鉢植えの菊の花を買う。
黄色のとピンクのとふたつ。
なんだかすごくぜいたくをしたような。
けれども嬉しさのほうがそれにまさる。
花を買ったのはほんとに久しぶりだった。
うきうきとこころがおどるようなきもち。
そうしてちょっぴり誇らしいようなきもち。
なによりもこんなにこころが和むことはない。
つぼみがたくさんついた菊の花だった。
毎日すこしずつそのつぼみが開くことだろう。
それをわくわくしながら待つのも楽しみだった。
みんな見に来てくださいようって叫びたくなる。
おかしいね。なんだか子供みたいに誰かを待っている。
気温が25度を超え10月とは思えない夏日となる。 すっかり行ってしまったと思っていた夏が。 忘れ物を取りに帰ってきたのかもしれなかった。
それはいったいなんだろう。 一緒にさがしたくなって眩しい青空をあおいだ。
仕事は今日も少し多忙。あっという間に時間が過ぎる。 すっかり元気になっていた母の体調が気になっていた。 また足の痛みが再発したらしい。いったいどうしたことか。 気丈な母のこと顔には出さないけれど辛いだろうと気遣う。
みんなが無事にと毎日祈っているけれど思うようにはいかない。 心配事は絶えないけれどあきらめずに祈り続けたいと思う。
帰宅していつもの散歩道。 家を出てすぐにひとりのお遍路さんに出会った。 お大師堂に向かっているとのことで案内がてら一緒に歩く。 その歩調のなんと逞しいこと。あんずも顔負けの歩きぶりだった。
今朝六時に佐賀町を出てやっと四万十に辿り着いたとのこと。 クルマだとわずか30分ほどの距離が一日がかりなのだ。 民宿などには泊まらずずっと野宿をしているということ。 雨の日もありどんなにか辛いことだろうと思われた。
けれどもそれを少しも苦にしていない様子にほっとする。 毎日が挑戦であるかのようにそれを楽しんでいる様子だった。
一昨日のお遍路さんとその姿が重なる。彼も頑張っていることだろう。
決してひとりではない。そう伝えたい気持ちでいっぱいになった。
昨夜のうちに雨がやみ今朝は抜けるような青空。 日中の気温も高くなり昨日の寒さが嘘のようだった。
昨日はかなり興奮気味だったけれど。 今日はまた平々凡々と過ごすことになった。 そうそうサプライズはあるものではない。 そのぶん嬉しさが増すのが世の常だろう。
仕事は少し多忙だったけれど、手を休めて。 職場の裏庭に咲くコスモスをしばし愛でる。 青空を羽織ったように咲くコスモスのなんと可憐なことか。
いちばん好きな花は?と訊かれたら迷わず答えるだろう。 秋桜と書くその名の通り秋を彩る桜のような花が好きだ。
すこし昔のこと。その種をあるひとに送ったことがある。 あの種はどうなったのだろう。もしかしたら咲いているかも。 そう信じたくてならない。そうでなければなんだかかなしい。
音信不通のそのひとを想うことも忘れてしまいそうなこの頃。
あれからいくつめの秋だろうか。それさえも数え切れなくなった。
| 2011年10月05日(水) |
お遍路さん(その5) |
今にも雨が降り出しそうな空模様。 こころがしゅんとしぼみそうなのを。 ぷうっと息を吹き込むようにして出掛ける。
いつもの山道。今日はひとつの予感があった。 先日会えずじまいになっていたお遍路さんに。 なんとなく会えそうな気がしてならなかったのだ。
山里へと続く峠道は遍路道になっている。 毎朝かならず見かけるお遍路さんの姿に。 そのひとを重ねる。とにかく声をかけてみよう。 そう決めていつもよりゆっくりとクルマを走らせた。
一人目のお遍路さんを発見。勇気を出して声をかけてみる。 そうしたらなんとまさにその人が会いたかったお遍路さんであった。
縁がなかったのだと一時は諦めていたけれど。 この山道があったからこその縁なのだとあらためて思う。 どこかで繋がっていてくれたのだなと感謝せずにはいられなかった。
ネットの実況を毎日見ていて、はらはらと心配になる時も多かった。 けれども実際に会うそのひとはとても元気でたくましい青年であった。
苦難に立ち向かおうとする勇気。それをそのまま授かったように思う。 なんとありがたい出会いだろう。感動で胸がいっぱいになった。
立ち話をしているうちに雨がぽつぽつと降り始める。 おせっかいを承知でクルマに乗ることをすすめたら。 快くうなずいてくれて一緒に山里へと向かうことになる。
その間いろんなことを語り合う。なんとも親近感がわいてきた。 もっともっと語り合いたい気持ちでいっぱいになった。
お別れはとても名残惜しかったけれど。これも一期一会。
巡り会えたことをかけがえのない宝物のように思って。
これからの旅の無事を祈り続けたいと思う。
苦しい日もあるけれど嬉しい日もきっとあります。
負けないでがんばって下さいね!
この秋いちばんの冷え込みだということ。 きりりっとした肌寒さもまた心地よいものだ。
夜が明けるのを待ちかねるようにして。 早朝から川仕事に出掛ける。 これから海苔網の準備が少しずつ始まる。 網が緑に染まれば順調に進むことだろう。
山里の職場を休ませてもらったおかげで。 ゆっくりと買物に行ったりのんびりと過ごす。
娘のサチコが勤める雑貨屋さんにも行ってみたけれど。 今日は遅番だということでまだ出勤していなかった。 電話をしてみれば少し不機嫌でしんどそうな声だった。 朝は特に悪阻がひどいようでとても心配でならない。 かといって代ってあげることも出来ず励ますしかなかった。
帰宅すると夜勤明けの息子が来ていてこれもしんどそう。 ソファーに埋もれるように寝ている姿におろおろとする。
ふたりのこども達はそうして日々を乗り越えている。 どうか元気にどうか無事にと祈ることだけが母の役目のように思う。
嬉しかったのは息子が妹の事をとても気遣ってくれたこと。 仕事で重い物を持ったりしていないか、悪阻は大丈夫か。 絶対に無理をさせてはいけないぞ。大事な身体なんだから。
幼い頃からケンカひとつしたことのない兄と妹だった。 おとなになってもお互いをいたわる気持ちを大切にしてくれる。
そんなふたりに育ってくれたことが父と母の幸せにほかならない。
おにいちゃんありがとうね。母さんとても嬉しかったよ。
すっきりとしない空模様。一日中肌寒さが続いた。
山里は今日も金木犀の香りが漂う。 息をするのがこんなに心地よいことはない。
散り急ぐかもしれない花をとても愛しく感じた。 いちめんに敷かれたオレンジ色が目に浮かぶとせつない。
仕事は来客多し。世間話をするのも仕事のうちで。 手を動かしながらではなく顔を見ながら話すように心がけている。 高齢者のお客さんが多いけれど、聞き流すことは決してしない。
昔話も聞いているとすごく心を動かされることがる。 苦労話もしかり。その人の人生を垣間見るような気持ちになる。
これも一期一会なのだなとつくづく思ったりする。 縁があってこそのお客様なのだと感謝せずにはいられない。
笑顔と笑顔で語り合って。クルマを見送る時には深々と頭を下げる。 そのたびにまた来てくれたら良いなってつくづく思うのだ。
そんないちにちはとても清々しいきもち。 仕事が嫌でたまらなかった頃もあったけれど。 いまはそれがすごく遠い昔の事のように思える。
きっとこのままで良いのだろう。この先もそうでありたい。
人生良いことばかりでは決してないけれど。
笑顔でいられたいちにちを宝物のように思って頑張っていこう!
| 2011年10月02日(日) |
お遍路さん(その4) |
北の地ではもう初冠雪があったという。 なんとつかの間の秋なのだろう。 忍び寄る冬の足音が聞こえたような気がした。
南国高知も今日は肌寒い一日となる。 日に日に秋が深まっていくことだろう。 背中を押されるように日々が流れていく。
今日は朝からずっとひとりのお遍路さんを待っていた。 けれどもよほど縁がなかったのだろう。 とうとうその姿を見ることも出来ず日が暮れる。 ネットの実況は今後も続くことだろう。 ひたすらエールを送り続けたいと思う。
あえない人には会えずあえる人には会えるのが縁。
お大師堂でお経を唱えていると鈴の音が聞こえた。 そうして後ろを振り向くと顔見知りのお遍路さんが微笑んでいた。
前回会ったのは八月の末。残暑の厳しい日だったと記憶している。 何か事情がありそうで名を聞くこともせずにいたけれど。 今日は納め札を頂き、そのひとが山梨の人だと初めて知った。
奥様を交通事故で亡くされたのだと言う。 ある日突然のこと。どんなにか辛い思いをしたことだろう。 そうして供養の旅。もう17回目の巡礼だと言う。
その間一度も山梨には帰ることなくひたすら歩き続けているとのこと。 嫁がれた娘さんが二人いて時々は電話しているんですよと笑っていた。
その微笑のかげに背負っている痛みの大きさを感じずにいられない。 供養の旅であるとともに癒しの旅であってほしいと願っている。
旅をしながらこんな物を作っているんですよ。 それを私にあげたかったのだと言ってビース細工の花をもらった。
今日も会えそうな気がしていたからって言ってくれて。 私には思いがけない再会だったけれどとても嬉しかった。
またきっと会いましょう!それが合言葉のようになる。
身体に気をつけて元気でいてくださいね。
天国の奥様もずっとずっと見守っていてくれますから。
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