夜空の忘れ物みたいでそっと拾い上げてみたいような。
今朝もめいちゃんを残して保育園へ。
8時になってもまだはだかんぼうでじいちゃんに抱っこされていた。
お母さんもおばあちゃんも「早くしなさい」と怒るけれど
じいちゃんは怒らない。子供心にそれを知っているのが微笑ましい。
今朝もじいちゃんと保育園に行ったそうだ。
「そのうち飽きるよ」とじいちゃんは嬉しいくせにそう言う。
仕事は今日も来客多し。あっという間に一日が過ぎて行く。
帰路についていたら母から電話があり洗濯物がいっぱいだと。
それどころではないとは言えず金曜日に行く約束をする。
疎かに出来ないことがたくさんあるのはありがたいことだと思う。
頼りにされているのなら尚更。出来る事を精一杯にやり遂げよう。
帰宅してもう夕暮れ。ぽっかりと浮かぶ茜色の雲を見あげながら
遠い昔、雲にのりたい仙人になりたいと言っていた人のことを思い出す。
目覚めた時にはぽつんぽつんと静かに雨が降っていた。
そんな雨もすぐにやんで今日は晴れるのですよと
天気予報を信じて「雨のち晴れ」って好きだなと思う。
今朝もめいちゃんを残して保育園へ。
それからが大変だったそう。結局じいちゃんが連れて行ったらしい。
気分屋のめいちゃんに振り回されるのも愉快で微笑ましいこと。
山里の職場は今日から本稼働。来客も多く対応に追われる。
喪中欠礼の葉書も作ったりですることがいっぱいあった。
なんとか定時で終らせてもらって帰り道
足がとても痛そうに歩いている青年お遍路さんに会った。
思わずクルマを停めて声を掛けずにはいられなかった。
なんとしても自力で歩きたいと。ゆっくり少しずつ頑張ると。
きらきらと眩しいほどの笑顔にきっと大丈夫と信じる。
どんなに辛くても一歩一歩。その姿は勇気そのものだった。
ああ、いい出会いだったなととても清々しい気持ちで家に帰る。
お天気は下り坂。午後から雨がぽつぽつと降り始めて一気に肌寒くなる。
やはり急な気温の差は身体に堪える。歳のせいにしておこう。
今朝はめいちゃんがやけを言って大暴れ。
娘が怒るともう手を付けられないありさま。
じいちゃんがまるで赤ちゃんみたいに抱っこして
ひっくひっくと泣きじゃくっていたのがやっと少し落ち着く。
「おばあちゃんはやくいこうよ」とあやちゃん。
なんだか後ろ髪を引かれるような思いで保育園へ向かった。
職場は臨時休業だったけれど急ぎの事務仕事がありそれだけ済ます。
それから義父と伯母たちとたくさん頂いたお香典の整理を。
あらためて義父の日頃の義理深さを思い知るような作業だった。
帰宅が遅くなったけれど疲れも感じずとても清々しい気持ち。
明日からはまた日常の仕事を精一杯頑張ろうと心から思った。
ひんやりの夜明け前。星が空から降ってきそうに綺麗だった。
アラーム無しでぐっすりと眠っていて起こしてくれるひともなく
目覚めたら5時になっていてびっくり。8時間も眠っていたのか。
母のことが気になり午前中に電話をしてみたけれど
やはり気は変わっていなくて「もう決めたから」と。
無理強いは出来ず迎えにも行かないことにする。
午後からのお葬式。それはそれは沢山の弔問客で
同僚たちとてんてこ舞いしながら受付の役目を務める。
母の姿が見えないことを気遣ってくれる人もたくさんいた。
無事に出棺を終えて火葬場に着くなり堰を切ったように
言葉にできないような悲しみがおそってくる。
気心の知れた伯母が寄り添ってくれて泣きたいだけ泣いた。
それは祖母を失った悲しみではなく母がこの場にいない現実だった。
お棺のなかでにっこりと微笑む祖母に母を会わせてあげたかった。
「さあ涙をふいて」伯母に優しく背中を押されてみんなのところへ行った。
| 2018年11月10日(土) |
あしたはあしたの風が吹く |
夕暮れて西の空にか細く浮かんでいた三日月が
まるで燃え尽きるように沈んでいったところ。
早朝。じいちゃんと娘むこが大阪へと旅立つ。
今回は消防団員の慰安旅行でじいちゃんは監督さん?
二週続けての旅行も苦にはせず喜んで出掛けて行く。
そろそろ引退を考えているじいちゃん。
今回の旅行が最後になるのかもしれない。
明日の葬儀の事で母から電話があり
いきなりもう行くのはやめると言い出す。
ひどく弱気になっており喪主の妻の役目も果たせないと。
精一杯宥めるも母の気持ちも分からないわけではなかった。
もし明日になって気が変われば迎えに行く約束をして電話を切る。
母の心の中でぴんと張りつめていたものがぷっつりと切れたような
それがとてもせつなくてたまらない。母が憐れでならない。
あしたは明日の風が吹くだろう。どうか優しい風であってほしい。
こんやはおんなのこばかりやねと。娘と孫たちと過ごしている。
お風呂上がりの孫たちのはしゃぎ声を聴きながらこれを記す。
なんて穏やかな夜なのだろうか。
| 2018年11月09日(金) |
空をみあげて笑顔になろう |
夜中に少し雨が降っていてしっとりと潤った朝。
日中は晴れて暖かくなる予報で絶好の遠足日和。
娘が早起きをして可愛らしいお弁当を作っていた。
私は少し甘めの卵焼きを作る。「おばあちゃん上手!」と娘。
いつもより重いリュックを背負った孫たちを送り届ける。
ふたりとも遠足を楽しみにしていて駆けながら門をくぐった。
うしろ姿を見送りながら空を見あげ私までうきうきとしてくる。
山里の職場に着くなり同じ敷地内の義祖母の家へ。
なんとやすらかに眠っていることだろう。
起こすように声をかけた。大きな声で何度も呼んだ。
午前中に急ぎの仕事だけを済ませて午後はお葬式の段取りを。
義父から葬儀の受付係を頼まれて同僚と一緒に快く引き受ける。
心の片隅では出しゃばってはいけないと思ってはいても
やはり少しでも役に立ちたい気持ちが込み上げてくる。
叔母ちゃん達がみんな「頼むよ」と言ってくれて救われる思いだった。
葬儀は日曜日に決まる。お通夜は明日身内だけで行うことに。
義父が「お祝いみたいなもんだ」と言ってみんな笑顔になる。
昨日はとても複雑な思いだったけれど今日になってみれば
自分に出来る事を精一杯。それがいちばんなのだと思える。
| 2018年11月08日(木) |
血のつながりってなんだろう |
曇りのち雨の予報だったけれど思いがけずに晴れる。
とても暖かく蝶々がひらりひらりと飛んでまるで春のよう。
午前中に訃報が。私にとっては義理の祖母が亡くなる。
山里いちばんの長寿で102歳の大往生であった。
血のつながりこそないけれど祖母であることには変わりなく
若い頃からずいぶんと可愛がってもらった大好きな祖母だった。
いつもにこにこ笑顔の絶えないほんとうに穏やかなひと。
母の再婚からもう40年以上の歳月が流れている。
今は義父と別居状態ではあるけれど母も複雑な思いなのか
お葬式に参列したいちゃんとお別れがしたいと電話がある。
ただ一歩引こうと話し合う。私も一緒にそうしたいと思う。
血のつながった孫がたくさんいるのだからそれが当然だろうと。
母と同じように私も複雑な思いに駆られているけれど
可愛がってもらった恩は決して忘れない。
縁あって「おばあちゃん」と呼ばせてもらってなんてありがたいこと。
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