気温がぐんぐんと高くなりすっかり初夏の陽気。
うちに閉じこもっているのも落ち着かず。 かといって山里の職場に行くのも気が重く。 とにかく動こうと今日もハローワークへ行く。
先日の面接の結果がはっきりとしないままだけれど。 聞くところによるとかなりの人が面接に行ったらしい。 若い人ばかりではないですよと言ってもらい少しほっとする。
けれども待つということ。それはとてもつらいことに思える。 ゆったりとしたきもち。そういうこころの余裕がないのかも。
今日のしゅうかくはゼロ。焦ってはいけないと自分に言い聞かす。
帰宅するとポストに大きな封筒が入っていた。 字を見ただけでわかる。それはひろたくんからだった。
スケッチブックに書いたたくさんの絵を送ってくれたのだ。 かなしみと希望と。そしてなんともいえないぬくもりと。 ひとつひとつの絵を見つめながら胸がいっぱいになった。
ほろりほろりと涙があふれる。なんてありがたい絵だろう。
たとえこのよにかなしみがあふれていても。
ひとはきぼうというなのはなをさかせる。
そうしてそのはなをそだてることができる。
さかないかなしみ。かれてしまうかなしみ。
みずをください。あいをくださいとひとはねがう。
だいじょうぶ。いきているよ。こんなにつよくいきているよ。
ゆうじんのおたんじょうび。
どうしていきているのかふとわからなくなると。 かといってしぬゆうきもないのだとゆうじんはいう。
それはねいきるゆうきがあるということだよというと。 ははっとわらった。おたんじょうびおめでとうひろたくん。
わたしたちはともだちなんだ。ずっといっしょにいきるんだ。
昨日のこと。山里の職場に行けば母は風邪をひいていて。 少し熱があるというのに休みもせずに仕事をしていた。 私はとても心苦しかった。とても言葉に出来ないくらい。
職探しをしていることも話し出せずに一日が過ぎていく。 それを話せば母はどんなにか気落ちすることだろうと思う。
なるようになるとわたしはいつも言っているけれど。 いったいどんなふうになってしまうのだろうと思う。
わからないから。それはちっともわからないことだから。
手さぐりで日々を歩んでいくよりほかないのだろう。
宝くじを買った。ジャンボとミリオンと二種類買った。 どうかどうか当たってくれますようにと祈っているのだけれど。
わからないから。それはちっともわからないことだから。
今日もさつき晴れ。爽やかな風と陽射しが嬉しい。
土手にはチガヤの白い花が咲き始めた。 それは近寄って見るとまだ若き穂であり。 真っ白ではなく少しグレーがかっている。 そうしてオレンジ色の粒々がくっついている。
いかにも草の花らしく緑の葉からまっすぐに。 空に向かって風とたわむれている姿がよかった。
やがて純白の綿のようになりまた風に揺れることだろう。 ゆうらゆうらと風となかよしになるその日が目に浮かんだ。
散歩の帰り道。土手の下の民家のそばを通ると。 畑にはトマトと茄子が植えられてあり。里芋が。 10センチくらいの可愛らしい芽を出していた。
野菜はとてもたくましい。見ているだけで元気が出る。
そうして通り過ぎようとしていたところはっとした。 なんとその畑の片隅に紫陽花の花がもう咲いていたのだ。 薄紫とブルーと。思わず歓声をあげて足を止めてながめた。
季節はたしかに前へ前へとすすんでいるのだなと思った。
今日は安息日。昨日の緊張も失望もすっかり薄れてしまう。 駄目もとだと思えば。またスタートラインに立てるのだもの。 急がばまわれということばだってある。焦る事はなにもない。
明日は山里の職場へ行ってみようと思っている。 母からは電話ひとつないけれどやはり心配だった。
少し気が重いけれど職探しをしていることも話さなければ。 母にしたらずっと手伝ってくれるものとあてにしているだろう。
暮らしさえ楽であるなら私だってそうしてあげたい。 なんだか見捨てるようなことになり心苦しいのだけれど。
あれこれと思い煩うことはあっても。笑顔の一日にしたいものだ。
さつき晴れ。陽射しがきらきらとまぶしい。
いつもの散歩道。お大師堂が見え始めたとき。 ふとなんとなくかのひとの顔が目に浮かんだ。 そうしたらいきなり扉が開いてまさにそのひとが。 目の前に現れたのでほんとにびっくりしてしまった。 例の修行僧のお遍路さん。これで六度目の再会となる。
微笑むアマリリスのかたわらでふたりも微笑みあった。
きっといいことがありますよ。その言葉が嬉しかった。
面接。はんぶんの不安とはんぶんの期待だったけれど。 現実はとても厳しいものだということを思い知らされた。
私はもう若くはないから。それはどうしようもないこと。 年齢不問というのはあくまでも形式的なことなのだと言う。 わずか10分程の面接で。そのひとはにっこりともせずに。 採用ならば一週間以内に連絡をするから待つように言われた。
なんだか肩透かしをくらったような気持ちでしょんぼりと帰る。 でもまあこれも経験だと思えば。すこし気も楽になるのだった。
気分はすっかり諦めているけれど。まだまだ道は続いている。 きっときっとなるようになる。そう信じて前へ進んでいきたい。
ななつ転んでもやっつ起きてみよう。まだひとつではないか。
なんのこれしき。ふたつもみっつもど〜んときなさい。
くもりのち晴れ。五月らしい爽やかな風が吹く。
散歩道を行けば。お大師堂にアマリリスの花が。 ずっと昔に誰かの手でそこに植えられたのだろう。 それがまるでそこで生まれたかのように咲き誇り。 語りかけるような仕草で微笑んでいるのだった。
ことしも咲いてくれたのね。そう声をかけてみた。
こころがなごむ。その鮮やかな色が沁みわたるようだ。
今日もうごく。突っ走るようにうごいた。 ハローワークなんて何十年ぶりだろうか。 たくさんの人で溢れていて少し緊張した。
ひとつ気になるところがあり相談してみる。 そうしたらすぐに連絡をとってくれて。 なんとあした面接に行くことに決まった。
パートとはいえこの就職難のご時勢に。 なんてありがたいことだろうとおもう。
どきどきと胸がなる。なんだか旅に出るような。 うまくことばに出来ないけれど緊張感と期待と。
踏み出せるだろうか一歩。明日がいい日でありますように。
雨の匂いがここちよい。
あたりの緑を潤しながら。 そのままこころにしみわたる。
濡れたこころにふれてみる。 そうしてちいさな水たまりをつくる。
けっして泥にはならないように。
けっして沼にはならないように。
そんな雨のいちにちを動き出してみた。 銀行に行って市役所に行ってまた銀行に行って。
そうしてひとつの不安に光が射し始めた。 駄目もとだと思っていたから嬉しくって。 暗いトンネルを抜けたような気持ちになった。
この道にはまだまだトンネルが続いている。
あきらめずにくじけずにまた前へすすもう。
いま夕焼けがとてもきれい。
もうすぐ夜風にかわる風に吹かれながら 窓辺にたたずみ茜色の空をあおいでいる。
ふっふっと息がもれる。ためいきではなくて。 深呼吸でもなくて。これは微笑みの息だろうか。
ちろんちろんと歌っているのは風鈴だった。 私の窓辺には一年中それをつるしてあるのだ。
夕焼けこやけで日が暮れて。私も歌いたくなった。
川仕事。撤収作業も今日でやっと終わる。 なんだか気が抜けたようにほっとしている。 明日はいちにちのんびりとお休みをして。 月曜日になったら動き出そうと思っている。
あれこれ。うんきっとなんとかなるだろう。
|