早朝。あんずと一緒に土手を散歩。 「あれ?お父さんは?」そんな顔。 その時の首をかしげた姿がゆかい。
朝の風のなんとさわやかなことか。 朝陽とともに青空がきらりと光る。
午前中に彼と連絡をとる。 診察があり経過は順調とのこと。 眼帯も外せて眼鏡もかけられたそうだ。 よかった。とてもとてもほっとしている。 予定通り月曜日には退院出来そうだった。
ひとりぼっちはやはりさびしい。 ひとりごとばかりつぶやいている。 これもあっという間の出来事なのか。
夕方。またあんずと散歩に出掛ける。 今日は土手の除草作業で賑やかだったけれど。 すっかりまるはだかになっていておどろく。
青々と繁っていた夏草も。白い綿毛のチガヤも。 姫女苑の可愛い花さえもすべて跡形もなかった。
毎年の事だけれど。なんともいえないさびしさ。 きれいさっぱりと思えばまたこれもよしかもしれず。 すっかり雀色になってしまった土手をながめていた。
いつまでもそれはない。けれどもまたそれはうまれる。
また真夏になれば若い緑が匂うようにあふれることだろう。
手術。無事に終わりほっとしている。
術後少し熱が出ていたけれど。 それも夕方には下がったようだ。
不便なのは眼鏡をかけられないこと。
まな板の上の鯉はピチピチとは出来ず。 かなりぐったりと弱っていたけれど。 列車の時間もあり仕方なく帰って来た。
今日はまだ痛みもあり辛そうだけれど。 明日にはもっと楽になっていると思う。 経過さえよければ月曜には退院出来そうだ。
たかが眼。されど眼だ。 手遅れになれば失明さえあり得る。 早目に手術をしてもらえてほんとうによかった。
健康がいちばんの宝もの。つくづくとそう思う。
久しぶりの快晴。すっかり初夏の陽気となった。
早朝より南国市にある大学病院へ出掛ける。 高速道路を利用しても2時間半くらいかかった。
いよいよだなという感じ。 彼はもうまな板の上の鯉だなと笑った。
主治医の先生から手術の説明を受けたり。 万が一の時もありますからと脅かされたり。
けれども一般的にはとても簡単な手術とのこと。 不安がることは何もないのだと気楽に構えている。
山里の母からメール。 「雲の上にはかならず青空がありますから」と。
彼と顔を見合わせ思わず笑ってしまったけれど。 母なりに心配をしてくれていることがわかって。 とてもありがたいことだと思った。
高知市内に住む弟からもメール。 「今日は休みやきなんでも言うたや!」 帰りは列車のつもりだったのでそれも助かる。 病院から駅まで私を運んでくれるのだと言う。
けれども結局はタクシーに乗ってしまった。 その車中で弟から電話があったのだけれど。
もっと甘えても良かったのかなと後から悔やんだ。
そういうところが不器用なのだ。意地っ張りというか。
母も弟も。とても心強い存在だった。ありがとうね。
明日は朝いちばんの手術に決まった。 始発列車に乗ればなんとか間に合いそうだ。
まな板の上の鯉は今頃何を思っていることだろう。
雲の上にはかならず青空があるか・・・
母上さま。それってほんとにすばらしい言葉だよ!
いちにちじゅう雨音を聴きながらすごす。 時にはどしゃ降り。その激しさも心地よい。
彼の入院を明後日に控えなんだかざわざわと。 こころが落ち着かなくてそわそわとしていた。 大病でもなくほんの数日のことなのだけれど。 目前に迫ってくるとやはり心細くなってくる。
ずっとあっけらかんとしていた彼も同じなのか。 早く終わって欲しいよなあと呟くようになった。
とにかく行ってみないとわからないのだけれど。 きっとあっという間の出来事になることだろう。
雨は降りやまずお散歩も行けなかった。 あんずも犬小屋に閉じこもったきりで。 晩ご飯の時も犬小屋から顔だけ出して。 とてもめんどくさそうにフードを食べる。 その顔が愉快。ちょっと飼い主に似ている。
雨音はとてもリズミカルにその歌を奏でる。
まちがえてはいけないたいせつなうたのように。
そのうたをおぼえたがっているように胸がなる。
とっくんとっくんわたしの血がそこに流れている。
うす曇りの空。やわらかな陽射しにふわふわっと。 こころが吸い込まれていくようなきもちになった。
すこし気が遠くなる。たおれてしまうのではと思うほど。 なんともこころもとないものだ。ちゃんと立っているのに。
この心細さはいったいどこからやってくるのだろう。
気分転換に庭の掃除をする。犬小屋のあたり。 あんずの抜毛がコケのようにかたまっていた。 這うようにしてそれを取り除いていると。 あんずが追いかけてきては私の顔を舐めるのだ。 くすぐったくてたまらない。それも愉快なこと。
午後は茶の間で彼と一緒にテレビを見ていた。 うつらうつら。そのまま2時間も寝入ってしまう。 相変わらずのだらしなさ。自分でもあきれてしまう。
寝起きの気だるさをふりおとすように散歩に出掛けた。 胸をはっていちにっいちにっと風にふかれながら歩く。
もういちにちが暮れていってしまうのか。
なんだかあまりにもあっけないことに思える。
それでもわたしはそんざいしていて時は流れるのだった。
いいのかな。うんきっとこれでいいのだろう。
静があって動があるのなら今日は静のいちにちとしよう。
川辺を歩きながら水の音に耳を澄ました。
ひたひたひた。ちゃぽんちゃぽんと。 さらさらさら。ぴちゃんぴちゃんと。
うまくことばにできないのだけれど。 たしかにそれがながれていることが。
なんともここちよく耳に届いたのだ。
急いでいるのでもない。ゆったりと。 おおらかな心であるかのように流れる。
こんな水のようになれたらどんなにいいだろう。
帰り道。川岸に立つ栴檀の木をあおいだ。 今が花の盛りでこぼれ落ちるようにそれは咲く。 ちいさな白い花びら。まんなかは紫色だった。 その色合いのなんと可憐なこと。好きだなと思う。
風がふく。みずが匂う。花はゆらゆらと揺れていた。
青空とさわやかな風。 気温もそれほど高くはならず過ごしやすい一日だった。
あんず。年に一度の動物病院。 狂犬病の注射とフィラリアの検査。 それと少し気になるところがあって診てもらった。 それがなんと足に腫瘍が出来ているのだそうだ。 人間で言うと皮膚ガンのようなものらしい。
でも悪性ではないだろうと言うことで。 しばらく様子をみることになった。 腫れがどんどん大きくなるようだったら。 手術をしたほうが良いだろうと言うこと。
とうの本人はまったく痛がる様子もなく。 散歩のときもぐんぐん先を行くほど元気だった。
犬も人間と同じでいろんな病気に罹ってしまうのだ。
老犬あんずよ。どうかどうか長生きをと願うばかり。
散歩道は風のみち。しんこきゅうをしながらあるく。 おしっこをしてうんちをして草を食べるあんずだった。
いつもとかわらないわがままぶりもまた愛しいものだ。
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