どんよりと曇り空。気温は高めで過ごしやすい一日。
立冬も近くなり木々も少しずつ色づき始める。
毎年楽しみにしていた山里の大きな銀杏の木が
なぜか夏の間に切り倒されてしまってとても寂しい。
今日のお遍路さんは3人とこれもまた寂しかった。
朝の国道で2人、山里で1人見かけただけだった。
今日は声もかけられずただただ旅の無事を祈るのみ。
帰宅して綾菜をお迎えに行った帰り道、道端の良心市でミカンを買う。
甘くて評判の良いミカンを二袋買って綾菜がとても喜んでいた。
昨日は小銭がなくて買えなかったのだ。「おかねないの?」と
心配していた綾菜が「あやちゃんのちょきんでかってあげる」と言って
それから「おばあちゃんごめんね」ってあやまるので
「どうしてあやまるの?」って聞いたら
「あやちゃんがいっつもおかしをかうけんおかねないがやね」って。
なんとも微笑ましい会話であった。だいじょうぶよあやちゃん。
今日はちゃんと小銭を用意していて良心市の箱の中に入れた。
「ここはおみせなが?どうしておみせのひとがおらんが?」と綾菜。
「ここは良心市言うてね、箱の中にお金を入れて買うがよ」と教える。
「りょうしんいち、りょうしんいち」新しい言葉を覚えて得意げな綾菜。
甘い甘いおミカンを美味しそうに食べる綾菜と芽奈の姿が嬉しい。
今日もこんなに穏やかな一日をこころからありがとさん。
雨が歌っている。朝からずっとずっと歌いつづけている。
今日の遍路道は7人のお遍路さん。
朝の国道のながいながいトンネル(伊豆田トンネル)の中で3人。
山道へ入りお遍路さんの休憩所(成山地区)で1人。
昼間は仕事で農協へ行く途中に1人、声をかけることが出来た。
そうして次は事務所の窓から1人、鈴の音がおしえてくれる。
帰り道の県道で1人、両手に重そうな荷物を抱えて辛そうに見えた。
雨合羽ではなく傘をさしていたのでよけいに歩きづらかったのだろう。
またまたおせっかいかなと思いつつ声をかけずにいられなかった。
そうしたら喜んで車に乗ってくれて嬉しかった。
国道まで10分ほどだったけれどいろんな話をする。
ずっと寝袋のみの野宿だそうでとても大変そうだった。
山里の地場産店で野菜をたくさん買ったのだそうだ。
大根とか小松菜とか、野菜が大好きなのだと嬉しそうに話してくれる。
もっともっと話したかったけれど、あっという間に国道に出てしまった。
別れ際にお札をいただく。千葉からのお遍路さんで64歳と記されていた。
ああ「いい日」だったなあととても清々しい気持ちで家路を急いだ。
今日は忙しくて残業だったけれど、そのおかげで出会えたお遍路さん。
もし出会わなければひたすら急く思いでなんのゆとりもなかっただろう。
コインランドリー、買い物、綾菜のお迎えと忙しいはずだったけれど
保育園に電話して延長保育をお願いする。急がなくてもだいじょうぶ。
お大師堂には行けなかったけれど、明日があるさと思うことに。
「ゆとり」って大切なことだなと思いつつ今夜もまったりとこれを記す。
今日の遍路道は4人のお遍路さん。
朝の山道で見かけた2人はご夫婦のようだった。
寄り添って歩く姿はとても微笑ましい。
帰り道の県道で2人、どちらもまだ若い青年。
最後に見かけた青年はとても足が痛そうに歩いていた。
クルマを停めて声をかけるとやはり「辛いです」と。
国道までクルマのお接待を申し出たけれど
「もう少しだから頑張ってみます」と笑顔で応える。
おせっかいだなとわかっていても声をかけずにいられなかった。
「がんばれがんばれ」エールを送りつつ追い越して行く帰り道のこと。
今夜は娘婿の誕生日で家族みんなでお祝いをする。
早いもので同居を始めてから二度目の誕生日となった。
家族みんなの笑顔が何よりも嬉しくてばあちゃんもワインでほろ酔う。
今日も穏やかな一日をありがとさん。手を合わせてぐっすり眠ろう。
朝はぐんと冷え込んだけれど日中はとても暖かくなる。
絶好の行楽日和となって家族で山里の「どぶろく祭り」へ。
振る舞い酒をごちそうになったじいちゃん。
その時テレビカメラが近づいて来てインタビューも。
その様子が夕方のローカルニュースで流れて大歓声の我が家。
芽奈も一緒に映してもらってとても良い記念になった。
いつもはひっそりと静かな山里も今日ばかりは大賑わいだった。
会場でお遍路さんの姿も見かける。きっと思いがけなかったことだろう。
今朝の事、早目にお大師堂にお参りに行って嬉しい再会があった。
一昨日見かけた常連のお遍路さんが連泊していたようだった。
うちの息子と同い年、名前は私の弟と同じというのも奇遇。
風来坊だとかニートだとか陰口を言う人もいるけれど
まだ若いのに職業遍路の道を選んだのにはよほどの訳があるのだと察す。
母の気持ちになってみる。姉の気持ちにもなってみる。
出来る限りの事をしてあげたいといつも思うのだった。
またの再会を約束して別れて10分ほどしてから
土手の道を颯爽と歩いていく姿を窓から見ていた。
なんだかとてもせつない。目頭が熱くなるような遍路姿だった。
みんなみんなそれぞれの人生がある。どうしてそれを否定できようか。
午後、お供え物のお菓子を補充にもう一度お大師堂へ。
お賽銭箱に赤いお札にくるまれた小銭がまるで「こころ」みたいに落ちていた。
| 2015年11月02日(月) |
おひさまのありがたみ |
冷たい雨はすぐにやんだけれど日中もずっと肌寒かった。
おひさまのありがたみをつくづく感じる。
もう日向ぼっこをしたくなるような季節だ。
今日の遍路道は7人のお遍路さん。
朝の国道で1人、自転車を押しながら坂道を歩いていた。
山道でも1人、赤いリュックの60歳くらいの男性。
昼下がりの山里で1人、ちょうど工場の庭に出ている時で
会釈をするとお遍路さんもにっこりと会釈を返してくれた。
ささやかなことだけれどそんな一瞬のふれあいが嬉しい。
帰り道の県道で4人、延光寺まであと一時間ほどの距離。
帰宅が少し遅くなり綾菜のお迎えに行くのが精一杯だった。
お大師堂の事も気になりながら今日はお休みすることに。
明日は仕事が休みなので朝のうちにお参りに行こうと思う。
夕方、入院中の母から電話。今週末には退院出来そうだと言うこと。
結局はっきりした病名が分からないままの退院になりそうだ。
なんだか腑に落ちないけれどずいぶんと元気になっているようで安堵。
これからの不安はあるけれど入院がよき静養になったように思う。
そんな朗報もあり今日も平穏無事に暮れて行く。
晩御飯に芽奈が春巻きを二本も平らげる。
「めいちゃんすごいね〜」とみんなで拍手をしたり。
肌寒い一日だったけれどほっこりほっこりあたたかい。
どんよりと曇り空、とても肌寒く霜月がスタート。
ついに炬燵を出す。なんともあったかい茶の間。
娘が仕事だったので一日中芽奈と過ごす。
綾菜はお婿さんの実家で預かってもらってとても助かった。
芽奈は相変わらずパワフルで茶の間は玩具でいっぱいだった。
一歳を過ぎてからずいぶんと言葉を理解できるようになって
「まんまたべようかね」と言うととことこと先になって食卓へ。
食欲旺盛でほんとに気持ちが良いくらいによく食べる。
お昼ご飯を食べるなり眠くなって3時間ほどお昼寝をしてくれた。
そのあいだに録画してあった「下町ロケット」と「コウノドリ」を見る。
今日はお遍路さんを見つけるのは無理かなと思っていたのだけれど
買物からの帰りに大橋のたもとの東屋でひと休みしているお遍路さんがいた。
すごい美味しそうに煙草を吸っていた。わかるわかるそのきもち。
そしてもうひとり、お大師堂に向かっているのではと思われるお遍路さん。
常連さんのお遍路さんでもうすっかり顔なじみになっていた。
残念ながら今日は早めにお参りを済ませていたのでお大師堂では会えず。
けれどもまたゆっくり会える日もあるだろうと次回に期待しておく。
夜になり雨がぽつぽつと降り始めた頃、綾菜が帰って来る。
晩御飯も食べてお風呂にも入ってからの帰宅だった。
そうして一気ににぎやかになる我が家。
今日もみんな笑顔で穏やかな一日をありがとさん。
ばあちゃんは「またですか」の焼酎を飲みつつこれを記す。
10月もとうとう最後の日。
土曜日はいつも仕事をお休みさせてもらっているのだけれど
母がいない月末なのでよっこらしょとがんばってきた。
ちょうど娘が休みだったので保育園の心配もなくとても助かる。
今日のお遍路さんは4人で少し寂しかった。
朝の国道では3人、1人は長い長いトンネルの中。
そうして昼間に職場の前の道で1人のお遍路さんを見つける。
最初は鈴の音が聞こえたのだけれど姿が見えなくて
道路まで駆け出して行ったら後姿を見つけたのだった。
もう少し早く気付いていたら声をかけられたかもしれない。
少し残業をしてから帰宅する。
家に帰ったら息子の車があって「わぁ久しぶり」と嬉しかった。
夜勤明けだったのに圭人を連れて遊びに来てくれていたのだった。
晩御飯も食べてから帰ろうかと言うのでちょっとてんやわんや。
息子の好物の鮭を買って来ていてよかった。
総勢8人の夕食。すごいすごいにぎやかでまるで「土佐のお客」状態。
忙しかったけれどばあちゃんはすごいすごい嬉しかった。
息子もいろいろあって苦労している様子。
圭人が健やかに成長している姿が何よりの支えに思えた。
どうかどうかみんなを見守って下さい。ばあちゃんはひたすら祈る。
そうして今日も平穏無事に暮れて行った。
ちょっぴり不安なこともあるけれどそれも忘れていられるありがたさ。
お風呂上がりの焼酎を二杯おかわりしてこれを記す。
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