ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2010年02月08日(月) 母をたずねて

お天気は下り坂。少しだけ陽が射したまま。
あたりが灰色に染まり始めて。雨がにおう。

ぽつりぽつりとつぶやくような雨は。
春のはじめにふる雨のように思えた。

まだまだ寒い日がめぐってくるだろうけれど。
ひと雨ごとに春の足音が近づいてくる気がする。



彼の眼科通院日のため川仕事はお休みになった。
かといって家でのんびりと寛ぐわけにもいかず。
駆けつけるようにして山里の職場へと向かった。

指折り数えてみると10日ぶり。母が喜んでくれて。
私もご機嫌よろしくたまった仕事をやっつけていく。

目まぐるしさも心地よい。ああ好きだなと思った。
次はいつになるのか未定だけれどまた頑張りたい。

何よりも母が喜んでくれるのが嬉しくてならなかった。



先日。従兄弟の葬儀のため向かった海辺の町で。
弟とふたり。かつての我が家をさがしてみたのだった。

母がパート勤めをしていた町の魚屋さんを見つける。
たしかその横の路地を奥へ入ったところ。行ってみよう!
ふたりどきどきしながらその狭い路地を進んで行った。

どんなに古びていてもいい。その家の面影を胸に抱きつつ。
あの頃と同じ波の音を聴きながら。かえれない我が家を思った。


けれども。そこにははかりしれないほどの歳月が流れていた。
弟とふたり息をのむ。モウスンダコトオワッタコトなのだと知る。


母はここからながいながい旅に出たのだろう。

そうしてわたしたちもあとをおうように旅に出たのだとおもう。



2010年02月06日(土) おとうさん

立春を過ぎたとはいえ。まだまだ冷たい風が吹くけれど。

あちらこちらに梅の花や。もう菜の花も咲き始めて心がなごむ。
そろそろ鶯の初音も聴こえるかもしれないと耳を澄ましている。


例のごとくで今日も川仕事。
海苔の生育が思うようにはすすまなくて。
ふっと不安がつのり始めた。大丈夫だよ。
彼の言葉にほっとしながら手を動かしていた。

ほんとうに自然まかせ。それが自然の恵みでもある。
欲を言えばきりがないのだと戒めるようにおもった。

彼が勤め人だった頃はそれなりに安定していた暮らし。
今は家業の海苔の収穫だけが頼りだった。保障もなく。
すがるような気持ちで日々を乗り越えていくしかない。

せめて年金をもらえる年になるまで頑張ろうな。
そんなことを語り合う年にふたりなってしまった。

そうしてそんな年だからこそお互いを思い遣れる。


このところまともな夕食を作ってあげられなかったから。
今夜はお魚のすり身をコロッケ風にしてみた。
こんがりと揚がったのをはふはふしながらふたり頬張る。
お醤油よりソースがいいなとか言いながら日本酒をのむ。


そうしてまったりと夜が更けていく。

あしたもがんばろうねおとうさん。



2010年02月04日(木) 立春

立春。もう雪割り桜が咲いているらしい。
高知新聞の一面はその桜とメジロの写真だった。

寒い朝だけれどこころはほっこりと春を想う。
ゆっくりと向かう先には何が待っているのだろう。
行ってみなければわからない。すくっと前を向き。



夕暮れちかくいつもの散歩。
あんずは土手の若草が気に入っていて。
まるで牛かなにかのように草を食む。
むしゃむしゃとそれは美味しそうに食べるのだった。


お大師堂には今日も泊まりのお遍路さんの靴がある。
今日で四日連続。歩き遍路さんが多くなったのだろう。
山里の峠道が目に浮かぶ。白装束の颯爽とした後姿を。

会ってみたいなと思ったけれど閉ざされた扉を押し開く
勇気がなくて。おもてから手を合わせて踵をかえした。

会えるひとには会える。ほんとうに偶然のようにして。
巡り会うことが出来る。それが縁というものだと思う。


帰り道。いつかの蒲公英はもう綿毛になっていた。

その種も旅をするのだろう。今はまだ冷たい風も。

やがては優しい春風となって。種はふんわりと微笑む。



2010年02月03日(水) 鬼はそと福はうち

節分。毎年かかさずサチコと豆まきをしていた。
今年は豆も買わなくて。なんだかしょんぼりと淋しい。

子供の頃からずっとしていたことをやめるのって。
後ろめたいような心苦しいような気がしてならない。

豆を買ってくればよかったと夜になって後悔している。

こころのなかで豆をまく。鬼はそと福はうちと呪文みたいに呟く。



このところ立て続けにサチコの夢や息子くんの夢を見た。
おとなのこどもではなくって子供のままのふたりだった。

よほど会いたいのだろうと思う。恋しがっているのだろうと。
サチコは夢の中でウサギみたいに飛び跳ねて楽しそうだった。
息子くんはおしっこを我慢できなくてズボンを濡らしてしまった。

懐かしいふたり。今夜もこどもになって母に会いに来てくれたらいいな。

鬼はそと福はうちって母さんと一緒に豆をまこうよ。






2010年02月02日(火) メール

ふつか続いた雨もあがり穏やかな晴天。
やわらかな陽射しがありがたくてならない。

作業場の庭に海苔をたくさん干した。
緑の海苔がきらきらと光っているのが嬉しい。

彼とふたり今日も頑張る。黙々とはいっても。
実はいろんなことを考えている。それは秘密。

夢のようなこと。決してありえないようなこと。
妄想というのかもしれない。考えるのが楽しい。

そうしているとあっという間に収穫が終わるのだ。
お腹空いたなあとかしんどいなあとか思う暇がない。

夢見るおばさんっていいよ。うんいっぱい夢見ようよ。



帰宅したら母からメールが届いていた。
てっきり仕事の事だろうと思ってそれをひらく。

「寒くないですか?収穫はどうですか?」

ほろほろと涙がこぼれそうなほど胸が熱くなった。
気遣ってくれている。母の優しさが身に沁みてきた。

職場をほったらかしにしなくてはならなくて。
母ひとりでどんなにか忙しくしていることだろう。
私も母を気遣う。「無理をしないでねお母さん」


ふたり顔をつき合わすとついついぶつかってしまうことがある。
電話だと声を荒げてしまう事もある。苛立つ事だってたまにある。

メールってなんてありがたいものなのだろう。



2010年02月01日(月) ふぁいと!

昨夜は豚汁を作った。白菜もやし椎茸ごぼう大根と。
野菜たっぷりのやつを土鍋からふき出すほど作った。

ふたりきりの暮らしになってもついつい作り過ぎてしまう。
おにいちゃん好きだったなとかサチコも好きだったなとか。

だから今夜も豚汁で。おうどんを入れてはふはふと食べた。
奥さん明日の朝も豚汁ですねと彼が愉快そうに笑うのだった。

からだがぽかぽかと温まる。豚汁だいすき。また作っちゃうね。




きのうから雨できょうも雨だった。川仕事休みたいなと思う。
それでもいかなくちゃと彼に励まされるようにして出かけた。

この仕事好きだって言いながら。ときどきサボリたくもなる。
雨合羽を着てもくもくと手を動かしているとなんかせつない。
天職だとしたらなんの因果だろうと思うと哀しくなってくる。

それでも仕事を終えるとなんだか爽快な気分になるのが不思議。
うん明日も頑張ろうと意気込んでくる。ふぁいと!ふぁいと!



2010年01月30日(土) ハジマル

風もなくぽかぽかと暖かないちにち。
冬枯れた土手に若草の緑が目立つようになった。
今にも土筆の坊やが頭を出してきそうな気がする。


午前中は川仕事。いよいよ海苔の収穫が始まった。
生育は例年並みかなと思う。どうか順調にと願いつつ。
手を動かす。愛しいものに触れるように海苔を摘んだ。

これから五月の中旬くらいまで家業に精を出すことになる。
山里の職場のこと。母のことなど気掛かりでならないけれど。
ひとつしかない身体。こればかりはどうしようも出来ないこと。


午後はさすがに疲れがどっと出て横になったとたん眠り込んでしまう。
初日からこの調子だと先が思い遣られるけれど。そのうち慣れるさと。
気楽に。あまり不安がらずに日々を乗り越えていきたいものだと思う。

やってやれないことはない。なんとかなるさと自分に言い聞かせている。


寝起きの気だるさをふりきるようにあんずと歩いた。
にんげんの年だともう75歳くらいだと思う彼女の足取りは。
私よりもずっとずっと若く思えるほど元気に走り出そうとする。

「待って!ゆっくりよ」と声をかけるとなぬ?と振り返る。
その顔がなんともいえない。ちょっと心配顔の得意顔にも見える。

お母さん大丈夫?ほらわたしはこんなに元気だよって言っているようだ。


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