昨夜の雪も一晩中ではなかったのか。 うっすらと積もったままかき氷のようになっていた。
さすがに山道は怖くなり西回りの国道から出勤する。 国道は大丈夫だったけれど県道はやはり凍結していた。 はらはらどきどきしながらやっとの思いで辿り着く。
雪は好きだけれどクルマの運転だけは苦手だった。 スリップ事故の経験もありその時の怖さが忘れられない。
日中はよく晴れてやわらかな冬の日差しが降りそそぐ。 山里に積もっていた雪もあっという間にとけていった。 やはりおひさまはありがたい。心もぬくぬくとしてくる。
そうしてまわりのすべてのものがほっこりとしてみえる。
仕事を終え帰宅するとあんずが犬小屋から出て待っていてくれた。 目と目が合うとなんとも嬉しそうな顔をするのだった。 そうして例のごとく「よういどん」と駆け出すのが日課である。
万歩計のこともあり、今日はいつもよりたくさん歩いてみた。 けれども普段の生活ではとても一万歩は無理のようである。 今日も5千歩足らず。距離にしてわずか2.4キロであった。
何かを始めたい。そう思っていたことがこれなのかなとも思う。
毎日の積み重ね。ちいさな一歩がやがて大きな一歩になるかもしれない。
天気予報では大雪風雪注意報が出ていた朝。 昨日の事もあり今日の仕事は休ませてもらうことにする。
けれども日中はすっかり晴れてなんだかズル休みをしたよう。 心苦しさもあれば得をしたような微妙な気分で過ごしていた。
午後3時。ちょうど散歩に出掛ける頃に雪が降り始める。 傘を差すほどでもなくむしろ雪を楽しむようにして歩いた。 不思議と寒さが気にならない。雨よりも雪のほうが暖かく感じる。
そんな雪が今も降り続いている。しんしんと音が聴こえてきそう。 窓を少しだけ開けて雪を見ながら焼酎のお湯割を楽しんでいる。
雪見酒も良いものだ。なんとも心が落ち着き心地よく酔ってくる。
あとは湯たんぽの布団にもぐりこむだけ。こんな夜もありがたいものだ。
さあてもう一杯おかわりしようかな。
小雪がちらつくなかを山里へと向かう。 国道から山道へ入るとすっかり雪景色だった。
雪化粧をした木々のなんと綺麗なことだろう。 しなやかな枝に純白のベールをかけたようだった。
幸い道路は凍結しておらず安心して景色に見入る。 雪が好きだなって思った。寒さも忘れるくらいに。
職場に着いてからも雪はどんどん降り続いていた。 時折り吹雪のようになりあたりが見えないくらい。
仕事の手を休めては何度も窓の外の雪を眺めていた。 なんだかどきどきする。とても不思議な気持ちだった。
心配した母が早目に帰るようにと言ってくれる。 仕事もさほど忙しくもなかったのでお言葉に甘えた。
山里から平野部へと下るとびっくりしてしまう。 そこには青空が広がり雪のカケラも見えていなかった。 なんだか夢を見ていたような気持ちになってしまう。
けれども確かに雪を見た。雪景色が目に焼きついている。
帰宅するとアマゾンから「お遍路万歩計」が届いていた。 毎日歩いては四国88ヶ所の距離を達成しようと言うゲームのような万歩計。 さっそく初期設定をしてみてポケットに入れ散歩に出掛けてみた。
なんと750メートル。たったそれだけの散歩だったことが判明した。 これでは一年歩いても到底達成など出来るわけがない。 もっともっと歩かなければと一気にやる気がわいてくる。
目標が出来るという事はとても良いことだと思う。 何年かかるかわからないけれど毎日少しずつ頑張っていこう!
夜明け前からひゅひゅると強い北風。 一日中吹き荒れてすっかり真冬が戻ってくる。
ふと冬の後姿が見えたように思ったのだけれど。 まだまだこれからも冬将軍が居座るのだろうか。
今朝の新聞に菜の花畑の写真が出ていて。 なんとも心が和みほっとしたことだった。
やまない雨がないように終らない冬もない。 耳を澄ましていればきっと春の足音が聴こえてくるだろう。
強い風に煽られながら今日も散歩に行く。 川は海のように波立っているというのに。 観光屋形船が不似合いな絵のように行き交う。 のどかな日なら手を振ってみたかもしれない。 人々は波に揺られながら何を思っていることだろう。
お大師堂はお遍路さんの姿もなくしんと静かだった。 あんずをいつもとは違う場所に繋いだ。 実は昨日、崖から滑り落ちてしまって大変な事になっていた。 首輪が抜けていたら川に転落していたことだろう。 そう思うとぞっとしてもう同じ所には繋げなかった。
今度の場所がちょっと気に入ったのか今日はあまり泣かない。 春になればいろんな花の咲く場所なのでまた他の場所を探そう。
ゆっくりとお参りを済ませ今度は追い風の中を帰る。 背中を押されているようでついつい駆け足になった。
ふうふうはあはあがとても心地よい散歩だった。
今日は「大寒」一年で最も寒い時期と言われているけれど。 ここ数日の暖かさをそのままに過ごしやすい一日となった。
お天気は相変わらずぐずついておりそろそろ青空が恋しい。 晴れたらまたぐんと冷え込みそうだけれど冬の日差しがありがたいもの。
仕事は休み。家事もそこそこにまただらしなく炬燵で過ごす。 川仕事が始まれば毎日忙しくなるので今のうちと理由をつけて。
その海苔も今年は生育が悪くほんの少し不安な気持ちがよぎる。 閏年のせいかもしれないと彼が言う。自然相手の事は難しいものだ。 なんとかなるだろうか。望みを捨てずに収穫の時を待ちたいと思う。
散歩に行けば今日のお大師堂のにぎやかなこと。 昨日のお遍路さんと先日の長髪の青年とが待っていてくれた。 昨日のお遍路さんは今朝旅立ったものの途中で気分が悪くなったとの事。 今日は休めと言う事かなと察し、また来た道を戻って来たそうだ。 長髪の青年は無事に足摺岬まで行き次の札所へ向かう打戻りだった。
ふたりは意気投合したようですっかり打ち解けた様子。 なんだか親子のようにも思えてとても微笑ましかった。
青年があんずと遊んでくれる。おかげで今日は泣かずに済んだ。 「今日はおりこうさんだねえ」ともうひとりのお遍路さんも微笑む。
笑顔の花がたくさん咲いて楽しいひと時となった。
嬉しいなってこころからそう思う。とてもありがたい一日となる。
雨はやんだもののすっきりとしないお天気。 どんよりと重たい空に押し潰されてしまいそうだった。
そんな時こそ微笑を。そんな時こそおひさまのように。 あたりじゅうを照らせるようなそんなひとになりたい。
昨日は雨で行けなかった散歩。今日はなんだか嬉しくなって。 久しぶりにどんぐりころころを歌ったりして元気に歩いた。
お大師堂でまた顔見知りのお遍路さんと再会をして。 笑顔と笑顔で「こんにちは」って言い合うのも嬉しい。
そのお遍路さんに先日のあんずの前世の話を聞いてもらった。 そうしたらそれは絶対に違うよってはっきりと言ってくれた。
少しも怯えている様子もないしただ甘えているだけだよって。 犬も年をとれば子供の心にかえるのかもしれないねって笑った。
すごくすごくほっとする。あんずは悪い事なんてしていなかったんだ。 ただ年をとって甘えん坊になっただけ。そう思うとよけいに愛しくなる。
「お母さん、お母さん」って呼んでいるみたいだね。 お遍路さんもあんずの叫び声を聴きながら微笑んでいた。
「はいはい、帰りましょうかね」お母さんも甘えん坊には勝てなかった。
何度も会っているのに名も知らぬお遍路さん。今日はほんとにありがとう。
朝から雨が降りやまず雨音が心地よい夜になった。 昼間はとても冷たく感じた雨が夜には不思議と暖かく感じる。
一雨ごとに春が近づくにはまだ早いのかもしれないけれど。 ひたひたと満ちていくようなこころに一粒の種を蒔きたくなった。
何も始められないでいる。だからこそ一粒の種が必要なのだ。 そうして芽が出てくれたらどんなにか励みになることだろう。
出来ない事を数えるよりも出来る事を数えていたい。
咲けない事を嘆くよりも一粒の種のありがたさを知ろう。
むかし。私は詩人のようになりたくてたまらなかった。 そのちっぽけなプライドが今はもう跡形もなくなってしまった。
だからもう私には何もこだわることがないのかもしれない。
ただ平凡な毎日をそっと書き留めるだけの日々である。 つまらないこと。なんでもないこと。それが日常でもあった。
そうして生きている。そんな日々が愛しくてならない。
愛しいものはなんとしても守りたいものだ。
いまここに一粒の種がある。そっと蒔いておきましょう。
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