ここ数日ずっと気温の高い日が続いていたけれど。 明日の朝から平年並みになりまた冷え込みそうだ。
明日はもう立冬。冬の足音がすぐ身近に感じられるようになる。 毎日が駆け足のように過ぎていく。秋と語り合う日々は僅かだった。
朝の国道で昨日出会ったお遍路さんを追い越す。 長いトンネルの中間あたり。確かにその人の後姿だった。 寒くなれば野宿も大変なことだろう。どうか元気でと。 手を合わすような気持ちでその姿を目に焼き付けて行った。
夕方の散歩道。お大師堂に立ち寄ると備え付けのノートに。 その人が書き残してくれた言葉と綺麗なスケッチが書かれてあった。 四万十川に沈む夕陽を描いたそれは素晴らしい風景画だった。
感動で胸がいっぱいになる。そうしてここで寛いでくれた事が嬉しい。
おせっかいな私のこと。良かれと思った事が良くない事がたまにある。 けれどもそれが私の言う「種まき」なのかもしれないとつくづく思った。
ささやかな縁でも決して粗末にしてはいけない。
ためらわずに声をかけることも大切なことだと思う。
日々。一期一会。これからもたくさんの人と巡り会いたいものだ。
| 2011年11月06日(日) |
お遍路さん(その7) |
今日も青空は見えずすっきりとしないお天気。
昨日に引き続きお大師堂に泊まる予定のお遍路さんを待っていた。 その人もミクシィを通じてお遍路中だと知った人だったけれど。 昨夜メールを頂きお大師堂のことを教えることが出来たのだった。
28歳の青年。なんだか自分の息子のように思って見守っていた。 まさか私のことを頼ってくれるなど夢にも思っていなかったので。 昨夜のメールはほんとうに思いがけずに嬉しいことであった。
そろそろ着く頃かしら。窓辺から土手の道を何度ものぞく。 そうして午後3時半頃。大きな荷物を背負って歩くその人を発見。 もちろん顔も知らない人だったけれど確かにその人だと思った。
すぐに駆けつけたいような気持ちをほんの少しがまんして。 いつもの散歩の時間を待ちゆっくりとお大師堂を目指した。
そうしたらその人が外に出て私のことを待っていてくれた様子。 不思議だったのは初対面だと言うのにまったくそれを感じさせない。 なんともいえない懐かしさ。まるで再会したような気持ちになった。
ほんのつかの間だったけれどいろいろと話しをする事も出来て。 とてもありがたい貴重な時間を頂いたように思う。
ささやかな。ほんとうにささやかな縁にほかならない。
けれどもこんな出会いがあるから私の人生もまんざらではなかった。
「またきっと会いましょうね」そう言って別れる。
後ろ髪を引かれるような思い。なんとも名残惜しいお別れだった。
どうかこれからも元気で。晴れて結願の日を迎えられますように。
私はまた母のような気持ちになり彼の日々を見守っていきたいと思う。
11月とは思えないほどの蒸し暑さ。 夕方から小雨が静かに降り始める。
昨夜は娘夫婦と双方の家族が揃いささやかに小宴。 実は一緒に暮らし始めてもうすぐ2年だというのに。 いまだ顔合わせのような儀式めいた事をしていなかった。 だからあちらのお母様やご兄姉と会うのも初対面となる。
堅苦しさは抜きにして気楽に会いましょうと言うことで。 市内の居酒屋さんの座敷でわきあいあいと飲み交わすことに。 おかげでみんな笑顔の楽しい夜を過ごす事が出来た。
これからもっと親しくなれることだろう。 娘夫婦もほっとした様子。私達もすごくほっとしたのだった。
娘サチコの悪阻も峠を越えたようでだいぶ食欲も出てきた。 後はただただ順調を祈るばかり。毎日手を合わせていたいと思う。
今日はミクシィを通じてお知り合いになったお遍路さんと再会する。 なんと嬉しいことに安産のお守りをいただくことが出来た。 感謝感激。涙が出るほど嬉しくこんなにありがたいことはない。 サチコもきっと喜ぶ事だろう。とても心強いお守りだった。
ささやかな縁でもこうして気遣ってくれる人がいてくれる。
それがどんなにか幸せなことかとあらためて感じたことだった。
少し薄暗いような曇り日。 気温も高めで蒸し暑さを感じるほどだった。
朝のうちに久しぶりの畑仕事をする。 夏の間にすっかり荒れていた畑だったけれど。 彼が暇を見てミニ耕運機で耕してくれていたのだ。 おかげですっかり諦めていた種蒔きをすることが出来た。
スナップえんどうの種を蒔く。 相変わらず素人の手つきだけれど。 芽が出てくれたらどんなにか嬉しい事だろう。 そうしてそれが育ってくれるのが何よりの楽しみ。 もちろん収穫までこぎつけたらもっと嬉しいけれど。
畑仕事に限らず。毎日が種蒔きなのだと思うことがある。 たとえばちょっとした何かを始めようとしたとき。 先のことは何もわからなくてもやってみないとわからないから。 すべてが良い結果になるとは限らなくても挑戦するような気持。
それから日々の出会いもまた種蒔きに似ているなと思う。 縁があるからひとは出会う。その縁を育てる楽しみがある。 それも先のことは何もわからない。ぷっつりと途絶える時もある。 けれどもどんなにささやかな縁でも忘れずにいたいと思うのだ。
出会えてほんとうに良かったと思える花が咲く。
その花が実になることを信じる喜びもある。
種を蒔く。こころの畑に種を蒔く。
曇り日。相変わらず暖かい日が続いている。
今日は損害保険の試験があり高知市まで出掛けていた。 二時間ほどの列車の旅。がたんごとんと響く音だったり。 車窓から見える風景だったりがとても好きな私だった。 終点は岡山。途中下車せずそのまま旅がしてみたいものだ。
けれども今日はそれどころではなくて。 そわそわどきどきと落ち着かないまま列車に揺られて行く。
高知駅から試験会場までは弟のタクシーに世話になる。 久しぶりに会う弟。車中ではずっとおしゃべりがやまない。 運転手の制服が似合っている。弟も頑張っているのだなって思う。
試験は人生初体験のコンピューター試験だった。 パソコンの画面に問題が次々と出てきたりするもの。 よほど緊張していたのだろう。マウスを持つ手が震える。 残り時間も表示されていてだんだんと焦ってくるのだった。
これは心臓に悪いなと思った。きっと血圧もあがっていただろう。 うっすらと冷や汗のようなものまでかきやっと試験が終了した。
試験は思った以上に難しかった。まだまだ勉強不足のようだ。 結果は来週にはわかるらしい。どうか合格していますように。
試験会場を出ると弟のタクシーが待っていてくれた。 弟の顔を見ると一気に緊張がとけてほっと微笑むことが出来た。
高知駅で帰りの列車を待つ間。「高知おもてなし隊」というので。 思いがけずに「よさこい踊り」を見ることが出来た。 鳴子も手渡されて一緒に踊ってみましょうとか照れくさかったけど。 見様見まねでやってみたらすごく楽しかった。
ああ、もう試験終わったんだなって。その時すごく嬉しかった。
早いものでもう11月。 今年もあと二ヶ月かと思うと。 あらあらと言う間に時が流れてしまいそうだ。
霜月といえどもぽかぽかと暖かいいちにち。 ある朝とつぜんに霜がおりる日もあるだろう。 立冬も近くなり身構えるような気持ちでいる。
冬は決して嫌いではないのだけれど。 年々寒さに弱くなっていく我が身を感じる。
さて。今日もいつもの散歩道。 お大師堂に向かっていると顔見知りのお遍路さんが出迎えてくれた。 山梨のMさん。前回の再会からちょうどひと月が経っていた。 よほどの健脚と見えてその早さにとても驚いてしまう。 慣れてくるとこんなものですよと笑っていたけれど。
私のひと月とMさんのひと月はあまりにもかけ離れていて。 日々だらしなく過ごすばかりの自分が情けなく思えてくる。
けれどもそうして生きていくしか道がない。 Mさんの生きる道がどれほど尊いことだろうか。
歩き続けている限りまたきっと会える日が来る。 それはとてもありがたい縁なのだとつくづく思う。
じゃあまたね。なんだか友達みたいに声を掛け合って別れた。
思いがけないほどに暖かな朝。 朝陽が射し始めると青空が広がっていく。 風もないのに雲はどこに流れていくのだろう。 そうしてゆっくりといちにちが始まっていった。
いつもの峠道を行けばつわぶきの花がそれはたくさん咲いていて。 山肌からこぼれるようにその愛らしい顔をのぞかせている。
太古の昔に初めて咲いた花は黄色だったと聞く。 山や野に咲く花はまるで歴史そのもののようにも思える。
あちらこちらにとその花を見つけては「おはよう」と声をかけた。 もちろん応えてはくれない。けれどもそっと耳を澄ませてみる。
花たちは確かに語らっている。あたりの緑もささやいている。
山全体が歓喜の声をあげているように私には感じられた。
そんな峠道を鈴の音を響かせながらお遍路さんが歩いて行く。
私も歩きたいなってすごく思った。もっともっと耳を澄ましてみたい。
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