ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2012年10月15日(月) 桜紅葉の頃に

はっとしたのは桜の葉が色づき始めたこと。
他の木々よりもひと足早く冬支度を始めたのかもしれない。
それはひそやかでいてなんとも控えめな風情があるものだ。

人々はみな花を愛でるけれど、葉もこんなにうつくしい。
きづいてあげなければ可哀想ではないかとその木を仰ぎ見た。

やがて散って冬ごもり。寒い寒い冬を乗り越えてこそ咲く花がある。


早朝から二時間ほど川仕事に行っていた。
今年はどうしたことか海苔網に黒い海草が付着して頭を悩ませている。
最悪の場合、緑の芽が出ないかもしれないと言われ不安でいっぱいだった。
網に付いた黒い海草をていねいに落としていく。いたちごっこのような作業。
諦めたらお終いだぞと夫に励まされながら一縷の望みを抱くばかりだった。

負けないで、負けないでとまだ目に見えぬ種に語りかける。
どうか無事に芽が出てくれますように。すがりつくように祈っている。

どんな時も希望を失ってはいけない。わかっているけれど。
ふと気づけば物事を悪い方へばかり考えてしまう自分がいた。

いけない。いけない。それではかすかな光さえも見失ってしまう。

真っ青な空におひさまが微笑んでいた。大丈夫よって微笑んでいた。





2012年10月13日(土) 優しい時間

爽やかな秋晴れ。朝の肌寒さもきりりっと心地よい。

朝が来るたびに「ああ生きているな」とほっとする。
いつもと変わりない朝がとても愛しく感じるのだった。

ある日突然にという不安はいつまでたっても去りはしない。
それは歳を重ねるごとに大きくなっていくものだろうか。



週末は孫日和と決め付けて娘の家に行く予定だったけれど、
「今日は友達が遊びに来るから明日にしてね」と娘から電話がある。
がっくりと気が抜けたような朝。ぽっかりと空いてしまった一日だった。

何かをしていないと落ち着かなくて衣類の整理などしてみる。
もう何年も着ていない服など思いきって捨てることにした。

それから夫がまた喫茶店に行くというので一緒について行く。
そうしたら夫の従姉妹達も来ていて、またおしゃべりの花が咲いた。
肩凝りの話しをしていたら従姉妹が私の肩をもんでくれると言う。
なんともありがたいこと。うっとりと気持ちよいひと時であった。

「歳をとるといろんなところが痛くなったりするけんね」
従姉妹は私の母よりも年上だったことにはっと気づいた瞬間だった。

今度会ったら恩返しをしよう。私が従姉妹の肩をもんであげようと思う。

ほんわかと優しい時間。ひとってあたたかいなってすごく感じた。



2012年10月12日(金) 焼酎のおんちゃん

窓辺に佇みながら夕焼け空をぼんやりと見ているのが好きだ。
そんな余裕もなくあっという間に暮れていく日もあるけれど
今日は空がゆっくりと待っていてくれたのかもしれない。


仕事が忙しくばたばたと慌しい一日だった。
いつも暇つぶしに遊びに来てくれる常連さんが来てくれたけれど
今日は話し相手をしている暇はないと、ちょっと無愛想だった私。

そうしたらそのお客さんが珍しい焼酎を持って来てくれていて
「姉よ、まあ焼酎でも飲めや」と笑顔で話しかけてきてくれた。

「おんちゃんみたいに昼真っから飲めんよ」と言うと。
「家に持って帰って今晩ゆっくり飲んだらえいわ」と応える。

私が苛々と忙しそうにしていたのをすぐに感じとったのだろう。
無愛想な顔をしてほんとうに悪かったなと深く反省させられた。

高知ではそうそう手に入らないだろう倉敷の芋焼酎だった。
まあ嬉しいとすぐに頂くわけにはいかず遠慮していたのだけれど
おんちゃんは「持って帰れ言いよるろうが」の一点張りであった。

そうなったら笑顔で受け取るのがいちばん良いのだと思いなおし
遠慮なくいただくことにする。内心はやったあとすごく嬉しかった。

「こりゃあ美味いぞ!」おんちゃんの言ったとおりだった。
いつも飲んでいる芋焼酎よりずっと美味しいのだ。

「おんちゃん最高に美味しかったよ」
月曜日に会ったらちゃんとお礼を言おう。嬉しかったよと素直に言おう。

おんちゃんは亡き父と同じ歳だった。

お父ちゃん・・と呟きながらほろ酔っている今宵である。




2012年10月10日(水) 雨の匂い

曇り日。夕方から雨がぽつぽつと降り始める。
久しぶりの雨の匂いがなんだか不思議と懐かしい。


お大師堂でまた顔なじみのお遍路さんに会った。
何度も会っているけれどいまだ名前を知らない。
自分で自分のことを「変わり者」だと言うだけあって
ほとんど笑顔を見せる事もなくいつも怒ったような顔をしている。

けれども何度か会っているうちに少しずつ微笑んでくれるようになった。
今日もちょっとだけ笑顔を見せてくれてとてもほっとした気持ちになる。

私にはとうてい理解できないような難しい話しをいつもしてくれる。
その時の目はとても真剣で一生懸命に伝えようとしているのがわかる。
だから「わからない」と言ってしまうことはとても出来なかった。

ひとつだけわかるのは他のお遍路さんとは違うのだなと言うこと。
それは悪い意味ではなくて何かとても大きな「信念」を感じるのだった。

話しの最後に「明日のことはわからないほうがいいよ」って言った。
もしも明日死んでしまうことがわかったらどうする?って私に訊いた。

「いのち、たいせつにしましょうね」そう応えるのが精一杯だった。

俺は死なないよ。だって俺は一度死んだから。

そう言ってにっこりと笑った。そうして「ありがとうな」って言った。



2012年10月09日(火) 約束

いちだんと肌寒い朝。雀達がちゅんちゅんと楽しそう。

山里へ向いながらふと目にした彼岸花。
なんだか燃え尽きたように枯れ始めていて哀れなり。
春の桜のように潔く散れない花がこの世にはたくさんある。


仕事を終えて帰宅。どっと疲れが出る。
三連休のあいだあまりにものんびりし過ぎたのかもしれない。

気を取り直すように散歩に出掛けた。
お大師堂に向いながらふっとMさんの顔が目に浮かぶ。
そうしたらそのMさんがお大師堂で待っていてくれてびっくりした。
すっかり顔なじみのお遍路さん、今では友達のようになっていた。

話しているうちにMさんの誕生日が私の亡き父と同じ日だとわかった。
偶然とはいえなんだか不思議な縁を感じずにはいられなかった。

父がどんなふうにして死んでいったのか。
どうしても話したくなってMさんに聞いてもらった。

みんなそうだよ。誰だって明日のことなんてわからないよ。
真剣な顔をしてうなずきながらMさんは言ってくれた。

もしも来月になってもMさんと再会することがなかったら。
もう死んでしまったと思って欲しいとまで言う。

「そんなことを言わないで!」私は強く頭を振った。
そんな悲しいことを笑顔で言わないで。冗談でもそんなこと言わないで。

私たちは生きて必ず再会をする。お大師さんが必ず会わせてくれるから。

口に出さなくてもそれが約束でなくてなんだろう。

大切な約束を胸にしっかりと抱いてそれぞれの日々がまた流れていくだろう。



2012年10月08日(月) 待ってはくれない

二十四節気のひとつ「寒露」
草木に冷たい露が宿りはじめる頃と言われている。
これから日に日に秋も深まっていくことだろう。

ゆったりのんびりとした心とはうらはらに
季節ばかりがどんどんと先を急いでいるような気がする。

待ってはくれない。追いかけるように日々が流れていく。


「体育の日」の祝日でもあったけれど、まったく縁はなし。
あんなに大好きだったバドミントンからもすっかり遠ざかってしまった。
お仲間さんが毎週必ずメールをくれる。みんなの顔が目に浮かぶばかり。
時々むしょうに身体を動かしたくなるけれど、怪我が怖くて躊躇している。

もう出来ない。いやまだ出来るは自分自身で決めることだろうと思う。
諦めるのはほんとうに容易いこと。ちょっぴりの情けなさそれが現実だった。

気がつけばいろんなことを諦めてしまった自分がいる。
出来ていた事が出来なくなるのは仕方ないことなのかもしれないけれど。
出来るかもしれないことを頭から出来ないと決め付けていやしないか。

自問自答はこれからも続くだろう。そうしながら老いていくしかない。

待ってはくれない。追いかけるように日々が流れていく。



2012年10月07日(日) きっとうまくいく

暑からず寒からず今がいちばん良い季節なのかもしれない。
青空にうろこ雲。秋らしい爽やかな空気がとても美味しく感じる。


早朝より少しだけ川仕事に行ってきた。
畑で言うと種まきのようなこと。
海苔網を漁場に張り後は緑の芽が出るのを待つばかり。
毎年のことだけれど不安な気持ちでいっぱいになる。
必ず芽が出るとは限らずすべて自然任せのことだった。

朝焼けの空から太陽が希望のように輝いて顔をのぞかす。
きっとうまくいく。そう信じなくては決して前には進めない。



午後三時。いつもより早めに散歩に出かけた。
絶好の散歩日和だものたくさん歩きたいなと思った。
お大師堂にお参りをしてから河川敷をしばらく歩く。
セイタカアワダチソウがその名の通り背高のっぽ。
嫌われ者の花だけれどその花は思いのほか可愛い。

ゆうらゆうら川面が静かに波打っている。
その中を突っ切るように川船が横切って行った。

ああなんて平和なのだろう。
まるで時間がとまってしまったように感じた。

「ほら、あんずもう少しよ」ふたりではあはあ言いながら坂道をあがる。

土手にあがると爽やかな風が波のようにゆれていた。


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