母の手術は無事に終わる。 弟から電話があってほっとしていると。 今度は母からメールが届いた。
「ただ今身柄を拘束されています」と。 母らしいセリフに思わず笑ってしまったけれど、 術後は絶対安静でベッドに縛り付けられているらしい。
それなのに仕事の事が気になって仕方ないのだろう。 電話には出られるからと念を押すように添えられてあった。
心配ないよ。安心して寝ていなさいねと返事を送る。
母のことがふっと憐れになった。 普通の人ならもうとっくに職場を引退してもよい歳である。 趣味を楽しんだりゆったりとした老後を送っていてもよい。
楽をさせてあげられたらどんなに良いだろうかと思う。 死ぬまで働くからなんて言わせたくはなかった。
けれども母は仕事が好きでならないのだろう。 生きがいかもしれないと思うと私も少し気楽になれる。
今日も少し早目に家を出て峠道を通った。 好きな道はやはりこころがなごむものだ。 朝の時間が少しだけ気忙しくなるけれど。 出来るだけ続けてみようと思っている。
お遍路さんを見かけるとほんとに勇気がわいてくる。
一歩一歩踏みしめるように歩く姿は元気そのものだった。
天気予報がはずれて思いがけない秋晴れになった。 夏の名残のような陽射し。そうして爽やかな風が吹く。
出勤時間を少し早めて久しぶりに峠道を通ってみる。 畦道の彼岸花。民家へと続く坂道には黄花コスモス。 そうしてお遍路さん。今朝は7人も出会う事が出来た。
ああこの道好きだなあと思わず声に出しつぶやいていた。
明日も早目に家を出てみようと思う。 道路工事中だから通行規制が始まる前に通過すれば良い。
道端の大きな銀杏の木。あの木が色づくのを今年も見たいなと思う。
母のいない職場は少し多忙。 あれこれと動きまわっているうちに体調の事など忘れていた。 昨日の不調が嘘のよう。やはり忙しいのがいちばんなのかもしれない。
母は明日下肢静脈瘤の手術。前回よりもずっと簡単な手術らしい。 家族の立会いが必要と言う事で、近くに住む弟が引き受けてくれた。 電話の声は相変わらずあっけらかんとしていて拍子抜けするほど。 ずっと痛がっていた足がこれで楽になってくれたらと願っている。
私は明日もぼちぼちとがんばろう。
くよくよ思い詰めたりしないで母のようにあっけらかんと元気でいよう。
小雨ふる肌寒い一日だった。 一雨ごとに秋が深まっていく事だろう。
気温の差に身体がついていけないのかもしれない。 仕事中にまた眩暈がする。しばらく目を閉じては。 だいじょうぶ。だいじょうぶと呪文のように唱えた。
弱気になってはいけない。むしろ悔しくてならない。 こんなに元気なのにどうして!と叫びたいくらいだ。
どんな日もあるのだと思うことにしよう。 気を強く持って日々を乗り越えていくしかない。
母はまた明日から入院。とてものほほんとしている母。 内心は心細い事だろうと思いながら気遣ってあげられなかった。 自分のことで精一杯でそんな余裕がなかったのかもしれない。 いけなかったな・・と帰宅してから悔やんでも遅いのだけれど。
いつもどんな時もあっけらかんとしている母がうらやましく思う。 娘なのに肝心のところが似ていないのだ。私は父親に似たのだろう。 とても神経質だった父のことを思い出す。でも好きだった父のことを。
あしたはあしたの風が吹くという。
天気予報は雨だけれどどんな風が吹くのだろうか。
風まかせでいよう。胸をはって風に吹かれてみたい。
人恋しさに耐え切れず 昨夜はとうとう古くからの友人に電話をかけてしまった。
中学、高校と多感な青春時代をともに過ごした友。 久しぶりに聴く声のなんと懐かしかったことだろう。
「みんながミカに会いたがっているよ」そう言ってくれた。
嬉しくってほろほろと涙がこぼれそうになる。 あったかいな。すごくすごくほっとしたのだった。
「ミカの声、すごく元気そうにきこえるよ」とも言ってくれた。
そっかわたしげんきなんだ。うんこんなにげんきなんだ。
今日は散歩道を延長していつもよりたくさん歩いた。 元気なんだもんどんどん歩いちゃえ。 そう思うと不思議と足取りが軽くなった。
川岸までおりて行って水際に佇んでみる。 川風がつくるちいさな波が足元ではねる。
みずになりたいな。さらさらとながれたいな。
そうして海になりたいなっておもった。
秋めいてくると人恋しくなるのはなぜだろう。 むしょうに誰かと語り合っていたくてならない。
それが叶わないとたまらなくさびしい。 なんだか気が変になってしまいそうだ。
ひたひたとなにかがおしよせてくるような感覚。 それは手ではすくえない。それは触れることすらできない。
だからしかたなくそこにいる。 じぶんの息を確かめるように。
どうにかなってしまうのだとしたら今しかない。
おもいっきりじぶんを見失ってしまいたいくらいだ。
そう壊れるんだ。粉々に壊れてしまえばいいんだ。
はぁ・・・こんなじぶんもたまにはいい。
10代の終わりの頃の自分を見ているようだ。
昨日までの暑さがうそのよう。 曇り日の空が肌寒さをつれてくる。
川仕事も昨日で一段落したため。 今日は何もすることがなかった。
身体を動かしていないと落ち着かない。 家中の掃除などしてみるが物足りない。
パソコンの前に座ると身体がふわりっとなる。 気が遠くなってしまいそうな軽い眩暈だった。
開け放した窓から川向の山を見ていた。 あの山の向こうに山里の職場があるのか。 仕事はお休みのはずだけれど母がいるような気がした。
明日は行こう。そうして笑顔の一日にしたいなとおもう。
あしたのわたしはきっとげんきにちがいない。
散歩の帰り道。それは綺麗な中秋の名月を見た。 暮れようとしている空にぽっかりと浮かぶ月は。 まるで夢のようにまるで希望のように明るかった。
あきらめてはいけないなとふとおもう。 まっくらやみのじんせいなんてありえないのだから。
祖母の命日。愛子という名のおばあちゃんだった。 愛ちゃんって呼んであげるとすごく嬉しそうにしていたっけ。 大好きだった愛ちゃん。私のことをとても可愛がってくれた。
ねえおぼえてる?夏休みに一緒に寝た時。 朝起きたら愛ちゃんの入れ歯が外れて私の手を噛んでいたの。 ふたり大笑いしたね。あの時の愛ちゃんは子供みたいだった。 お茶目な愛ちゃん。そんな愛ちゃんに似ているねって言われるの 私すごく嬉しかったんだよ。愛ちゃんの孫でほんとうに良かった。
お彼岸なのにお墓参りも行けなくてごめんね。 今日は一日中愛ちゃんのことを思い出していたよ。
川仕事をしている時に白鷺が飛んできたの。 すぐ近くまで来てじっと私のことを見つめているから。 愛ちゃんが空から舞い降りてきたのかなって思ったんだよ。
綺麗なお月さま。おじいちゃんと一緒に見ているかな。
空はずっとずっと果てしなくつながっているんだもん。
たったひとつきりのお月さま。私も一緒に見ているからね。
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