日に日に朝晩が涼しくなってきている。八月も残り少なくなった。
今日は海苔の漁場を個人別に分ける仕事があって久しぶりに川へ。
撤収作業から三ヶ月ほど、もう次の準備が始まったのだ。
早いものだなとつくづく思う。背中を押されているように日々が巡る。
人手が少し足らなくてお仲間さんの従兄弟の手伝いもした。
そうしたら夕方ビールが届く。思いがけずにとても嬉しかった。
みんなで助け合う気持ち。ほんとに当たり前の事をしただけなのだけれど。
綾菜が帰って来てから一緒にテレビを見ていた。
おじいちゃんのお膝が大好き。いつも抱っこしてもらってテレビを見る。
芽奈が帰って来るとふたりでおじいちゃんの取り合いっこをする。
微笑ましいことがたくさんあってほんとに幸せだなと思う。
同居を始めて今日で一年。ほんとにあっという間の一年だった。
もうすぐ一歳になる芽奈が今夜は初めて歩いた。
ふたりの孫の成長をこうして毎日見ていられることのありがたさ。
おじいちゃんもおばあちゃんもぜったいに長生きをするね。
穏やかなまま今日という日を胸にしまう。
明日もきっときっと「いい日」になりますように。
今日も爽やかな晴天。暑さもそれほど気にならなかった。
朝の山道に栗が落ちていた。ちいさな秋を見つけた気分。
母の通院日。遠路はるばる高知市内の病院まで行く。
社長も同僚も稲刈りで工場は開店休業だった。
一人で留守番。早弁をしたりしてのんびりと仕事。
午後、社長から急な仕事を頼まれて一気に忙しくなる。
定時には帰れそうになかった。念のために保育園に電話する。
延長保育をしてくれるとのこと。ほっとひと安心して仕事をこなす。
いつもより一時間ほど遅くなり帰宅。すぐに保育園に向かった。
綾菜はもっともっと遊びたいモードで帰りたくないと駄々をこねる。
ブランコ、滑り台と走り回ってやっとクルマに乗ってくれた。
娘も遅番だったので晩御飯の支度も忙しい。
けれどもそんな忙しさを楽しんでいる自分がいた。
いっぱいいっぱいなのだけれど不思議と意欲がわいてくるのだった。
同居を始めてから明日でもう一年。母さんでもあるばあちゃんはすごい頑張った。
走り抜けたような一年を胸にぎゅっとしてまた歩み始めようと思う。
台風一過の爽やかな青空。空も風も一気に秋らしくなった。
冬が終わる時は嬉しいけれど夏が終わるのはなんだか淋しい。
ラジオからそんな声が聴こえて来た。ほんとにそうだと思う。
朝の道で昨日のお遍路さん、常連さんの青年とばったり会った。
お賽銭を早目に回収しといてねと言って笑顔で去って行く。
仕事を終えていつものようにお大師堂へお参りに行くと
なんと百円玉が五個も入っていた。お大師堂にとっては大金である。
二人の青年が入れてくれたのだろう。なんとありがたいことだろう。
なんのお接待も出来なかったことが少し悔やまれる。
もっともっと自分に出来ることがあったはずなのだけれど。
お賽銭を回収しながら手を合わせた。なんとも清々しい気持ちである。
気がつけば先日の「残念な事」などもうすっかり忘れている自分がいた。
二人の青年遍路さんと一緒にお大師さんが居てくれたような気がする。
幸いなことに台風の直撃は免れたけれど
九州や山口ではかなりの被害があったようで心を痛めている。
とても他人事ではなかった。いつだって明日は我が身である。
仕事は休みになり自宅待機、雨はそれほどではなかったが風がとても強い。
孫たちの保育園も出来るだけ家庭保育をと連絡があったけれど
綾菜がどうしても行きたがり強風の中を連れて行く。
芽奈はお休みしてじじばばと一日を過ごしていた。
目が離せないけれど一人遊びが出来るようになったのでずいぶん助かる。
午後、雨もやんでいたのでお大師堂へ。
昨日のお遍路さんのことがとても気になっていた。
悪天候の中を無理して旅立ったのではないかと。
よかった。ちゃんといてくれた。笑顔で再会する。
もう一人、常連さんのお遍路さんも一緒にいて話がはずむ。
徳島で私とそっくりな人に会ったとか思わず笑ってしまった。
二人ともまだ若いお遍路さん。まるで息子のような二人だった。
なんのお接待も出来なかったけれど「母のこころ」が届けばいいな。
とても清々しい気持ちで二人と別れる。どうかどうか無事でと願いながら。
濁流が渦巻く大河もすぐに穏やかな流れを取り戻すだろう。
さらりさらりと水に流す。いつだってそうでありたいものだ。
晴れのちくもり、夕方から雨がぽつぽつ降り始める。
大きな台風が不気味に近づいていて身構えるような気持ちだ。
仕事を少し早目に終わらせてもらって警察署へ。
昨日の被害届に不備があったとのこと連絡がある。
実はお賽銭が無くなったと思われる夜に泊まっていたお遍路さんがいた。
私は会っていないのだけれどお参り仲間のSさんが夕方会っていた。
そのことで刑事さんと少し話をする。
もしそのお遍路さんなら「お接待」と思っても良い。
所持金が底をつき魔が差したのだとしても許してあげたい。
けれどもどうかこれ以上の罪を犯さないで欲しい。
なんとしても改心して清々しくお遍路を続けて欲しいと願う。
なんだか涙が溢れそうになった。真実はお大師さんだけが知っていることだ。
綾菜を保育園にお迎えに行って帰りにコンビニにチョコを買いに行く。
ぽつぽつと雨が降る中、コンビニのベンチぽつんと座るお遍路さんと会った。
訊けばこれから野宿をするのだと言う。30歳くらいの青年遍路さんだった。
近くに泊まれるお大師堂があることを知らなかったそうで
おしえてあげたら満面の笑顔で喜んでくれた。
綾菜と二人で案内する。「おへんろさんおだいしさんいくがね」と綾菜。
何度も振り向いて頭を下げるお遍路さんに綾菜と二人で手を振る。
今日はほんとに「いい日」だったなと思った。
こんな穏やかさが私の宝物だ。
猛暑の日曜日。朝の涼しいうちに綾菜とお大師堂へ。
そうしたらびっくり。お供え物はすべて無くなっていて
お賽銭箱の中も空っぽになっていた。
どうしたことかと気をもみながらお参りを済ます。
「おばあちゃんお菓子がないね」と綾菜もさびしそう。
その足でお参り仲間のいとこのところに相談に行っていた。
やはり賽銭泥棒か、とりあえず駐在さんに報せた方が良いと言うことに。
それからが大変だった。駐在さんが警察署の刑事さんを呼んでくれたり
地区長さんにも来てもらってそれからお参り仲間の人達にも。
わずかな金額のお賽銭だけれどとても大がかりな事になってしまった。
私も指紋の採取、お賽銭箱に付いている指紋と照合するのだそうだ。
いつもは静かなお大師堂も今朝ばかりは大変な騒ぎになっていた。
悔やまれるのはお賽銭の回収を怠っていたこと。
月末まで置いていても良いかなとそれほど気にしていなかったこと。
まさかこんなことになるとは夢にも思っていなかった。
生まれて初めて「被害届」と言うものを書いて出すはめになる。
大変な出来事になってしまったけれど良い経験だったと思うことに。
これからはもっとこまめに回収して管理に気を遣わなければと肝に命ずる。
10円玉5円玉、そんなわずかなお金にも困っている人がいる。
そんな現実はなんともわびしくてやるせない気持ちにもなった。
新しく買って来たお菓子。それから伊予柑をお供えして手を合わした。
よく晴れて残暑の厳しい一日。おひさまばんざいの気持ち。
プール大会はとても楽しかった。
おどろいたのは綾菜が水中に潜って泳いでいたこと。
まだ三歳なのにすごいなと大拍手したのだった。
泳ぎ終ってから先生からメダルをもらって大喜びの綾菜。
ささやかなことだけれどそれが自信につながって大きく成長してほしい。
ばあちゃんもすごい嬉しかった。ありがとうね綾菜。よく頑張ったね。
今夜は芽奈の保育園の夏祭りもあって夕方からみんなで出掛けて行った。
じいちゃんと二人きり、なんとも静かな夕暮れ時である。
ツクツクボウシが声を限りに鳴いていて西の空が茜色に染まっている。
まったりと焼酎タイム。こんな夏の夜もまた良いものだ。
今日も笑顔で穏やかな一日。ありがとさんっていっぱい叫んでいるよ。
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