とうとう師走に突入する。 寒さを覚悟していたけれど思いがけないほど暖かな一日になった。
仕事の手を休めては庭に出てみると蝶々が飛んでいたり。 見上げた空は雲ひとつなく吸い込まれてしまいそうな青空。
しんこきゅうをいっぱいする。 ああ生きているなあってすごく感じた。
そうして平穏に時が流れていく。 みんなが笑顔だった。ほっとするような笑顔だった。
悪いことを考えたらきりがない。 なるようになるさといつも母は言う。 不安ばかりの私には薬のような言葉だとおもう。
くよくよ思いつめるのはもうよそう。 もっともっとあっけらかんと生きたいものだ。
帰宅していつもの散歩。 土手の道は昼間の暖かさをそのままに。 少し歩いただけで身体がぽかぽかと温まり汗ばむほどだった。
お大師堂の大きな銀杏の木がやっと色づき始めた。 もみじも紅くなりここはまだ秋の名残に満ちている。
ゆるやかな川の流れ。釣り糸をたれる川船の老人。 夕暮れに向かい始めた太陽が川面をキラキラと輝かす。
師走。いそぐことはなにもないのかもしれない。
たとえ今年が終わろうとしていても。
くる時がくればまたそこから始まるのだろう。
のんびりといこうではないか。
11月もとうとう最後の日。 明日からはもう師走かと思うと。 あまりにもあっけなく日々が流れたように感じる。
春夏秋冬。あの時はああだったこうだったと。 アルバムをめくるように過ぎた日々を思い出す。 どんな日も昨日のことのように近くにあるのだった。
師走は急ぎたくなくてもどうしても駆け足になってしまう。 あらあらという間に年の瀬に追いやられてしまうことだろう。
今朝はとても嬉しいことがあった。 山里の職場に着くなり母が私にとババシャツをくれたのだ。 ほうらこれを着るともう寒くないよと言って。 その贈り物よりも母の心遣いが胸に沁みてあたたかくてならない。 優しい母。幼い頃の優しかった母が今もここにいてくれるだ。
私は幸せ者だなとつくづく思う。 親孝行もろくにしていないというのに。 母はこうして私を気遣ってくれている。
私も母になにかしてあげたい。 母の喜ぶこと。いちばん嬉しいことはなんだろう。 あれこれと考えてみたけれど何も思い浮かばなかった。
ただそばにいて一緒に仕事をする。 いまの自分に出来ることはそれだけしかなくって。
もしかしたらそれがいちばんなのかもしれない。
お母さん。ババシャツありがとう!
あったかいよ。こんなにあったかいものはないよ。
今朝はこの冬いちばんの冷え込みだったようだ。 山里は特に寒くあたりいちめんに霜が降りていた。
まだまだこれからが冬本番だというのに。 寒さが身に沁み耐えられないような気持ちになる。 ついつい弱気になってしまうのは歳のせいかもしれないけれど。
突然に死んでしまうのは嫌だなと漠然と思った。 寒さで死んでいたら命がいくつあってもたりないだろうに。
馬鹿だなとおもう。けれどもこの不安はいったいどこから。 振り払ってもふりはらってもそこにあることが悔しく思う。
日中はありがたいほどの小春日和となった。 げんきんなもので朝の不安を笑い飛ばせるようになっていた。 どんな日もあるだろうけれど。きっと私は生きているのにちがいない。
咲き始めた山茶花の花に心をなごませながら時が過ぎる。 日が暮れるとなんて平穏な一日だったのかとほっとする。
不安があるから安堵があるのかもしれない。
そう思うとなにもこわいものなどないようにおもえるのだった。
朝の寒さもそれほどではなく日中も暖か。 こんな小春日和がずっと続けば良いなとおもう。
お昼前にサチコからメール。 先日修理をしたばかりのパソコンがまた駄目になったらしい。 今日はお休みでアパートに居るとのこと。 知り合いの専門店に電話などしていたけれど。 どうにも気掛かりでならず午後から駆けつけてしまった。
本音を言えば。サチコにあいたかったから。 アパートを訪ねるのもほんとに久しぶりだった。
サチコは少し風邪気味のようでしんどそう。 おっし!母に任せなさいとパソコンを提げてお店に向かう。 するとさすがに修理のプロ。15分ほどでそれが直った。
サチコの喜ぶ顔が見たくてまたアパートに向かう。
ああよかったとほっとしているサチコとしばし語らう。 もう一年になったね。あっという間の一年だったようにおもう。 ベランダに揺れる洗濯物。台所にはずいぶんと物が増えたよう。
やっていけるだろうか大丈夫だろうかとずっと心配していたけれど。 ちゃんと暮らしている様子にどんなにかほっとしたことだろう。
またね。うんまた来るね。手を振ってもらって母は家路につく。
なんだか胸が熱くなる。あいたかったんだなってすごくおもった。
雨上がりの青空。おだやかな小春日和となる。
毎年この日には手紙を書くことにしている。 もうそれも七年目のことになった。
けれども今年はその手紙を書かなかった。 ものすごく迷った末にそうすることを選んだのだ。
一方通行の手紙。 喜んでくれるのかほっとしてくれるのか。 なにもわからないまま歳月が流れたようにおもう。
けれどもそれがカタチなのだとしたら。 そんなカタチなどもう必要ないように思った。
そのひとは決して嘆いたりはしないだろう。
これくらいのことで切れてしまうような縁ではないのだから。
わたしのなかでささやかなけじめのようなものがうまれる。
朝からずっと雨が降り続いている。 冷たい雨だけれどなぜかほっとするような雨音だった。
水のにおい。心身にしみわたるように雨がふる。 きっとわたしのどこかがかわいていたのだろう。
わからないどこか。それをそっとふれてみたいとおもった。
今日はいい夫婦の日だという。 穏やかな彼の笑顔に救われるように一日が暮れていく。
怒るということをしないひと。 いつもゆったりと落ち着いていて。 なにもかもつつみこむようなあたたかさがある。
観音様のようなひとだといつもおもう。
ずっと昔。わたしは捨て猫だったのだ。 そんなわたしをひろってくれたひとだ。
若い頃にはぶつかることもあった。 このひとさえいなければとおもったこともあった。
けれどもいまはうしなうことがこわい。
あとなんねんなのか神様はおしえてくれないけれど。
ゆるされるかぎりそばにいさせてほしいとおもっている。
朝の寒さがうそのような小春日和となる。 やわらかな陽射しは優しいぬくもりとなり。 こころもからだもまったりと寛ぐことが出来た。
紅葉の名所では今が見頃だと言うこと。 出掛けてみたいなと思いつつ出不精になってしまう。 どんなにか綺麗なことだろうと目に浮かぶようだった。
いろんなことに消極的になってしまったじぶん。 すこしはがゆく思う。どうして?と問い質すように。 無意味な時間ばかりを費やして日々に流されているようだ。
以前はああだった。こうだったとすべて過去のことばかり。 いま動き出すことが出来ればどんなにか新鮮なことだろう。
お昼。またお好み焼きが食べたくなって作る。 ものすごく大きなお好み焼きを作った。 「これはデカイな!」と彼もびっくりしていた。 とても美味しい。満腹になってすごく幸せな気分。
午後は寝る。ひたすら寝る。 どうしてわたしはこんなに眠いのだろうとおもう。 いろんなお薬を飲んでいるせいかもしれないけれど。 横になったかと思えばすぐに眠り込んでしまうのだった。
三時間ぐらい寝てよっこらしょとやっと起き上がる。 せめて散歩だけは颯爽と歩いて行きたい。 気だるさを振り払うように胸をはって歩いた。
土手の野菊もそろそろ花の見納めだった。 せいたかあわだち草もすっかり茶色くなっている。 毎日歩いて見ているはずなのにはっとすることが多い。
きっとぼんやりと歩いてばかりいるのだろう。 草や花は気づいてほしくて毎日語りかけてくれているというのに。
もっと耳を澄ましてみなくてはときょうは思ったことだった。
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