冬のあいだ何もしてあげられなかった庭の
紫陽花の枝先にふっくらと緑が芽吹く
手と手を合わせているようなしぐさ
空に向かって一心に祈っているようだ
無力感に苛まれ続けている自分を思う
誰も責めてはくれないから自分で責める
ふとそれがおおきな間違いのように思った
自分を見失ってはいけないこんな時だからこそ
何も出来ないと嘆くのではなく出来ることを
それがどんなにささいなことだってかまわない
空はどこまでもつながっているのだもの
祈りはきっと届くそう信じて祈り続けたい
みんなが空をみあげてくれたらいいな
みんなが空をみあげてくれたらいいな
どんなにおもっていても
なにも伝えられない夜がある
そんな時はカタツムリみたいに
あたまだけ出してじっとしている
むりょくだなとつくづくおもう
けれどものろのろとすすみだす
ふりむくとささやかに光ってる
これが我が道なのかとふと思う
ごめんなさいごめんさいと
あたまをふれるだけふって
すすむすすむ夜のしじまへ
ごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさい
なにもできなくてごめんなさい
桜が咲いたというしらせ
よろこびよりも心苦しさ
けれども桜は咲きながら
祈るように空を仰ぐことだろう
日々無力感におそわれているこの頃。 こんな時だからこそ言葉が大切なのだと。 ある記事を読みながら救われるような気持ちになった。
決してなにも出来ないのじゃないかもしれない。 そう思うと綴りたい気持ちでいっぱいになってくる。
魔法の言葉とあるひとは言った。 ちちんぷいぷいとつぶやきながら。
私もそんな魔法使いになりたいなと思う。
それは枝垂れ咲き遠くからみると
ほんとうに雪の積もった柳のよう
近寄ると小さくて愛らしい花が
肩を寄せ合って励ましあうように
互いの事を気遣うように咲いている
だいじょうぶみんながここにいるよ
だから笑顔をわすれないでいようね
その枝をそっと手のひらにのせてみる
雪なのにあたたかい雪なのにやさしい
メモ。
夕方息子がひょっこり帰って来た。 あり合わせの夕食をともにする。 魚なんて久しぶりだなと言って。 鯖の干物を美味しそうに食べてくれた。
仕事はどうしても限界らしい。 辞めてどうするというあてもないけれど。 父も母も引きとめるつもりはもうなかった。
いつでも家に帰って来ればいいさと父は言う。 だいじょうぶなんとかなるからと母も言った。
おおきなコドモが悩んでいる。
おおきなコドモが苦しんでいる。
どんなにおとなになっても愛しさはかわらない。
わずかに残った海苔を収穫する日々。
これは生産なのだと自分に言い聞かす。
ささやかなこと。なんの役にもたたないかもしれない。
けれども目の前にそれがある。
いまはそんな目前のことに精一杯でいたかった。
瓦礫の中から16歳の少年とその祖母が救出されたニュース。
テレビの前にひざまずくようにして手を合わし泣いた。
奇跡はきっとある。あきらめないで。どうかあきらめないで。
ざわざわと落ち着かない気持ち。
ふと平穏を感じる時の心細さだったり。
ありのままの自分で良いのだと認めたけれど。
言葉が逃げていく。どこへいくのだろう。
待って。待ってとすがるように追いかけるばかり。
お大師堂の道端に咲くたんぽぽの綿毛が
ゆらゆらと風に揺れては旅をしたがっている。
いっておいで。自由なのはとてもありがたいこと。
いっておいで。きみを待っているひとがいるかもしれない。
ほっとしたとあるひとが伝えてくれた。
その言葉にどんなにか救われたことだろう。
綴ることはむつかしい。今の私にはそれはとても。
けれども綴りたい気持ちを抑えられなくなってくる。
不器用でうまく言葉に出来ないことばかりだけれど。
たとえばひかりのようなこと。
たとえばあかりのようなこと。
あおいでくれるだろうか。
手をかざしてくれるだろうか。
ほっとしてくれるだろうか。
ちっぽけなひかり
ちっぽけなあかり
ちっぽけなわたし
手をあわす。沈みかけた夕陽が降りそそぐお堂で。
手をあわす。南無大師遍照金剛。なむだいしへんじょうこんごう。
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